言うは易し、行うは靖

三浦 靖の成幸者をめざす

孟子と荀子

2012年07月31日 | Weblog
7月も今日で終わり。

慌ただしく波乱に満ちた一ヶ月でした。

海士町の視察を終えた後、初めての議会報告会や行財政改革特別委員会の準備に追われていました。

議会報告会の参加者は、東部ブロック2名、高山ブロック14名、仁摩ブロック3名、温泉津ブロック2名、中央ブロック5名、三瓶ブロック7名、西部ブロック15名という結果でした。

市民に開かれた議会づくりを目指し、情報の共有化と意見収集を図るために開催したのですが、期待外れの船出となってしまいました。


さて、これまで様々な事柄に関して遠慮無しの傍若無人な私見を述べてきたブログですので、この度の大田市役所における不祥事について言及しない訳にはいかないと思い、コメントさせていただきます。

今回の不祥事を起こした部長は、私が最も信頼する職員の一人であり、自慢の先輩でした。

歯に衣着せぬ発言と多方面にわたる人脈の広さは羨望の的であり、周囲の期待を裏切ることなど有り得ない傑物だと信じて疑いませんでした。

しかしながら、理由は何であれ、公金に手をつけるなど言語道断、絶対に許されることではありません。

懲戒免職という最も重い処分は当然であり、刑事告発を免れたのはせめてもの温情ではなかったでしょうか。

近年、多発していた大田市職員による不祥事は序章に過ぎなかったような重大事件です。

地の底まで落ちた大田市役所の信頼回復には長い年月を要することになるかもしれません。

けれども市民生活は日々送られていきます。大田市行政に携わる者全てが猛省し、市民サービスの停滞を招くことないようゼロから出直さなければなりません。

もちろん議会も同様です。


孟子と荀子という中国の儒学者がいます。

孟子は性善説を荀子は性悪説を説いています。

性善説とは、人は生まれながらにして善であっても放っておけば悪を行うようになってしまうため、「聖人の教え」や「礼」などによることが必要であるとし、性悪説とは、人間の本性は欲望的存在にすぎないが、後天的努力(学問・道徳を修めること)により公共善を知り、礼儀を正すことができるというものです。

全く相反するように思われがちな2つの思想ですが、人を道徳的に陶冶しようとする姿勢は共通のものであり、国を治めるには徳治に基づくことを説いています。

大田市政も徳治主義で運営してほしいものです。





海士町視察その3

2012年07月17日 | Weblog
海士町の定住対策について。

海士町の地域活性化の中心役は「日本一安い給料で日本一働く職員」と言われるスタッフと「よそ者」「若者」「バカ者」と呼ばれるUIターン者を核とする島の若者たちです。

平成10年度より、商品開発研修生と言う1年契約の研修生制度を設け、やる気のある者に常駐してもらい、新しい発想で、島民と一緒になって地域資源を掘り起こして、特産品や観光商品等の商品開発につなげる試みを始めました。

離島である海士町は、首都圏からの人材の招致や企業等へ出向くには時間と経費を要するハンデを背負っています。このようなハンデを克服するために厚労省などの地域再生計画に基づく支援措置、パッケージ事業などにより専門家の招聘、都会の企業への訪問・派遣など人材のスキルアップを積極的に行いました。

こういった取組みの成果として、平成23年12月末までには、215世帯327人のIターン者が定住しています。定着率は約7割だそうです。

民間の不動産業がないため、Iターン者などの定住者には海士町が管理する定住用住宅が紹介されます。この定住用住宅の整備に当たり、まちづくり交付金やふるさと島根定住財団の「空き家活用助成事業」による助成が活用され、海士町が整備した定住用住宅の総数は、平成16年度には17戸、平成17年度には15戸と2000人超の人口としては異例の公営住宅整備となっています。

また、定住者の中心が若年層であることから子育て支援策にも力を入れ、平成16年に「海士町すこやか子育て支援に関する条例」が制定・施行されました。

条例に基づく支援内容は、結婚祝金(結婚後、引き続き定住の意思を持つ者)20万円、出産祝金(在住し、引き続き定住の意思を持つ者)子どもの数1人目の場合10万円、2人目の場合20万円、3人目の場合50万円、4人目以上の場合100万円です。さらに、妊娠・出産に係る交通費の助成(離島のため島外受診、お産)、保育料軽減、チャイルドシート購入費助成(6歳児未満。2分の1補助、上限4万円)があります。

生き残りをかけ思い切った施策展開に脱帽するばかりでした。


海士町視察その2

2012年07月16日 | Weblog
海士町の産業振興について。

海士町の玄関口である菱浦港には、農林水産業と観光業を組み合わせた交流事業を展開する為、ターミナル、待合機能と観光案内や情報発信を行う観光協会、農林水産物の直売所、そして役場の産業振興部までもが一体となった「キンニャモニャセンター」という施設があります。

