●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●核融合の原料の一つ「ヘリウム3」は、月に大量に存在するというが・・・

2013-03-27 14:30:18 | 月の資源


 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、核分裂を利用した現在の原子炉の危険性を世界に知らしめた。また、核廃棄物処理についても今のところ抜本的解決の道筋すら立っていない。現在、わが国では新しい原子炉の高速増殖炉「もんじゅ」の開発に取り組んでいるが、これまで事故が相次ぎ、一部ではその危険性が指摘されている。

 そこで、注目を集めているのが核融合を利用した原子炉の開発だ。核分裂の利用に較べ、核融合炉は次のような特徴を有すると言われている。①核分裂反応のような連鎖反応がなく、暴走が原理的に生じない② 高レベル放射性廃棄物が継続的にはあまり生じない③機能喪失時の炉心溶融リスクがない―など。

 つまり、核融合炉は、核分裂炉のように、常に核分裂の暴走の危機に晒され、大量の放射性廃棄物の処理を迫られることから、避けることができるというのである。

 これまで、核融合炉の開発は、旧ソ連、日本、米国、中国などで行われて来た。現在においては、日本、EU、米国、ロシア、中国、韓国、インドが参加して、国際機関「イーター国際核融合エネルギー機構」が結成され、現在、各国の協力の下、国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」の開発が、フランスのカダラッシュで進められている。

 核融合炉においては、「D-D反応」「D-T反応」「 D-3He反応」の3つの反応が候補に上っている(D:重水素、T:三重水素<トリチウム>、3He:ヘリウム3)。この中の「 D-3He反応」は、必要な温度が高く、技術的にも大変難しいとされ、実用化されるのはまだかなり先になりそうであるが、長いスパンで考えると、実用化は不可能ではないであろう。

 この「 D-3He反応」で使われるヘリウム3(3He)は、地球上にはわずか数百㎏しかないが、月の表面には数百万トン存在するという。そうなると、遠い将来、月面でヘリウム3を原料として、核融合発電を行い、それをレーザーやマイクロ波に変換して地球に送り届けることも考えられる。

 こうなると、他国に先駆け月面上のヘリウム3を見つけ出し、自国のものにする争いが、将来起こらないという保証は何処にもない。仮に条約を結んだとしても、実効支配ということで、特定の国がヘリウム3を独占することも考えられる。

 このヘリウム3に限らず、月の資源は、最初に発見し、自国のものだと宣言した国の所有となるのか。もし、そうならず、世界各国の共有の資源となるとしたら、他国に先駆け月までロケットを飛ばし、リスクを負い月面工場を建設し、月の資源を確保した、最初の国の権利はどう保証されるのか。今や世界各国は、この問題から目を背けることはできない。(勝 未来)
 
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