ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

グラミー賞 ノミネート 『Best Traditional R&B Performance』

2017-02-03 21:20:01 | R&B、HIPHOP
JILL SCOTT / WOMAN

さて、グラミー授賞式も近くなってきました。当ブログのグラミー特集もラストスパートです。前回は『Best R&B Performance』部門を取り上げましたが、今回はよりトラディショナルな『Best Traditional R&B Performance』部門です。気になるノミネートは以下の5組。

William Bell / The Three Of Me
BJ The Chicago Kid / Woman's World
Fantasia / Sleeping With The One I Love
Lalah Hathaway / Angel
Jill Scott / Can't Wait


ここは正直、どれが受賞しても文句は言いません。どれも良い曲ですし、歌唱がまた素晴らしい! トラディショナルと言うだけあってどれもソウルフル!!なかなか甲乙付けがたいですが、しいて本命を挙げるとすれば、やはりジル・スコットでしょう!! 昨年は待望の来日公演もありましたし、それがまた古き良きソウル・ミュージックの息吹と、現行R&Bの瑞々しさを兼ね揃えた素晴らしいステージでしたからね。あと最近のトピックとして、映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』に出演したのも印象的でしたね。さて、こちらの曲「Can't Wait」は、彼女の最新アルバム「Woman」からの楽曲。低くグルーヴするベースラインに乗って、艶やかに舞うようなジル・スコットの声が良いですね。今回のアルバムでは多くの曲でアンドレ・ハリスがプロデュースを受け持っています。この人は、メアリー・J. ブライジ、アッシャー、フロエトリー、アンソニー・ハミルトン、ミュージック・ソウルチャイルド、クリス・ブラウン、アリシア・キーズ、ファンテイジア、レイラ・ハサウェイ、などなど、錚々たる人達と仕事を共にしてきているプロデューサー。ジル・スコットも過去に何曲も手掛けていまして、相性は抜群。この曲ももちろん彼のプロデュースで、作曲も彼とジル・スコットの共作となっています。ちなみにこの印象的なベースを弾いてるのは名手ピノ・パラディーノだそうです。




さて対抗は? う〜ん、残りのノミネート4曲を全て対抗としたいぐらいですが…。


まず、初期スタックスを支えた名シンガー、ウィリアム・ベルが古巣スタックスからリリースした曲「The Three Of Me」。メジャーからはおよそ40年振りとなるそうな新作アルバム「This Is Where I Live」からのシングル曲です。ウィリアム・ベルは今回『Best Americana Album』部門にもノミネートされているのですが、この曲「The Three Of Me」も、トラディショナルなソウル・フィーリングと同等にアメリカーナという言葉にも頷ける、土臭く大陸的な大らかさと、ベテランの醸す枯れが滲みるミドル・スロー。良い曲ですね〜。

新進気鋭のBJ・ザ・シカゴ・キッドがスウィートに歌い上げるスロー「Woman's World」は、ジェイムズ・ブラウンの名曲「It's a Man's Man's Man's World」にインスパイアされたという曲。この人の面白いところは、別の曲で『Best R&B Performance』にもノミネートされていること。「R&B」と「Traditional R&B」の二刀流です。

アメリカン・アイドルの優勝者ファンテイジアの「Sleeping With The One I Love」は、デビューから10年を超え、もはやベテランの貫禄すら漂わしてきた歌声が圧巻。この曲はR. ケリーの作&プロデュースで、序盤は何となく「It's a Man's Man's Man's World」を思わす雰囲気だったり。流行ですかね?

そしてロバート・グラスパー、スナーキー・パピー、ケンドリック・ラマー等、先鋭ブラック・ミュージック勢への客演を経て、俄然注目を浴びる歌姫レイラ・ハサウェイ。彼女が歌うアニタ・ベイカーのカヴァー「Angel」は、亡き父ダニー・ハサウェイから受け継いだ深みのある歌声がジャジーに揺れる。『Best R&B Album』部門にノミネートされているライヴ盤「Lalah Hathaway Live」から。



いやはや激戦区。対抗としては、とりあえずウィリアム・ベルに一票かな。





↓宜しければこちらもぜひ!

グラミー賞 ノミネート 『Best R&B Performance』
グラミー賞 ノミネート 『Best Urban Contemporary Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Traditional Pop Vocal Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Rock Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Rock Performance』
グラミー賞 ノミネート 『Best Rock Song』
グラミー賞 ノミネート ビヨンセ!!

