保健福祉の現場から

感じるままに

医療・介護の協議の場と圏域連携会議

2016年11月01日 | Weblog
M3「医療・介護計画、県と市の「協議の場」で整合性 医療介護総合確保会議、総合確保方針改定の論点(案)」(https://www.m3.com/news/iryoishin/472651)。<以下引用>
<厚生労働省は、10月31日の第8回医療介護総合確保会議(座長:田中滋・慶應義塾大学名誉教授)に、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)」の改定に向けた論点(案)を提示し、都道府県と市町村の連携を進めるため、関係者による「協議の場」を提案した。構成員から異論は出ず、おおむね了承を得た。「連携」にとどまらず、さらに踏み込んでタスクフォース的な組織を作る必要性や、2018年度に診療報酬と介護報酬が同時改定されるため、その審議を早めに行い、医療計画などの作成に反映させるべきとの意見も挙がった。一方で、2014年9月に総合確保方針を策定した際にも、都道府県と市町村の連携の必要性が指摘されていたものの、いまだ同じ論点が出ていることを問題視する声も出た。厚労省は、2018年度の医療計画と介護保険事業(支援)計画の同時策定に向けて、それぞれの基本方針(指針)を策定する。総合確保方針の改定は、これらの基本方針(指針)の基本となるべき事項等の策定が目的で、今年内の取りまとめを目指す。次回は11月14日に開催予定。「2年前と同じ論点」との指摘も 厚労省は、総合確保方針改定の論点として、(1)都道府県が策定する医療計画と介護保険事業支援計画、市町村が策定する介護保険事業計画の一体的・整合的な策定、(2)在宅医療の推進および在宅医療と介護の連携の推進に関する視点、(3)医療・介護の連携の核となる人材に関する視点――の3つを提示。中でも重要なのが、(1)で、「計画作成に当たって、都道府県と市町村の連携を進めるための関係者の協議の場の設置」「2次医療圏と老人福祉圏域が一致していない計画区域への対応」「計画におけるサービスの必要量等の推計の整合性」が論点になる。高松市長の大西秀人氏は、「都道府県と市町村の連携強化と国による指導が必要であり、協議の場は必須」と支持。地域包括ケアシステムの構築は、市町村が中心となって進め、都道府県が「市町村ができないことの補完」と「市町村同士の調整的な補完」という役割を担う必要性を指摘した。日本医師会副会長の今村聡氏は、東京都など高齢者人口が増加する地域と、高齢者人口が減少する地域では対応が異なることから、「地域の実情に合った計画をどのように作り、調整していくのかを議論すべき」と述べた上で、「協議の場」を機能させるためには、構成員などまで具体的に総合確保方針に規定することが必要だとした。「都道府県と市町村の連携ではなく、タスクフォース的な組織が必要」と指摘したのは、日本社会事業大学専門職大学院教授の井上由起子氏。国がその在り方を示すことが必要で、どこまで自由度を持たせるかは検討課題だとした。健康保険組合連合会副会長の白川修二氏も、これらの意見に「ほぼ同感」とした上で、介護保険については、都道府県は保険者である市町村を「支援」するだけでなく、都道府県の介護保険における任務を書き込むべきと指摘。さらに「2018年度は、診療報酬と介護報酬の同時改定であり、改定の議論と(医療計画等の)計画策定が同時並行的に進む。診療報酬と介護報酬の審議を早めてもらい、方向性を決めて、それを計画作りに反映させる配慮が必要」とも述べた。「計画におけるサービスの必要量等の推計の整合性」については、全国老人福祉施設協会会長の石川憲氏が、推計の基礎となるデータを統合する必要性を指摘。全国健康保険協会理事長の小林剛氏は、推計の結果、サービス必要量が異なる場合に、どのように調整するかについても盛り込むよう求めた。もっとも、全日本病院協会会長の西澤寛俊氏からは、各計画の整合性を図り、実行に当たって、都道府県と市町村が連携する必要性は、2014年9月に総合確保方針が策定された時から指摘されていたことであるため、「2年前と全く同じ論点が出ている」と問題提起し、この2年間の行政の取り組みを質す意見も出た。地域の職能団体の連携が必要 (2)の「在宅医療の推進および在宅医療と介護の連携の推進に関する視点」の関連では、日本看護協会副会長の菊池令子氏は、保健所の役割を積極的に位置付けるよう提案。その理由として、2次医療圏単位での医療資源の状況を把握していることなどを挙げた。一方で、大西氏は、都道府県のほか、政令指定都市と中核市なども保健所の設置主体であることから、保健所の位置付けも含め、地域の実情を踏まえて連携等の体制構築が求められるとした。(3)の「医療・介護の連携の核となる人材に関する視点」については、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、「多職種の連携を進めるためには、施設間の連携や地域の職能団体同士の連携が必要」と指摘。そのほか、多職種連携や人材確保について、先進的な取り組みを横展開する必要性などが挙がった。>

