保健福祉の現場から

感じるままに

介護、医療の情報公開徹底が必要

2015年06月10日 | Weblog
「介護予防・日常生活支援総合事業」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html)のガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088520.pdf)が出たのであるが、住民組織への浸透が非常に弱いように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088276.pdf)p29「市町村が条例で定める場合は、総合事業の実施を平成29年4月まで猶予可能」であるが、議員を含めて条例の内容はどれほど認識されているであろうか。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088276.pdf)p10~11にある、サービスA(緩和した基準によるサービス)、サービスB(住民主体による支援)、サービスC(短期集中予防サービス)には、地域の実情に応じた戦略が欠かせない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088276.pdf)p15に示すように、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)が、当面、資源開発やネットワーク機能を中心に取り組むには、生活支援・介護予防サービスに係る協議体を通じての情報共有・認識共有が必要と感じる。各自治体からの地域包括ケア見える化システム(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)(http://mieruka.mhlw.go.jp/)への日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)のデータ送信がごく一部の自治体に留まっているようでは全くダメである。また、厚労省「第6期計画期間・平成37年度等における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000083954.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12303500-Roukenkyoku-Kaigohokenkeikakuka/shuukei.pdf)では、第5期4,972円→第6期5,514円→平成32年度(見込み)6,771円→平成37年度(見込み)8,165円とある。都道府県別、保険者別の第6期(平成27~29年度)保険料が出ているのであるが、なぜ、平成32年度、37年度の見込みが都道府県別、保険者別に公表されないのであろうか。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000038314.pdf)p165~167に出ているように、各保険者において、平成32、37年の推計値が出されることになっていたはずであり、介護保険事業計画用ワークシートによる推計値の保険者別一覧表がネット公開されるべきである。介護の推計だけではない。地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000080284.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p12~「構想区域ごとの医療需要の推計」、p21~「医療需要に対する医療提供体制の検討」、p23「医療需要に対する医療共有を踏まえた病床の必要量の推計」とあるように、都道府県において2025年の医療の推計が行われる。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23「高度急性期、急性期、回復期及び慢性期それぞれにおける②に関して、厚生労働省がデータ提供の技術的支援」とあるが、この際、厚労省提供データはネット公開されてもよい感じがする。保健医療2035提言書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000088369.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000088366.pdf)も結構であるが、まずは、2025年の介護、医療の推計について一般公表することこそが、これからの地域包括ケアシステムの構築に重要と感じる。ローカル・オプティマム(地域における最適な状態)、地域創生の観点からも「地域のデータに基づき、地域で考え・取り組む」姿勢が不可欠であろう。そういえば、後期高齢者医療制度の都道府県別「平成26~27年度の保険料率」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042811.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12403500-Hokenkyoku-Koureishairyouka/0000042798.pdf)が出ていたが、医療保険もセットで捉えたいものである。
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MERS拡大と感染症危機管理

2015年06月10日 | Weblog
朝日新聞「MERS、日本も警戒 羽田、発熱チェック」(http://apital.asahi.com/article/news/2015061000007.html)。<以下引用>
<韓国で、中東呼吸器症候群(MERS〈マーズ〉)コロナウイルスへの感染者や死者が増え続けている。保健福祉省は9日、60代女性が新たに死亡したと発表。同日までに死者は7人、感染者は前日より8人増えて95人になった。隔離対象者は384人増の2892人に上る。隣国での感染拡大に日本も警戒を強め、厚生労働省は対策をまとめた。羽田空港国際ターミナルの到着ロビーでは9日夕、ソウルからの帰国便は、白や青のマスク姿の乗客が目立った。検疫所には、発熱をチェックするサーモグラフィーが置かれた。娘と2泊3日のソウル観光をした群馬県の主婦石川美佐子さん(57)は「ニュースで心配だったので、滞在中はずっとマスクをしていた」。友人とエステを巡った千葉県の会社員女性(35)は「感染力が弱いと聞いていたので、手洗いやうがいで備えた」と話す。一方、出発ロビーでは緊張の面持ちでフライトを待つ乗客も。神奈川県の会社員向後仁さん(48)は商談でソウルへ飛ぶ前にマスク3枚とうがい薬、除菌タオルを買い込んだ。「家族も心配しているし、ソウルでの移動はバスでなくタクシーにします」と話した。
 韓国では感染拡大に伴い、観光客の予約取り消しなどの余波も広がっている。韓国観光公社によると、5月29日から6月7日にかけて把握した韓国訪問の予約中止は中国・香港・台湾からが計約4万1千人。日本も約3千人を数え、増えてきているという。韓国にある日本企業の活動自体には「まだ影響は出ていない」(日本企業関係者)が、「韓国に出張して大丈夫か」との問い合わせはあるという。感染者が増える背景には、初動対応の出遅れや、隔離対象者の認識の甘さなど複合的な要因がある。韓国政府は5月20日に最初の感染者が確定した後、追加の隔離対象者を同じ病室の患者や家族、医療スタッフに限定。文亨杓(ムンヒョンピョ)・保健福祉相は8日、国会で「管理網をあまりに狭く絞った」と、対応のまずさを認めた。現在は、感染者の立ち回り先を調べ、乗ったとみられるバスの同乗者まで特定するなどの対策を講じているという。隔離対象者が勝手に外出するケースも相次いだ。韓国メディアによると、中部の大田では、感染者がいる病院にいた別の患者6人が移動制限を受けていたにもかかわらず、病院を出て行ってしまい、警察や医療関係者が説得して再入院させた。感染者を診療した医師が海外を往復したケースもあるという。■厚労省が対応策 MERSの日本での発生に備え、厚生労働省は9日夜、専門家会議を開き、対応策を大筋でまとめた。MERSと確認された患者と接触した人への対応について、発熱やせきなどの症状があれば、指定の医療機関に入院してもらうとした。症状のない人は、患者との接触程度に応じて、健康状態を定期的に保健所に報告する「健康観察」や、外出の自粛などを求める。患者確認の発表は、各都道府県にある地方衛生研究所での検査で陽性が出た段階で行うとした。発表内容は年齢、性別、住んでいる都道府県名、医療機関にかかった時期などという。患者は国立感染症研究所での検査で確定される。厚労省はこれらの対応策を都道府県などに近く通知する。また、厚労省はウイルスの侵入を防ごうと空港などでの検疫を強化している。韓国から入国し、患者らと接触していたり、発熱やせきなどの症状があったりする人は、必ず検疫所に届け出るよう要請している。成田空港の検疫所でも韓国でのMERS発生に関するポスターを作製、検疫ブース近くに掲示している。ただ、MERSは感染から発症までの潜伏期間が2~14日あるとされる。自覚症状が出ないうちに検疫を通過し、国内で生活する中で発症することも起こりうる。厚労省は韓国からの入国者すべてに対し、帰宅後などに発症した場合には、近くの医療機関にかからず、保健所か検疫所に連絡するよう呼びかけている。MERSの症状は風邪と似ており、医療機関が一般の患者と同じ対応をすると、医療者やほかの患者に感染を広げる恐れがあるためだ。>

