ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ザ・チーフタンズ

2012-04-16 14:12:04 | ワールド・ミュージック
THE CHIEFTAINS / VOICE OF AGES

1962年の結成から、50年間に渡ってアイリッシュ・ミュージックの伝統を守りつつ、その未来を切り開いて来た偉大なバンド、ザ・チーフタンズ。ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、ヴァン・モリスン、ルチアーノ・パヴァロッティなど、多くの大物アーティストとの共演歴、そして数度に渡るグラミー受賞などが物語る、まさにアイルランドの至宝。そんな彼らが先日リリースした最新作「VOICE OF AGES」は、T・ボーン・バーネットをプロデューサーに向かえ、豪華ゲストを招いての50周年記念作。しかし豪華ゲストとは言え今回はいわゆる大物ではなく、これからのフォーク/カントリー/アメリカーナといったフィールドを担う新進気鋭のアーティスト達が中心。例えば、キャロライナ・チョコレート・ドロップスとか、ザ・シヴィル・ウォーズとか、パンチ・ブラザーズとか。さらにボン・イヴェールやザ・ディセンバリスツといった新時代のインディー・フォーク・ロック系のバンドまで。この辺りの人選には唸らされるばかりですし、彼らを同じ土俵に上げてしまうという感覚も素晴らしいの一言! しかもこれがザ・チーフタンズのアルバムとして見事に纏まっているから天晴です!

メアリー・ブラックで知られる「Carolina Rua」からスタート。歌うはスウィンギー&ロカビリーな才女イメルダ・メイ。実は彼女、メアリー・ブラックと同じダブリン出身なんですよね。アイリッシュなメロディーとポップな躍動感が何とも愛らしい出来映え。現代の黒人ストリングス・バンド、キャロライナ・チョコレート・ドロップスとの「Pretty Little Girl」は、カントリーの源流にケルト音楽があることを伺わせるセッション。そしてボン・イヴェールことジャスティン・ヴァーノンが静謐な雰囲気を醸す「Down In The Willow Garden」も、アパラチア地方からさらにアイリッシュへと遡るカントリーのルーツが垣間みれるようで興味深い。

ザ・ディセンバリスツが参加したディラン曲「When The Ship Comes In」はその選曲もさることながら、フォーク・ロックに絡み付くアイリッシュなアレンジが秀逸。T・ボーン・バーネットがプロデュースした作品も話題になったアラバマ出身の姉妹デュオ、ザ・シークレット・シスターズが歌う「Peggy Gordon」は2人のハーモニーが素晴らしい!この姉妹には今後注目です。そして注目と言えば次世代のブルーグラス・バンド、パンチ・ブラザーズですよ!これからのブルーグラスを担う彼らと、アイリッシュの歴史を刻んで来たザ・チーフタンズの共演にはワクワクさせられます。あと忘れてならないのがザ・シヴィル・ウォーズ。今年のグラミー賞での溌剌としたパフォーマンスも記憶に新しい男女フォーク・デュオ。彼らの参加も嬉しいところ。


それにしても50周年作に現代の新感覚なフォーク/カントリー・シーンの旗手達を集めるという、ザ・チーフタンズの現在進行形な姿には恐れ入りますね。そしてやはり恐るべきはT・ボーン・バーネット、ということになるんでしょうね。ちなみにジム・ケルトナー、デニス・クロウチ、デヴィッド・ヒダルゴ、ヴァン・ダイク・パークスなんかもちらっと参加しています。


Voice of Ages trailer | The Chieftains




さてさて、そのザ・チーフタンズが来日します。ツアー日程は以下の通り。

11/22(木)Bunkamuraオーチャードホール
11/23(金・祝)焼津文化会館
11/24(土)滋賀県立劇場びわ湖ホール
11/25(日)アルカスSASEBO
11/27(火)北九州芸術劇場
11/30(金)すみだトリフォニーホール
12/1(土)オリンパスホール八王子
12/2(日)兵庫県立芸術文化センター
12/4(火)愛知県芸術劇場コンサートホール
12/7(金)まつもと市民芸術館


東京はBunkamuraオーチャードホール、すみだトリフォニーホールの2回。前者はアイリッシュトラッド中心の単独公演、後者は新日本フィルハーモニー交響楽団との共演だそうです。もう何度も日本に来ているザ・チーフタンズですが、今回は50周年記念ですし、中心人物のパディ・モローニももう70歳代半ばですからね。


ちなみに私は、偉そうなこと書いてる割にはまだ一度もザ・チーフタンズを観たことがありません…。一度は生で観てみたいんですけど、なかなかね~。



インフォメーション→プランクトン
プランクトン先行予約は4月15日から始まってます!



