保健福祉の現場から

感じるままに

特定健診・保健指導の課題

2006年11月28日 | Weblog
昨日、北陸公衆衛生学会に参加した。平成20年度からの特定健診・保健指導に関して、特別講演とミニシンポジウムが行われたが、結論として、大企業の正社員と国保加入者に関しては、それなりにうまくいくかもしれないと感じられた。標準的な健診・保健指導プログラム(http://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/kenshin/index.htm)に基づき、健診受診者全員への情報提供を行い、動機づけ支援、積極的な支援については、中心となる保健師が意欲をもってチームで対応すれば、ある程度の成果をあげることができるであろう。保健指導に参加されない方への働きかけも重要である。さて、改めて今後の課題として感じられたのは、被用者保険の被扶養者である。どの大手の健保組合でも被扶養者に対しては、ほとんど健診・保健指導を実施していない。一方、市町村の基本健診受診者の4割~6割が国保以外であるという。被用者保険の被扶養者は、これまで市町村の基本健診で対応してきたのである。国の検討会の議事録(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/txt/s1011-1.txt)をみる限りは、特定健診の部分については、市町村国保にあまり負担にならずに調整がつけられそうである。では、特定保健指導がどうなるかである。市町村は国保加入者で手一杯だという。国保以外はレセプトとの突合分析も行えず責任が持てないともいう。被用者保険が被扶養者をまとめて対応しようとしても住所地は広範囲にわたっており、結局は、市町村国保に委託せざるを得ないと思われるのであるが、今後の調整がどうなるかである。そして、企業においては非正規社員に対しても課題である。某大企業では約半数が非正規社員であるというが、全く保健指導が行われていないのである。パート・アルバイトに対する健康診断については、通知「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について;平5.12.1基発第663号」(http://www2m.biglobe.ne.jp/~JH5RPA/tankenshin.htm)に基づき、①雇用期間の定めのない者、②雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年(深夜業、有機溶剤等有害業務従事者では6ヵ月 )以上使用される予定の者ないしは1年(同)以上引き続き使用されている者のいずれかで、1週間の所定労働時間が 同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であるときは、健康診断を実施する必要があり、概ね2分の1以上であるときは、実施することが望ましいとされている(http://osaka-rodo.go.jp/joken/anzen/kenko/komoku.php)。正規社員と非正規社員では加入する医療保険が異なる場合が少なくないが、保険者による特定保健指導が円滑に実施されるのであろうか。事業者が健診を行う必要がない1年未満の非正規社員が増加する可能性もあるかもしれない。いずれにしても、なるようにしかならないのであろう。最近、そう感じている。
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