医療介護総合確保会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)の「総合確保方針の改定に向けた論点(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000141612.pdf)p3「都道府県や市町村の連携が進むよう、例えば、関係者が協議を行う場を設けることとしてはどうか」とあるが、都道府県単位の協議の場だけでは弱い。そもそも一般的な入院・退院は二次医療圏単位で考えるものであり、二次医療圏ごとの医療・介護連携の協議の場が不可欠である。医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)での保健所の役割を重視したい。保健所が医療介護連携に関与する理由は、①市町村域を越える広域的連携、②医療計画・地域医療構想との連動、③精神障害、難病、医療的ケア児等のケアがあるが、非常に重要な役割として、「地域評価」がある。「医療介護総合確保促進会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000129397.pdf)p13「在宅医療・介護連携推進事業の実施状況 ~都道府県別の平均実施数~」が評価されているが、これは一面でしかない。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、全く不十分である。医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の在宅医療関連分析データで評価する必要がある。中でも診療報酬の「介護支援連携指導料」の分析は欠かせない。医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では一般病床、療養病床を有する全ての医療機関について、退院調整加算、介護支援連携指導料等の算定件数が出ているだけでなく、1ヵ月間の退院先別患者数(居宅復帰率、施設も含めた在宅復帰率)、退院後の在宅医療必要量と提供、在宅復帰支援状況等が出ていることは常識としたい。病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は毎年更新のネット公開情報であり、医療介護連携の評価としても有用である。そして、全国の保健所が3年ごとに実施している「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の一般診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_ippan.pdf)、病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)をみれば、医療保険・介護保険での在宅医療の取り組み状況と実績の詳細(往診、訪問診療、訪問看護・指示書交付、訪問リハビリ、在宅看取り等の実施件数)が把握でき、歯科診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_shika.pdf)には、在宅医療サービスの実施状況;訪問診療(居宅、施設)、訪問歯科衛生指導、居宅療養管理指導(歯科医師による、歯科衛生士による)等もあり、これらも地域レベルの評価指標として活用できるであろう。在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)の資料「都道府県医療介護連携調整実証事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/jitu.pdf)では、退院調整もれ率、入院時情報提供率が把握されており、評価指標にも採用できるように感じる。調査方法が確立されており、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000060713.html)も活用できる。これからの連携事業は、①地域全体の視点による戦略的取り組み、②客観的指標による継続評価、③診療報酬・介護報酬とのリンク、の3点が重要と感じる。ところで、各都道府県がネット公開している医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、在宅医療・介護を実施する医療機関・介護施設がリストアップされているが、どれほど活用されているであろうか。
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介護保険の負担増とフレイル対策

2016年11月01日 | Weblog
共同通信「介護保険、3割負担案が浮上」(http://this.kiji.is/165868208631956980?c=39546741839462401)。<以下引用>
<介護保険制度の見直しで、現役並みに所得の高い高齢者を対象に、サービス利用時の自己負担を3割に引き上げる案が政府内で浮上していることが31日、分かった。増え続ける介護給付費の抑制が目的。実施する場合、来年の通常国会に提出予定の介護保険法改正案に盛り込むことになる。ただ、介護保険の自己負担は制度スタートから一律1割で、昨年8月から一定以上の所得(単身で年金収入だけの場合年収280万円以上)がある人を対象に2割にしたばかり。浮上しているのは、2割負担の人の一部をさらに引き上げる内容。高齢者からの反発は必至で、調整は難航しそうだ。>

