保健福祉の現場から

感じるままに

医療介護連携と在宅医療データ

2016年11月29日 | Weblog
メディウォッチ「医療計画、介護保険計画の連携強化に向けた改訂「総合確保方針」、年内に告示へ―医療介護総合確保促進会議」(http://www.medwatch.jp/?p=11358)。<以下引用>
<2018年度からスタートする新たな医療計画(第7次)と介護保険事業(支援)計画(第7期)の整合性を図り、これまで以上の医療・介護連携を目指すため、「総合確保方針」が改訂されます。28日に開かれた医療介護総合確保促進会議では、改訂案を概ねで了承。厚生労働省は文言調整などを行った上で、年内に改訂「総合確保方針」を告示する考えです。医療計画と介護保険事業(支援)計画の整合性確保が重要課題 2025年には、いわゆる団塊の世代((1947-49年生まれの人)がすべて後期高齢者になるため、今後、慢性期医療や介護のニーズが加速度的に増加すると考えられます。こうしたニーズに、従前の医療・介護提供体制で対応していくことは困難なため(そもそもベッド数などが足らず、費用も高騰し、患者・利用者のQOLも低くなる)、国は「地域包括ケアシステムの構築」や「病院・病床の機能分化・連携の推進」などを柱とする医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)を制定。2013年から順次施行されています。医療介護総合確保推進法では、例えば「地域医療構想」や「病床機能報告制度」などのほか、医療計画のサイクルを従前の5年から6年に見直しも含まれています。これは3年単位の介護保険事業(支援)計画と整合性をとることが狙いです。2018年度から新たな医療計画、介護保険事業(支援)計画がスタートし、以後、両計画はいわば車の両輪として医療・介護提供体制のベースとなります。これらの計画はサイクルだけでなく、内容についても「整合性」をとることが求められ、厚労省は上位指針となる「総合確保方針」を2014年9月に策定しました。今般、新たな計画が策定されることを踏まえ、総合確保方針について、より医療・介護連携を強化するための見直しが行われるものです。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、「診療報酬や介護報酬、各種補助金、さらに地域医療介護総合確保基金によって医療提供体制、介護提供体制が整備されている。総合確保方針では、こうした整備がしっかりとなされることを前提に両者の整合性確保を目指している」と、改訂の意義を強調しています。特に在宅医療・介護連携に向け、行政、サービス提供者、利用者の各レベルで連携を 主な見直し内容は14日の前回会合で示されており、28日には、さらなる修正・追加案が厚労省から提案されました。前回の提示内容も含めて、見直し内容を眺めると、次のような点が目を引きます。(1)医療計画・介護保険事業(支援)計画の一体的かつ整合的な策定を目指し、「都道府県と市町村の関係者が協議を行う場」を設ける (2)医療計画の基礎となる2次医療圏(地域医療構想の構想区域も2次医療圏がベースとなる)と、介護保険の基礎となる老人福祉圏域について可能な限り一致させるよう努める (3)在宅医療の整備目標(医療計画)と、介護サービスの整備目標(介護保険事業計画)とを整合的なものとする (4)在宅医療・介護の連携を図るため、市町村の実施する「在宅医療・介護連携推進事業」について都道府県が必要な支援を行う【行政による在宅医療・介護連携の推進】 (5)在宅医療・介護を担う提供側(医療機関や訪問看護ステーションを含む介護サービス事業者などはもちろん、医師会などの職能団体)が、▼入退院支援▼日常の療養支援▼急変時の対応▼看取り―などの場面で切れ目のないサービス提供に努め、サービス利用者も医療・介護サービスについての理解を深める【利用者も含めたサービス提供側による在宅医療・介護連携の推進】 (6)医療・介護両分野に精通した人材の確保を進める (7)医療・介護連携はもとより、地域包括ケアシステムのベースとも言える「住宅や居住」に係る施策との連携も進める (8)医療・介護連携が特に重要な場面の1つとして認知症施策があり、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立し、早期からの適切な診断や対応などを行う必要がある (9)医療・介護連携を進めるための重要なツールとして情報通信技術(ICT)があり、多様な活用方法が期待されるが、「互換性が十分に確保されていない」といった課題があることを踏まえる (10)地域包括ケアシステムにおいては疾病予防・介護予防も重要な施策であり、疾病予防において、医療保険者(協会けんぽや健康保険組合、国民健康保険など)が実施する保健事業(ヘルス事業)との連携も重要である このうち(8)の認知症対策は、樋口恵子構成員(高齢社会をよくする女性の会理事長)や馬袋秀男構成員(民間介護事業推進委員会代表委員)の強い要望を踏まえて新たに追加された見直し項目です。高齢化の進展とともに認知症患者も飛躍的に増加すると見込まれており、早期の確定診断を前提とした初期集中支援が重要とされており、医療・介護の両方の側面からの支援が必要な分野です。(9)は、例えば「電子カルテにおいて、ベンダーが異なるとデータの互換性が極めて低い」といった課題を認識した上で、今後、医療・介護双方のデータを蓄積・連結してさまざまな事業に結びつけることの重要性を指摘したものです。医療・介護分野においてビッグデータを活用した研究(例えば画期的な医薬品の開発)や保健事業(いわゆるデータヘルス)が期待されており、将来を見据えた重要なテーマと言えます。また(10)は西澤寛俊構成員(全日本病院協会会長)の要望を踏まえた追加項目です。当初、「医療保険者はさまざまであり、総合確保方針などに医療保険者の保健事業を盛り込むことは困難」(盛り込まれずとも保健事業は当然推進する)とされていましたが、連携の重要性が謳われることになりました。部会では、こうした見直し案について前向きな「追加修正」意見が出されています。(5)のサービス提供者による在宅・医療介護連携の推進に関しては、「サービス提供者自身が予防の重要性を認識した上で連携することが重要である」(菊池令子構成員:日本看護協会副会長)、「サービス利用者はもちろん、背後にいる地域住民が医療・介護について理解を深めるべきである」(馬袋構成員や樋口構成員)といった指摘が出ました。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、こうした指摘を踏まえて、より分かりやすく記述する考えを示しています。また(6)の人材確保については、黒田医療介護連携政策課長から「医療の専門家が介護分野にも視野を広げ、介護の専門家が医療分野にも視野を広げる」ことで、両分野に精通する人材が育つという考え方が説明されています。この点について平川則男構成員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「自治体では人事異動があり、専門的人材の育成が難しい。また両分野に精通した人材はなかなおらず、そこで連携が重要になる」と指摘したほか、「具体的にどういった人材が必要とされ、先行自治体ではどういった取り組みで人材確保しているのか」などを解釈通知などで示すよう厚労省に要望しています。さらに(7)の「住宅や居住」施策との連携に関連し、馬袋委員らから「地域づくり」の視点を盛り込んではどうかとの提案も行われています。こうした意見は、厚労省と田中滋座長(慶應義塾大学名誉教授)、森田朗座長代理(国立社会保障・人口問題研究所長)で忖度し、具体的な修正内容を固めることが了承されました。黒田医療介護連携政策課長は「修正内容を固め、年内に告示を行う」ことを明確にしています。なお、医療計画や介護保険事業(支援)計画の策定方針は、厚労省の別の審議会・検討会で議論が進められています。総合確保方針はこれらのベースとなるもので、医療計画などの策定論議の中に、医療介護総合確保促進会議で出された意見や考え方は随時盛り込まれていきます。具体的には、24日に「医療計画の見直し等に関する検討会」で示された意見とりまとめ(叩き台)や、25日に「社会保障審議会・介護保険部会」で示された意見素案には、両計画の整合性を図るために(1)の「協議の場」を設置することなどが、すでに盛り込まれています。>
 
