メディウォッチ「医療計画、介護保険計画の連携強化に向けた改訂「総合確保方針」、年内に告示へ―医療介護総合確保促進会議」(http://www.medwatch.jp/?p=11358)。<以下引用>
<2018年度からスタートする新たな医療計画(第7次)と介護保険事業(支援)計画(第7期)の整合性を図り、これまで以上の医療・介護連携を目指すため、「総合確保方針」が改訂されます。28日に開かれた医療介護総合確保促進会議では、改訂案を概ねで了承。厚生労働省は文言調整などを行った上で、年内に改訂「総合確保方針」を告示する考えです。医療計画と介護保険事業(支援)計画の整合性確保が重要課題 2025年には、いわゆる団塊の世代((1947-49年生まれの人)がすべて後期高齢者になるため、今後、慢性期医療や介護のニーズが加速度的に増加すると考えられます。こうしたニーズに、従前の医療・介護提供体制で対応していくことは困難なため(そもそもベッド数などが足らず、費用も高騰し、患者・利用者のQOLも低くなる)、国は「地域包括ケアシステムの構築」や「病院・病床の機能分化・連携の推進」などを柱とする医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)を制定。2013年から順次施行されています。医療介護総合確保推進法では、例えば「地域医療構想」や「病床機能報告制度」などのほか、医療計画のサイクルを従前の5年から6年に見直しも含まれています。これは3年単位の介護保険事業(支援)計画と整合性をとることが狙いです。2018年度から新たな医療計画、介護保険事業(支援)計画がスタートし、以後、両計画はいわば車の両輪として医療・介護提供体制のベースとなります。これらの計画はサイクルだけでなく、内容についても「整合性」をとることが求められ、厚労省は上位指針となる「総合確保方針」を2014年9月に策定しました。今般、新たな計画が策定されることを踏まえ、総合確保方針について、より医療・介護連携を強化するための見直しが行われるものです。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、「診療報酬や介護報酬、各種補助金、さらに地域医療介護総合確保基金によって医療提供体制、介護提供体制が整備されている。総合確保方針では、こうした整備がしっかりとなされることを前提に両者の整合性確保を目指している」と、改訂の意義を強調しています。特に在宅医療・介護連携に向け、行政、サービス提供者、利用者の各レベルで連携を 主な見直し内容は14日の前回会合で示されており、28日には、さらなる修正・追加案が厚労省から提案されました。前回の提示内容も含めて、見直し内容を眺めると、次のような点が目を引きます。(1)医療計画・介護保険事業(支援)計画の一体的かつ整合的な策定を目指し、「都道府県と市町村の関係者が協議を行う場」を設ける (2)医療計画の基礎となる2次医療圏(地域医療構想の構想区域も2次医療圏がベースとなる)と、介護保険の基礎となる老人福祉圏域について可能な限り一致させるよう努める (3)在宅医療の整備目標(医療計画)と、介護サービスの整備目標(介護保険事業計画)とを整合的なものとする (4)在宅医療・介護の連携を図るため、市町村の実施する「在宅医療・介護連携推進事業」について都道府県が必要な支援を行う【行政による在宅医療・介護連携の推進】 (5)在宅医療・介護を担う提供側(医療機関や訪問看護ステーションを含む介護サービス事業者などはもちろん、医師会などの職能団体)が、▼入退院支援▼日常の療養支援▼急変時の対応▼看取り―などの場面で切れ目のないサービス提供に努め、サービス利用者も医療・介護サービスについての理解を深める【利用者も含めたサービス提供側による在宅医療・介護連携の推進】 (6)医療・介護両分野に精通した人材の確保を進める (7)医療・介護連携はもとより、地域包括ケアシステムのベースとも言える「住宅や居住」に係る施策との連携も進める (8)医療・介護連携が特に重要な場面の1つとして認知症施策があり、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立し、早期からの適切な診断や対応などを行う必要がある (9)医療・介護連携を進めるための重要なツールとして情報通信技術(ICT)があり、多様な活用方法が期待されるが、「互換性が十分に確保されていない」といった課題があることを踏まえる (10)地域包括ケアシステムにおいては疾病予防・介護予防も重要な施策であり、疾病予防において、医療保険者(協会けんぽや健康保険組合、国民健康保険など)が実施する保健事業(ヘルス事業)との連携も重要である このうち(8)の認知症対策は、樋口恵子構成員(高齢社会をよくする女性の会理事長)や馬袋秀男構成員(民間介護事業推進委員会代表委員)の強い要望を踏まえて新たに追加された見直し項目です。高齢化の進展とともに認知症患者も飛躍的に増加すると見込まれており、早期の確定診断を前提とした初期集中支援が重要とされており、医療・介護の両方の側面からの支援が必要な分野です。(9)は、例えば「電子カルテにおいて、ベンダーが異なるとデータの互換性が極めて低い」といった課題を認識した上で、今後、医療・介護双方のデータを蓄積・連結してさまざまな事業に結びつけることの重要性を指摘したものです。医療・介護分野においてビッグデータを活用した研究(例えば画期的な医薬品の開発)や保健事業(いわゆるデータヘルス)が期待されており、将来を見据えた重要なテーマと言えます。また(10)は西澤寛俊構成員(全日本病院協会会長)の要望を踏まえた追加項目です。当初、「医療保険者はさまざまであり、総合確保方針などに医療保険者の保健事業を盛り込むことは困難」(盛り込まれずとも保健事業は当然推進する)とされていましたが、連携の重要性が謳われることになりました。部会では、こうした見直し案について前向きな「追加修正」意見が出されています。