保健福祉の現場から

感じるままに

TPPと医療問題

2012年02月23日 | Weblog
NHK「日米両政府 TPP協議継続で一致」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120223/k10013225401000.html)。<以下引用>
<TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加に向けた日本とアメリカとの2回目の協議がワシントンで行われ、日米両政府は、現在9か国で進められている交渉の現状などを確認しながら、今後も協議を続けていくことで一致しました。日本のTPP交渉への参加を巡る2回目の日米協議は、21日から2日間にわたってワシントンで開かれ、日本からは外務省の片上経済外交担当大使をはじめ、経済産業省や農林水産省など関係省庁の実務レベルの担当者が出席しました。2日間の協議では、日本側はアメリカ側から物品・サービスや知的財産など、TPPの対象となる21の分野ごとに、現在9か国で進めている交渉の現状について聞くとともに、日本側はこれまでに締結した経済連携協定や国内制度の状況などについて説明したということです。協議終了後、片上大使は記者団に対し、今回の協議について「突っ込んだ議論が行われた」と述べましたが、アメリカ側から自動車市場の開放など具体的な要求は特に示されなかったことを明らかにしました。また、アメリカ通商代表部も、協議後、声明を発表し、「アメリカとしては、日本がTPPの目指す高いレベルの自由化にどこまで応じる姿勢があるかを確認するよい機会となった」として、次回の日程は未定ながらも、日米両政府が協議を続けていくことで一致したとしています。>

保険医団体連合会が「TPPと国民皆保険医療」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/120215tpp-iryou.pdf)を出している。日本政府「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果(米国)」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20120208_tppkyougikeka.pdf)p4では、「公的医療保険制度を廃止し,私的な医療保険制度に移行する必要があるとの情報や,また,いわゆる単純労働者の移動を受け入れる必要があるとの情報も流れているが,米国が他のTPP交渉参加国にそのようなことを要求していることはない。」とされるが、2月7日に、外務省が米国政府が実施した日本のTPP交渉参加に関する意見募集結果を民主党プロジェクトチームに報告し、米国の製薬団体Pharma(米国研究製薬工業協会)は「日本がTPP交渉国となる場合は薬価算定ルールの改革、医薬品規制改革などが協議の対象とされるべき」とした上で日本の参加に賛成を表明した、と報道されている(医事新報2月11日号)。「薬価算定ルールの改革」は、日本の医療の公定価格である診療報酬に影響しないとはいえないであろう。先般の日本医師会医療政策会議報告書(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120208_1.pdf)によると、第1段階「日本の医療機器・医薬品価格規制の撤廃・緩和要求」、第2段階「医療特区(総合特区)での株式会社の病院経営の解禁と混合診療の原則解禁」、第3段階「全国レベルでの株式会社の病院経営解禁と混合診療の原則解禁」の3段階要求が予想されている。「TPPの目指す高いレベルの自由化」の中身に注目である。参議院質疑(http://www.youtube.com/watch?v=Toikp4JoDaw&feature=related)で話題になったISD条項は触れられたのであろうか。
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介護予防 各自治体の実態は?

2012年02月23日 | Weblog
平成22年度介護予防事業(地域支援事業)の実施状況に関する調査結果(http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/02/tp0222-1.html)が出ているのでみておきたい。これによると、「高齢者人口に占める基本チェックリストの実施率は29.7%にとどまっており、要介護状態等となるおそれの高い虚弱な状態にある高齢者を十分に把握できているとはいえない状況」である。二次予防事業参加者の高齢者人口に占める割合は0.5%で、制度開始当初目標としていた5%(20年度)に遠く及ばない。二次予防事業参加者のうち、改善による終了者は43.3%とされ、それなりの効果はあがっているようであるが、事業が低調なのは間違いない。さて、今年4月からの各地の一号(65歳以上)介護保険料が出揃ったようである。以前、厚労省から基準額が月額5000円を超える見込み(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/dl/hokenryousettei.pdf)とされ、今年度までの月額4160円から大幅なアップとなる。毎日新聞「介護保険料:65歳以上、4月から4割値上げへ--大牟田市 /福岡」(http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20120120ddlk40010376000c.html)という報道のように、もっと上がる地域が少なくないであろう。介護保険料が上がるのは、①介護職員処遇改善交付金(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/10/tp1023-1.html)について、介護報酬の加算で「税対応から保険対応への振り替え」が行われたこと、②1号(65歳以上)被保険者の負担割合が20%から21%に引き上げられたこと、③介護給付費準備基金の取り崩しが第4期計画のようにはいかないこと(第4期計画で基金残額が少なくなった)等も小さくないが、介護保険料はサービスと一体(サービスが少なければ保険料が下がり、サービスが多ければ保険料が上がる)で、要介護高齢者が増加し、サービスが増えたことが根本にある。介護保険料を抑えるためには、施設から在宅への移行、そして、介護予防が進められなければならない。今年度までに各市町村で実施された「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/dl/niizucyousa.pdf)の結果をみれば、介護保険予備群が非常に多いことがわかる。ニーズ調査には、基本チェックリストの項目が含まれており、各市町村の介護保険事業計画策定委員会では、介護予防の必要性を実感された方が少なくないかもしれない。今回の調査結果の公表は国レベルの統計であるが、住民の予防意識と自治意識を醸成するためには、やはり、都道府県や市町村統計が公表されるべきと感じる。そういえば、現在、平成25年度からの次期国民健康づくり運動プランの策定作業(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f2q.html#shingi40)が進められ、素案(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022u60-att/2r98520000022u7h.pdf)p12では、目標として、「要介護状態の高齢者の割合の減少」「認知機能低下ハイリスク高齢者の発見率の向上」「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を認知している国民の割合の増加」「就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加」が掲げられているのが注目される。各自治体では健康増進計画、介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画が一体となって推進される必要がある。縦割りではいけない。ところで、このところ、連日のように管内市町村の様々な会議に出席しているが、同じような方々と顔を合わせている。案外、縦割りは行政組織だけなのかもしれない。
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組織横断による精神保健医療福祉