医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は、医療計画については、医療計画の見直し等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)、また、介護保険事業(支援)計画については、介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の動向とセットでみておきたい。平成30年度から第5期障害福祉計画がスタートするが、障害者部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)の「平成30年度に向けた障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000139973.pdf)も踏まえたい。今年6月の「ニッポン一億総活躍プラン」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/pdf/plan1.pdf)p16「子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」を実現する。」とあった。医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は障害者を除外してはならない。また、医療介護連携でますます重要になるのは、認知症のほか、地域緩和ケアがある。がん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-gan.html?tid=128235)、「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)で協議されているが、国会がん患者と家族の会がとりまとめた「がん対策基本法の一部を改正する法律案」(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/index.html)の動向にも注目である。「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保促進法)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000052238.pdf)第二条「この法律において「地域包括ケアシステム」とは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。)、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。」と、地域包括ケアシステムが「高齢者」に限定されている点の見直しが必要であろう。そもそも介護保険の特定疾病(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html)には、末期がん、神経難病、若年性認知症なども含まれており、法律で地域包括ケアシステムを高齢者に限定すること自体が間違っている。医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p55「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」を打ち出すのであれば、チームによる地域緩和ケアを地域包括ケアシステム(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)に組み込むべきである。ところで、地域包括ケアシステムにおける在宅医療・介護連携は市町村主体と位置づけられているが、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは都道府県単位のみである。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、なぜかレセプト分析データは除外されている。分析データがないわけではない。医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを公開すればよいだけである。しかし、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、地域包括ケアを担当する行政職員すら閲覧できないでいる。官邸資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai2/siryou8.pdf)p3「ICT・AI等を活⽤した医療・介護のパラダイムシフト」、p2「蓄積したビッグデータを国⺠・患者のために活⽤(真のデータヘルス)」とあるが、p5の工程表では「データベースの分析により、「科学的に裏付けられた介護」が受けられる。」「産官学が多様な⽬的で医療・介護データを活⽤できる。」は2020年度からとされる。なぜ、国はビッグデータの活用を先送りするのであろうか。「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129210)の資料「「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の主な改正内容」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000135183.pdf)にあるように、レセプト情報等の提供依頼申出者の範囲に「市区町村」が追加されていることを踏まえ、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを、少なくとも地域包括ケアに関わる行政職員に直ちに開放すべきである。また、地域住民への分析データの公表を規制してはならない。そういえば、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)については、「地域包括ケア「見える化」システムを用いた地域分析」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138621.pdf)が出ていたが、それと比べると、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の厳格規制は全くヒドイといわざるを得ない。せめて、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは二次医療圏単位で公開すべきであろう。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」にもレセプト分析データを出すべきであろう。
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糖尿病の医療連携体制構築が急務