(5)のサービス提供者による在宅・医療介護連携の推進に関しては、「サービス提供者自身が予防の重要性を認識した上で連携することが重要である」(菊池令子構成員:日本看護協会副会長)、「サービス利用者はもちろん、背後にいる地域住民が医療・介護について理解を深めるべきである」(馬袋構成員や樋口構成員)といった指摘が出ました。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、こうした指摘を踏まえて、より分かりやすく記述する考えを示しています。また(6)の人材確保については、黒田医療介護連携政策課長から「医療の専門家が介護分野にも視野を広げ、介護の専門家が医療分野にも視野を広げる」ことで、両分野に精通する人材が育つという考え方が説明されています。この点について平川則男構成員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「自治体では人事異動があり、専門的人材の育成が難しい。また両分野に精通した人材はなかなおらず、そこで連携が重要になる」と指摘したほか、「具体的にどういった人材が必要とされ、先行自治体ではどういった取り組みで人材確保しているのか」などを解釈通知などで示すよう厚労省に要望しています。さらに(7)の「住宅や居住」施策との連携に関連し、馬袋委員らから「地域づくり」の視点を盛り込んではどうかとの提案も行われています。こうした意見は、厚労省と田中滋座長(慶應義塾大学名誉教授)、森田朗座長代理(国立社会保障・人口問題研究所長)で忖度し、具体的な修正内容を固めることが了承されました。黒田医療介護連携政策課長は「修正内容を固め、年内に告示を行う」ことを明確にしています。なお、医療計画や介護保険事業(支援)計画の策定方針は、厚労省の別の審議会・検討会で議論が進められています。総合確保方針はこれらのベースとなるもので、医療計画などの策定論議の中に、医療介護総合確保促進会議で出された意見や考え方は随時盛り込まれていきます。具体的には、24日に「医療計画の見直し等に関する検討会」で示された意見とりまとめ(叩き台)や、25日に「社会保障審議会・介護保険部会」で示された意見素案には、両計画の整合性を図るために(1)の「協議の場」を設置することなどが、すでに盛り込まれています。>
医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は、医療計画については、医療計画の見直し等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)、また、介護保険事業(支援)計画については、介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の動向とセットでみておきたい。平成30年度から第5期障害福祉計画がスタートするが、障害者部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)の「平成30年度に向けた障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000139973.pdf)も踏まえたい。今年6月の「ニッポン一億総活躍プラン」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/pdf/plan1.pdf)p16「子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」を実現する。」とあった。医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は障害者を除外してはならない。また、医療介護連携でますます重要になるのは、認知症のほか、地域緩和ケアがある。がん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-gan.html?tid=128235)、「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)で協議されているが、国会がん患者と家族の会がとりまとめた「がん対策基本法の一部を改正する法律案」(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/index.html)の動向にも注目である。「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保促進法)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000052238.pdf)第二条「この法律において「地域包括ケアシステム」とは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。)、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。」と、地域包括ケアシステムが「高齢者」に限定されている点の見直しが必要であろう。そもそも介護保険の特定疾病(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html)には、末期がん、神経難病、若年性認知症なども含まれており、法律で地域包括ケアシステムを高齢者に限定すること自体が間違っている。医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p55「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」を打ち出すのであれば、チームによる地域緩和ケアを地域包括ケアシステム(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)に組み込むべきである。