ブルーシャムロック

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12月のアヌビス1

2010-06-15 09:46:52 | 信・どんど晴れ
「でも、私みたいな女を連れてこなくてもイイじゃないですか。」
松本佳奈は一人の女性の顔をのぞき込んだ。
「うーん。久留美も淡雪さんも彰たんも悪くはない。でも決定打に欠ける。
で、残ったのはあんた・・・。」
女性はそう答えた。女性の名前は東岡礼美。
現在、松本佳奈が家をShareしている高槻久留美と同じ大学の先輩である。
なぜだか、佳奈たちが住んでいる家が気に入ったせいかよく遊びに来る。
出入りしている彰とも顔なじみの女性である。
年も暮れになった12月のある日、神奈川縣の佳奈が住む地域から少し離れた
東海道線沿いにある戸塚市の砂利道を歩いていた。
すぐ近くに横浜という大都市があるのに、この自然あふれる田舎は關東なのにと
佳奈は、考えた。
「あんたの出身の加計呂麻島ってのは、ジャングルみたいな處なんでしょう。」
礼美は皮肉っぽい笑みを浮かべた。
「ジャングルといえば、まぁジャングルでしょうね。」
佳奈はそう返した。
「去年お世話になった政治学者の伊勢崎先生が、隠遁して、ここら辺の移築した農家に
住んでいるみたいなの・・・。だから・・・。」
礼美は得意そうな顔をした。
「ったく・・・。」
佳奈はイラだった顏をしていた。
つづく







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