2016年11月29日 | Weblog
朝日新聞「糖尿病予備群や患者のための賢い主治医選び(忍び寄る糖尿病6)」(http://www.asahi.com/articles/SDI201611162529.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<早期発見や治療のためには、主治医を中心としたネットワークを持つ医師との出会いが重要だと、日本糖尿病学会専門医・指導医である岩岡秀明さん(船橋市立医療センター代謝内科部長)は言います。忍び寄る糖尿病シリーズ(2型糖尿病)の最終回は、「糖尿病予備群や患者のための主治医選び」についてアドバイスをもらいました。糖尿病予備群でも糖尿病患者になってからも、主治医選びが重要になってきます。糖尿病専門医や内科専門医の資格を持つ医師を受診した方がいいでしょう。厚生労働省の統計では、日本には約30万人の医師がおり、主な診療科を「内科」と表示している医師は約60000人います。しかし、専門医の資格を持っている日本内科学会の総合内科専門医は約22000人で、日本糖尿病学会の糖尿病専門医も約5300人しかいません。また、インターネットで日本内科学会(http://www.naika.or.jp/nintei/seido/meibo/)や日本糖尿病学会(http://www.jds.or.jp/modules/senmoni/)のホームページを調べないといけません。ただし、内科を標榜しているいわゆる内科医の中には、もともと外科医や皮膚科、産婦人科だった医師も含まれます。血液検査はしても、尿検査はしない医師もいます。できるなら、糖尿病専門医を受診した方がいいでしょう。日本糖尿病学会のホームページ(http://www.jds.or.jp/modules/senmoni/)には、専門医の名前と勤務先の住所が出ています。糖尿病専門医なら、境界型であっても「急性心筋梗塞のリスクは2倍です」とまずきちんと説明します。問題は、境界型の血糖値の人は、糖尿病専門医のところまで受診しない場合が多いことです。まず、健診の結果を受けて自宅や職場の近くのクリニックに行くケースが多いと思います。そこの医師が、あなたにどう説明するかによって、あなたの10年後の健康を左右します。実は、境界型の人の方が、糖尿病や循環器の専門医を早く受診した方がいいとも言えます。境界型でも、その時点から合併症の治療は始めます。血糖値を下げる薬を使わなくても、脂質、血圧と禁煙、ダイエットについてはすぐに介入しないといけないためです。合併症の急性心筋梗塞のリスクがあるからです。つまり、リスクファクターをしっかり評価して、必要な治療を開始してくれる医師を探すということが重要です。■どこを受診するか 30代、40代、50代の人は仕事をしている場合が多く、大学病院や大病院での受診は難しいです。これらの病院は、平日の夕方までしか外来診療をしていないためです。土曜日に診てくれるところというと、開業医か民間病院になります。その中で糖尿病専門医の医師がいるところを探すと、かなり絞られてしまいます。平日は、東京の場合、会社の近くで受診できるかもしれませんが、地方だとなかなかそれもできません。この前も、30代の患者が紹介されてきましたが、食後血糖値が350mg/dlあり、ヘモグロビンA1cが9%でした。昔なら、すぐ教育入院を1週間しなければいけないくらいです。私が「外来でやりましょう。平日に毎月通えますか」と聞くと、「土曜日以外は、無理です」といわれました。その日は「たまたま代休で受診した」と言います。私は、検査データを渡し、すぐに土曜日に診てくれる開業していてかつ信頼のおける糖尿病専門医を紹介しました。治療を中断してしまうのを避けるための医師選びには、土曜日や平日の夜に通院できるところに診てもらっているかというところも重要なポイントになります。今、教育入院ができる人は、70歳以上の仕事をしていない人が中心です。私が勤務する病院も教育入院のベッドがありますが、毎週2人ぐらいしかいません。ほとんどは外来で対応しています。月に1回、平日に休みがとれて通院できる人はまだいいと思います。実社会では、それさえもできない人がいっぱいいます。最近は、24時間やっているクリニックも出てきていますが、コンビニエンスストアではありませんので、やはりどのような医師が診ているかが重要です。平日夜間や土曜日に診てもらえる糖尿病専門医のクリニックはとてもニーズがあると感じています。■いい糖尿病専門医の見分け方 糖尿病の専門医に主治医として診てもらいつつ、合併症がでてきたらそれぞれの合併症の専門医を適切に紹介してくれるかがポイントになります 目なら眼科、歯周病なら歯科、心臓なら循環器科、ED(男性機能不全)なら泌尿器科といったように、幅広いネットワークを持っている糖尿病専門医のことです。ただ、ネットワークを持つ糖尿病専門医を、一般の人が探すことは難しいです。日本糖尿病学会のホームページで専門医を検索しても、そこまでの情報はありません。みなさんが暮らす地域ですごく評判のいい糖尿病専門医は、そのようなネットワークを持っている可能性が高いと思います。口コミ(評判)と専門医資格の両方が大事です。混んでいるところは、レストランと同じようによいところが多いと言えるかもしれません。もう一つ重要なことは、「糖尿病診療はチーム医療が大切」という点です。日本糖尿病療養指導士(CDE-J)の資格を持った看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士が常勤でいる医療機関を選びましょう。(日本糖尿病療養指導士認定機構:https://www.cdej.gr.jp/modules/cdej/index.php?content_id=2)■民間療法に注意 健康食品や特定保健用食品(トクホ)は世の中にいっぱいあります。よくあるのは、「これを飲めば血糖値を下げる」というものです。血糖値を大きく下げるものではないので、これだけ飲んでいればよくなるわけではないということです。民間療法に頼ったとしても、糖尿病専門医への受診は続けて下さいと言いたいですね。民間療法に頼ると、通院をやめてしまう人がいるためです。糖質制限すればインスリンをやめていいというような本に頼って、インスリン注射をやめて、血糖値が上がって具合が悪くなって運ばれてきた患者もいるからです。■ショック 糖尿病と診断を告げると、「薬を一生飲み続けるんですか」とよく患者に聞かれます。ショックを受けますが、40代や50代になれば、普通に病気の一つもでてきます。血糖値がよくなって食生活が改善でき、体重を減らすことで薬を中止することもできます。ただ、今、80キロの人に「あと10キロやせて欲しい」と言って取り組むのは難しいでしょう。患者には、「薬を飲みながらでも適度に食べて、たまにならば、夜中にラーメンを食べてしまっても大丈夫ですよ」と言うことも伝え、「どちらが良いですか」と聞きます。ストイックに体重を減量して、食生活を改善して、薬をやめる人もいますが、現実はなかなか難しいです。無理な糖質制限食で体重を減らしても、リバウンドして病気が悪くなってしまう人もいます。半年ならできても、これは10年以上続けることですから薬の力も借りながら、適度な食事をして長生きしようというライフスタイルがよいと私は思います。>
 