@青山LAMAI

2011-07-18 18:00:43 | ワールド・ミュージック
今日は青山LAMAIにてコンゴトロニクスVSロッカーズのトークショー。今、開演待ちですが、狭く薄暗い店内にアフリカンな音楽がガンガンかかってるだけで既にかなりディープ。果たしてどんな濃い話が聞けるのか?その内容次第で、フジ土曜のコンゴとフェイセスの被り問題にケリをつけようかな?

バラケ・シソコ&ヴァンサン・セガール@渋谷タワーレコード

2011-06-04 17:51:36 | ワールド・ミュージック
今日はバラケ・シソコ&ヴァンサン・セガールのインストア・ライヴを観に渋谷タワーレコードに来ています。コラの巨匠とチェロの天才だそうです。もうすぐ始まります。楽しみ!


帰宅後追記:

マリの伝統楽器コラ、そしてクラシックのイメージの強いチェロ。この2つのコラボレーションというのは非常に珍しいのではないですかね? バラケ・ソシコはマリ共和国のグリオの家系に産まれる生粋のコラ奏者。一方、ヴァンサン・セガールは、クラシックの出ながら、これまでにチャック・ブラウン、Pファンク・オールスターズ、エルヴィス・コステロなどと共演してきた方で、シリル・アテフとのパーカッション&チェロという独創的な編成でブンチェロというデュオも組んでいる方。

さて、ほぼ定刻に始まった二人のインストア・ライヴ。初めて聴く音の調和にしばし聴き惚れましたね。バラケ・ソシコはまるで瞑想するかのように神秘的なフレーズを紡ぎだし、ヴァンサン・セガールは弓だけでなく指弾きも交えながらエレガント且つスリリングな空間を生み出していく。チェロの響きには室内楽のような落ち着いた暖かみがありますが、二人のコラボはそれとはまた違う、不思議な輝きを放っています。異文化の交差と調和が織りなす至福の音楽。タワレコのフロアという雑然とした空間が、彼等の紡ぐ音色によって一種独特のトリップ空間へと変わってしまいました。終盤にヴァンサン・セガールがパチカを使っていたのも印象的でした。

6月6日には青山CAYでのライヴもあるそうです。

コンゴの音楽

2010-10-29 17:55:29 | ワールド・ミュージック
今年日本でも公開された2つの映画。「ソウルパワー」と「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡」。この2つの映画の舞台になったのが、ザイール/コンゴ民主共和国の首都キンシャサ。前者は74年にキンシャサで開催された音楽フェス「ザイール’74」を記録したドキュメンタリー。ジェイムス・ブラウン、B.B.キング、ビル・ウィザース、ザ・スピナーズなど、米黒人音楽の旗手達と、コンゴの大スター、フランコを始めとするアフリカ勢が同じステージに立ち、繰り広げられた白熱の3日間。このコンサートは、モハメド・アリ対ジョージ・フォアマンという歴史的なボクシング・ヘヴィー級タイトルマッチの前夜祭のような形で開催されたもので、試合前の下馬評を覆したモハメド・アリの勝利は「キンシャサの奇跡」と語り継がれることになりました。そしてもう一方の映画は、その「キンシャサの奇跡」からおよそ30年を経たキンシャサが生んだもう一つの奇跡。ストリート・チルドレンが段ボールの上で寝泊まりする街キンシャサで、ポリオという感染症のため車椅子生活を余儀なくされながらもバンドを組んで、ポジティヴに逞しく生きる人達。彼等スタッフ・ベンダ・ビリリが逆境を乗り越え世界に羽ばたく姿を追ったドキュメンタリー。

実はこの2つの映画は、時代やテーマが違えど同じキンシャサが舞台の音楽映画というだけでなく、もう一つ接点があるんです。実は「ザイール’74」には身障者用の席が設けられていて、スタッフ・ベンダ・ビリリのメンバーもこのコンサートを観に行っていたらしいのです。スタッフ・ベンダ・ビリリの音楽にファンクの影響が感じられる所以はその辺りにあるのでは?なんて言われたりもします。そんな歴史に残る音楽フェスと、新たなヒーローを生んだキンシャサは、実はアフリカ屈指の音楽都市でもあります。という訳で、キンシャサを中心にザイール/コンゴを彩ったアーティスト達をちょこっとご紹介。