2012年02月22日 | Weblog
先般、四病院団体協議会が「精神保健行政の組織移し替えについて」要望書(http://www.nisseikyo.or.jp/home/about/05teigen/2011/120203.html)を出している。障害者基本法(http://www.ron.gr.jp/law/law/syougai.htm)第二条の障害者の定義で、身体障害者、知的障害者と並んで精神障害者が位置づけられ、精神保健福祉法(http://www.ron.gr.jp/law/law/seisin_h.htm)、障害者自立支援法(http://www.ron.gr.jp/law/law/sho_jiri.htm)等に基づき、様々な施策が展開されている。確かに要望書の指摘にあるように、新たな医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhrr.pdf)では精神疾患が追加されることは大きい。医療計画に基づき、早期相談支援・受診勧奨、GP連携(かかりつけ医ー精神科専門医の連携)、退院調整、社会参加の推進が図られることになる。そういえば、先般の「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/08/txt/0809-1_1.txt)では、精神科医療について、「精神疾患の入院ニーズを精査し、国並びに都道府県は精神科病床の削減計画を立て、入院に代わる地域での医療体制を構築することが必要である。」、「精神病患者を精神病室でない病室に入院させないこととしている医療法施行規則第10条三項を廃止する。」とされていたが、精神障害者福祉は「医療」と密接に連携しなければいけないのはいうまでもない。とにかく、「精神疾患の医療体制構築に係る指針」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhxj.pdf)をみれば、精神疾患だけで、一つの計画が策定できるほどのボリュムである。しかし、精神疾患は障害担当部局医療担当部局以外にも様々な部局が絡んでくる。例えば、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rf2j-att/2r9852000001rf81.pdf)p4で、第3期障害福祉計画(都道府県平成24~26年度)における病院からの退院に関する明確な目標値の設定として、平成26年度までに「1年未満入院患者の各月の平均退院率を7%相当引き上げる」とともに、「入院期間5年以上かつ65歳以上の退院者数を現在よりも20%増加させる」を指標にすることが示されている。特に認知症に関しては、平成32年度を達成時期として、「新たな入院患者について50%が2ヵ月以内の退院」という目標が提案されている(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001nyoe-att/2r9852000001nyts.pdf)が、高齢者の精神疾患対策となれば、高齢福祉担当部局との連携が重要になる。介護保険事業計画では、認知症対応のグループホーム・デイサービス等をはじめ、うつや認知症等の介護予防も位置づけられている。精神科病床の認知症患者の退院には、介護保険サービスとの連携が不可欠である。また、健康増進担当部局による次期国民健康づくり運動プラン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f2q.html#shingi40)では、心の健康も柱の一つになるほか、労働安全衛生法の改正(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001slpa-att/2r9852000001slro.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001slpa-att/2r9852000001slqr.pdf)による職場のメンタルヘルス対策強化もますます重要になってくる。こうみてくると、精神保健行政を保健医療部局に移し替えるというよりも、組織横断による精神保健医療福祉が不可欠と感じる。縦割り行政では進められない。地域においては、やはり保健所の役割が期待される。医療計画を推進する保健所が、市町村の障害福祉計画、介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画、地域福祉計画(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/c-fukushi/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/c-fukushi/kekka0504.html)、健康増進計画に積極的に関与するとともに、地域職域連携を推進しなければならないであろう。20日の障害保健福祉関係主管課長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/)には目を通しておきたい。
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保険料率の都道府県格差と医療費適正化計画

2012年02月21日 | Weblog
先般、平成24年度の協会けんぽの保険料率(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/detail.1.92414.html)が出ている。全国平均で現在の9.50%から10.00%に上がるが、最高の佐賀県(10.16%)と最低の長野県(9.85%)の格差は前年より0.10ポイント増の0.31ポイントに広がっているのが注目される。平成25年9月までは、激変緩和措置を講じた上で、保険料率が設定され、実際の保険料率と全国平均の保険料率との差が調整(http: //www.kyoukaikenpo.or.jp/8,12467,131.html)されており、今後も格差が拡大する見込みになっている。なぜ、保険料率に都道府県格差がつくか、わかりやすい説明が必要かもしれない。基本的に保険料はサービスと一体(サービスが少なければ保険料が下がり、サービスが多ければ保険料が上がる)であり、これは、近々話題になるであろう介護保険料も同様である。ところで、1月6日に閣議決定された「社会保障・税一体改革素案」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/pdf/240106houkoku.pdf)p13で、「市町村国保の低所得者保険料軽減の拡充など財政基盤の強化と財政運営の都道府県単位化」が示されていたが、2月3日に国保法改正案(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/180-11.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/180.html)が国会提出されており、都道府県単位の共同事業が平成27年度から全医療費に拡大される予定である。医療保険財政の都道府県単位化で強調されなければならないのは、医療費適正化計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001suet-att/2r9852000001suj1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001suet-att/2r9852000001suj8.pdf)の推進であろう。各都道府県の「医療費適正化計画」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02c.html)の計画進捗状況は、それぞれの自治体ではどれほど理解されているであろうか。医療保険財政の改善策は「保険料率引き上げ」「税金投入」「給付削減」だけではないはずである。厚労省資料「医療費の適正化対策等の取組みについて」(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/3e57b28a279ed19e492577ee0026d9fa/$FILE/20101203_2shiryou6.pdf)や全国健康保険協会「医療費適正化の取組み事例集」(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/resources/content/77095/20110726-165246.pdf)は参考にしたい。
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がん検診受診者数の大幅減少