「保険者努力支援制度における評価指標の候補」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160506S0020.pdf)では糖尿病の重症化予防(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)の取組は「かかりつけ医と連携した取組であること」が条件の一つになっていることは認識したい。大きな病院では、糖尿病透析予防指導管理料(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1_27/b001_27.html)で、透析予防診療チームによる指導が行われ、eGFR (ml/分/1.73㎡)が 30未満では腎不全期患者指導加算が算定されている。しかし、大半の診療所では、透析予防診療チームの設置は厳しい。保険者による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)では、受診勧奨の抽出基準、保健指導の抽出基準を示して、医療連携による糖尿病透析予防指導管理料(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1_27/b001_27.html)で対応すべき対象を明確にした方がよいであろう。この際、かかりつけ医は大病院ではなく、診療所を中心に考えたい。第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ており、各都道府県において、40代、50代の男性で血糖コントロール不良者がかなり多いことがわかる。日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/)の「導入患者の主要原疾患の割合推移」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p011.pdf)では「糖尿病性腎症」が圧倒的で、2014年の糖尿病性腎症による透析導入の平均年齢は67.2歳である(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p012.pdf)。これはまさに現役世代の健康管理の悪さが反映しているであろう。「保険者インセンティブ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)はまさに現役世代こそ急務と感じる。定年退職後からの取り組みでは遅い。例えば、大企業が多い「健康保険組合」(http://www.kenporen.com/)や公務員の「共済組合」(http://www.kkr.or.jp/)(http://www.chikyoren.or.jp/)が率先して、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)に取り組むべきであろう。今年は「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定の締結」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000117513.html)、「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)、「国保・後期高齢者医療制度における糖尿病性腎症重症化予防プログラムに関する説明会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000125442.html)と進められてきたが、「医療計画の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)では、糖尿病の医療連携体制構築が急務と感じる。ところで、「医療機関届出情報(地方厚生局)」(http://caremap.jp/cities/search/facility)の「糖尿病合併症管理料(糖管)」「糖尿病透析予防指導管理料(糖防管)」をみれば、算定は専門医がいるような病院であるが、保険者が医療機関と連携して糖尿病重症化予防を進めるには、例えば、医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p37「地域包括診療料、地域包括診療加算」に保険者との連携を明確化する等があっても良いかもしれない。
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在宅看取り