ところで、地域包括ケアシステムにおける在宅医療・介護連携は市町村主体と位置づけられているが、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは都道府県単位のみである。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、なぜかレセプト分析データは除外されている。分析データがないわけではない。医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを公開すればよいだけである。しかし、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、地域包括ケアを担当する行政職員すら閲覧できないでいる。官邸資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai2/siryou8.pdf)p3「ICT・AI等を活⽤した医療・介護のパラダイムシフト」、p2「蓄積したビッグデータを国⺠・患者のために活⽤(真のデータヘルス)」とあるが、p5の工程表では「データベースの分析により、「科学的に裏付けられた介護」が受けられる。」「産官学が多様な⽬的で医療・介護データを活⽤できる。」は2020年度からとされる。なぜ、国はビッグデータの活用を先送りするのであろうか。「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129210)の資料「「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の主な改正内容」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000135183.pdf)にあるように、レセプト情報等の提供依頼申出者の範囲に「市区町村」が追加されていることを踏まえ、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを、少なくとも地域包括ケアに関わる行政職員に直ちに開放すべきである。また、地域住民への分析データの公表を規制してはならない。そういえば、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)については、「地域包括ケア「見える化」システムを用いた地域分析」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138621.pdf)が出ていたが、それと比べると、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の厳格規制は全くヒドイといわざるを得ない。せめて、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは二次医療圏単位で公開すべきであろう。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」にもレセプト分析データを出すべきであろう。
<2018年度からスタートする新たな医療計画(第7次)と介護保険事業(支援)計画(第7期)の整合性を図り、これまで以上の医療・介護連携を目指すため、「総合確保方針」が改訂されます。28日に開かれた医療介護総合確保促進会議では、改訂案を概ねで了承。厚生労働省は文言調整などを行った上で、年内に改訂「総合確保方針」を告示する考えです。医療計画と介護保険事業(支援)計画の整合性確保が重要課題 2025年には、いわゆる団塊の世代((1947-49年生まれの人)がすべて後期高齢者になるため、今後、慢性期医療や介護のニーズが加速度的に増加すると考えられます。こうしたニーズに、従前の医療・介護提供体制で対応していくことは困難なため(そもそもベッド数などが足らず、費用も高騰し、患者・利用者のQOLも低くなる)、国は「地域包括ケアシステムの構築」や「病院・病床の機能分化・連携の推進」などを柱とする医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)を制定。2013年から順次施行されています。医療介護総合確保推進法では、例えば「地域医療構想」や「病床機能報告制度」などのほか、医療計画のサイクルを従前の5年から6年に見直しも含まれています。これは3年単位の介護保険事業(支援)計画と整合性をとることが狙いです。2018年度から新たな医療計画、介護保険事業(支援)計画がスタートし、以後、両計画はいわば車の両輪として医療・介護提供体制のベースとなります。これらの計画はサイクルだけでなく、内容についても「整合性」をとることが求められ、厚労省は上位指針となる「総合確保方針」を2014年9月に策定しました。今般、新たな計画が策定されることを踏まえ、総合確保方針について、より医療・介護連携を強化するための見直しが行われるものです。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、「診療報酬や介護報酬、各種補助金、さらに地域医療介護総合確保基金によって医療提供体制、介護提供体制が整備されている。総合確保方針では、こうした整備がしっかりとなされることを前提に両者の整合性確保を目指している」と、改訂の意義を強調しています。特に在宅医療・介護連携に向け、行政、サービス提供者、利用者の各レベルで連携を 主な見直し内容は14日の前回会合で示されており、28日には、さらなる修正・追加案が厚労省から提案されました。前回の提示内容も含めて、見直し内容を眺めると、次のような点が目を引きます。