介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の利用者負担(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000140156.pdf)、費用負担(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000140157.pdf)は医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の「入院時の光熱水費相当額に係る患者負担の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000139375.pdf)、「高額療養費制度の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138069.pdf)、「保険料軽減特例の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138070.pdf)とセットで理解したい。厚労省「第6期計画期間・平成37年度等における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000083954.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12303500-Roukenkyoku-Kaigohokenkeikakuka/shuukei.pdf)が出ていたように、各介護保険者では2025(平成37)年度の介護保険料の見込みを出しており、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で公表すべきと感じる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000126549.pdf)p7~p16で介護予防の取り組みによって要介護認定率が低下した事例が紹介されており、フレイル対策に力を入れたいものである。そういえば、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)に関して、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000115521.html)の資料「地域包括ケア「見える化」システムについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115418_1.pdf)、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115416_1.pdf)p12「地域包括ケア「見える化」システムへの在宅医療・介護連携に関するデータの掲載について」、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115370_1.pdf)が出ていた。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)の以前のバージョンでは「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)の分析データが見える化されていたが、昨年からの新しいバージョンではできなくなっている。これは「後退」であろう。3年ごとに全国の市町村が実施している「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)は、フレイル対策の評価指標として、ぜひ活用すべきと感じる。要介護認定率の評価だけでは「認定抑制」が懸念されるからである。ところで、「保険者インセンティブの検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)p1国保・後期高齢者医療「保険者努力支援制度の前倒し」は今年度からで、特別調整交付金(28年度分)に反映され、p8「後期高齢者医療における保険者インセンティブ」の固有の指標には、「高齢者の特性(フレイルなど)を踏まえた保健事業の実施状況」「後期高齢者医療の視点からの地域包括ケア推進の取組」がある。また、国保連合会ホームページ(https://www.kokuho.or.jp/hoken/public/hokenannouncement.html)の2016.03.28に「国保データベース(KDB)システム 活用マニュアル(平成28年3月版)」が出ているが、「要介護(支援)者認定状況」(帳票ID:P24_001)、「要介護(支援)者有病状況」(帳票ID:P24_002)、「要介護(支援)者突合状況」(帳票ID:P24_003)、「医療・介護の突合(要介護認定率)介護(要介護認定率)-経年変化」(帳票ID:P25_005)、「地域の全体像の把握」(帳票ID:P21_001)、「健診・医療・介護データからみる地域の健康課題」(帳票ID:P21_003)などは常識としたい。自治体単位の分析結果については、健康教育や研修などで積極的に活用すべきと感じる。「データヘルス計画(後期高齢者医療広域連合)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000102613.html)が出ているが、介護保険と後期高齢者医療・国保でタテ割りではあまりに効率が悪い。また、健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)では、「高齢者の健康」に関する目標値として、「介護保険サービス利用者の増加の抑制」「認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上」「高齢者の社会参加の促進(就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加)」等も掲げられており、介護予防・フレイル対策は健康増進計画の推進の一環でもある。国民健康・栄養調査企画解析検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128610)の「国民健康・栄養調査の重点テーマについて(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000113289.pdf)では、平成29年度の重点テーマは「高齢者の健康・生活習慣に関する実態把握」であり、「食事、身体活動、睡眠、身体状況(筋肉量等)、咀嚼・嚥下に関する実態把握」がポイントとされる。介護予防・フレイル対策は「タテワリ」から「まるごと」への転換が不可欠といえる。
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車中泊の血栓対策