2012年02月21日 | Weblog
1日発行の対がん協会報581号で「10年度の検診受診者は1162万人」「対前年度比10万8千人の減少」「乳がんや胃がんで顕著」の見出しが目についた。平成22年度(2010年度)の対がん協会支部「がん検診の実施状況」まとめによると、各がん検診の受診者数は、乳がん検診(41団体)127万4916人(対前年度比5万4220人減少)、胃がん検診(41団体)243万1647人(対前年度比4万6101人減少)、大腸がん検診(41団体)224万3113人(対前年度比6841人減少)、子宮頸がん検診(41団体)145万1597人(対前年度比5412人減少)などとなっている。がん検診の実施機関は対がん協会支部だけではないため、一概にはいえないが、平成22年国民生活基礎調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/3-6.html)によると、がん検診受診率について、胃がん検診は男性34.3%・女性26.3%、肺がん検診は男性24.9%・女性21.2%、大腸がん検診は男性27.4%・女性22.6%、子宮がん検診は24.3%、乳がん検診は24.3%で、いずれのがん検診も、国のがん対策推進基本計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html)や各都道府県がん対策推進計画(http://ganjoho.ncc.go.jp/public/news/2008/plan.html)に定める「受診率目標50%」には遠く及ばない。がん検診の受診率が伸びていない(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/3-6.html)ばかりか、大腸がん検診は前回調査の平成19年よりも低下している。そういえば、「平成20年度地域保健・健康増進事業報告の概況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/08/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/08/dl/date03.pdf)p14では、平成19年度から20年度にかけて、全国で胃がん、大腸がん、肺がん検診の受診率が大幅に低下していたが、がん検診受診者数の低下傾向は続いているようである。これによって何人が早期発見が遅れ、命が失われているのであろうか。先般の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/01/dl/tp0118-1-90.pdf)p118では「科学的根拠に基づく種類・方法等によるがん検診が、それぞれ指針に基づき、全市町村において住民に対し提供されるよう、指針に基づく精度管理・事業評価を実施していない市町村、指針に基づく種類・方法等によるがん検診を実施していない市町村がん検診の受診者に人数制限を加えている市町村に対する指導・助言方よろしくお願いする。また、次期基本計画に基づき、厚生労働省においては、がんの検診項目、精度管理、受診率向上のための取組について検討する予定としている。なお、平成24年1月1日時点における市町村がん検診の実施状況等について、近日中に都道府県を通じて調査を行う予定としているので、御協力方よろしくお願いする。」とされる。市町村がん検診の実態調査がそのままネット公表されれば、「がん検診を実施していない市町村」「がん検診の受診者に人数制限を加えている市町村」が判明するが、どうなるであろうか。とにかく、内閣府がん対策に関する世論調査(http://www8.cao.go.jp/survey/h21/h21-gantaisaku/index.html)における、がん対策に関する政府への要望について、「がんの早期発見(がん検診)」67.0%がダントツトップであることは認識したい。がん検診受診率を向上させるには、まずは、国民に対するがん検診の普及啓発なのであるが、それだけではなく、自治体のがん検診施策に対する関心を高めることが必要と感じる。がん検診は、平成10年度から地方交付税対応となり、以前、交付税算定額が拡充(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_kenshin03.pdf)されているが、事務費を含めて、目標の受診率50%に見合う十分な財源がきていないのも確かである。1月25日の総務省の全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議では、「がん検診事業費については市町村のがん検診予算額に見合うよう前年度並みの1300億円程度の地方財政措置」(保健衛生ニュース2月20日号)とされているが、予算上の受診率はどれほどであろうか。がん対策基本法(http://www.ron.gr.jp/law/law/gan_ki.htm)第9条に基づく「がん対策推進基本計画」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html)は、平成24年度から新たな計画がスタート(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001gxqf-att/2r9852000001gxv2.pdf)するが、がん検診の受診率目標と、そのための制度・施策・予算がどうなるか、注目である。継続審議となっている「子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案(平成22年11月19日提出)(http://houseikyoku.sangiin.go.jp/sanhouichiran/sanhoudata/174/174-012.pdf)の行方も注目したい。がん検診には莫大な予算がかかるが、それは単なるコストではなく、労働者・納税者の命を守るバリューであるという根本的な考え方が必要と感じる。
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非正規職員割合のさらなる増加