(1)医療計画・介護保険事業(支援)計画の一体的かつ整合的な策定を目指し、「都道府県と市町村の関係者が協議を行う場」を設ける (2)医療計画の基礎となる2次医療圏(地域医療構想の構想区域も2次医療圏がベースとなる)と、介護保険の基礎となる老人福祉圏域について可能な限り一致させるよう努める (3)在宅医療の整備目標(医療計画)と、介護サービスの整備目標(介護保険事業計画)とを整合的なものとする (4)在宅医療・介護の連携を図るため、市町村の実施する「在宅医療・介護連携推進事業」について都道府県が必要な支援を行う【行政による在宅医療・介護連携の推進】 (5)在宅医療・介護を担う提供側(医療機関や訪問看護ステーションを含む介護サービス事業者などはもちろん、医師会などの職能団体)が、▼入退院支援▼日常の療養支援▼急変時の対応▼看取り―などの場面で切れ目のないサービス提供に努め、サービス利用者も医療・介護サービスについての理解を深める【利用者も含めたサービス提供側による在宅医療・介護連携の推進】 (6)医療・介護両分野に精通した人材の確保を進める (7)医療・介護連携はもとより、地域包括ケアシステムのベースとも言える「住宅や居住」に係る施策との連携も進める (8)医療・介護連携が特に重要な場面の1つとして認知症施策があり、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立し、早期からの適切な診断や対応などを行う必要がある (9)医療・介護連携を進めるための重要なツールとして情報通信技術(ICT)があり、多様な活用方法が期待されるが、「互換性が十分に確保されていない」といった課題があることを踏まえる (10)地域包括ケアシステムにおいては疾病予防・介護予防も重要な施策であり、疾病予防において、医療保険者(協会けんぽや健康保険組合、国民健康保険など)が実施する保健事業(ヘルス事業)との連携も重要である このうち(8)の認知症対策は、樋口恵子構成員(高齢社会をよくする女性の会理事長)や馬袋秀男構成員(民間介護事業推進委員会代表委員)の強い要望を踏まえて新たに追加された見直し項目です。高齢化の進展とともに認知症患者も飛躍的に増加すると見込まれており、早期の確定診断を前提とした初期集中支援が重要とされており、医療・介護の両方の側面からの支援が必要な分野です。(9)は、例えば「電子カルテにおいて、ベンダーが異なるとデータの互換性が極めて低い」といった課題を認識した上で、今後、医療・介護双方のデータを蓄積・連結してさまざまな事業に結びつけることの重要性を指摘したものです。医療・介護分野においてビッグデータを活用した研究(例えば画期的な医薬品の開発)や保健事業(いわゆるデータヘルス)が期待されており、将来を見据えた重要なテーマと言えます。また(10)は西澤寛俊構成員(全日本病院協会会長)の要望を踏まえた追加項目です。当初、「医療保険者はさまざまであり、総合確保方針などに医療保険者の保健事業を盛り込むことは困難」(盛り込まれずとも保健事業は当然推進する)とされていましたが、連携の重要性が謳われることになりました。部会では、こうした見直し案について前向きな「追加修正」意見が出されています。(5)のサービス提供者による在宅・医療介護連携の推進に関しては、「サービス提供者自身が予防の重要性を認識した上で連携することが重要である」(菊池令子構成員:日本看護協会副会長)、「サービス利用者はもちろん、背後にいる地域住民が医療・介護について理解を深めるべきである」(馬袋構成員や樋口構成員)といった指摘が出ました。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、こうした指摘を踏まえて、より分かりやすく記述する考えを示しています。また(6)の人材確保については、黒田医療介護連携政策課長から「医療の専門家が介護分野にも視野を広げ、介護の専門家が医療分野にも視野を広げる」ことで、両分野に精通する人材が育つという考え方が説明されています。この点について平川則男構成員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「自治体では人事異動があり、専門的人材の育成が難しい。また両分野に精通した人材はなかなおらず、そこで連携が重要になる」と指摘したほか、「具体的にどういった人材が必要とされ、先行自治体ではどういった取り組みで人材確保しているのか」などを解釈通知などで示すよう厚労省に要望しています。さらに(7)の「住宅や居住」施策との連携に関連し、馬袋委員らから「地域づくり」の視点を盛り込んではどうかとの提案も行われています。こうした意見は、厚労省と田中滋座長(慶應義塾大学名誉教授)、森田朗座長代理(国立社会保障・人口問題研究所長)で忖度し、具体的な修正内容を固めることが了承されました。黒田医療介護連携政策課長は「修正内容を固め、年内に告示を行う」ことを明確にしています。なお、医療計画や介護保険事業(支援)計画の策定方針は、厚労省の別の審議会・検討会で議論が進められています。総合確保方針はこれらのベースとなるもので、医療計画などの策定論議の中に、医療介護総合確保促進会議で出された意見や考え方は随時盛り込まれていきます。具体的には、24日に「医療計画の見直し等に関する検討会」で示された意見とりまとめ(叩き台)や、25日に「社会保障審議会・介護保険部会」で示された意見素案には、両計画の整合性を図るために(1)の「協議の場」を設置することなどが、すでに盛り込まれています。>