2016年11月01日 | Weblog
朝日新聞「車中泊の血栓対策、中越地震きっかけ 主要市区の計画は」(http://www.asahi.com/articles/ASJBP4FLTJBPUTIL022.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<熊本地震でも問題になった車中泊のエコノミークラス症候群による死亡例は、2004年の新潟県中越地震で広く知られるようになった。新潟大医学部の榛沢(はんざわ)和彦講師の調査によると、中越地震の発生から2週間以内に、少なくとも6人が死亡する原因となった。新潟県はその後、災害時のエコノミークラス症候群の検診と治療のガイドラインを県医師会と作成。07年の新潟県中越沖地震では、予防を呼びかけるチラシ2万枚を車中泊の被災者に配った。医師らが41カ所の避難所で982人の被災者を検診したところ、数%の人から血栓などが見つかったが、犠牲者は出なかったという。山崎理・県福祉保健部副部長は「中越地震の教訓から真っ先に対策に取り組んだ」と振り返る。中越地震から対策に取り組む新潟大の榛沢講師は、自治体がさらに対策を進めるべきだと感じている。「予防効果がある弾性ストッキングを在庫に持つ店舗などと協定を結び、災害時に避難者に配布することも必要」と話す。>

平成28年熊本地震(http://www.bousai.go.jp/updates/h280414jishin/h28kumamoto/index.html)の対応の検証が進められている。「大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT)」(http://www.jrat.jp/)も活躍された。避難所の生活環境対策(http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/index.html)が重要であるが、今後の大規模災害では車中泊が増えるように感じる。平素から車中泊の血栓対策を意識した取り組みが必要かもしれない。
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療養費不正

2016年11月01日 | Weblog
中国新聞「金品伴う患者紹介防止 厚労省、療養費支給厳格に」(http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=294507&comment_sub_id=0&category_id=256)。<以下引用>
<健康保険を使ったマッサージ、はり・きゅう治療で療養費の不正請求が相次いでいる問題を受け、厚生労働省がまとめた対策の工程案が31日、分かった。介護施設の運営事業者らに金品を渡して患者紹介を受けたケースを療養費の支給対象外にするため、来年3月までに具体策を決める。11月2日に開かれる社会保障審議会の検討委員会に示す。共同通信の調査では、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で、出張料(往療料)や施術回数を水増しするなどの不正・不適切な請求をして、返還を求められたケースが過去5年半で約9億円に上った。背景には、自宅や老人ホームへの訪問施術にビジネス目的で参入する事業者の増加があるとみられる。金品を伴う患者紹介が不正請求を助長しているとの指摘もあり、厚労省は「不適切」と判断。療養費を支給しない方針だ。さらに、安易に頻繁な施術がされないよう、最初の施術から1年以上たっている患者に週4回以上施術する場合は、来年度から支給申請書にその必要性を記入させる。また、施術者が療養費を請求することで患者は自己負担のみで済む「受領委任制度」を導入するかについても、来年3月までに結論を出す。>

「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の一部改正について(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/160923-01.pdf)が出ているが、不思議とアップ項目が多い。まずは療養費(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken13/index.html)に対する社会的関心を高める必要があるかもしれない。柔道整復療養費検討専門委員会における議論の整理(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000136735.html)、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会における議論の整理(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000136720.html)が出ているが、果たしてこれで療養費の不正が防げるであろうか。「金品伴う患者紹介防止」も結構であるが、例えば、①療養費請求の電子化・チェック体制の一元化、②医療保険データベース(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)のような地域差分析を含む情報公開、③介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.jp/)のような施設情報の公表制度などがあってもよいように感じる。④立入検査のあり方も問われてもよいかもしれない。
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受動喫煙防止対策強化の行方