VA / ROOTS OF RUMBA ROCK CONGO CLASSICS 1953-1955
コンゴと言えばルンバ。ルンバと言えばキューバ。そんなキューバからの影響を色濃く感じさせるコンゴ産ルンバ誕生前夜の記録。監修はヴィンセント・ケニス(コノノNo.1を再発見&プロデュースした人)。アフロ・キューバンなリズムと、トロピカルなメロディー、華やかな楽器の音色。その明るくダンサブルな演奏の数々からは、ベルギーの植民地下におかれながら音楽に喜びを見いだしていたかの地の人々の姿をおぼろげながら想像させられます。そしてこの当時既にこれだけ多彩な音楽がコンゴに存在していた事実に驚かされます。



VA / LES MERVEILLES DU PASSE
グラン・カレ~フランコ~ロシュロー~パパ・ウェンバと繋がるルンバ・コンゴレーズ/リンガラ・ポップの歴史を紐解くコンピ盤。グラン・カレ(ジョゼフ・カバスル)率いるアフリカン・ジャズの60年代初頭の録音を聴けば、そのギターとホーンのアンサンブルや、洗練されたコーラス・ワークから、まだまだ土っぽかった「ROOTS OF RUMBA ROCK」の時代から確実に飛躍していることが実感できます。そして新たな時代を切り開いた、フランコ&OK ジャズとロシュロー&アフリカン・フィエスタ。ドクチュール・ニコのハワイアンなギターも素晴らしい! ちなみにフランコとロシュローは「ザイール’74」にも出てたりするんですよね~。コンピの最後を締めるのはパパ・ウェンバを擁するザイコ・ランガ・ランガ。ルンバ・ロックの帝王パパ・ウェンバの登場で終わるという構成も秀逸。ラテン、カリブ、ハワイアン、ジャズ、様々なサウンドを吸収しながら、アフリカ土着の音楽として発展、隆盛したコンゴ産ルンバの貴重な初期音源の数々。


FRANCO / FRANCOPHONIC Vol. 2
コンゴ音楽の最重要アーティストは誰か?と問われれば、やはりフランコですよね。映画「ソウル・パワー」でのまるでコンゴ代表的なオーラを纏った貫禄のステージも印象的でした。そのフランコと彼が率いるT.P.OK ジャズ。彼等の80年代の録音を収めたのがこの「FRANCOPHONIC Vol. 2」。フランコにとっては晩年に当たるこの時代ですが、脂の乗った成熟された歌と演奏が楽しめます。1938年、キンシャサに近いソナ・バタで生まれ、56年にOK ジャズを結成。70年代中頃にバンド名をT.P.OK ジャズと改名したそうです。歌だけ聴いてると洗練されたアフリカ流3分間ポップスのようにも聴こえますが、ほとんどが1曲10分を超える長尺曲。歌を聴かせると同時にあくまでもダンス音楽として存在していた、かの地ならではの土壌を感じずには居られません。ポップなメロディーが徐々にトランス感を帯びてくる17分越えの「Bina Na Ngai Na Respect」が圧巻。また大ヒット曲「Mario」の鄙びたメロディとラップが交差する様などは、スタッフ・ベンダ・ビリリへの直接的な影響も感じさせます。フランコは89年に腎不全により亡くなられました。


PAPA WEMBA & VIVA LA MUSICA / MWANA MOLOKAI : THE FIRST TWENTY YEARS
1949年生まれのパパ・ウェンバことジュング・ウェンバディオ・ペネ・キクンバ。69年にザイコ・ランガ・ランガに参加し、若きロック世代による新しいルンバ・コンゴレーズを持って颯爽とシーンに登場しました。そして独立後に結成したのがヴィヴァ・ラ・ムジカです。今作はその77年の活動開始から97年までの20年間を追ったベスト盤。1曲目「Mère Supérieure」の中盤から、カオスを濃縮したような弾けっぷりにやられます。やはりヴィヴァの結成が「ザイール’74」以降と言うこともあり、そういう意味でもジェイムス・ブラウンからの影響を感じてしまいます。特にそれは初期の録音に顕著。表面的な音楽性がJBに近いと言うのではなく、発散される熱のようなものと言うか、その発散の仕方にJBのような野生を感じるんですよね。「Loni」とか「Analengo」とか、生で聴かされたら踊り狂っちゃいますよ!また、「ザイール’74」にはキューバからサルサの女王セリア・クルースが出演していましたが、ヴィヴァ・ラ・ムジカというバンド名は、サルサの有名なアルバムにちなんだものだそうです。


