息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

慟哭

2014-07-04 10:38:09 | 著者名 な行
貫井徳郎 著

じっくりと物語が進む。
幼女誘拐殺人事件の捜査の息詰まる日々。
己の心の穴を埋めるために新興宗教にのめり込む男の日々。
交互に進む二つの話は、全く関係がなさそうであり、
時間の過ぎ方や物事の感じ方までも対照的だ。

そしてあまりにもじっくりと進むために、
そして私自身があまり興味をもてない雰囲気であったために
ある意味退屈であった。

しかし、最後の最後それはひっくり返った。
その意味が理解できたとき、そこにはどうにもできない
哀しさや虚しさがどっと押し寄せてきた。

人の哀しみのあり方はそれぞれに違う。
ましてや大切な娘を失ったときの喪失感は、表現しようの
ないものであるだろう。

幼い子供が巻き込まれた事件を発端に、さらなる大きな悲劇が生まれた。
タイトルは秀逸だ。
そしてこれが著者のデビュー作であることに驚きを隠せない。