グラミー賞 ノミネート 『Best R&B Performance』

2017-01-20 19:41:30 | R&B、HIPHOP
Solange / A Seat At The Table

グラミー賞ノミネート特集。今回は『Best R&B Performance』部門です。気になるノミネートは以下の5組。

BJ The Chicago Kid / Turnin' Me Up
Ro James / Permission
Musiq Soulchild / I Do
Rihanna / Needed Me
Solange / Cranes In The Sky


強豪ひしめくこの部門、注目はビヨンセの妹ソランジュです。フル・アルバムとしては前作「Sol-Angel And The Hadley St. Dreams」以来8年振りとなった新作「A Seat At The Table」。”化ける”と言う言葉はよく聴きますけど、正直、化けましたね〜。レトロ・ソウル風味な前作や、それに伴うサマソニへの出演でも、充分ソランジュの存在感を示してはくれましたが、なんとなくその音楽的方向性が定まっていないと言いますか、やはりどうしても姉の七光り的なイメージがつきまとってもいたんです。しかしこの最新作はどうでしょう! まさにこれがソランジュです!と言わんばかりに彼女の個性が開花しています。まるでこれがデビュー作なのでは?と思えるぐらい鮮烈に輝いてます。

耽美にバウンスするグルーヴ、アンビエントな揺らぎと音響、アートな感性と黒いフィーリング、それらがトロリと溶け込むような新感覚のブラック・ミュージック。キーパーソンは多くの曲でプロデュースと演奏に貢献するラファエル・サディーク。そしてもう一人、ラファエルと共に本アルバムの核と言えそうなデイヴ・ロングストレス。彼はダーティー・プロジェクターズの中心人物。R&B要素をラファエルが引き締め、実験性要素でデイヴがイニシアチブを握ったような? ソランジュは以前にもダーティー・プロジェクターズのカヴァーをやっていましたし、共演もしていますから、この人選にはさほど驚きませんでしたが、コーラスやメロディのそこかしこにダーティー・プロジェクターズの臭いが感じられ、かなり面白い! まるで最先端のR&Bにインディー・ロックのアート性を纏わせたような。

さらに曲ごとに、クエストラヴ、トゥイート、Qティップ、ザ・ドリーム、ケリー・ローランド、リル・ウェイン、BJ・ザ・シカゴ・キッド、サンファ、マジカル・クラウズ等々、新旧、ジャンルを股がった蒼々たるメンバーが客演しているんです。これだけ並べると、ゲストにフォーカスした賑やかな作品を想像するかもしれませんがさにあらず。これがソランジュの色をジワジワと染み入らすようなコンセプチャルな作品に仕上がっているのです。それこそソランジュの描いた青写真でしょうし、その人選の審美眼及び彼女の統率力、恐るべしです。

ちなみにこのアルバム、ソランジュにとって初の全米1位を獲得し、様々なメディアで2016年の年間ベストアルバムに名を連ねるなど、間違いなく現行シーンを代表する作品でしょうし、彼女にとっても代表作となる1枚となるでしょう。出来れば、キングや、アンダーソン・パック、ガラントと並んで『Best Urban Contemporary Album』にもノミネートされて欲しかったんですけどね〜!


さて、『Best R&B Performance』部門です。ノミネートされているのは、この最新作からシングルカットされた「Cranes In The Sky」。アルバムに納められた楽曲はインタールードを除いて全てソランジュの作もしくは共作となっていますが、この曲ももちろんソランジュの作。プロデュースはソランジュとラファエル・サディーク。跳ねながらもねっとりとした曲調と、それに絡み付くようなソランジュの歌声も良い!

対抗は、リアーナの「Needed Me」。っていうかこっちが本命ですよね。この曲も大好きです。リアーナの存在感抜群の歌声も素晴らししい。あとソランジュの「A Seat At The Table」にも参加しているBJ・ザ・シカゴ・キッドも注目株ですね。

ジャミロクワイ 来日決定!

2017-01-18 21:02:19 | R&B、HIPHOP
JAMIROQUAI / EMERGENCY ON PLANET EARTH

ジャミロクワイの来日が決定したそうですね。前回サマソニで来日して以来5年振りだそうです。

2017年5月25日(木) 東京 国際フォーラム HALL A

SS指定席¥18,000(税込)
S指定席¥12,000(税込)

う〜ん、なかなかのお値段ですね〜。


実は私、ジャミロクワイはデビュー当時大好きでして、アルバムやシングルを買い漁ってたんです。サウンドはもちろん、ジャケット・デザインとなってる角の生えたシルエットも、リリースごとに色が変わったりして、まるで連作アートのようでワクワクさせられたものです。でもライヴを観に行く機会を逃しているうちに、なんとなく月日が経ってしまっていたんです。