2012年02月20日 | Weblog
総務省が労働力調査平成23年平均(速報)結果(http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.htm)を出している。結果(http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/ndtindex.pdf)をみると、非正規職員・従業員の割合は平成15年度以降、一貫して上昇し、昨年は35.2%になっている。p9では、週間就業時間35時間以上の非正規職員・従業員の年間収入について、男性では100万~199万円と200万円~299万円がそれぞれ3割、女性では100万~199万円が5割余を占めている。p11に出ているように、完全失業者数は284万人で前年に比べて33万人減少してるが、平成16年3月からの労働者派遣法改正(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kaisei/dl/haken.pdf)によって非正規雇用の割合が増加していることを懸念する方が多いであろう。例えば、「第6回21世紀成年者縦断調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen09/index.html)では、仕事の有無別のこの5年間の結婚状況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen09/kekka1-3.html)において、男性は、仕事あり(正規)24.0%、仕事あり(非正規)12.1%、仕事なし9.0%であり、非正規雇用は少子化に拍車をかけていることがわかる。「非正規雇用で生活保護20兆円-シンクタンク試算」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15814.html)と出ているように、非正規雇用の増加は、少子化ばかりか、将来の生活保護の増加として、跳ね返ってくる可能性があることは認識したい。
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気になる保健所長資格要件の規制緩和の動向

2012年02月20日 | Weblog
15日に開催された国の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会第4回委員会(http://www.naiic.jp/wp-content/uploads/2012/02/ik04.pdf)で、前保安院長が「私は原子力の知見を持っていない。文科系卒で原子力工学を専攻したわけではないから」と発言したらしい(http://tanakaryusaku.jp/2012/02/0003694)。健康危機管理の現場に立つ保健所長が「私は専門外で知見を持っていない」ということが許されるであろうか。健康危機管理だけではない。保健所長が直接規定されている法律(http://ww2.ctt.ne.jp/~hopo/hc.html)が少なくないばかりか、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第4条による「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/10/tp1030-2.html)に基づく保健所業務を推進するためには、保健所長はそれに相応しい知見を持たなければならないのは当然である。すでに、厚生労働省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/02/dl/120214-01_11.pdf)資料編p5に出ているように、保健所長の医師資格要件は一定の条件のもとで緩和されているが、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/02/dl/120214-01_11.pdf)p4で、「構造改革特区第19次提案(全国知事会要望分)においても保健所長の医師資格要件の見直しが提案されており引き続き議論がなされる予定」とされている。これは気になるところである。知事は医師である保健所長を評価していないということであろうか。平成16年の「保健所長の職務の在り方に関する検討会」報告書(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0331-2.html)後の見直し(http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/04/tp0423-2a.html)(http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/04/dl/tp0423-2.pdf)によって、医師以外が必要な要件(十分な医学知識認定、5年以上の実務経験、養成訓練課程終了)を満たせば保健所長になることができる。また、医師資格だけでは保健所長になれず、公衆衛生行政に精通していなければならない要件(3年以上の衛生行政経験、国立保健医療科学院研修または同等以上の大臣認定)がある。したがって、「保健所長の医師資格要件」ではなく、正確には「保健所長の十分な医学知識・衛生行政要件」である。しかし、例えば、感染症や食品衛生等は一つの自治体で完結しないことが少なくない。全国各地の保健所(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-top.html)が常日頃から連携して対応にあたっている。一つの保健所管内の問題が全国に波及するのである。地方分権改革推進法(http://www.ron.gr.jp/law/law/tiho_bun.htm)第二条で、「地方分権改革の推進は、国及び地方公共団体が共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にあることを踏まえ、それぞれが分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高めることによって、地方公共団体が自らの判断と責任において行政を運営することを促進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとする。」と規定されているが、保健所長の資格要件見直しによる「地方公共団体の自主性及び自立性を高めること」が「公共の福祉」を高めることに本当につながるであろうか。「連携の要となる医師会や医療機関の長との調整において、対外的に医師資格を有する保健所長が当たることは、現実的な対応として非常に有用であり、現に機能している。」は、健康危機管理だけではなく、ますます重要になっている「医療連携・医療介護連携・地域包括ケア」でも不可欠なのはいうまでもない。地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第6条において、保健所は「公共医療事業の向上及び増進に関する事項」について企画、調整、指導及び必要な事業を行うと規定され、地域保健法第4条による「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/10/tp1030-2.html)において、保健所の運営として、「保健、医療、福祉のシステムの構築、医療機関の機能分担と連携等について企画及び調整を推進する」とされている。また、平成19年7月20日の通知(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/191113-k00.pdf)の「第4医療計画作成の手順等 2疾病又は事業ごとの医療連携体制構築の手順 (2)協議の場の設置 ② 圏域連携会議」において、「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。また、状況に応じて、地域連携クリティカルパス導入に関する検討を行う。」とされている。こうした保健所の役割が十分な医学知識のない所長のもとで果たせるかどうかである。そういえば、以前、某学者から「英国では約2割の病院長が看護職であるとし、公衆衛生修士の資格を保健所長や病院長の前提にすること」が提案(公衆衛生情報32巻11号P53)されており、非常に気になるところである。保健所は医療法(http://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)第一条の五による診療所でもあり、医療法(http://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)第十条には医療機関管理者の医師資格要件が定められている。「まずは保健所長から...」ということなのであろうか。以前の経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/minutes/2008/0523/agenda.html)の資料(http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/kaisai/dai48/48shiryou4.pdf)p6にも掲げられていたことを鑑みると、「保健所長の医師資格要件廃止」が経済財政対策として案外重視されているのかもしれない。先般の日本医師会医療政策会議報告書(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120208_1.pdf)によると、第1段階「日本の医療機器・医薬品価格規制の撤廃・緩和要求」、第2段階「医療特区(総合特区)での株式会社の病院経営の解禁と混合診療の原則解禁」、第3段階「全国レベルでの株式会社の病院経営解禁と混合診療の原則解禁」の3段階が予想されているが、特区の準備につながらないとも限らない。
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外部被ばく線量の推計結果