2016年11月29日 | Weblog
キャリアブレイン「患者のほとんどは在宅医療を知らない-「在宅」進化論(5)」(http://www.cabrain.net/management/article/50055.html)。<以下一部引用>
<地域包括ケアシステムの構築に向け、国策として推進されている在宅医療。約1万5000施設が在宅療養支援診療所になるなど、一定の成果が見える。しかし辻彼南雄・ライフケアシステム代表理事は、「在宅医療のことを知っている患者はほとんどいない」と指摘。根強い病院志向を放置すれば、2025-40年に“看取り難民”が現れると警鐘を鳴らす。ライフケアシステムは、日本在宅医学会の佐藤智初代会長が中心となって1980年に設立した会員制組織だ。「病気は家庭でなおすものである」「自分たちの健康は自分たちで守る」がモットーで、医療に関する会員の相談に24時間応じるほか、在宅ケアを提供。さらに健康教育なども行っている。訪問診療は水道橋東口クリニック(東京都千代田区)から提供しており、辻氏はその院長も務める。佐藤氏との出会いをきっかけに、在宅医を約27年続けている。■40年には167万人が亡くなる 医療・介護サービスの提供が不足し、十分な看取りを受けることができない“看取り難民”はショッキングな問題だ。厚生労働省によると、昨年の死亡数は129万444人で、前年と比べ1万7440人増えた。死亡数は、高齢人口の増加などを受けて増え続け、40年には約167万人に膨れ上がると推計されている。昨年病院で亡くなった人は96万2597人で、全体の74.6%を占めた。この状況を踏まえれば、死亡数の増加への対策として、まず病院のベッドを増やすことが考えられる。しかし、病棟を新設すれば建築コストが掛かるし、維持コストもかさむ。現実的には難しい。そこで国が打ち出した対策は、在宅看取りを普及させ、死亡数の増加分をカバーするものだ。しかし、昨年自宅で亡くなった人は16万3973人(12.7%)で、その割合は前年と比べ0.1ポイント低下。病院で亡くなった人数には程遠い。在宅医療を提供する体制の整備が進んでいるにもかかわらず、在宅看取りが増えないのはなぜか-。辻氏は、その答えが死亡の場所の割合に表れていると指摘する。「日本では、医療といえば病院医療だ。専門家の間で知られるようになっても、一般市民で在宅医療を知っている人は1割くらい。それ以外の人は『病院で死んだ方が安心だ』と思っている」。■地域包括ケアは“災害”に強い街づくり 辻氏は、「医療=病院医療」というイメージは悪くなく、日本の病院が患者に信頼されている証しだと話す。しかし、病床数は限られる。本格的な“多死社会”が到来し、そうした患者が病院に殺到すれば、一部が受け入れを断られるのは明白だ。「高齢者が行き場を失う。このままでは危ないと、一般市民に伝えないわけにはいかない」(辻氏)。また、増加する高齢者の生活を支える地域包括ケアシステムは、在宅医療に在宅介護、地域住民の自身の健康づくり活動などを合わせたものだ。逆に言えば、一般市民の協力を得られなければ完成しない。「(高齢化の)波が押し寄せる。地域包括ケアシステムは、“災害”に強い街づくり。一般の人の協力が不可欠だ」と辻氏は訴え掛ける。■在宅医療やらざるを得ない時代に? むろん、この「街づくり」には病院も参加が求められる。訪問診療や訪問看護の提供に乗り出すほか、在宅医を養成すれば、「受け入れを断って悪くなった地域住民の信用を取り戻せる」と辻氏は指摘する。>
 
医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)での在宅医療は、「退院支援」「日常の療養支援」「急変時の対応」「看取り」の機能充実が図られている。すべて重要である。また、平成27年度からの第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/dl/tp0219-06-01p.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076407.pdf)における地域支援事業の目玉として、「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)が実施されている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000143082.pdf)p16「在宅医療・介護連携推進事業の都道府県別平均実施数(8事業項目の実施数)」は、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で市町村の実施状況が一般公開されていることは常識としたい。「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)の「在宅医療に関する見直しの方向性について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135466.pdf)p3「在宅医療・介護連携推進事業にかかる8つの取組の中でも、医療に係る専門的・技術的な対応が必要な「(ウ)切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」や「(オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援」、二次医療圏等の広域の視点が必要な「(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携」などが特に対応が必要な取組と考えられる。これらの取組については、在宅医療にかかる圏域毎の課題に鑑みて、医療計画に記載して確実に達成するよう支援するなど、重点的な対応の視点が必要である。」とあった。まさに保健所と市町村の連携・協働が不可欠である。医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)での保健所の役割を重視したい。ところで、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)の「在宅医療に関する見直しの方向性について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135466.pdf)p2「在宅で看取りまで実施した症例のみに評価が偏重することのないように、在宅死亡者数のみがアウトカム指標として設定されている点について、看取りに至る過程を把握するための指標を充実する等、見直しを行う必要がある。」とあったが、どうなっているであろうか。日本創成会議「高齢者の終末期医療を考える ―長寿時代の看取り―」(http://bookstore.jpc-net.jp/detail/books/goods003835.html)のように、それぞれの地域において、「長寿時代の看取り」を考えなければならない。「在宅医療・介護連携推進事業について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)p12「(カ)医療・介護関係者の研修」、p13「(キ)地域住民への普及啓発」において、「人生の最終段階における医療」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000078983.pdf)の周知を図るべきであろう。DNAR(do not attempt resuscitation)も全く普及していないように感じる。日本老年医学会(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/)「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン ~人工的水分・栄養補給の導入を中心として~」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/guideline/index.html)よりも病院経営が優先されてはいけないであろう。
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医療保護入院件数の増加と認知症