初めて生でジャミロクワイを観れたのが、前回の来日となる2012年のサマソニでした。その時に当ブログへ書いたライヴレポは以下のような感じ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マリンへ戻ってジャミロクワイ。前日の大阪サマソニをジェイ・ケイの体調不良(肺感染症らしい)のためキャンセルしていたので、心配していたのですが、東京公演は敢行されました。夕暮れ時に始まったそのジャミロクワイ、最新作からの「Rock Dust Light Star」からスタート。女性コーラス隊、ブラスセクションを従えた大所帯バンドの繰り出すサウンドがとにかく格好良い!ハイセンスなアレンジをしなやかな切れ味で疾走するファンク・グルーヴ。スタジオ録音より明らかにキレが増している。アシッド・ジャズってこんなに格好良いのか!?と目から鱗でしたね。 前半のほとんど切れ目無く次から次へと曲が繋がれていく展開も格好良かったですね。心配していたジェイ・ケイも病み上がりを感じさせないパフォーマンス。声も充分出ていましたし、華麗なステップも決めてくれました。3rd作からのヒット曲「Cosmic Girl」なんかは特に盛り上がりましたね。個人的にはデビュー作収録の「Revolution 1993」が燃えましたけど。後半は何と言っても「Canned Heat」ですよ! これは格好良かった! ジャミロクワイって勝手にインドアなイメージを持ってましたが、野外スタジアムに合いますね~。これだけ壮快で開放感たっぷりなファンクを聴かせられるとは! 参りました。メタリックなリフが夜の闇を切り裂くようだった「Deeper Underground」も強烈でした。

セットリストは以下のような感じだったようです。ジェイ・ケイの病状を考慮して60分のショートセットだったとか(当初の予定は70分)。

01. Rock Dust Light Star
02. Main Vein
03. Revolution 1993
04. Cosmic Girl
05. High Times
06. Little L
07. Canned Heat
08. Love Foolosophy
09. Alright
10. Deeper Underground

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ま、あらためて上げる程の文章でもありませんけど、またライヴ観たいな〜。



ジャミロクワイ来日詳細→クリエイティヴマン

グラミー賞 ノミネート 『Best Urban Contemporary Album』

2017-01-16 23:19:57 | R&B、HIPHOP
KING / We Are King

ソウルという音楽がアーバンなR&Bに取って代われて早幾年、時代は進化して行きます。既にR&Bも過去のものに成りつつ有ることを予感させる部門、『Best Urban Contemporary Album』部門です。気になるノミネートは以下の5作品。

Beyoncé / Lemonade
Gallant / Ology
KING / We Are King
Anderson .Paak / Malibu
Rihanna / Anti


ここの本命はもちろんビヨンセです。リアーナも強いでしょう。本来なら2大ディーヴァの一騎打ちを見守りたいところですが、実は、キング、ガラント、アンダーソン・パックという、新時代のブラック・ミュージックとも言える精鋭達が並んでいるところがこの部門のキモだったり。

主要部門『Best New Artist』にもノミネートされている西海岸ヒップホップ・シーンの寵児アンダーソン・パック、繊細且つエモーショナルなファルセットで耽美な世界を聴かせるガラント、そしてプリンスやエリカ・バドゥも絶賛したという女性コーラス・トリオのキング。ロバート・グラスパー以降、ヒップ・ホップやジャズとの相互アプローチを中心に新感覚のブラック・ミュージックの台頭著しい昨今ですが、2016年のR&Bを席巻した代表がこの3組と言えるのかもしれません。

中でも私の注目はキング。ミネアポリスのブルースマン、故パーシー・ストローザーを叔父に持つ、パリス&アンバー・ストローザー姉妹と、パリスと同じバークリー出身のアニータ・バイアスによるトリオ。2011年にEP「The Story」をリリースし、プリンスの前座に抜擢されてから5年、ようやくのアルバム・デビューがこの「We Are King」。

もちろんその間、逼塞していたわけではなく、ロバート・グラスパー「Black Radio」へのゲスト参加を始め、ジル・スコットやビラル、エリック・ロバーソンとのコラボ等々、各所にそのユニークな感性を刻んできました。

そして、待ちに待った1st作。浮遊感のあるメロディーを彩るドリーミーなハーモニー。パリスが繰り出すどことなくチープな80年代的なシンセ音が、バウンスしながらさざ波のように揺れるグルーヴと共にオリエンタルな雰囲気を醸して行く。なんとも不思議な楽園的ムードが懐かしさを呼び起こしつつ、そこから滲み出るネオな感覚が五感を刺激する。

白眉はシングルでもリリースされた「In The Meantime」、「The Greatest」あたりでしょうか。美しく、ゆったりとしていながらも、無意識下に脳内を揺らされるような中毒性が堪らないですね。EP収録の3曲が再収録されているのも嬉しい。「Hey」はEPリリース当時、ケンドリック・ラマーにサンプリングされたとか。

なにはともあれ、デビュー作にしてこの完成されたユニークな個性、素晴らしいです!!