2012年02月20日 | Weblog
20日、福島県が「県民健康管理調査」基本調査の外部被ばく線量の推計結果(第2報)」(http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240220gaiyo.pdf)(http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240220siryo.pdf)を公表している。それによると、放射線業務従事経験者を除く9747名(川俣町山木屋地区553名、浪江町7250名、飯舘村1,944名)の積算実効線量について、1mSv未満5636名(57.8%)、1~10mSv9676名(99.3%)、10mSv超71名(最大23.0mSv)で、20歳未満(1693名)では、1mSv未満1035名(61.1%)、1~10mSv1692 名(99.9%)、10mSv超1名(最大18.1mSv)である。また、放射線業務従事経験者を含む全数(10468名)の積算実効線量について、1mSv未満6070名(58.0%)、1~10mSv10373名(99.1%)、10mSv超95名(最大47.2mSv)である。この値はあくまで外部被ばくだけであり、食べ物・飲料水等による内部被ばくも考慮する必要があるが、昨年末の政府「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」(http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/news_111110.html)の報告書(http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/111222a.pdf)p9では、喫煙は1,000~2,000ミリシーベルト、肥満は200~500ミリシーベルト、野菜不足や受動喫煙は100~200 ミリシーベルトのリスクと同等とされており、過度な不安よりも生活習慣の改善やがん検診等による予防が重要であろう。なお、子どもについては、別途、超音波による子どもの甲状腺検査(http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyou.pdf)(http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/dai8/sankou1.pdf)が実施されているように、長期的な評価が不可欠である。大規模集団での低線量被ばくによる晩発障害(http://www.remnet.jp/lecture/forum/02_04.html)の確率的影響(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E9%9A%9C% E5%AE%B3)はやはり気にならないではない。ところで、放射線業務従事経験者では、外部被ばく量がやや高い結果が出ている。福島第一原発事故で避難されている町長への取材内容(http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=123919)も気になるところである。
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所在不明高齢者と年金不正受給

2012年02月20日 | Weblog
6日の社会保障審議会年金部会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021kjh-att/2r98520000021ko3.pdf)p18で、年金の不正受給対策として受給資格のある高齢者が行方不明となった場合に同居親族らに届出を義務付ける方針が出ている。果たして、これによって、所在不明高齢者がどれほど少なくなるであろうか。届出しない場合の罰則規定にもよるかもしれない。一方で、年金機構や市町村による積極的な確認も必要と感じる。例えば、一定期間の後期高齢者医療や介護保険の未利用者だけでなく、後期高齢者健診の未受診者、さらには選挙での未投票者情報等を活用すれば、所在不明疑いの後期高齢者は絞られるはずである。レセプトや健診の電子データ管理も活用したい。確認には民生委員の協力も必要であろう。ヨーロッバでは生存確認が行われている(http://www.election.ne.jp/10870/83856.html)ではないか。さて、以前「昨年夏に把握した所在不明高齢者事案に関するその後の状況」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000011vyn.html)が出ていたが、厚労省がサンプル調査したのは、あくまで「85歳以上」かつ「現況届を出して年金を受給している方」770名(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000nks5-img/2r9852000000nkud.pdf)であって、そのうち、行方不明・死亡であるにもかかわず年金が支給されているのが23人であった。これをもとに、厚労省は、「85歳以上」の「現況届を提出する方」のうち、健在が確認できない方で年金が支給されている方は800人程度と推計している(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000nks5-img/2r9852000000nkut.pdf)。確かに、平成18年10月から住基ネットを活用して年金受給者の現況確認がなされている(http://www.sia.go.jp/topics/2006/n1120.html)が、総務省通知「住民基本台帳の記録の正確性の確保」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_01000002.html)で示すように、そもそも住民基本台帳の記録が怪しいとなれば、住基ネット確認者も含めた調査が不可欠と感じる。また、85歳未満も含めての調査が必要であろう。所在不明高齢者と年金不正受給は、まさに日本人のモラルの問題と感じる。届出義務付けの行方に注目である。ところで、資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021kjh-att/2r98520000021ko3.pdf)p17では、度重なる厚生年金への加入指導に従わない悪質な企業などを公表する制度を新設する方針が示されている。全ての法人事業所と5人以上の従業員が働く個人事業所には厚生年金への加入義務があるが、平成22年度末で、約10万8千の事業所が加入未適用という。この行方も気になるところである。
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原発事故調査委員会と健康危機管理