2016年11月29日 | Weblog
平成27年度衛生行政報告例の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/index.html)では医療保護入院届出数は平成23年度20万2500件→平成24年度20万9547件→平成25年度21万1980件→平成26年度17万79件→平成27年度17万7640件と推移している(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka1.pdf)。医療保護入院件数が再び増加したのは認知症によるかもしれない。医療計画の見直し等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000124788.pdf)p162「別表5 精神疾患の医療体制構築に係る現状把握のための指標例」には「かかりつけ医認知症対応力向上研修参加者数」「認知症サポート医養成研修修了者数」「認知症新規入院患者2か月以内退院率」があるが、まずは、それぞれの市町村において、認知症による医療保護入院の状況を認識しておきたい。それには保健所運営協議会の資料等で、「器質性精神障害(http://health.goo.ne.jp/medical/10410100)による医療保護入院」をみればよい。認知症予防に関する評価は、3年ごとに全国の市町村が実施している「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)を活用したい。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)に「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)が再び組み込まれる意義は大きい。内閣府「障害者政策委員会」(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/)の資料「欧州諸国との比較からみる我が国の精神科強制入院制度の課題」(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_25/pdf/s1.pdf)p2「認知症の人の精神科入院(医療保護)の急増」、論点(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_26/pdf/s1-4.pdf);p4「認知症に関しては、精神科医療での社会的入院の実態が容認されているが、その状況を改める必要がある。」とあり、以前の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000046397.pdf)p5「1年以上精神病床に入院している75歳以上の精神疾患患者の47.3%が認知症」とある。「認知症患者の精神科病院への非自発的入院」が普遍化しており、精神科病院の一部には療養病床のようなところもみられるであろうが、これは目指すべき「地域包括ケア」の姿ではないであろう。そういえば、医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)の「総合確保方針の改定に向けた議論の整理(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000144174.pdf)p18「特に、認知症への対応については、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立するとともに、早期からの適切な診断や対応等を行うことが求められている。」とある。医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。また、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での必要病床では精神病床は除外されている。「経済・財政再生計画 改革工程表」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/03.pdf)にも精神関係はないし、財政制度等審議会財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障② 年金、生活保護、雇用、障害福祉、医療提供体制)」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/01.pdf)でも、なぜか精神関係は出てこない。第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では、都道府県別の各種精神科専門療法の算定回数が出ており、医療費適正化に結びつけない理由がわからない。平成27年度からの第4期障害福祉計画では、①平成29年度における入院後3ヶ月時点の退院率64%以上、②平成29年度における入院後1年時点の退院率91%以上、③平成29年6月末時点の長期在院者数を平成24年6月末時点の長期在院者数から18%以上減少、の目標値が掲げられているが、「長期入院精神障害者の地域移行に向けた支援方策に関する研究報告書」(http://www.nisseikyo.or.jp/images/about/katsudou/hojokin/h27_houkoku_6.pdf)の資料p4(p36)に都道府県別の「入院後3ヵ月時点の退院率」「入院後1年時点の退院率」「長期在院者数」の一覧をみれば、都道府県格差は小さくないことがわかる。医療保険データベース(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)の「医療費の地域差分析」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)では精神科レセプトの分析がぜひ必要と感じる。社会保障制度改革推進会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/)の資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai5/siryou1.pdf)p15では、今後の課題の一つとして「精神科レセプトの分析」があったではないか。精神病床を特別視することが精神疾患に対する偏見を助長しないとも限らないかもしれない。
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不妊と中絶

2016年11月29日 | Weblog
不妊治療費助成事業(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/funin-01.html)の一方で、平成27年度衛生行政報告例の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/index.html)では人工妊娠中絶件数は17万6388件(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka6.pdf)である。
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結核医療体制と地域連携パス