KONONO NO.1 / ASSUME CRASH POSITION
04年作「CONGOTORONICS」で一躍話題になったコノノNo.1 が今年リリースした最新作。アフリカの素朴な伝統楽器である親指ピアノをアンプに繋ぎ電化するというジャンクな荒技。そして複数の電気親指ピアノが複雑に絡み合い響き合いながら似たようなフレーズを永遠に紡いで行くサイケデリックなトランス感。まるでコンゴが現代に生んだ突然変異のようなこのバンドですが、結成は意外に古く、1969年だそうです。しかも中心人物のマワング・ミンギエディは33年生まれだそうですから、なんとあのフランコより年長ということになります。そして彼等の音楽のルーツは、コンゴとアンゴラの国境地域に住むバゾンバ族の伝統音楽だそう。恐るべしコノノNo.1 です! そんな伝統的な泥臭いスタイルと、それをただ増幅したい!という欲求のみが爆発したようなその音楽は、ある意味、多彩なスタイルを吸収しモダン化したルンバ・コンゴレーズとは対局にある音楽かもしれません。ですがルンバ・コンゴレーズのエレキ・ギターなんかは親指ピアノの延長上にあるようにも感じられますし、やはり根っこでは繋がっているということですね。


STUFF BENDA BILILI / TRES TRES FORT
そして新たなヒーロー、スタッフ・ベンダ・ビリリ。演奏自体は素朴でフォーキーな香りがしますが、複数のシンガーとラップのような煽りが混ざるスタイルは、ルンバ・ロックの流れを汲むと言えるかもしれません。そして何より躍動感溢れるリズムですよ! キンシャサの雑踏や、そこで生きて行く上での苦しみ、悲しみ、怒り、希望、喜び、全てが込められたような音楽。そして彼等を知るには映画「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡」がまだ公開中なので、この映画を観ることが一番! 彼等の生き様はもちろん、カオティックなキンシャサのストリートや、そこで暮らす人々のパワーに圧倒されます。もちろん先日の来日公演も素晴らしかった!



「ソウル・パワー」からフランコ&OK ジャズのパフォーマンス↓
http://www.youtube.com/watch?v=3CsKhpm7Wvg&feature=related

「ソウル・パワー」からロシュローのパフォーマンス↓ っていうか女性ダンサーが凄い。
http://www.youtube.com/watch?v=-f4NEk0idMY&feature=related

パパ・ウェンバの「Analengo」。Tokyo may.31.1986 と記されていますから、初来日時の映像ですかね。いや~、これはロックですよ!
http://www.youtube.com/watch?v=uiw-xu8gYbA

09年のSONARに出演したコノノNo.1のようです↓
http://www.youtube.com/watch?v=us9Fv7ywLBg&feature=related

スタッフ・ベンダ・ビリリとオランダの管楽団との共演。格好良いっす↓
http://www.youtube.com/watch?v=eqga1CmJKBU&feature=related




~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 10.10.19 WORLD BEAT 2010 @日比谷野外音楽堂
 10.09.24 スタッフ・ベンダ・ビリリ@ユニセフハウス
 10.09.20 ベンダ・ビリリ@イメージフォーラム

ラウル・バルボサ@渋谷タワーレコード

2010-10-16 16:07:28 | ワールド・ミュージック
今日は渋谷タワレコにラウル・バルボサのインストア・ライヴを観に来ています。フランスで活躍するアルゼンチン生まれのアコーディオン奏者です。これから始まります。楽しみです!