2012年02月19日 | Weblog
15日に開催された国の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会第4回委員会報告(http://www.naiic.jp/wp-content/uploads/2012/02/ik04.pdf)が出ているので目を通しておきたい。ここに記される、①安全指針そのものに瑕疵があったことを原子力安全委員会が認めた点、②組織が住民あるいは国民の安全を守るという意識が欠如しているということが判明した点、③組織としての専門性のなさ、組織の長としての専門性のなさによる問題が浮き彫りにされた点などは、健康危機管理でも参考になるように感じる。なお、フリー記者のネット記事(http://tanakaryusaku.jp/2012/02/0003694)で最も注目されたのは、前保安院長の「私は原子力の知見を持っていない。文科系卒で原子力工学を専攻したわけではないから」の発言かもしれない。指導層の無謬主義と無責任体制はダメである。

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介護保険料

2012年02月19日 | Weblog
NHK「現役世代の介護保険料過去最高額に」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120219/k10013124291000.html)。<以下引用>
<40歳から64歳までの現役世代が支払う介護保険料は、ことし4月以降、平均で月額4600円余りと今よりもおよそ180円増え、これまでで最も高くなることが厚生労働省の推計で分かりました。介護保険制度では、介護サービスにかかる費用の半分を税金で賄うほか、3割を40歳から64歳までの現役世代が、そして残りの2割を65歳以上の高齢者が支払う保険料などで負担する仕組みになっています。高齢化に伴い、介護サービスを利用する高齢者が増えていることや、事業者に支払われる介護報酬がことし4月から全体で1.2%引き上げられることから、厚生労働省は来年度、介護サービスにかかる費用はおよそ8兆9000億円と、これまでで最も多くなると推計しています。これに伴い、現役世代が支払う保険料も増え、ことし4月からの1人当たりの負担額は、平均で月額4697円と今よりも181円増え、これまでで最も高くなることが分かりました。保険料の半額は企業が負担するため、自己負担は平均で月額2349円で、いまよりも91円増えることになります。また、高齢者が支払う保険料もことし4月からは全国平均で月額5000円前後になる見通しで、高齢化が急速に進むなかで、増え続ける介護費用をどのように負担していくかが課題となっています。>

NHKでは報道されていないが、平成24年度からの第5期計画では、負担割合について現役世代は30%から29%に引き下げ、65歳以上は20%から21%に引き上げられるため、現役世代の保険料で本来もっと上がるはずだった分を、高齢者の保険料に振り替えられることになった。さて、そろそろ各市町村の65歳以上の介護保険料が一斉に公表されるはずであるが、毎日新聞「介護保険料:65歳以上、4月から4割値上げへ--大牟田市 /福岡」(http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20120120ddlk40010376000c.html)のように、大幅アップの市町村が多いであろう。これは、①要介護高齢者の増加だけではなく、②介護職員処遇改善交付金(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/10/tp1023-1.html)について、介護報酬の加算で「税対応から保険対応への振り替え」が行われたこと、③1号(65歳以上)被保険者の負担割合が20%から21%に引き上げられたこと、④介護給付費準備基金の取り崩しが限られること(第4期計画で基金残額が少なくなった)等による。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dl/tp101027-01b_0002.pdf)で、準備基金の取り崩しや介護従事者処遇改善臨時特例交付金による軽減効果を抜いた第4期の「実力ベース」4500円が示されているように、3年前の第4期計画策定時に、莫大な基金取り崩しや政府予算投入によって、見かけ上、介護保険料の抑制を図ったことが、今表面化しているといえる。とにかく、「介護保険料は低ければよい」というのではなく、介護保険料はサービスと一体である(サービスが少なければ保険料が下がり、サービスが多ければ保険料が上がる)ことと、介護保険料を無理に抑制し、赤字が出て財政安定化基金から借り入れ(http://www.tmnf.net/kourei9.html)すれば、次回以降計画で65歳以上の保険料に上乗せされる仕組みになっていることをしっかり理解したい。各市町村では、4月からの介護保険料アップ理由について、説明を徹底するとともに、住民の予防意識と自治意識を高める必要があるように感じる。
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生活保護医療扶助の適正化

2012年02月19日 | Weblog
平成24年度社会保障関係予算政府案(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/yosan012.pdf)p6で、生活保護の適正化として、原則後発医薬品の使用と電子レセプト点検強化により、▲124億円が示されていた。厚労省が平成24年度から生活保護受給者に対して後発医薬品の使用を促す「医療扶助相談・指導員(仮称)」を福祉事務所に配置(国が全額負担する補助事業)し、初年度は導入を希望する全市町村に配置する方針と報道されている(厚生福祉2月14日号)。「生活保護受給者の後発医薬品利用率は7.0%で一般の7.9%に比べて低調」(同)とされるが、これは、患者の自己負担がなく、医療機関では未収金が発生しないことも影響しているであろう。平成22年7月に「生活保護の医療扶助における緊急サンプル調査の一次調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000gmbj.html)が出ていたが、電子レセプトによる重複投薬のチェックも推進しなければならない。政府の提言型仕分け(http://sasshin.go.jp/)において、生活保護(http://sasshin.go.jp/shiwake/detail/2011-11-23.html#B5-6)について、生活保護費の急増の要因は、その半分を占める医療扶助であるとし、①指定医療機関に対する指導強化、②後発医薬品の利用促進やその義務付けの検討、③翌月償還を前提とした一部自己負担の検討、さらに、「医療機関のモラルハザードが大きいことから、実態調査の仕組みを構築し、不適切な診療を行っている機関は指定を外すなどの厳格な対応を行うべき」とされているように、医療扶助には適正化の余地が小さくないように感じる。とにかく、医療扶助費は全額公費(税金)であることを、患者や医療機関がしっかり認識する必要がある。当然、福祉事務所スタッフもそうである。以前、「生活保護男性が新幹線・飛行機通院、10か月438万受給」(http://milfled.seesaa.net/article/83412379.html)(http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1214735642)と報道されているが、医療扶助の適正化は医療費だけではない。
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TPPと医療問題 薬価算定ルール改革

