NHK「がん死亡率最悪の青森県 検診の精度を独自に調査」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160926/k10010707411000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_008)。<以下引用>
<がんによる死亡率が11年連続で全国最悪となっている青森県は、がんの早期発見と治療の基本となるがん検診が適切に行われていない可能性があるとして県内の市町村を対象に検診の精度に問題ないかを調べる独自の調査を始めました。この調査は、青森県が弘前大学などと共同で始めたものです。がんは検診による早期発見が死亡率を下げる重要な鍵で、胃がんや乳がんなど5つのがんについて各市町村が対象となる住民のリストを作成し検診を促すなどしています。しかし県によりますと、中には対象者のリストを作るのに本来使うべき住民基本台帳ではなく別のデータを使い、検診の対象となるべき住民がリストから漏れている可能性があることがわかったということで、県では各市町村から実態を細かく聞き取り、がん検診の精度を改善したいとしています。国立がん研究センターは検診でがんをきちんと見つけ出すために住民の中から検診が必要な人を正確に抽出できているかなど200項目に上る手順を定めていますが、青森県は手順の達成率が70%以下となっています。国立がん研究センターの斎藤博部長は「がんの早期発見に欠かせない手順は100%満たして欲しいが、全国平均でも80%程度で、全国でも同じような課題を抱えている。ほかの都道府県でも青森県のような取り組みを行い質の管理を徹底して欲しい」と話しています。がん検診の質の管理は全国共通の課題 国が定めたがん対策基本法では、がんの早期発見につなげるため、国と自治体ががん検診の受診率や質の向上に取り組むよう求められています。しかし、受診率が低いままになっている問題に加えて検診の対象者をリストアップしたり、精密検査が必要な人をフォローアップしたりする仕組みが不十分なため、がんの早期発見や死亡率の改善に結びついていないと指摘されています。このため、厚生労働省では6年前から自治体向けに検診の質を管理するためのチェックリストなどを作るなどして対策を進めています。チェックリストには胃がんや乳がんなどがんごとに検診を受ける人を住民の中から適切に抽出できているかや精密検査が必要な人でまだ受けていない人に受診を促しているかなど、200近い項目が設けられていますが、チェックリストの項目について適切に実施されている割合を国立がん研究センターが調べたところ、全国平均は80%ほどで、青森県はそれより10%以上低い、70%未満に留まっていました。がん検診の課題を検討する国の委員会のメンバーを務める、国立がん研究センター検診研究部の斎藤博部長は、「がん検診が早期発見に結びつくかどうかは検診が必要な人に適切に行われているかをチェックする質の管理にかかっている。チェックリストに挙げた項目はいずれも必要不可欠なものだが実施率をみると検診の質の管理は全国共通の課題だと言える。検診が適切に行われているか調べるという青森県の取り組みを他の都道府県でも行うなどして質の管理を徹底して欲しい」と話しています。>
がん対策推進基本計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_keikaku02.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_keikaku01.pdf)やがん対策加速化プラン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107743.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000107766.pdf)でも精度管理の向上が要請されている。「がん検診受診率等に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=360026)の資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p6~乳がん 精検受診率、大腸がん 精検受診率、胃がん 要精検率が都道府県ごとに出ており、一部の都道府県では許容値をクリアしていないことがわかる。国立がん研究センター「がん登録・統計」(http://ganjoho.jp/reg_stat/)では「がん検診受診率データ(市区町村による地域保健・健康増進事業報告データ)」だけではなく、「都道府県別がん検診プロセス指標データ」(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#a27)が公表されていることは常識としたい。都道府県別の厚労省「がん検診事業の評価に関する委員会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0301-4c.pdf)における、各がん検診の許容値「要精検率、精検受診率、がん発見率、陽性反応適中度」の格差は小さくないことがわかる。政府統計の総合窓口「e-stat」(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001030884)では地域保健・健康増進事業報告の市町村別データが出ていることも知っておきたい。CSV形式で公開されていても、データウエアハウス(http://www.bbreak.co.jp/maeyes/column/column7.html)のような活用しやすい仕掛けが必要であろう。なお、資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p9「個別検診の精度管理水準が低い」とあることは重視したい。個別検診は集団検診に比べてかなり検診単価が高いはずである(この情報公開も必要と感じる)が、精度管理水準が低いようではいけない。がん検診の精度向上には、資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p2「精検受診率(未受診・未把握率)は市町村/検診機関単位でも重視すべき」の情報公開を徹底する必要があるかもしれない。しかし、がん検診の精度管理は市町村の検診だけではない。昨年12月のがん対策加速化プラン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000112903.pdf)p5「職域においても、検診受診率のみならず、精密検査受診率等に関する目標値を設定する。」とあった。厚労省資料「がん検診に関する実施状況等調査集計結果」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000124103.pdf)p1「がん検診受診者数を把握 していない」59.0%、p3「がん検診要精検者数を把握していない」96.0%、p4「精密検査の受診勧奨を行っていない」57.4%、p5「乳がん検診を行っていない」17.9%、「子宮頸がん検診を行っていない」16.9%などとあるが、この調査対象は「健康保険組合」で、基本的に大企業であることを認識すべきである。果たして中小企業ではどういう状況であろうか。
