ブルーシャムロック

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或熊本日記_1

2009-05-29 20:57:17 | 菊の名前異聞
「そういえば、お父さんが失踪して何年になりますか?」
妻がそう答えた。
「ああ。もう数年になる。」
私はコーヒーを飲みながらそう答えた。
私は熊本市で、歯科医を営む人間である。
素人、郷土史家という側面を持っている人間であるが、
歯科医の仕事もおろそかにしたことはない。
私の父も歯科医であったが、時代小説のファンとして
知られる人間であった。
特に、純文学作家から転向した、江平茗子なる作家の
「菊の名前」
は、父の好むところであった。
南北朝時代の寺で起こる事件を
建長寺の禅僧が解決する事件であった。
このなかで、主人公の禅僧が過去道々の物という
漂泊者の女と恋をしたという話しになっていた。
道々の者といえば、阿蘇山麓だったか、国東半島に
そういう道々の者と思われる芸能が伝わっている。
素人郷土史家として、阿蘇山麓に入ったことがある。
出自不明のなぞの芸能として
当時は漠然と見たことがあるのだが。
つづく
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