帰宅後追記:

ラウル・バルボサ、素晴らしかったです! 1938年生まれだそうですから、もう70歳超えてるんですよね~。でもとてもそんな風に見えない若々しさ! 演奏も力強く情熱的でした。バックにはガット・ギターを弾く福島久雄。この人は、ちょうど3年前にやはり渋谷タワレコのインストア・イベントで観たアコーディオン奏者、ダニエル・コランのバックも務めていた方ですね。フランスのパリミュゼットを代表するダニエル・コランは、パリらしく何処か麗しいい印象を受けましたが、ラウル・バルボサは、熱のこもった演奏に陰影と哀愁を滲ませてくる。ご本人は確か「パリ・ミュゼットに比べると自分の演奏はバンドネオンっぽい」的なことをおっしゃってたと思います。バンドネオン=タンゴと捉えて良いんですかね?確かにリズムのキレが半端なく、その勢いにグイグイ引き込まれていきました。途中でさらにもう一人のゲスト、女性アコーディオン奏者の牧田ゆきも加わり、3人でアルゼンチンのフォルクローレ的なダンス音楽を披露してくれました。これも凄く良かったです! アンコールにはラウル・バルボサが一人で奏でる「群衆」。エディット・ピアフで知られる名曲ですが、元々はアルゼンチンの曲だそうですね。圧巻でした!

正直な話、こういう音楽を生で聴く機会ってなかなかありませんからね。私の場合どうしてもロック、ジャズ、黒人音楽に行ってしまいますから…。ですが今回は、アコーディオンのボタンがカチカチ鳴る音や、蛇腹のプシュ~っていう音まで聴こえるような位置で堪能出来ましたから、最高でしたね。異国の風や、異国の土の香りを感じることの出来る、素晴らしい演奏でした。




RAUL BARBOZA ET DANIEL COLIN / RENCONTRE A PARIS
ラウル・バルボサの最新作は、ダニエル・コランとの共演作。邦題は「パリの出会い~2大アコーディオニスト夢の共演~」。「群衆」も入ってます。異国情緒溢れるアコーディオンの音色がたっぷり楽しめますし、ヴォーカル曲も入っているので、親しみやすいですね。でもやっぱりこういう音楽は生で聴いた方が断然良かったりします。そして朗報。なんと12月に二人揃って来日するらしい! これは観たいですね~。でも12月は忙しいんですよね…。

ヴィクター・デメ@渋谷タワーレコード

2010-10-13 19:28:26 | ワールド・ミュージック
今日は渋谷タワレコへ、先日野音で行われたWORLD BEAT 2010 でもエネルギッシュなパフォーマンスで盛り上げてくれたヴィクター・デメのインストア・ライヴを見に来ています。今、開演待ち。ステージにはコラとパーカッションが用意されています。楽しみです!



帰宅後追記:

西アフリカ・ブルキナファソ出身のヴィクター・デメ。40代半ばにしてデビューを飾ったアフリカン・シンガー・ソング・ライター。先日、日比谷野音で行なわれた「WORLD BEAT 2010」では、観客総立ちによる濃密な盛り上がりを見せたヴィクター・デメですが、インストア・イベントとなると、意外とアコギの弾き語りとか、そんな感じになるのかと思いきや、しっかりバンドセットでした。と言っても、アコギ2本、コラ、パーカッションというアコースティックな編成ですけどね。曲目も緩やかな曲中心で、終始和やかな雰囲気でした。ヴィクターの哀愁溢れる歌声をじっくりと堪能出来ました。この人、ホント独特の味わいを持っていますよね。で、歌っているときの振る舞いがまた自由すぎて面白かったです。1曲目「Deen wolo mousso」では歌い始めるやいなやステージを降り、たまたま空いていた最前列中央の席に腰をおろして、しばし座りながら歌ったり。最前列付近の人達はいきなりな出来事にびっくりしてました。そして立ち上がってからもステージには戻らず、袖の辺りをぶらぶらしながら歌ってました。で、曲が終わるごとにまたその席に座って笑いをとってました。ある曲では客席に居た可愛い女の子をステージに上げ、間奏では向かい合って踊ってみたり。ラストの「Maa gaafora」では、座っている観客達に「立って!」というアピール。え?インストアで?観たいな。結局総立ちで腕を振りながら盛り上がりました。しかし「Maa gaafora」は良い曲ですね。開放感溢れる陽性なメロディーなんですけど、サビは切ない感じになるという、で、そのサビを歌うヴィクター・デメがまた良い声なんですよ!

