言うは易し、行うは靖

三浦 靖の成幸者をめざす

行政視察その3

2010年10月29日 | Weblog
夕張市の「財政破綻後の取組み」について。

夕張市は、北海道の中央部に位置し、かつては石狩炭田の中心都市として栄え、今では夕張メロンの産地として知られています。平成18年には深刻な財政難のあおりを受け、平成19年3月6日をもって財政再建団体に指定され、事実上財政破綻したところです。

明治初期から多くの石炭を産出し国内有数の産炭地として盛況を誇っていました。昭和35年には116,908人の人口を抱える都市となりましたが、安価・良質の海外資源へのなだれ現象、そして政府の合理化政策と「石炭から石油へ」のエネルギー政策転換により、炭鉱経営はジリ貧となっていき、企業は国内の炭鉱から次々と撤退。国内第一の規模・炭質を誇った夕張もその例外ではなく、平成2年に最後まで残っていた三菱石炭鉱業南大夕張炭鉱も閉山しました。これにより炭鉱会社が設置した鉱員向けのインフラを市が買収することとなり、昭和57年には北炭が所有していた夕張炭鉱病院を市立病院移管に対して夕張市は40億円を負担、さらに北炭は、夕張新炭鉱での事故を理由に、鉱産税61億円を未払いのまま撤退。また、北炭と三菱は炭鉱住宅5000戸(市営住宅に転換)や上下水道設備などを夕張市に買収してもらい、その額は151億円に達し、結果として「炭鉱閉山処理対策費」は総額583億円にまで達したようです。
こうした時代背景の中、夕張市は石炭産業の撤退と市勢の悪化に対し、「炭鉱から観光へ」とテーマパーク、スキー場の開設、映画祭などのイベントの開催、企業誘致により地域経済の再生、若年層を中心とする人口流出の抑止、雇用創生などを図ったのですが思うように振るわず、逆に観光・レクリエーション関係の衰退期または観光・レクリエーション関係の環境に恵まれないのにもかかわらず派手な過大な投資を行い、放漫な経営が累積赤字として重くのしかかり、市の財政を圧迫していったようです。また、こうした施設の建設に際して地元業者優先の随意契約が多く行われ、建設費も適正な価格に比べて相当高くついたケースも見られた他、事業が観光客誘致よりも雇用の確保を優先に傾いていたため各施設が余剰人員を多く抱えていたことも観光関連施設の収支を悪化させる要因となりました。

また、国による支援の産炭地域振興臨時措置法が平成13年に失効したことで同法に沿って行われていた地方交付税の手厚い分配がなくなり、地方債への依存度が高まっていき、一時借入金などの活用により表面上は財政黒字となる手法をとったため、負債は益々ふくれあがっていったようです。一時借入金残高は292億円、企業会計を含む地方債残高が187億円、公営企業と第三セクターへの債務・損失補償が120億円とされ、標準財政規模44億円を大きく上回りました。
一時借入金の活用は本来、一時的に税収が不足したときや、会計制度上財政が逼迫しやすい会計年度末に少額・短期間採られることは常套的手段としてありますが、税収不足の補填や融資自体の返済のために借り換えに借り換えを重ね、債務は累積し、いわゆる自転車操業状態に陥り、行政において4月1日から5月31日は決算の出納整理期間ですが、その期間を悪用して旧年度の会計に新年度の会計から貸して、表面上黒字に見せかけるような決算操作が行われていました。

以上が、夕張市の財政破綻までの経過です。

次回は、財政破綻による市民生活の影響と再建に向けた取組みを紹介します。






行政視察その2

2010年10月27日 | Weblog
北海道北広島市の「エコミュージアム構想」について。

北広島市は、明治17年、一村創建の志を持ち広島県から移住した25戸103人により開墾が始められた、道都札幌市に隣接する現在人口6万人を超える都市です。

北広島市では、寒地稲作に生涯を捧げた中山久蔵翁の情熱や一村創建の志をもって広島村を開村した和田郁次郎翁の開拓者魂、そしてクラーク博士の「青年よ大志をいだけ」の精神を忘れずに、これらの歴史の事実と意義を十分に認識しながら、このまちの歴史や文化、遺産などを多くの人に知らせ、永く後世に伝えていく使命から「まちづくり」の重要な施策のひとつに「北広島エコミュージアム構想」を掲げ、北広島市が持つ自然や風土、伝統や歴史、そしてこの地に培われてきた特有の文化を再発見しながら多くの市民がこの地に誇りを抱く「まちづくり」を進められています。
もっと分かり易く言い換えると、自分たちの故郷をよく知ることが「まちづくり」の出発点であり、故郷を再確認する中で「地域づくり」を進めようというものと思われます。