またキングは昨年、早くも来日公演を行なってくれました。私も単独公演こそ見逃したものの、サマソニでその極上のステージを堪能いたしました。パリスが操るサウンドの上を妖しく舞うかのようなコーラス。まさにトリオのみのステージでした。ロック・フェスでジェイムス・ベイの直前というややアウェイの雰囲気では有りましたが、初々しくも堂々としたキングの魅力でとろけさせてくれました。



さて、最強ディーヴァ対決か?それとも新鋭による下克上か?

やっぱりビヨンセでしょうね〜。





Beyoncé / Lemonade


グラミー賞 ノミネート ビヨンセ!!

2017-01-05 22:53:58 | R&B、HIPHOP
Beyoncé / Lemonade

さて、グラミー賞が近づいてまいりました。今年のグラミー賞は楽しみですね〜。何てったってビヨンセですよ!! 新人賞を除く主要3部門全てを含む9部門にノミーネート。リアーナやカニエ・ウェスト、ドレイクの8部門を押さえての最多ノミネートです! これまでビヨンセはデスチャ時代も含めて数々のグラミーに輝いて来ていますが、複数受賞は「Single Ladies (Put A Ring On It)」が大ヒットした09年度の6部門が最多。今回はそれを超えることが出来るか?楽しみですね〜。個人的には9部門全部受賞もあり得るのでは?なんて鼻息荒くしていますが、それは流石に難しいか? あと過去の受賞はR&Bカテゴリーが中心で、いわゆる主要部門の受賞は意外と少ないんです。多分「Single Ladies (Put A Ring On It)」で『Song Of The Year』を受賞した1度だけではないでしょうか。なので今回、『Record Of The Year』と『Album Of The Year』、ぜひ獲ってもらいたいですね〜。

ちなみに主要3部門については、私はビヨンセとアデルの一騎打ちと予想しています。もちろん本命はビヨンセ。対抗がアデルです。どうでしょうか?ことはそう単純ではないとは思いますけどね…。


もちろん主要部門以外も注目です。何せポップにロックにアーバンコンテンポラリー、ラップと、多岐の部門にわたってますからね。それでいてR&Bと名のつく部門には一つもノミネートされていないという。この辺りは、アルバム「Lemonade」の性質と、現在のビヨンセの立ち位置が反映されているようで面白いですよね。それと「Lemonade」は『Best Music Film』部門にもノミネートされているところにも注目。ヴィジュアル・アルバムとしてもしっかり評価されていて嬉しい限りです。

2016年を席巻したビヨンセの「Lemonade」。もはやブラック・ミュージックの枠では捉えきれない”ビヨンセ”という名の音楽。先日、今年のコーチェラのヘッドライナーにもアナウンスされましたし、まだまだその快進撃は止まらないでしょう。その勢いで、ぜひ、グラミー賞の顔となってもらいたいものです!!



ビヨンセのグラミー賞ノミネート一覧↓

『Record Of The Year』ー Formation
『Album Of The Year』ー Lemonade
『Song Of The Year』ー Formation
『Best Pop Solo Performance』ー Hold Up
『Best Rock Performance』ー Don't Hurt Yourself featuring Jack White
『Best Urban Contemporary Album』ー Lemonade
『Best Rap/Sung Performance』ー Freedom featuring Kendrick Lamar
『Best Music Video』ー Formation
『Best Music Film』ー Lemonade

グラミー賞 ノミネート『BEST R&B ALBUM』

2016-02-14 17:31:18 | R&B、HIPHOP
D'Angelo And The Vanguard / Black Messiah

いよいよ間近に迫ってきたグラミー賞。当ブログのノミネート特集も順調に界を重ねて第9回。今回は『BEST R&B ALBUM』部門。正直、昨今のR&Bはさほど聴かないんですが、何故か、今年のこの部門には私のお気に入りの作品が並んでしまい、なかなかの激戦区なのであります。そのノミネート作は以下の5作品。


Leon Bridges / Coming Home
D'Angelo And The Vanguard / Black Messiah
Andra Day / Cheers To The Fall
Jazmine Sullivan / Reality Show
Charlie Wilson / Forever Charlie