これを産業振興の拠点施設として、自然環境と地域資源を有効活用し、「海」「潮風」「塩」をキーワードに「島をまるごとブランド化」という産業振興策を推進しています。

海士町の代表的なモノといえば、「さざえカレー」「いわがき(春香)」「隠岐牛」です。

どれも今や全国区であり、島根県内のブランド化では唯一成功例と言えるのではないでしょうか。

地産地消と交流人口の拡大を目指した戦略と全国展開(外貨獲得)を目指した大規模な付加価値商品づくり戦略を2本の柱として、島民一体となった地域活性化に向けた取り組みの結果といえます。

人(人財交流)、モノ(地域資源)、金(地産地商)、情報(つながり)という4つの理念を掲げ、地域資源を生かす新しい発想を「よそ者」と呼ばれる島外からIターンした若者に委ね、島民との交流の中からブランド産品が発生し、それを島外へ積極的に売り込み外貨獲得を行うサイクルが見事に出来上がっています。

産業振興と定住促進の両施策が相乗効果を生み出しています。

海士町視察その1

2012年07月13日 | Weblog
7月11・12日と海士町へ視察に行きました。
輝新会メンバー全員での視察でした。

海士町は地域活性化策で全国でも指折りの自治体です。
今回は、定住対策と産業振興策がメインテーマでしたが、個人的には行財政改革の成功例として楽しみにしてきました。

海士町では、近年まで莫大な公共事業への投資を進め、漁港・港湾整備、道路・下水道整備、観光施設などのインフラ建設を進めた結果、地方債残高が100億円超にまで膨らみ、財政運営の見通しが厳しくなりました。国の三位一体改革も伴い一時は財政再建団体へ転落する危険性すら予測されていたそうです。
この危機的な状況を打開するために、行政のみでの解決は困難と考え、全島民一丸となって苦境を乗り切る方策を検討しました。その結果、単なる財政再建のための短期的な施策だけでは乗り切れないとした上で、定住対策及び産業振興への投資も取り入れた「攻め」と「守り」の改革から未来を切り開こうとの結論を導き出し、平成16年3月31日に、経済的な自立を目指して、島の生き残りを賭けた「海士町自立促進プラン」が策定され、行財政改革、人口施策、産業施策を3つの柱として掲げ、短期・中期・長期の政策課題が明示されました。
行財政改革を最優先課題とし、安易に改革の負担を住民サービスの低下に転嫁するのではなく、何よりも真っ先に行政改革を進め、島内民間給与との格差是正を図りながら、人件費の削減による財政破綻を回避しようとしました。それは、町長以下助役・教育長、議会、管理職に始まり、一般職員も、給与の自主減額が提案・実施され、平成16年度の人件費の削減効果は1億1440万円、平成17年度には、自発的な報酬及び給与のカット率を更に高め、町長50%、助役・教育長40%、課長級30%、係長以下平均22%、議会議員及び教育委員40%の削減を行い、全国最下位のラスパイレス指数72.4(平成17年4月1日現在)となり、2億1450万円の削減効果が発生しました。
ちなみに、ただ職員給与を削減するだけでは能が無いということで、職員給与カット分の5%を財源とする少子化対策を推進するための「海士町子育て支援条例」を制定し、出産祝い金など様々な施策を展開しています。

現在、海士町が全国から注目されているのは、行革による職員の意識改革に大きなポイントがあり、その波及効果が各種施策に好影響を与えている点が羨望の的となっているものと思われます。

議会報告会

2012年07月10日 | Weblog
議会報告会のご案内です。
いずれも夜7時30分から開催されます。


7月23日(月)高山公民館(水上町)
        東部公民館(久手町)

  24日(火)仁摩公民館(仁摩町)

  25日(水)中央公民館(大田町)
        温泉津公民館(温泉津町)

  27日(金)三瓶公民館(三瓶町池田)
        西部公民館(静間町)

です。皆様のご来場をお待ちしています。

鳥獣害対策

2012年07月08日 | Weblog
7月6日(金)に忍原地区にある旧坂根邸おいて鳥獣害対策の研修会が開催されました。

講師には西部農林振興センターの堂山氏をお迎えしました。

今年から旧坂根邸の畑にまちづくり委員会がさつまいもを植えたことで、近隣の田畑にイノシシ被害が発生しないために地域の皆さんと防止策を勉強するものです。

以前からイノシシには悩まされている地域ですので、これまでも様々な対策はとられてきましたが、専門家のお話を聞き、より効果的な方策を学べたのではないでしょうか。

あらためてイノシシの生態を教えていただき、本来であれば臆病な野生動物が傍若無人と化していく恐ろしさと傲慢さに聴講された方々が溜息をついていらっしゃたのが印象的でした。