2016年11月01日 | Weblog
毎日新聞「受動喫煙 医療側「全面禁煙は非現実的」 厚労省ヒアリング」(http://mainichi.jp/articles/20161101/ddm/008/100/091000c)。<以下引用>
<厚生労働省は31日、他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙の防止対策強化について、病院、飲食業などの関係団体からヒアリングをした。同省は医療機関や学校の敷地内は全面禁煙とする案を示しているが、医療者側から「建物の外まで全面禁煙とするのは現実的でない」などと反発が出た。厚労省が12日に公表した新たな法整備の案では、医療機関と小中高校を「敷地内禁煙」、官公庁や運動施設、大学などを「建物内禁煙」、飲食店や船、駅、空港内などを「喫煙室による分煙可」としている。この日のヒアリングには10団体が出席。このうち民間病院などで作る四病院団体協議会は、敷地内禁煙が一般的な米国と比べ、日本は患者の平均入院日数が数倍長いことを挙げ「病院は生活の場により近い環境だ」と指摘。例外や経過措置などの弾力的な規制を求めた。日本ホスピス緩和ケア協会は「末期のがん患者が多く入院しており、喫煙の習慣に配慮して敷地内では認めている場合がある」と現状を説明した。また、飲食業の団体は「法律で一律に規制強化するのではなく、業界の自主的な取り組みを支援してほしい」、海運業の団体は「小さい船は、すぐに喫煙室を設置できない」と訴えた。日本医師会は2012年に「受動喫煙ゼロ宣言」を発表し、全医療機関で敷地内禁煙を推進する。厚労省は、あと1~2回ヒアリングを実施する。>

昨年12月の「がん対策加速化プラン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107743.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000107766.pdf)p7「平成22(2010)年にWHO とIOC がたばこフリーオリンピックを推進することに合意していることや、受動喫煙を減らすため、近年のオリンピック開催地では、すべての開催地で罰則規定のある法制上の措置が講じられていることに留意する。<実施すべき具体策>受動喫煙を減らすため、平成31(2019)年のラグビーワールドカップ及び平成32(2020)年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに、関係府省庁や都道府県等と連携しつつ、受動喫煙防止対策を強化する。」とあった。受動喫煙防止対策強化検討チームワーキンググループ公開ヒアリング(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000140821.html)が行われているが、受動喫煙防止対策強化検討チーム(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/kituenboshi/index.html)の継続的な資料公開を期待したい。厚労省「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000140971.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000140972.pdf)の行方が注目される。「美唄市受動喫煙防止条例」(http://www.city.bibai.hokkaido.jp/jyumin/docs/2015121700027/)、兵庫県「受動喫煙の防止等に関する条例」(https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf17/judoukitsuen_jourei.html)、「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」(http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f6955/p23021.html)が出ており、検証も必要であろう。注目は東京都受動喫煙防止対策検討会(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/kitsuen/judoukitsuenboushitaisaku_kentoukai/)かもしれない。受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=353354)の論点(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000124795.pdf)では、「喫煙室の面積に係る適正水準」「喫煙室の面積あたりの助成金額の適正水準」「受動喫煙防止対策が遅れている事業業者等に対する助成金の有効活用;特に飲食店・宿泊業等」があがっていたが、都道府県別の受動喫煙防止対策助成金の申請件数も気になるところである。その前に、厚労省をはじめ、官公庁の敷地内全面禁煙はどうなっているであろうか。
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TPPによる公的医療保険への影響

2016年11月01日 | Weblog
朝日新聞「TPP法案、4日衆院通過へ 政府方針、今国会成立濃厚」(http://www.asahi.com/articles/ASJB05HRQJB0UTFK00L.html?iref=comtop_list_pol_n01)。