ここは何と言ってもディアンジェロでしょう! 誰もが待ち望んだ15年振りの3作目となる最新作。現行ソウル界屈指のカリスマの復活を告げるこの新作は、そのリリース自体が大事件な分けで、リリースされた時点でグラミー決定!!みたいな、それぐらいのインパクトですよ!ですが正直、初めてこれを聴いた時は、どう評価していいのか私にはよく分からなかったしたんです。振り返れば過去2作品もリリース当時はよく分からなかったんですよ私には。ですがそれがディアンジェロの凄みでもある訳で、よく分からないからこそ格好良いみたいな。何がよく分からないかって、リズムがよく分からない。ゆらゆらとして一筋縄にはノレないグルーヴなんです。まあ、それが現代のトレンドなのかもしれませんが。

ですがそんな印象が一変したのがサマソニで見たディアンジェロのステージでした。アルバムのようなゆらゆらしたグルーヴを再現してくるのかと思いきや、これが意外と往年のソウル/ファンクへのオマージュのような、肉感的なグルーヴで驚いたんです。特に「Black Messiah」のなかでも一際変態的なリズムで印象的だった「Sugah Daddy」。アルバム通りのノリづらいグルーヴのようでありながら、これが異様に腰にくる。この曲こんなにノレるの?って驚いていると、そのグルーヴから突如としてJBファンクが沸き上がってきたんですよ。「Ain't It Funky Now」的なホーンリフも決まったまさにジェイムス・ヴラウンなノリ。単なるメドレーと言うより、元々「Sugah Daddy」にJBファンクが内包されていたと感じさせられ、いや、「Sugah Daddy」に限らず、「Black Messiah」というアルバム自体が、JB、P-FUNK、スライ、そしてプリンス等、偉大な先人達のファンクをいったん因数分解し、現代、もしくは近未来へのフィルターにかけて再構築したような作品なのでは?と納得させられたんです。ライヴを観た後、この「Black Messiah」は随分違って聞こえるようになりました。リズムの深いところに、これまでブラックミュージックが積み重ねてきた濃厚グルーヴが凝縮されているような。文句無しの大傑作!!


対抗は、ジャズミン・サリヴァン。私、この女性シンガー大好きなんです。そしてリオン・ブリッジズ、アンドラ・デイという次代を担うシンガーがノミネートされているのも注目どころ。でもここは100%、ディアンジェロでしょうね。

ちなみにディアンジェロは「Black Messiah」収録の「Really Love」で、『BEST R&B SONG』と、なんと主要部門の『RECORD OF THE YEAR』にもノミネートされています。

よろしければ、こちらもどうぞ。

グラミー賞 ノミネート『BEST CONTEMPORARY INSTRUMENTAL ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST ROOTS GOSPEL ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUEGRASS ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST COUNTRY ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST FOLK ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST AMERICANA ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUES ALBUM』

アリシア・キーズの新曲「28 Thousand Days」

2015-08-04 22:55:42 | R&B、HIPHOP
Alicia Keys - 28 Thousand Days (Audio)



アリシア・キーズの新曲「28 Thousand Days」が、日本でも今日から配信スタートされました。こちらは昨年末の第2子出産後初のリリースとなるもので、リーバイスのグローバル・キャンペーンのために書き下ろした新曲だそうです。昨年リリースされたシングル「We Are Here」はスピリチャルな昂揚感がアリシアらしいミッドチューンでしたが、今回はもっとファンキーでロック寄りです。カーティス・メイフィールドを思わせるような硬派なAメロからビートルズすら臭わすポップなサビへと流れる展開が印象的。もちろんアリシアの歌声も最高!!ちなみにタイトルの28000日というのは、平均寿命の76年を表したものだそう。いったいどんな歌詞なんでしょうね? っていうかアルバムが楽しみでなりません。



リーバイスのThe New Women’s Denim Collection↓
https://www.youtube.com/watch?v=dSi0fJq0wKI


We Are Here↓
https://www.youtube.com/watch?v=HrKmDgk8Edg#t=282

グラミー賞 ノミネート

2014-12-09 08:24:53 | R&B、HIPHOP
今年もいよいよ、グラミー賞のノミネートが発表されましたね。毎年この時期はなんともそわそわしてしまう私ですが、今年は特にビヨンセの強力アルバム「Beyoncé」がどう評価されるのか?期待と不安でいっぱいでした。そして蓋を開けてみれば、ファレル・ウィリアムス、サム・スミスと並んで最多6部門のノミネートと、万々歳の結果でした!いや~、これは楽しみですね。特に『ALBUM OF THE YEAR 』はビヨンセが受賞して欲しい~。