バックの演奏も流石でしたね。二人のギタリストももちろん上手いですし、コラの音色も素晴らしかったですね。そしてあのパーカッション(写真右)。拳で叩いて低い音を出し、手に持った小さな球のような物で高音を出すんですけど、ヴィクター・デメのライヴではこれが結構重要なんですよね。素朴ながら躍動感溢れるリズムを叩き出していました。

野音で観たアゲアゲな感じも良いですけど、この日のような緩やかなセッションも良いですね。なんかアフリカの空気と言うか、土の匂いのような物を感じさせてくれました。




VICTOR DEME / VICTOR DEME

スタッフ・ベンダ・ビリリ@ユニセフハウス

2010-09-24 17:30:00 | ワールド・ミュージック
STUFF BENDA BILILI / TRES TRES FORT

9月21日、高輪のユニセフハウスにて、「車椅子に乗ったストリートロッカーズのスペシャルメッセージ」というゼミナーに参加してきました。こんなことを言ってしまってはどうかとも思うのですが、私の目的はその“車椅子に乗ったストリートロッカーズ”ことスタッフ・ベンダ・ビリリのパフォーマンスでした。そお、今話題の映画「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡」の主役達です。私もつい先日この映画を観て感動したばかりなのです。

で、この日は一応、ユ二セフのセミナーということなので、ちゃんとした講演もありました。簡単に言えば、ポリオという感染症とワクチンついて。実はスタッフ・ベンダ・ビリリというグループは、ポリオにより足などが麻痺し、車椅子生活を強いられているメンバーが中心になって作られているんです。彼らのパフォーマンスが目当てだった私でしたが、この講演はたいへん分かりやすく、病気についての知識を得ることで、より一層スタッフ・ベンダ・ビリリについても理解出来たような気がしました。実際、彼らが車椅子に乗りながらも、陽気なヴァイヴを発して登場したときは、単なる「待ってました!」という気持ち以上の説得力を感じましたね。講演の中で彼らをヒーローと呼んでましたが、まさにその通りです!

そして音楽評論家の松山晋也さんの解説の後、いよいよスタッフ・ベンダ・ビリリのパフォーマンス! 1曲目は「Moto Moindo」。前半はフォーキーな感じで、アフリカならではの素朴な哀愁を感じさせてくれましたが、やはり中盤、テンポアップしてからが圧巻。そのグルーヴたるや血湧き肉踊る感じ。リズム楽器は、原始的なパーカッションに、ベース、ギター、の3人だけ。なのに驚異的なほどの“ハネ”と“うねり”を生み出していく。そして前方に陣取った四人の車椅子に乗ったメンバーの身体からはリズムが湧き出るかのよう。そして映画でも印象的だったジェロが操る、自作の楽器“サトンゲ”。素朴な楽器ですが、電化されたその音色は存在感抜群でした。

続いて「Polio」、「Marguerite」。リーダーであるリッキーの飾らない歌声も良いですね。「Marguerite」はトロピカルなノリが気持ち良い。向かって一番右側の、たぶんジュナナというメンバーだと思うのですが、この人は最もポリオの症状が重いそうなのに、最もエキサイティングに歌い踊る! 車椅子に座りながら踊ってます。音楽やリズムの持つ本来のパワーを感じさせられましたね。

ここで当初のプログラムは終了の予定だったようですが、異様な熱気と、興奮が収まらない雰囲気にアンコールが決定。曲は彼らのテーマ・ソング的な「Staff Benda Bilili」。溢れる程の躍動感。もう、最高でしたね。これ程までに人間の根源的なエネルギーを感じさせるグルーヴはそうはないですよ! これぞファンクです! セミナーという、なかなか立って踊ることが出来ない雰囲気の中だったのが残念でしたが、終わった後は観客達が一斉に立ち上がってスタンディング・オベーション。

なんだかんだで、凄く良いセミナーでした。アンコール前の女性(世界の子どもにワクチンを日本委員会理事長の細川佳代子さん)の挨拶もなんか感動的でしたし。私達はスタッフ・ベンダ・ビリリから学ぶべきことが沢山ある。本当そうだと思います。どんな逆境に落ちようとも、スタッフ・ベンダ・ビリリのように希望を捨てず、前を向いて、楽しく明るく生きたいものですね。

さて、10月11日の「ワールド・ビート2010」が楽しみです!