具体的には、市内に5つのサテライト施設・ゾーンを設定し、まだ未完成ではありますが、それらのネットワークをつかさどる拠点施設を整備し、相互連携をしながら構想を具現化していくようです。
5つのサテライトとは、①旧島松駅逓所を中心とする史跡公園など史跡公園としての西部地域。②東部地域の開拓記念公園・和田郁次郎記念館・広島神社・音江別・北の里など周辺の開拓当時の様子を偲ぶ地域。③レクリエーションの森を中心とした特別天然記念物野幌原始林を起点に、中の沢・団地方面、西の里方面へ向かう自然遺産探索ができる地域。④エルフィンロード(自転車道)を動線として西の里へ向かい、椴山など原生林を探索しながら、自然環境保護事業と合わせた北広島市の自然を演出するサテライトをつくり、まちの自然を楽しむだけではなく、環境保護の啓発事業などと連動し、自然を守り・育ててゆく地域。⑤時代は新しいが、まちの産業遺産として工業団地に連なる工場群地域。

歴史的価値を古いものにばかり見出すのではなく、最先端の技術や産業にも当てはめ、また自然的価値も原始林と人工的な公園の両方に見出し、エコを意識させることは素晴らしいと感じました。

大田市は、他に誇れる世界遺産・石見銀山と国立公園・三瓶山を有しています。また、温泉津温泉、仁摩サンドミュージアム、大江高山、物部神社等など、その上、海抜0mから1126mの美しい海岸線と中山間地には海の幸・山の幸が豊富です。他にも沢山の魅力があります。こういった素材を我々地元民が今一度見つめ直し、それぞれをしっかり連携させながら大田市の地域づくりを再構築していかなければなりません。


行政視察その1

2010年10月26日 | Weblog
先般、大田市議会総務教育委員会の行政視察に行きました。

今回は、北海道北広島市の「エコミュージアム構想」、夕張市の「財政破綻後の取り組み」、名寄市の「自治基本条例制定」について勉強してきました。

詳細については改めて報告するとして、視察日程がちょうど衆議院議員北海道5区補欠選挙の真最中であり、選挙結果も既に出ているので、これについて先にコメントさせて下さい。

このたびの補欠選挙は、先の総選挙で民主党の小林千代美氏が町村信孝氏に約3万票の差をつけて破り、町村氏は重複立候補していた比例北海道ブロックで復活当選しました。しかし、その選挙の際、小林陣営が北海道教職員組合から違法な資金提供を受けたとして、陣営の選対委員長代行(元連合札幌会長)などが選挙違反に問われ、有罪判決を受けたことから小林氏は議員辞職し、これを受け、町村氏も議員辞職し補欠選挙への出馬表明し、投開票の結果、町村氏が民主党新人の中前茂之氏に3万票以上の差をつけて議席を奪還し、10回目の当選を果たしたというものです。

そこで、今回の町村氏の行動は国会議員として「あるべき姿」なのでしょうか。
総選挙で小選挙区と比例区に重複立候補しておいて、復活当選で救われ、相手が辞めたら自分も辞職して、小選挙区に出直しとは制度を悪用するにも程があり、有権者を馬鹿にし過ぎる行為じゃないですか。確かに法律では禁止されていなくても道義的に許せない行為だと私は思います。況してや自民党の派閥の幹部がすることですか。
衆議院議員の中で、選挙区で当選した代議士と比例区で当選した代議士の違いはあるのかもしれません。いや、きっとあるのでしょう。しかし、同じ衆議院議員です。これまでも補欠選挙時に同じような事が繰り返されましたが、どうしても自らを否定するような行為が必要なのであれば、選挙制度を改正すべきではないでしょうか。