<がんによる死亡率が11年連続で全国最悪となっている青森県は、がんの早期発見と治療の基本となるがん検診が適切に行われていない可能性があるとして県内の市町村を対象に検診の精度に問題ないかを調べる独自の調査を始めました。この調査は、青森県が弘前大学などと共同で始めたものです。がんは検診による早期発見が死亡率を下げる重要な鍵で、胃がんや乳がんなど5つのがんについて各市町村が対象となる住民のリストを作成し検診を促すなどしています。しかし県によりますと、中には対象者のリストを作るのに本来使うべき住民基本台帳ではなく別のデータを使い、検診の対象となるべき住民がリストから漏れている可能性があることがわかったということで、県では各市町村から実態を細かく聞き取り、がん検診の精度を改善したいとしています。国立がん研究センターは検診でがんをきちんと見つけ出すために住民の中から検診が必要な人を正確に抽出できているかなど200項目に上る手順を定めていますが、青森県は手順の達成率が70%以下となっています。国立がん研究センターの斎藤博部長は「がんの早期発見に欠かせない手順は100%満たして欲しいが、全国平均でも80%程度で、全国でも同じような課題を抱えている。ほかの都道府県でも青森県のような取り組みを行い質の管理を徹底して欲しい」と話しています。がん検診の質の管理は全国共通の課題 国が定めたがん対策基本法では、がんの早期発見につなげるため、国と自治体ががん検診の受診率や質の向上に取り組むよう求められています。しかし、受診率が低いままになっている問題に加えて検診の対象者をリストアップしたり、精密検査が必要な人をフォローアップしたりする仕組みが不十分なため、がんの早期発見や死亡率の改善に結びついていないと指摘されています。このため、厚生労働省では6年前から自治体向けに検診の質を管理するためのチェックリストなどを作るなどして対策を進めています。チェックリストには胃がんや乳がんなどがんごとに検診を受ける人を住民の中から適切に抽出できているかや精密検査が必要な人でまだ受けていない人に受診を促しているかなど、200近い項目が設けられていますが、チェックリストの項目について適切に実施されている割合を国立がん研究センターが調べたところ、全国平均は80%ほどで、青森県はそれより10%以上低い、70%未満に留まっていました。がん検診の課題を検討する国の委員会のメンバーを務める、国立がん研究センター検診研究部の斎藤博部長は、「がん検診が早期発見に結びつくかどうかは検診が必要な人に適切に行われているかをチェックする質の管理にかかっている。チェックリストに挙げた項目はいずれも必要不可欠なものだが実施率をみると検診の質の管理は全国共通の課題だと言える。検診が適切に行われているか調べるという青森県の取り組みを他の都道府県でも行うなどして質の管理を徹底して欲しい」と話しています。>
がん対策推進基本計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_keikaku02.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_keikaku01.pdf)やがん対策加速化プラン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107743.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000107766.pdf)でも精度管理の向上が要請されている。「がん検診受診率等に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=360026)の資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p6~乳がん 精検受診率、大腸がん 精検受診率、胃がん 要精検率が都道府県ごとに出ており、一部の都道府県では許容値をクリアしていないことがわかる。国立がん研究センター「がん登録・統計」(http://ganjoho.jp/reg_stat/)では「がん検診受診率データ(市区町村による地域保健・健康増進事業報告データ)」だけではなく、「都道府県別がん検診プロセス指標データ」(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#a27)が公表されていることは常識としたい。都道府県別の厚労省「がん検診事業の評価に関する委員会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0301-4c.pdf)における、各がん検診の許容値「要精検率、精検受診率、がん発見率、陽性反応適中度」の格差は小さくないことがわかる。政府統計の総合窓口「e-stat」(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001030884)では地域保健・健康増進事業報告の市町村別データが出ていることも知っておきたい。CSV形式で公開されていても、データウエアハウス(http://www.bbreak.co.jp/maeyes/column/column7.html)のような活用しやすい仕掛けが必要であろう。なお、資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p9「個別検診の精度管理水準が低い」とあることは重視したい。個別検診は集団検診に比べてかなり検診単価が高いはずである(この情報公開も必要と感じる)が、精度管理水準が低いようではいけない。がん検診の精度向上には、資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p2「精検受診率(未受診・未把握率)は市町村/検診機関単位でも重視すべき」の情報公開を徹底する必要があるかもしれない。しかし、がん検診の精度管理は市町村の検診だけではない。昨年12月のがん対策加速化プラン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000112903.pdf)p5「職域においても、検診受診率のみならず、精密検査受診率等に関する目標値を設定する。」とあった。厚労省資料「がん検診に関する実施状況等調査集計結果」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000124103.pdf)p1「がん検診受診者数を把握 していない」59.0%、p3「がん検診要精検者数を把握していない」96.0%、p4「精密検査の受診勧奨を行っていない」57.4%、p5「乳がん検診を行っていない」17.9%、「子宮頸がん検診を行っていない」16.9%などとあるが、この調査対象は「健康保険組合」で、基本的に大企業であることを認識すべきである。果たして中小企業ではどういう状況であろうか。