講義のあと畑に出て、講師の先生や農林課の職員さんと正しい電柵の張り方を実践してみました。

後日、約1ヘクタールの農地を全て電柵しなければなりません。

大変な作業ですが、秋の収穫祭を心に思い描きながら汗を流そうと思います。




行財政改革特別委員会

2012年07月05日 | Weblog
先にお伝えした通り、このたび行財政改革特別委員会委員長を拝命しました。

前任の松村議員からしっかりと引き継いで精力的に取り組みたいと思います。

委員長就任にあたり、所信を述べさせていただきました。

以下の通りです。

 地域経済は長期低迷からの脱却に目途が立たず引き続き厳しい状況下にあり、また、地方自治体の財政運営は、国の三位一体改革による地方交付税の削減と税収不足が相まって依然として予断を許さない状況にあります。
 大田市においては、若年層の市外流出等により、過疎化、少子高齢化、人口減少に歯止めがかからず、小規模高齢化集落が徐々に拡大し、自治体経営に深刻な影響を及ぼしているものの、「大田市行財政改革推進大綱」の着実な取り組みの成果が危機的な状況を回避させてきました。
 合併後、継続して設置されてきました当特別委員会は、執行部が進める行財政改革の進展を慎重に見極め、二元代表制の一翼を担う議会としてその責務を十分に果たしてまいりましたが、これまでは個別事業の評価・検証に重点を置き、ともすれば決算特別委員会と昨年初めて実施された事務事業外部評価を通年で審議する傾向が強いものであったように思われます。
 そこで、このたびの当特別委員会では、中国古典の「量入制出(入るを量りて出ずるを制す)」という財政運営の基本を鑑み、歳入・歳出の両者を的確に精査し、聖域なき受益者負担の原則に基づいた歳入増加と、質の高い市民福祉サービスの維持を絶対とした歳出抑制を念頭に置きながら、より強固な大田市の財政基盤を構築することを共通目的としていただき、今後の委員会運営を進めていきたいと考えます。
 委員各位はもとより執行部の皆様にも、私の所信に対してご理解を賜りたく存じます。

地域連携

2012年07月04日 | Weblog
今朝の地元紙によると、NHK朝の連続テレビ小説の舞台となった境港、安来、松江、調布、岸和田の5市が連携し「朝ドラ舞台地ネットワーク」をつくり、5市の観光担当者15人が今後の連携策を探りながら地域活性化を目指すそうである。
ドラマや映画の舞台となった地域としては逃してはならない好機である。
石見銀山や砂時計もそれらで取り上げられた直後は一気に観光客が増加した。
移ろい易いメディアを繋ぎ止めるのは至難の技かもしれないが、二の矢、三の矢を準備しなくてはならないかもしれない。
個人的には、人気小説家にお願いして、作品の舞台として大田市を次々に紹介してくれないかと思う。


29日(金)全員協議会が開かれ、議会報告会について協議しました。7月23日から27日まで市内7会場で行われます。日程・会場等の詳細については、近付きましたらあらためてお知らせします。いよいよ議会基本条例の目玉である報告会が実現します。最寄りの会場にお出掛けいただきますようお願いします。
全員協議会終了後、行財政改革特別委員会と大田市立病院医療確保特別委員会がありました。≪行革≫は私が委員長に、副委員長に清水勝議員、≪病院≫は小林太議員が委員長、石田議員が副委員長に選任されました。
夜には、お知らせしていました議会報告会を開催しました。お疲れにもかかわらず多数の皆様にお集まりいただき感謝申し上げます。

30日(土)恒例のリバース講演会があり、講師には出雲にあるトキ飼育センターの平井先生がいらっしゃいました。

7月1日(日)急速充電スタンドの開設式に出席しました。電気自動車の普及を狙い、久手町にある道の駅ロード銀山内に設置されました。30分の充電で約80%のチャージできるとのこと。自動車ディーラーが設置している充電スタンドは県内にありましたが、自治体が設置するのは県内初ということです。松江、出雲、大田、浜田とクリーンな電気自動車が結ぶ地域連携を実現していただきたいものです。


文月に入り

2012年07月02日 | Weblog
いよいよ7月に入り、今年の下半期がスタートしました。
7月を文月といいますが、短冊に詩歌を書き、書道の上達を祈った七夕行事に因んだというのが定説です。
乱筆乱文、筆不精の私も七夕にお祈りしなければなりません。

週末、世界遺産登録5周年の記念式典などお祝いのイベントが開催されました。
早いもので大田市の記念すべき日から5年が経過しました。
秋までの観光キャンペーンを無事に大成功させ、10周年に向けての素晴らしいスタートを切るようにしなければなりません。
そのためには、直前になって慌てることなく、6周年、7周年と一歩ずつ着実に実績を積み重ねていくことが何より大切ではないでしょうか。
ヒトも機械も同じで、いきなりトップギアに入れては無理が生じ、オーバーヒートを起こします。
時間をかけて、少しずつ機運を盛り上げるように心掛けなければなりません。

とにもかくにも、関係者の皆様お疲れさまでした。引き続き、頑張りましょう。