ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

でっしゅい

2015-03-02 16:18:53 | 信・どんど晴れ
大女将が、那覇で客死した。
自衛隊のヘリコプターで大きな病院のある地域に
緊急搬送されて、そのまま息を引き取った。
担当の医師も、荼毘に付すように言われ
そのまま、荼毘に付した。
その後入った料理屋で、
「新一さんと別れさせてもらいます。」
と、新一の妻で二人の子供の母である恵美子が
話題を切り出してきた。
新一も女将も、社長という肩書の女将の夫にて新一の父も
薄々わかっいたように、
「わかりました・・・。」
という他なかった。
沖縄伝統料理の店で、徳之島にはない料理が出されていた。
流れる音楽も、ロック・ポップスよりも沖縄伝統音楽ばかり流れている。
皆にとって、聞きなれない曲ばかりだ。
ある程度違和感を感じながら料理に口をつける。
何曲か流れたあと、子どもたちが
「佳奈ちゃんが口ずさんでいる曲だ。」
といい、
「でっしゅいはじめたそれ・・。」
と口ずさむ。
佳奈というのは、女将と同郷のいつも目をかけている
中居である。
「でも、琉球音階だよ。」
女将は子どもたちに訝しく聞く。
「でもね、おばあちゃん佳奈ちゃん懐かしいように聞いていた。」
旅館のある徳之島も、佳奈や女将の出身地の島唄は
民謡音階という日本本土風の旋律が多い。
流れている曲から大太鼓の伴奏が聞こえ、
男性の野太い声が聞こえる
不思議に思った新一は、接客の人間にこの曲のことを聞くと
「これはね、沖永良部島の曲なんですよ。メロディがここの土地の人間にも
合うみたいで、結構歌ったりエイサーのレパートリーに入れたりするんですよ。」
と接客の女性は笑いながら答えた。
佳奈と、沖永良部島・・・。なんとも合わないと思いながら
女将はあとで佳奈に聞こうと思った。
「みなさん、楽しんでいるようで・・・。佳奈ちゃんとともに
これから生きるべきでしょうね。」
恵美子が口を開いた。
おわり

最新の画像もっと見る

コメントを投稿