2016年11月29日 | Weblog
キャリアブレイン「結核治療、一般病院を加え体制強化へ- 厚労省が予防指針改正、地域連携を重視」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50074.html)。<以下引用>
<厚生労働省は、結核に関する特定感染症予防指針を改正した。全国の一般病院約200施設を結核の医療提供体制の柱の1つに位置付け、結核や感染症の専門医療機関と連携して地域の体制を強化する方針を明記した。管理が難しい患者を扱う「中核的な病院」と感染症指定医療機関の「基幹病院」の協力を得て、多剤耐性結核などの治療が終わった患者が身近な地域で治療を受けられる体制を整えたい考えだ。入院するケースが多い肺結核の喀痰塗抹陽性患者は、2000年以前は年間1万2000人を超えていたが、近年は減少傾向が顕著で、15年には約7100人まで減少。入院患者の減少に伴い、結核病棟・病床を廃止する医療機関が相次いでおり、15年の許可病床数は2000年に比べて半減の約5500床となっている。結核病床を持つ医療機関が少ない地域で結核病棟・病床が廃止された場合、患者が遠方の医療機関に入院せざるを得ないといった課題もあった。こうした状況を踏まえ、厚労省は、予防指針の「医療の提供」の項目に、結核患者が身近な地域で「個別の病態に応じた治療を受けられる地域医療連携体制を整備することが重要」と記載した。具体的には、多剤耐性菌に対応できる国立病院機構の病院などの「中核的な病院」と、二次医療圏のモデル病床・感染症指定医療機関の「基幹病院」に入院していた患者の病状が回復した際、患者の身近にある結核病床を持つ一般病院が受け入れることを想定している。「中核的な病院」と「基幹病院」が一般の病院に技術的な支援を行うことで、一般病院が患者を受け入れるハードルが低くなる可能性がある。すでにこうした体制を構築している地域もあるため、厚労省は予防指針に連携体制の在り方を明記した。患者が遠方の医療機関で治療を行わざるを得ないといった環境を改善する方針だ。■多剤耐性の結核菌収集、国の目標に このほか、長期入院の患者に関しては、退院を見据えて保健所が入院中から継続的に関与する必要性を追記。入院しない患者に関しても「治療初期の患者支援が重要」としており、保健所と地域の医療機関・薬局が連携し、直接服薬確認療法(DOTS)による確実な治療を行うことを求めている。院内感染の報告が相次いでいる多剤耐性結核については、病原体サーベイランス事業の対象としていない自治体が少なくないことを踏まえ、多剤耐性結核の患者の結核菌を収集可能な体制の整備を「国の目標」として予防指針に明記した。人口10万人当たりの結核の罹患率についても、改正前の指針では「15人以下」としていたが、15年に14.4人と目標を達成したため、「10人以下」とする新たな目標を設けた。「10人以下」はWHO(世界保健機関)が定める結核の低まん延国の条件で、東京五輪が開催される20年までの達成を目指す。>
 
厚生科学審議会結核部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=176318)で結核に関する特定感染症予防指針改正が協議されてきた。「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)で「結核の医療提供体制について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000143661.pdf)p4「都道府県は、引き続きユニット化や病床単位の入院医療体制の確保に努め、病床利用率が低い都道府県は特に努めることと記載してはどうか。国は、低まん延国化を達成した後の結核の医療提供体制のあり方について、全国の状況を踏まえて、改めて検討することとしてはどうか。」とあった。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p22「結核病棟入院基本料における入院初期加算の見直し」がされているが、退院後も同じ病院に通院とは限らない。「DOTS(直接服薬確認)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000110058.pdf)を考慮すれば、身近な医療機関での通院が不可欠であり、高齢結核患者が多い状況を鑑みると、介護サービス事業所との連携も重要であろう。糖尿病、心筋梗塞、心不全など、様々な疾患で地域連携診療計画(地域連携パス)が運用されているであろうが、平成25年7月「地域連携クリニカルパスを用いた結核の地域医療連携のための指針」(http://www.kekkaku.gr.jp/commit/tiryou/201309.pdf)を踏まえて、結核の地域連携パスをぜひ期待したい。医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p44の「地域連携診療計画加算」について、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335811&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114867.pdf)A246 退院支援加算「地域連携診療計画は、疾患ごとに作成され、一連の治療を担う複数の保険医療機関又は介護保険法に定める居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者若しくは施設サービス事業者等(以下「A246」において「連携保険医療機関等」という。)との間であらかじめ共有して活用されるものであり、病名、入院時の症状、予定されている診療内容、標準的な転院までの期間、転院後の診療内容、連携する保険医療機関を退院するまでの標準的な期間、退院に当たり予想される患者の状態に関する退院基準、その他必要な事項が記載されたものであること。」、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335825&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114881.pdf)p54「連携保険医療機関等の職員と当該保険医療機関の職員が、地域連携診療計画に係る情報交換のために、年3回以上の頻度で面会し、情報の共有、地域連携診療計画の評価と見直しが適切に行われていること。」とされたが、以前の地域連携診療計画管理料と異なるのは、疾患限定(脳卒中、大腿骨頚部骨折)ではないこと、「急性期・回復期 ⇒ 慢性期・介護事業所」が評価されていることが挙げられる。但し、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335825&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114881.pdf)p54「地域連携診療計画加算に関する施設基準」には「退院支援加算1又は退院支援加算3に係る施設基準の届出を行っている保険医療機関であること。」の要件があることは認識したい。
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鳥インフルエンザの行方