2012年02月18日 | Weblog
2月7日に、外務省が米国政府が実施した日本のTPP交渉参加に関する意見募集結果を民主党プロジェクトチームに報告し、米国の製薬団体Pharma(米国研究製薬工業協会)は「日本がTPP交渉国となる場合は薬価算定ルールの改革、医薬品規制改革などが協議の対象とされるべき」とした上で日本の参加に賛成を表明した、と報道されている(医事新報2月11日号)。日本政府「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果(米国)」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20120208_tppkyougikeka.pdf)p4では、「公的医療保険制度を廃止し,私的な医療保険制度に移行する必要があるとの情報や,また,いわゆる単純労働者の移動を受け入れる必要があるとの情報も流れているが,米国が他のTPP交渉参加国にそのようなことを要求していることはない。」とされるが、「薬価算定ルールの改革」は、日本の医療の公定価格である診療報酬に影響しないとはいえないであろう。p2で、「日本の参加は知財分野等において,TPPの野心の水準を高めることに役立つとの指摘もあった。」とされ、後発医薬品等に影響しないか、気になるところである。そういえば、先般の日本医師会医療政策会議報告書(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120208_1.pdf)によると、第1段階日本の医療機器・医薬品価格規制の撤廃・緩和要求」、第2段階「医療特区(総合特区)での株式会社の病院経営の解禁と混合診療の原則解禁」、第3段階「全国レベルでの株式会社の病院経営解禁と混合診療の原則解禁」の3段階要求が予想されている。日本医師会報告書(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120208_1.pdf)p23では、「医療の営利産業化は日米大企業の合作」とされており、TPPにかかわらず、薬価算定ルール改革が進められるのか、注目である。

NHK「“TPP質問リスト米に提出”」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120220/k10013158251000.html)。<以下一部引用>
<古川国家戦略担当大臣は、衆議院予算委員会で、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡るアメリカとの協議に関連して、日本国内で懸念されている項目を質問リストとしてまとめ、アメリカ側に提出したことを明らかにし、内容を整理して、近く公表したいという考えを示しました。この中で、古川国家戦略担当大臣は、TPPを巡るアメリカとの協議に関連して、「日本側から、国内で出されているさまざまな懸念などを踏まえた質問リストを、在アメリカの大使館経由で、今月16日にUSTR=アメリカ通商代表部に提供している」と述べました。そのうえで、古川大臣は「外交文書なので、相手国との信頼関係に配慮する必要があるが、整理して、できるだけ早く出したい」と述べました。>

参議院質疑(http://www.youtube.com/watch?v=Toikp4JoDaw&feature=related)で話題になったISD条項は触れられたのであろうか。

元防衛大教授、外交官(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%B4%8E%E4%BA%AB)ツイッター;TPP(http://twitter.com/magosaki_ukeru)。<以下引用>
<予想される条項の内、最も問題は投資家・国家訴訟制度(ISD)。この条項は極めて重要。しかし、経産省等は隠して政治家等に説明しない。だから野田首相も知らず、国会で質問されて紛糾したもの。国家(例えば日本)の規制で、投資家(米国企業)の販売チャンスが減少したら訴えられる制度。 例えば米国牛肉を売る。環境問題で制限したとしよう。販売チャンス減少させたと訴訟。この際、環境等の規制が公益上必要か否かの視点はほとんどない。この制度、米国の自由貿易協定で入っているが、一方的に米国企業が勝訴。これがTPPに入る。日本の公益配慮の法律、米国企業には適用除外と言うこと。この条項米韓FTAにある。今国民騒ぐ。事前説明無し。日本と同じ。9日付朝鮮日報「韓米FTA:「政権を握ったら廃棄」「韓米自由貿易協定(FTA)再交渉を求める野党・民主統合党と統合進歩党は8日、再交渉が実現しない場合、FTAの廃棄に向けて行動を起こすという内容の書簡を米国大使館に提出。議員96人が連名の書簡は、オバマ大統領、下院議長宛。投資家・国家訴訟制度(ISD)、(協定内容の見直しを認めない)ラチェット規定等10項目についてFTAの発効前に再交渉に応じるよう求めた。」TPP推進の新聞はISD沈黙。国民無知 >
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インフルエンザ 出席停止と予防接種