ですが、世間的には主要4部門を含む計6部門にノミネートされた弱冠22歳のサム・スミスに注目が集まっているようですし、現音楽シーンのトップをひた走るファレル・ウィリアムスが受賞を逃す場面というのも想像しずらいんですよね~。なのでこのサム・スミス、ファレル・ウィリアムス、そしてビヨンセが顔を揃える『ALBUM OF THE YEAR 』は本当に大注目ですね。個人的にはビヨンセ以外あり得ないと思っているんですけど…。

ちなみにビヨンセ作品がノミネートされたのは、アルバム「Beyoncé」で『ALBUM OF THE YEAR』、『BEST URBAN CONTEMPORARY ALBUM』、『BEST SURROUND SOUND ALBUM』、ジェイZとの「Drunk In Love」で『BEST R&B PERFORMANCE』、『BEST R&B SONG』、そしてビデオ作品「Beyoncé & Jay Z: On The Run Tour」で『BEST MUSIC FILM』の計6部門。最後の「Beyoncé & Jay Z: On The Run Tour」についてはよくわからないのですが、今年9月にHBOで放送されたというドキュメンタリーのことでしょうか?



そして恒例のルーツ系につきましては、また追々。

気になるグラミー賞 ノミネート その1

2014-01-23 23:40:10 | R&B、HIPHOP
グラミー賞授賞式が間近に迫ってきましたね。という訳で、そのノミネートについて「ルーツな日記」的に気になるところをピックアップしてみたいと思います。



KENDRICK LAMAR / GOOD KID, M.A.A.D.CITY

『ALBUM OF THE YEAR』
・Sara Bareilles / The Blessed Unrest
・Daft Punk / Random Access Memories
・Kendrick Lamar / Good Kid, M.A.A.D City
・Macklemore & Ryan Lewis / The Heist
・Taylor Swift / Red

いっそのこと主要部門には触れずに行こうかと思ったのですが、この人だけは無視出来ません。それはケンドリック・ラマー。米西海岸から現れたヒップホップ界の超新星。基本的にラップが苦手な私でも、このアルバムは文句無しに格好良い!! ちなみに今回のグラミー賞最多ノミネートはジェイ・Zの9部門だそうですが、ケンドリック・ラマーはそれに続く7部門にノミネート。しかもこの『ALBUM OF THE YEAR』と『BEST NEW ARTIST』という2つの主要部門にノミネートされていることもあり、今年の台風の目になるかも。





GARY CLARK JR. / BLACK AND BLU

『BEST ROCK SONG』
・Gary Clark Jr. / Ain't Messin 'Round(Gary Clark Jr.)
・Paul McCartney, Dave Grohl, Krist Novoselic, Pat Smear / Cut Me Some Slack(Dave Grohl, Paul McCartney, Krist Novoselic & Pat Smear)
・The Rolling Stones / Doom And Gloom(Mick Jagger & Keith Richards)
・Black Sabbath / God Is Dead?(Geezer Butler, Tony Iommi & Ozzy Osbourne)
・Muse / Panic Station(Matthew Bellamy)

作曲者に送られる楽曲賞のロック部門。ブルース界期待のニュージェネレーション、ゲイリー・クラーク・ジュニアの「Ain't Messin 'Round」が堂々エントリー。ギタリストとして注目が高い彼ですが、ソングライターとしても認められてるんですね。そして迎え撃つは二組の御大、ローリング・ストーンズとポール・マッカートニー。まずストーンズの「Doom And Gloom」は一昨年に彼らがリリースした新曲。あまりグラミーには縁が無さそうなストーンズですが、ぜひ、グラミー賞を獲って東京ドームに来て欲しいものですね。そしてポール・マッカートニーが作曲者に名を連ねる「Cut Me Some Slack」。これはフー・ファイターズのデイヴ・グロールが監督した映画のサウンドトラックからの曲で、ポールが、デイヴ・グロール、クリス・ノヴォセリック、パット・スメアという元ニルヴァーナの3人と共作した曲。映画の内容は、ロサンジェルスにあるサウンド・シティ・スタジオの物語。ちなみにこの曲が収録されたサウンドトラック・アルバム自体も、『BEST COMPILATION SOUNDTRACK FOR VISUAL MEDIA』部門にノミネートされています。あと、若かりし頃はメタル・キッズだった私と致しましては、ブラック・サバスがここに入っているのも嬉しい。