2016年11月29日 | Weblog
農林水産省「鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/)。
 
環境省「高病原性鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/)。
 
官邸「鳥インフルエンザ関係閣僚会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/)。

NHK「新潟 上越の養鶏場 詳しい結果待たず23万羽処分へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161130/k10010789911000.html)。<以下引用>
<新潟県上越市の養鶏場でニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、県の簡易検査で、6羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ました。県は現在詳しい検査を行っていますが、農林水産省からの要請に基づいて、詳しい検査の結果を待たずに、30日夜のうちに、この養鶏場のおよそ23万羽の処分を始めることを決めました。新潟県によりますと、上越市の養鶏場の鶏舎の中で、29日と30日、ニワトリ合わせて100羽ほどが死んでいるのが見つかったということです。県がこのうちの7羽を簡易検査した結果、6羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たということです。この養鶏場ではおよそ23万羽を飼育していて、新潟県は鳥インフルエンザの疑いがあるとして、この養鶏場への部外者の立ち入りを制限し、出入りする際の消毒の徹底を指示しました。また、この養鶏場から半径10キロ以内にあるほかの養鶏場などに対して、ニワトリや卵などの移動を自粛するよう要請しました。新潟県はウイルスの遺伝子を調べる詳しい検査を行っていますが、結果が出るのは30日夜遅くになる見通しです。このため新潟県は、農林水産省からの要請に基づいて詳しい検査結果を待たずに、この養鶏場のおよそ23万羽の処分を30日夜のうちに始めることを決めました。新潟県では、上越市から150キロ余り離れた県北部の関川村の養鶏場で29日、鳥インフルエンザウイルスが検出されています。上越市でも対策会議 新潟県は30日夜、対策会議を開き、2か所で50万羽を超えるニワトリの処分を早急に行うため、自衛隊や県内の市町村に支援を要請することなどを確認しました。県庁で開かれた会議には、県の幹部のほか自衛隊や警察などおよそ20人が出席しました。この中で米山知事は上越市の養鶏場のニワトリから簡易検査の結果、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たことについて、「国からは『遺伝子検査の結果を待たずに対処を始めてほしい』と言われた。関川村と2方面でやるのは大変だが、封じ込めに全力を尽くしてほしい」と述べました。このあと、会議は非公開で行われ、県によりますと、2か所で50万羽を超えるニワトリの処分を早急に進めるため、自衛隊や県内の市町村に支援を求めることを確認したということです。会議のあと、米山知事は「非常に重大な事態だと受け止めている。県内のどこでも感染が起こるおそれがあり、徹底的に対処し、封じ込めを行いたい。養鶏業者には新たな感染が起きないよう全力を尽くしてもらいたい」と述べました。>
 
鳥インフルエンザ関係閣僚会議資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/pdf/siryou-161129.pdf)には目を通しておきたい。「鳥インフルエンザA(H7N9)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/h7n9.html)と「鳥インフルエンザA(H5N1)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/)は感染症法の二類感染症(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html)であるが、それ以外の鳥インフルエンザ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-21.html)は四類感染症である。将来、ヒト-ヒト感染の度合いによっては、新型インフルエンザ(http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html)まで進まないとも限らない。通常インフルエンザの流行時期と重なって少々厄介かもしれない。交叉予防として、通常インフルエンザの予防接種を徹底しておくべきと感じる。殺処分従事予定者はどうなっているであろうか。今年10月に一部改正された「新型インフルエンザ等発生時等における初動対処要領」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku/pdf/syodoutaisyo2810.pdf)は知っておきたい。
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高病原性鳥インフルエンザ

2016年11月29日 | Weblog
NHK「新潟 関川村 養鶏場のニワトリ 31万羽処分 鳥インフルエンザ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161129/k10010787761000.html?utm_int=news_contents_news-main_002)。<以下引用>
<新潟県関川村の養鶏場で28日、ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、県の詳しい検査でH5型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。新潟県はこの養鶏場で飼育されているニワトリおよそ31万羽をすべて処分することを決めきょう午前4時半から作業を始めました。28日、新潟県関川村の養鶏場で、ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、県が簡易検査で陽性となった死んだ5羽について詳しく検査を行った結果、すべてからH5型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。新潟県は、29日午前4時前から対策本部会議を開き、本部長を務める米山知事は「初期対応が大切だ」と述べて、全力で感染拡大を防ぐよう指示しました。県はこの養鶏場で飼育されているニワトリ、およそ31万羽すべてを処分することを決め、29日午前4時半から作業を始めました。またこの養鶏場から半径10キロ以内にある59の養鶏場などを対象にニワトリや卵の移動や出荷を禁止する措置を取りました。>

環境省「高病原性鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/)の発表では、野鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)の検出が続いている。ヒトへの感染の有無に注目である。
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