M3「試される日本の国民皆保険 手足を縛る協定のルール 視標「TPP審議」」(https://www.m3.com/news/general/472547)。<以下引用>
<環太平洋連携協定(TPP)の承認に関する国会の審議がヤマ場を迎えた。コメなど農業分野に関する議論が中心になっているが、協定や付属文書のほとんどは、広範囲に及ぶ経済規制に基準を設ける内容だ。これらのルールによって、政府は手足を縛られる恐れがあり、慎重な議論が必要だ。21世紀の貿易協定の争点は、市場開放よりも投資が主だ。協定に盛り込まれるルールは、医療の価格や水準、公立病院など国の保健医療制度の根幹に関わる政策の選択の幅を制限する。TPPだけでなく、米国と欧州連合(EU)の環大西洋貿易投資協定(TTIP)交渉についても、健康を担当する官僚や専門家たちの間で反対論が強まっている。健康は貿易協定とどのような関係にあるのだろうか。最大の争点は、特許権を強化する知的財産権の条項だ。これが独占価格を維持し、薬価の高騰を招く。例えば特許切れが迫った薬に簡易な手直しを加えて新薬とすることで特許期間を延長したり、医薬品の認可に必要な臨床試験データや生物製剤のデータを独占したりして、後発医薬品との競争激化を遅らせる。さらに、投資家が国家を訴えることができる紛争解決(ISDS)条項によって、外国企業が将来の利益の妨げとなる医療保険制度をめぐって政府を訴えることが可能だ。食品安全、国営企業、政府調達など協定の幅広い基準や条項によって、最も緊急性が高い公衆衛生上の優先課題に対する政府の対応能力が損なわれる恐れがある。すでに、がんやC型肝炎など、生命を脅かす病気を治療するのに必要な薬の価格が高騰し、政府、保険会社、家計を苦しめ、医薬品を手に入れられない多くの患者を生み出している。TPPなどの新貿易協定は、知的財産権の独占と価格の高騰を定着させる。その結果、公衆衛生上の最優先課題、例えば薬剤耐性(AMR)の増加、ジカ熱などの世界的な新たな脅威、エボラ出血熱などの喫緊の課題に対する新たな抗生物質を開発するための技術革新に必要なインセンティブを減らしてしまう。このような理由から、医薬品へのアクセスに関する国連のハイレベルパネルが設立され、医療保険を享受する権利と貿易協定との間にある「矛盾」を是正しようとしてきた。筆者もメンバーに加わったパネルの報告は、9月に発表され、貿易協定は、真の技術革新を伴わない特許権や独占権を強化する方策を含めるべきではないと主張した。また私たちは、貿易協定の交渉や締結の際、各国が健康への影響を厳格に評価するよう提言した。この報告は、世界において最も先進的な公衆衛生システムを有する日本にとって重要な課題だ。日本では公的医療保険制度(国民皆保険)によって、誰もが低価格で高品質な医療サービスを受けることができ、それが日本国民や日本経済の力の源となってきた。世界最長の平均寿命の源泉となっただけでなく、経済面のダイナミズムや繁栄を共有する源でもあった。TPPの承認について国会で採決する前に、TPPがもたらす経済的利益と損失、そして健康に与える影響を厳密に調べ、その結果を国民全体に知らせて議論を促す必要がある。>

全国保険医新聞(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/shinbun/160905.pdf)や「TPP 24のギモン」(http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpp-q&a.pdf)では「後発品の製造困難、医薬品高騰のおそれ」とあるが、国民皆保険に本当に影響しないのであろうか。公的医療保険のあり方も変わるかもしれない。まさか、それが「保健医療2035」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/)にいう「保健医療分野における国際的な貢献」というわけではないであろう。「TPP 24のギモン」(http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpp-q&a.pdf)をみれば、「TPP=農業問題」では決してないことがわかる。日本医事新報平成28年3月12日号p11「TPPだけではない、医療も交渉対象の経済連携協定」では「日米両国間の交換文書では、両政府はあらゆる分野で再協議の用意があることを確認しており、新薬特許保護期間の延長をはじめ、いずれ再交渉への動きが出てくると懸念する声もある。各国の規制緩和を通じて自由貿易を促す多国間協定は、TPP以外にも交渉が進められている。その1つが、日米欧など20以上の国・地域が参加する「新サービス貿易協定」(TISA)だ。交渉対象は「モノ以外のすべての貿易」。医療をはじめとする公共性の高い事業サービスや保険も含まれている。日本がTPP交渉に参加する1ヵ月前の2013年6月から協定締結に向けた「本格交渉」段階に移っている。外務省は「わが国にとってサービス貿易は「攻めの分野」と経済効果への期待を強調しているが、詳しい内容は公開されていない。秘密性の高さを含めてTPPと性質が非常に似ているため、日医総研の坂口一樹研究員は、TISAを「TPPに次いで米国が放ってきた“第二の矢”」と評し、警戒を促している。」とあった。「新サービス貿易協定(TISA)」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000387.html)(http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000006996.pdf)は社会一般にどれほど知られているであろうか。そういえば、全国保険医新聞(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/shinbun/160905.pdf)の「「オプジーボ」の薬価は英国に比べて日本は約5倍に上る」の件について、ようやく見直しの方向のようである。
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