日本人には、小選挙区制度よりも中選挙区制度の方が相応しいような気がします。

とにかく、今回の町村氏の行動にはどうしても黙っておれずコメントさせていただきました。


第3回議会制度検討特別委員会

2010年10月13日 | Weblog
去る10月1日(金)、第3回目の議会制度検討特別委員会が開催されました。

今回の協議事項は、前回、委員各位に配布した「大田市議会のあるべき姿(案)・大田市議会議員のあるべき姿(案)」について、各政策グループ内で意見集約していただいた事を発表してもらいました。

以下、委員に配布した資料です。


大田市議会のあるべき姿(案)

≪基 本 理 念≫
憲法第93条において、議会は地方公共団体の議事機関として設置するとされている。
大田市議会は、共に市民から選ばれる市長並びに議員からなる市議会という二元代表制のもと、議論を尽くして合意形成を図る合議制の意思決定機関として、多様な民意を市政に反映し、市民の負託に応えるため、市長とは独立、対等の立場で相互に牽制しながら、政策決定及び事務の執行についての監視、評価等を行うとともに自らも政策立案、政策提言を行う。
さらには、積極的に情報公開、市民参加を推進し、市民のための開かれた市議会を目指すとともに、時代の流れに的確に対応できるよう常に議会の活性化に取り組むものとする。

(1)意思決定機能・監視機能の強化
大田市議会は、市民の目線に立って、市政の重要事項を決定するとともに、市政に対する監視、調査を的確に行い、適正な執行を確保するなど、地方自治法に規定される議会の権限の行使について、市民本位の立場から真摯に取り組む。
※地方自治法に規定されている主な議会の権限(機能)
第96条  議決事件
第98条  検閲・検査及び監査の請求
第99条  意見書の提出
第100条第1項 調査・出頭証言及び記録の提出請求

(2)情報公開、市民参加、説明責任
大田市議会は、市民の直接選挙で選ばれた議員によって構成されていることを強く自覚し、市政や市議会について分かりやすく説明する責任を果たさなければならない。そのため、議会の様々な活動状況を積極的に発信するとともに、市民の声をより一層把握し、市政に反映するために、市民参加を推進するなど、市民に分かりやすい、参加しやすい開かれた市議会を目指す。

(3)自由討議
大田市議会は、議会が言論の府であること及び合議制の意思決定機関であることを認識し、会派内で十分に議論を尽くした上で、会議における議員相互の自由討議によって合意形成を図る。

(4)政策立案
大田市議会は、意思決定及び監視機能のみならず、地域の実情と市民ニーズを的確に把握し、政策の立案や提言を行う。そのため、議員個々の資質の向上はもとより、市議会事務局の体制充実を図る。




大田市議会議員のあるべき姿(案)

(1)公正・誠実な職務の遂行
大田市議会議員は、市民の代表者として、自らの役割と責務を常に認識し、言動に責任を持ち、公平・公正に職務を遂行する。また、合議制の意思決定機関の一員として、十分議論を尽くし、決定事項については、市議会の総意として遵守する。

(2)自己研鑽・政治倫理の確立
大田市議会議員は、市民の意見を的確に捉え、市政に反映させていくために、自己の能力の向上に努め、また、議員としての行動規範や道理をわきまえ、責務を誠実に果たす。

(3)住民との意見交換・参加
大田市議会議員は、市議会全体として、また、個々の議員として、様々な機会を通じて情報提供を行うとともに、市民の意見の把握や積極的な情報収集に努める。

(4)市民全体の利益
大田市議会議員は、常に全体の奉仕者として、一部の利益だけではなく、市民全体の利益を優先して行動し、市民福祉の増進に努める。

(5)政策提案能力の向上
大田市議会議員は、監視力、審査能力、情報分析能力の向上のみならず、自ら有する政策提案や市政調査等の権限を積極的に活用するため、政策形成や立案能力の向上に努める。




上記全ての資料に関し意見集約をしていないグループがあったので第4回へ持ち越しとなりました。

大田市議会が市民に信頼される議会になるために皆様のご意見をいただきますようにお願いします。