2012年02月17日 | Weblog
NHK「インフルエンザ 出席停止を延長」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120217/k10013083621000.html)。<以下引用>
<インフルエンザにかかった児童や生徒から学校で感染が広がるのを防ぐ「出席停止」の対応が、抗ウイルス薬の普及で現状に合わなくなったとして、文部科学省は、「発症後5日を経過するまで」とする基準を新たに設け、実質的に出席停止の期間を延長することになりました。インフルエンザの流行は、学校を中心に拡大することが多いため、法律で、症状のある児童や生徒の「出席停止」が定められ、期間は、昭和33年以降、「解熱したあと2日を経過するまで」という基準が用いられています。しかし、ここ10年ほどの抗ウイルス薬の普及で、熱が下がるまでの期間は半分程度に短くなった一方で、ウイルスを排出する期間はほとんど変わらず、医療関係者から、基準が現状に合わなくなっているという指摘が出ていました。このため、文部科学省は、これまでの「解熱後2日を経過」に加え、「発症後5日を経過するまで」とする基準を新たに設け、実質的に「出席停止」の期間を延長することを決めました。幼児は体内にウイルスが長く残るため、幼稚園児については、解熱したあとの日数を1日長い3日とすることで対応するということです。文部科学省は一般からの意見を募ったうえで、新たな基準を正式に決め、ことし4月から導入することにしています。>
 
1月27日の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021b99.html)で、「ヒブ、肺炎球菌(小児)、水痘、おたふくかぜ」が予防接種法の一類疾病、「子宮頸がん予防、B型肝炎、肺炎球菌(成人)」が二類疾病に案として位置づけられている(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021b99-att/2r98520000021bcs.pdf)。また、ロタウイルスワクチン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021b99-att/2r98520000021bcl.pdf)も検討されている。なお、国立感染症研究所「乳幼児予防接種スケジュール」(http://idsc.nih.go.jp/vaccine/dschedule/2011/Lchildren1121.pdf)にはインフルエンザもある。予防接種法(http://www.ron.gr.jp/law/law/yobosesy.htm)第二条3項にインフルエンザが規定されているが、予防接種法施行令により、インフルエンザの定期の予防接種を行う対象者は、(1)65歳以上の者、および、(2)60歳以上65歳未満であって、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能又はヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有するものとして厚生労働省令に定めるもの、と定められている(http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/tp1107-1e.html)。 法によるインフルエンザワクチンの接種対象を児童にも拡げるべきという意見は、審議会ではどうなのであろうか。全国各地で子育て応援券事業でインフルエンザ予防接種が対象になっている自治体(http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/wg/kihon/k_2/pdf/ref5-10.pdf)(http://www.suginami-kosodate.jp/ouenken/list.html)(http://www.city.hakui.lg.jp/sypher/www/info/detail.jsp?id=3302)(http://www.town.tateyama.toyama.jp/pub/event-topics/svTopiDtl.aspx?servno=2412)(http://www.city.nanto.toyama.jp/webapps/www/service/detail.jsp?id=6244)(http://www.city.takatsuki.osaka.jp/db/tubuyaki/heya-kodomo113.html)が少なくないが、本質的な対応ではない感じがしないでもない。教員の予防接種がどうなっているかも気になるところかもしれない。
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総合医と地域包括ケア

2012年02月17日 | Weblog
16日の専門医の在り方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022rn7.html)で総合医に関してヒアリングが行われている。郡部の例(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022rn7-att/2r98520000022roo.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022rn7-att/2r98520000022rpv.pdf)ばかりでなく、資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022rn7-att/2r98520000022rpo.pdf)p25に出ているように、「都市部、非都市部にかかわらず在宅医療、プライマリケアを担う医師のニーズは大きい」。国保中央会「総合医体制整備に関する研究会報告書」(http://www.kokuho.or.jp/insistence/report.html)によると、総合医に求められる役割として、①地域住民によく見られる症状に幅広く対応する、②初期診療に対応し、ほかの専門的な医療機関などを適切に紹介する、③住民・患者と継続的な関係を保つ、④住民・患者の疾病予防や健康づくりを行う、が挙げられている。病院勤務医でも総合医は必要であろうが、地域包括ケアを進めるにあたって、かかりつけ医としての総合医を増やす必要がある。家庭医療専門医が有する5つの特徴(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001zt0u-att/2r9852000001zt4y.pdf)である、「近接性」(地理的、時間的、経済的、精神的にかかりやすいこと)、「協調性」(他科専門医や地域との連携、地域住民との協力を行う)、「継続性」(一人の「人」としてのつながり、病気のない健康なときから関わる)、「包括性」(年齢、性別、臓器にとらわれず、予防も含めた診療を行う)、「文脈性」(「価値観」「考え」「思い」や「状況や経過」「家族の意思」を尊重する)は地域包括ケアには不可欠と感じる。しかし、仮に「総合医」という専門医制度ができても、名称独占であって業務独占ではない。さて、昨日、管内で開業の整形外科医と話す機会があった。「今は在宅医療に関与していないが、やれる範囲内で関わらなければならないと思っている。そう思っている開業医が少なくない。」とのことであった。昨年、医師会で在宅医療の勉強会を2回開催し、そう認識されたそうである。地域の医療には、「地域連携パス等による専門医療機関との協働診療」のほか、①診療所のグループ化、②バックアップする病院(退院前の調整を含めて)、③関係機関(ケアマネ、訪問看護、訪問介護、保険薬局、訪問歯科、福祉機器業者等)とのチーム化による「在宅ターミナルケア」等も必要と感じる。その際、カギとなるのが、「地域における多職種連携」かもしれない。もはや総合医単独の地域医療という時代ではないことは確かである。ところで、総合医が広告可能(http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/businessindex/iryo/info/h23pdf/230823.pdf)となる専門医制度になるか、行方が注目されるが、既に広告可能である「総合内科専門医」と少々紛らわしくなる感じがしないでもない。
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