*写真はスタッフ・ベンダ・ビリリのデビュー作「屈強のコンゴ魂」。ライヴを観た後このアルバムを聴くと、なんとなく牧歌的に聴こえてしまいます。それぐらいライヴはエキサイティングです!ファンキーです!リズムが熱いんです!もちろんこのアルバムも素晴らしいですけどね。で、意外と語られないかもしれませんが、彼らの楽曲そのものも良いんですよね。良い曲書くんですよ!

ベンダ・ビリリ@イメージフォーラム

2010-09-20 12:35:26 | ワールド・ミュージック
今日はスタッフ・ベンダ・ビリリの映画を見に渋谷のイメージフォーラムに来ています。コンゴ民主共和国の首都キンシャサの動物園や路上で暮らす、車椅子ミュージシャン達のドキュメンタリー映画です。19時の回を予約しました。上映後に来日中のメンバー達によるトーク・ショーもあるとのことで楽しみです!しかしまだ時間あるな~。


帰宅後追記:

素晴らしい映画でした! ポリオという感染症により車椅子生活を強いられている人達を中心にしたバンド、スタッフ・ベンダ・ビリリ。彼らを中心にしたコンゴ民主共和国の首都キンシャサの風景や日常は、我々日本人にとって衝撃的ではありますが、そこで生活する人々の姿や、そこから生まれる豊かな音楽からは、人間が根源的に持つ素のパワーを感じさせられずにいられません。ま、あまりネタバレになってもいけませんので、多くは語りませんが、アフリカ音楽や黒人音楽に限らず、全ての音楽ファンにお勧めです!

さて、映画のあとは、スタッフ・ベンダ・ビリリのメンバー達によるトーク・ショー。主催者さんは、出来るだけ多くのメンバーに参加してもらうつもりだったようですが、メンバー達の来日が遅れ、成田に着いたのがこの日の朝だったそう。コンゴから36時間かかったとか言ってましたっけ?とにかく飛行機を乗り継ぐ長旅で、車椅子のメンバー達は疲労が心配なので、歩けるメンバーから映画でも主役級のジェロと、ドラムス担当のモンタナのお二人が来てくれました。

日本とは別世界のような映画を見た直後に、その別世界に居た人達が目の前に現れるというのはなかなか不思議な感覚ですね。トーク・ショーでは色々な質問にお二人が丁寧に答える姿が印象的でしたが、結構お茶目な雰囲気も感じましたね。「モンタナさんは、結婚していますか?」 という質問に、「結婚はしていませんが、子供は居ます。」と、ちょっと恥ずかしそうに答えたあと、「それがミュージシャンの生活なのです。」みたいなことを言って笑いをとってました。また、映画ではまだ子供だったジェロも今では一人の子供がいらっしゃるとか。しかも「でも僕も結婚していないんです。」と照れながら答えてました。ジェロは映画でも印象的だった自作の“サトンゲ”という楽器を持参していてくれまして、最後にちょろっと演奏もしてくれました。

今回のトーク・ショーにはツアー・マネージャーの方も同行してくれてまして、コンゴのミュージック・シーンについて興味深い話を色々話してくれたのも印象的でした。例えば同じコンゴでも、コノノNo.1はトラディショナルな要素が強く、ベンダ・ビリリの音楽はもう少しモダンな感じだとか、そんなようなことを。なるほど~。確かにそれは言えてますよね。コノノは秘境感が強烈ですけど、ベンダ・ビリリはもっと開かれてる感じがします。もちろんどちらも好きですけど。

トーク・ショーのあとは、実はベンダ・ビリリのリーダーであるリッキーが映画館の前で待っている(車椅子なので映画館に入れなかった。)ということで、急いで外へ。私が表に出たときは車椅子に腰掛けたリッキーが既に大勢に方々に取り囲まれていました。リッキーはみんなに笑顔で接し大盛り上がりでした。で、その場でサイン会になり、私もパンフレットにサインを頂きました。



表にはロジェとモンタナの、裏にはリッキーのサイン。




こちらは、今年の6月に横浜で行なわれたアフリカン・フェスタに展示された、リッキー達が乗っている車椅子のレプリカ。自身の手で漕げるように改造されてある、かなり大きな車椅子なんです。


さて、21日はユネスコのイベントです! スタッフ・ベンダ・ビリリのパフォーマンスもあるとのことで楽しみです!