ある40代女性の生活

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点字: かな、アルファベット、漢点字もある

2009年12月01日 09時04分05秒 | 新聞
昨日の朝日新聞夕刊に、「ニッポン人脈記 漢字の森深く 4 漢点字 世界が色づく」という記事がありました。

点字は、ひらがなだけでなく、漢字を表わす「漢点字」もあるのだそうです。

考案した川上泰一さんは、聞き間違いから盲学校に就職しました。

1949年、「盲学校の先生にならないか」という知人の連絡を、「農学校」と勘違いしてしまいました。

戦後で食糧事情が厳しかったので、農学校なら食べ物の心配をしなくていいと承諾したら、大阪府立盲学校でした。

戦時中は、航空エンジニアで、視覚障害者の教育は素人でした。

鍼灸師をめざる生徒たちは、百会(ひゃくえ)等の難しいつぼの名前を覚えています。

「目が見えんのに、漢字どないしてんの」と聞いたら、
「漢字ってなんや」

点字は、1文字が、1ます6個の点からなり、かなやアルファベットを表します。
漢字は無縁です。

川上さんは、「ならば、おれが漢字の点字を作る」と宣言しました。

最も苦労したのは、かなと漢字の区別です。
「6個の点の上に、漢字であることを示す点を2個置こう」と思いつきました。

1ますに、8個も点がある点字は、指で読めるものなのか。
生徒が実際に協力してくれました。

漢字は、何千も何万もあります。
ます1つでは、表しきれません。

「木」は1ますですが、「林」は2ます、「森」は3ます分を使います。

1970年、川上漢点字が発表されました。

学んだ人からは、
「日本語がこんなに豊かだったなんて」
「難しい漢方の用語がよく理解できる」という声が届きました。

川上さんは、1994年に、77歳で亡くなりました。
奥さんのリツエさんが、遺志を継ぎ、「日本漢点字協会」を自宅で続けています。

『カラマーゾフの兄弟』の漢点字訳が、10月に完成し、全43巻は積み上げると2メートルの高さになります。

川上さんに漢点字を教わった岡田健嗣さんは、生まれたときに強度の弱視で、19歳で失明しました。

盲学校では、鍼灸師になるため、つぼの名前をお経を暗記するように覚えていました。

29歳で、漢点字を知りました。
川上さんが、「無理に覚えなくていいい。忘れたら調べなさい」と言われたのが忘れられません。

子どもの頃、大人が「ボジョウはいい映画だ」と言っていたのは、「慕うに情けだったのか」と気付き、すべてが白黒から極彩色に変わったような衝撃を覚えます。

1996年に、ボランティア団体「横浜漢点字羽化の会」を作りました。
論語、『常用字解』、新聞の短歌も漢点字訳しています。

全国に、視聴覚障害者は約30万人います。
点字が読める人は約3万人、川上漢点字が読める人は1千人弱です。

覚えやすいかな点字で十分という人も多く、点字離れも進んでいます。

川上さんは「漢点字の学習は、登山のように苦しいが、山頂には文化の光が満ちている」と話されていたということです。
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「木」、「林」の漢点字の例がありました。

かなの「き」は、6個の点です。
「木」は、上に漢字を示す2点が加わり、8個の点です。

「林」は、上の漢字を表わす点が4個(2ます分なので)になり、両端が黒で、始まりと終わりを示しています。
下は、6個×2ます=12個の点(黒と白が混在していて、情報を表わしている)でした。

点字に漢字がある、ないは考えたことがありませんでした。
こんな世界もあるのか、と興味深く読みました。


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