VAMPIRE WEEKEND / MODERN VAMPIRES OF THE CITY

『 BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』
・Neko Case / The Worse Things Get, The Harder I Fight, The Harder I Fight, The More I Love You
・The National / Trouble Will Find Me
・Nine Inch Nails / Hesitation Marks
・Tame Impala / Lonerism
・Vampire Weekend / Modern Vampires Of The City

「ルーツな日記」でオルタナティヴ系はどうなの?って感じですが、すいません、個人的にヴァンパイア・ウィークエンドの「Modern Vampires Of The City」大好きなんで。とは言え、一部では「現代のアメリカーナ」との評価もある作品なので、あながち的外れでもないかも。このヴァンパイア、そしてテーム・インパラ、NINと、去年のフジロック組が3組もノミネートされてるのもなんか嬉しい。





ANTHONY HAMILTON / BACK TO LOVE

『BEST R&B PERFORMANCE』
・Tamar Braxton / Love And War
・Anthony Hamilton / Best Of Me
・Hiatus Kaiyote Featuring Q-Tip / Nakamarra
・Miguel Featuring Kendrick Lamar / How Many Drinks?
・Snarky Puppy With Lalah Hathaway / Something
40歳を超えて、増々渋さに磨きがかかったアンソニー・ハミルトン。無骨なシャウトで弾けるアンソニーも良いですが、この「Best Of Me」では抑制の効いたセクシーな声を聴かせてくれる。これもまた良い!! あとレイラ・ハサウェイを向かえたスナーキー・パピーの「Something」にも注目。昨年、来日し話題になっていたバンドですね。R&Bと呼ぶにはあまりにもジャジーですが、ジャズからR&Bに接近するのが今最もクールなのです。






ALICIA KEYS / GIRL ON FIRE

『BEST R&B ALBUM』
・Faith Evans / R&B Divas
・Alicia Keys / Girl On Fire
・John Legend / Love In The Future
・Chrisette Michele / Better
・TGT / Three Kings

ここはアリシア・キーズの一点買いで!





JAY Z / MAGNA CARTA...HOLY GRAIL

『BEST RAP/SUNG COLLABORATION』
・J. Cole Featuring Miguel / Power Trip
・Jay Z Featuring Beyonce / Part II (On The Run)
・Jay Z Featuring Justin Timberlake / Holy Grail
・Kendrick Lamar Featuring Mary J. Blige / Now Or Never
・Wiz Khalifa Featuring The Weeknd / Remember You

ここはジェイ・Z&ビヨンセの一点買いで!と言いたいところですが、メアリーJ・ブライジをフィーチャーしたケンドリック・ラマーの「Now Or Never」もメッチャ格好いいんですよね~。





SNOOP LION / REINCARNATED

『BEST REGGAE ALBUM』
・Beres Hammond / One Love, One Life
・Ziggy Marley / Ziggy Marley In Concert
・Sizzla / The Messiah
・Sly & Robbie And The Jam Masters / Reggae Connection
・Snoop Lion / Reincarnated

見事にレゲエ界の大物達が並んだこの部門にあって、一人異色なのがスヌープ・ドッグ改めスヌープ・ライオン。ラッパーであるスヌープが真摯にレゲエに取り組んだ作品。と言ってもそんな単純な作品ではありません。プロデューサーはあのメジャー・レイザーですし。



さて、今回はこの辺で。次回は「ルーツな日記」の本丸、アメリカーナ周辺のノミネートを探ります。

スーパーボウルのビヨンセ

2013-02-06 20:08:36 | R&B、HIPHOP
BEYONCE / 4

いや~、スーパーボウルのビヨンセ、凄かったですね~。開演を告げる激しい火柱から、ビヨンセのシルエットが浮かび上がった瞬間、もう既に興奮。そのシルエットがせり上がり、挨拶代わりに「Love on Top」の一節を歌う、いや吠えるに近い、そんな迫力。ほとんどアカペラながらその声の突き抜けるような勢いとハジケまくる弾力が半端無い。そして初めてビヨンセにスポットが上がり「スーパー・ドーム、1、2、3、4」の掛け声で「Crazy in Love」に突入。もう完璧なオープニング。格好良すぎですよ!

「Crazy in Love」を歌いながら服を脱ぎ捨てていくビヨンセ。ルービン・シンガーによるカスタムメイドというセクシーな黒い衣装。迫力満点のボディ・ラインが躍動する。バックはもちろん女性だけで編成されたあのバック・バンド。フットボールの試合が一転してビヨンセのゴージャスな世界に塗り替えられる。20数人の女性ダンサーを引き連れての「End of Time」、分身の術のような映像に目を奪われた「Baby Boy」、どれもこれも格好良過ぎる。相変わらずキレまくりな歌唱力はもちろんですが、肉感的なダンスがまた堪らない! 舞台そのものが巨大ヴィジョンになっているようなステージ・セットも格好良い!!

