夕張市の「財政破綻後の取組み」について。
夕張市は、北海道の中央部に位置し、かつては石狩炭田の中心都市として栄え、今では夕張メロンの産地として知られています。平成18年には深刻な財政難のあおりを受け、平成19年3月6日をもって財政再建団体に指定され、事実上財政破綻したところです。
明治初期から多くの石炭を産出し国内有数の産炭地として盛況を誇っていました。昭和35年には116,908人の人口を抱える都市となりましたが、安価・良質の海外資源へのなだれ現象、そして政府の合理化政策と「石炭から石油へ」のエネルギー政策転換により、炭鉱経営はジリ貧となっていき、企業は国内の炭鉱から次々と撤退。国内第一の規模・炭質を誇った夕張もその例外ではなく、平成2年に最後まで残っていた三菱石炭鉱業南大夕張炭鉱も閉山しました。これにより炭鉱会社が設置した鉱員向けのインフラを市が買収することとなり、昭和57年には北炭が所有していた夕張炭鉱病院を市立病院移管に対して夕張市は40億円を負担、さらに北炭は、夕張新炭鉱での事故を理由に、鉱産税61億円を未払いのまま撤退。また、北炭と三菱は炭鉱住宅5000戸(市営住宅に転換)や上下水道設備などを夕張市に買収してもらい、その額は151億円に達し、結果として「炭鉱閉山処理対策費」は総額583億円にまで達したようです。
こうした時代背景の中、夕張市は石炭産業の撤退と市勢の悪化に対し、「炭鉱から観光へ」とテーマパーク、スキー場の開設、映画祭などのイベントの開催、企業誘致により地域経済の再生、若年層を中心とする人口流出の抑止、雇用創生などを図ったのですが思うように振るわず、逆に観光・レクリエーション関係の衰退期または観光・レクリエーション関係の環境に恵まれないのにもかかわらず派手な過大な投資を行い、放漫な経営が累積赤字として重くのしかかり、市の財政を圧迫していったようです。また、こうした施設の建設に際して地元業者優先の随意契約が多く行われ、建設費も適正な価格に比べて相当高くついたケースも見られた他、事業が観光客誘致よりも雇用の確保を優先に傾いていたため各施設が余剰人員を多く抱えていたことも観光関連施設の収支を悪化させる要因となりました。
また、国による支援の産炭地域振興臨時措置法が平成13年に失効したことで同法に沿って行われていた地方交付税の手厚い分配がなくなり、地方債への依存度が高まっていき、一時借入金などの活用により表面上は財政黒字となる手法をとったため、負債は益々ふくれあがっていったようです。一時借入金残高は292億円、企業会計を含む地方債残高が187億円、公営企業と第三セクターへの債務・損失補償が120億円とされ、標準財政規模44億円を大きく上回りました。
一時借入金の活用は本来、一時的に税収が不足したときや、会計制度上財政が逼迫しやすい会計年度末に少額・短期間採られることは常套的手段としてありますが、税収不足の補填や融資自体の返済のために借り換えに借り換えを重ね、債務は累積し、いわゆる自転車操業状態に陥り、行政において4月1日から5月31日は決算の出納整理期間ですが、その期間を悪用して旧年度の会計に新年度の会計から貸して、表面上黒字に見せかけるような決算操作が行われていました。
以上が、夕張市の財政破綻までの経過です。
次回は、財政破綻による市民生活の影響と再建に向けた取組みを紹介します。
夕張市は、北海道の中央部に位置し、かつては石狩炭田の中心都市として栄え、今では夕張メロンの産地として知られています。平成18年には深刻な財政難のあおりを受け、平成19年3月6日をもって財政再建団体に指定され、事実上財政破綻したところです。
明治初期から多くの石炭を産出し国内有数の産炭地として盛況を誇っていました。昭和35年には116,908人の人口を抱える都市となりましたが、安価・良質の海外資源へのなだれ現象、そして政府の合理化政策と「石炭から石油へ」のエネルギー政策転換により、炭鉱経営はジリ貧となっていき、企業は国内の炭鉱から次々と撤退。国内第一の規模・炭質を誇った夕張もその例外ではなく、平成2年に最後まで残っていた三菱石炭鉱業南大夕張炭鉱も閉山しました。これにより炭鉱会社が設置した鉱員向けのインフラを市が買収することとなり、昭和57年には北炭が所有していた夕張炭鉱病院を市立病院移管に対して夕張市は40億円を負担、さらに北炭は、夕張新炭鉱での事故を理由に、鉱産税61億円を未払いのまま撤退。また、北炭と三菱は炭鉱住宅5000戸(市営住宅に転換)や上下水道設備などを夕張市に買収してもらい、その額は151億円に達し、結果として「炭鉱閉山処理対策費」は総額583億円にまで達したようです。
こうした時代背景の中、夕張市は石炭産業の撤退と市勢の悪化に対し、「炭鉱から観光へ」とテーマパーク、スキー場の開設、映画祭などのイベントの開催、企業誘致により地域経済の再生、若年層を中心とする人口流出の抑止、雇用創生などを図ったのですが思うように振るわず、逆に観光・レクリエーション関係の衰退期または観光・レクリエーション関係の環境に恵まれないのにもかかわらず派手な過大な投資を行い、放漫な経営が累積赤字として重くのしかかり、市の財政を圧迫していったようです。また、こうした施設の建設に際して地元業者優先の随意契約が多く行われ、建設費も適正な価格に比べて相当高くついたケースも見られた他、事業が観光客誘致よりも雇用の確保を優先に傾いていたため各施設が余剰人員を多く抱えていたことも観光関連施設の収支を悪化させる要因となりました。
また、国による支援の産炭地域振興臨時措置法が平成13年に失効したことで同法に沿って行われていた地方交付税の手厚い分配がなくなり、地方債への依存度が高まっていき、一時借入金などの活用により表面上は財政黒字となる手法をとったため、負債は益々ふくれあがっていったようです。一時借入金残高は292億円、企業会計を含む地方債残高が187億円、公営企業と第三セクターへの債務・損失補償が120億円とされ、標準財政規模44億円を大きく上回りました。
一時借入金の活用は本来、一時的に税収が不足したときや、会計制度上財政が逼迫しやすい会計年度末に少額・短期間採られることは常套的手段としてありますが、税収不足の補填や融資自体の返済のために借り換えに借り換えを重ね、債務は累積し、いわゆる自転車操業状態に陥り、行政において4月1日から5月31日は決算の出納整理期間ですが、その期間を悪用して旧年度の会計に新年度の会計から貸して、表面上黒字に見せかけるような決算操作が行われていました。
以上が、夕張市の財政破綻までの経過です。
次回は、財政破綻による市民生活の影響と再建に向けた取組みを紹介します。