医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は、医療計画については、医療計画の見直し等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)、また、介護保険事業(支援)計画については、介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の動向とセットでみておきたい。平成30年度から第5期障害福祉計画がスタートするが、障害者部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)の「平成30年度に向けた障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000139973.pdf)も踏まえたい。今年6月の「ニッポン一億総活躍プラン」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/pdf/plan1.pdf)p16「子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」を実現する。」とあった。医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は障害者を除外してはならない。また、医療介護連携でますます重要になるのは、認知症のほか、地域緩和ケアがある。がん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-gan.html?tid=128235)、「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)で協議されているが、国会がん患者と家族の会がとりまとめた「がん対策基本法の一部を改正する法律案」(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/index.html)の動向にも注目である。「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保促進法)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000052238.pdf)第二条「この法律において「地域包括ケアシステム」とは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。)、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。」と、地域包括ケアシステムが「高齢者」に限定されている点の見直しが必要であろう。そもそも介護保険の特定疾病(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html)には、末期がん、神経難病、若年性認知症なども含まれており、法律で地域包括ケアシステムを高齢者に限定すること自体が間違っている。医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p55「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」を打ち出すのであれば、チームによる地域緩和ケアを地域包括ケアシステム(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)に組み込むべきである。ところで、地域包括ケアシステムにおける在宅医療・介護連携は市町村主体と位置づけられているが、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは都道府県単位のみである。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、なぜかレセプト分析データは除外されている。分析データがないわけではない。医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを公開すればよいだけである。しかし、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、地域包括ケアを担当する行政職員すら閲覧できないでいる。官邸資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai2/siryou8.pdf)p3「ICT・AI等を活⽤した医療・介護のパラダイムシフト」、p2「蓄積したビッグデータを国⺠・患者のために活⽤(真のデータヘルス)」とあるが、p5の工程表では「データベースの分析により、「科学的に裏付けられた介護」が受けられる。」「産官学が多様な⽬的で医療・介護データを活⽤できる。」は2020年度からとされる。なぜ、国はビッグデータの活用を先送りするのであろうか。「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129210)の資料「「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の主な改正内容」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000135183.pdf)にあるように、レセプト情報等の提供依頼申出者の範囲に「市区町村」が追加されていることを踏まえ、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを、少なくとも地域包括ケアに関わる行政職員に直ちに開放すべきである。また、地域住民への分析データの公表を規制してはならない。そういえば、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)については、「地域包括ケア「見える化」システムを用いた地域分析」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138621.pdf)が出ていたが、それと比べると、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の厳格規制は全くヒドイといわざるを得ない。せめて、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは二次医療圏単位で公開すべきであろう。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」にもレセプト分析データを出すべきであろう。