そして歓喜の瞬間はこの直後。「Bootylicious」のイントロにのってケリー・ローランドとミッシェル・ウィリアムズが次々に舞台の下から飛び出すように登場。デスティニーズ・チャイルドのスペシャルな再結成。3人が鉄壁のコーラスを聴かせてくれる。続いて「Independent Women (Part 1)」、さらにビヨンセの大ヒット曲「Single Ladies (Put a Ring On It)」も3人で。最後はビヨンセが「Halo」を熱唱。後ろでは花火がボンボン上がってる。

締めて圧巻の約14分程。たったの14分ですよ。あっと言うまでした。ですがこれほど濃密な14分もそうそう無いでしょう。矢継ぎ早に繰り出される楽曲全てがハイライト。もうビヨンセ!ビヨンセ!ビヨンセーーーー!!!って感じですよ! 既に私はビヨンセに惚れまくってますが、あらためて惚れ直しました。ビヨンセ最強です!!

で、このビヨンセのショーの後、試合後半が始まった訳ですが、程なくしてまさかの停電となり、30分以上の試合中断となったそうです。これはビヨンセが派手にやり過ぎたからじゃないのか?みたいな憶測が飛んだりして。もちろんそんな理由じゃないでしょうけどね。ですがこれもビヨンセのライヴが如何に凄かったか?というエピソードと言えるかもしれませんね。


セットリスト↓ そう言えば、披露されるのでは?と噂になっていたデスチャの新曲「Nuclear」はやりませんでしたね~。

01. Love on Top
02. Crazy in Love
03. End of Time
05. Baby Boy
05. Bootylicious
06. Independent Women (Part 1)
07. Single Ladies (Put a Ring On It)
08. Halo



ビヨンセと言えば、先月はオバマ大統領二期目の就任式で歌った米国歌が口パクだったと騒ぎになっていましたが、今回のハーフタイム・ショーがそんな風評も軽々と吹き飛ばしてしまいましたね。なんでも3ヶ月に渡ってリハーサルを重ねていたとか。ビヨンセの気合いも半端無かったようですね。MTV JAPANのニュースによれば、ビヨンセはオバマ大統領の国歌斉唱を事前録音にした理由について、オーケストラと一緒にリハーサルする時間が作れなかったと語っているそうで、しかもそれはスーパーボウルのための練習をしていたからだとか。ビヨンセのこのショーに賭ける思いや、米国におけるスーパーボウルの注目度の巨大さが伺われますね。もちろんオバマ大統領の就任式についてもあの時の条件下で最善の選択だったことでしょうし、「自分のパフォーマンスをとても誇りに思っています」と語っているそうです。→MTV JAPAN http://www.mtvjapan.com/news/music/22143


ちなみに、今回のスーパーボウルはルイジアナ州ニューオーリンズのメルセデス・ベンツ・スーパードームで開催されたのですが、このドーム、05年のハリケーン・カトリーナ被災の時に避難所となったドームなんですね。なんか感慨深いものがありました。ビヨンセのショーが始まる直前、会場にはミーターズの「Cissy Strut」がかかってました。流石はニューオーリオンズ!

そして今回、国歌斉唱したのはアリシア・キーズ。ちょっとビヨンセの圧倒的なステージの前では霞んでしまいがちですが、これも素晴らしかった! ピアノ弾き語りでの独唱。アリシア・キーズらしいしっとりとしたピュアな力強さを感じさせる、美しくも感動的な国歌斉唱。出場選手達が涙を流しながら聴いているのも印象的でした。そしてこの国歌斉唱の前、愛国歌「America the Beautiful」を歌ったのがジェニファ・ハドソン。コーラスに並んだ子供達は、昨年、銃乱射事件の惨劇に見舞われたコネティカット州サンディフック小学校の生徒達だそうで、このパフォーマンスも感動的でした。



それにしても、ハーフタイムがビヨンセ、国歌斉唱がアリシア・キーズ、愛国歌にジェニファ・ハドソンなんて、私にとってはもうこれ以上にない、スーパーボウルでした。


あ、肝心な試合の方は、ボルチモア・レイブンズとサンフランシスコ・フォーティナイナーズが対戦し、34対31でレイヴンズが勝ったそうです。すいません、試合にはほとんど興味なくて…。でもジャコビー・ジョーンズ という選手のタッチ・ダウンは凄かった!!