読売新聞「韓国MERS感染108人、死者も増えて9人に」(http://www.yomiuri.co.jp/world/20150610-OYT1T50087.html)。<以下引用>
<韓国保健福祉省は10日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染者が13人増え、計108人に達したと発表した。死者も2人増えて計9人になった。新たに感染が確認された13人のうち10人は、5月下旬にサムスンソウル病院(ソウル市)の救急病棟で感染したとみられている。このうち2人が別の病院に移った後に死亡した。62歳の男性と75歳の女性で、それぞれ、肝硬変と多発性骨髄腫を患っていたという。崔●煥首相代行は10日、「感染者が出た病院を利用し、症状のある人は、必ず保健所に届け出てほしい」との談話を発表した。韓国メディアによると、感染者のうち3割は、見舞いや親族の付き添いのために病院を訪れた人たちだった。このため、崔首相代行は、見舞いなどをできるだけ控えることも呼びかけた。(●は「日」の下に「火」)今のところ、感染経路は病院内にとどまっているが、当初、隔離措置が徹底されていなかったことから、国民の不安は払拭されていない。ソウルの地下鉄では、週1回の車内消毒を2回にし、駅構内に消毒用アルコールを設置するなど対策を強化している。>

東京新聞「感染者らをGPS追跡 MERS対策で韓国」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015061002000107.html)。<以下引用>
<韓国保健福祉省は九日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染者や隔離対象者について、携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)を通じ、移動経路や接触者を八日から追跡していることを明らかにした。韓国では感染拡大後、保健当局から自宅待機を要請された感染者や感染の疑いのある人がゴルフに行ったり、海外旅行に出掛けたりする例が相次いで発覚。同省によると、電話に二回以上出なかったり、自宅待機を拒んだりした場合に限り、電話会社から位置情報を提供してもらうという。日本では携帯電話のGPS機能を使った捜査には検証令状が必要とされるが、保健福祉省は「本人の同意がなくても、個人情報保護法と感染病予防管理法により可能」と説明した。韓国に住む日本人の安全確保と日本へのウイルス流入防止のため、ソウルの日本大使館は五日、釜山の日本総領事館は八日にそれぞれ現地対策本部を設置。大使館によると、全館態勢で情報収集し、感染状況や感染の発生した病院名などを電子メールやホームページで伝えているという。一方、世界保健機関(WHO)と韓国政府の合同調査チームは九日から、感染経路などに関する疫学調査を開始。感染の起きた医療機関などを訪ねてウイルス特性などを分析し、十三日に調査結果を発表する。保健福祉省によると、女性感染者(68)が八日に死亡したため、今回の感染による死者は七人となった。>

中東呼吸器症候群(MERS)専門家会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=278233)の資料には目を通しておきたい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000088484.pdf)p5に、サムスンソウル病院、平沢聖母病院、テチョン病院、コンヤン病院、アサン医院、ソウル365開院医院での発生状況が出ている。国立感染症研究所「中東呼吸器症候群(MERS)のリスクアセスメント (2015年6月4日現在)」(http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/mers/2186-idsc/5703-mers-riskassessment-20150604.html)では、「医療施設や家族内等において限定的なヒト-ヒト感染が確認されている」とあるが、あまり「限定的」を強調しない方が良いであろう。「韓国における中東呼吸器症候群(MERS)の症例一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000088487.pdf)をみれば、感染力が弱いようにはみえないからである。「韓国からの渡航者については同国における流行が終息するまでの間、アラビア半島およびその周辺諸国からの渡航者に準ずる対応」)が推奨されている(http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20150603_01.pdf)。当面、WHO 「Global Alert and Response」(http://www.who.int/csr/don/archive/year/2015/en/)、厚労省「中東呼吸器症候群(MERS)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers.html)の更新情報はチェックしておきたい。国内では医療機関での問診確認徹底(特に救急)、24時間・365日の保健所への通報・連絡体制、衛生研究所での検査体制等が急務であるが、H7N9(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/h7n9.html)、エボラ出血熱(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html)を踏まえれば、中東、中国、西アフリカからの入国の有症状者はセットで警戒する必要がある。当然、それは日本人とは限らない。また、潜伏期を考慮すれば入国後しばらくして症状が出てきてもおかしくないし、一般の医療機関受診や救急受診も十分あり得ることは認識したい。今回の韓国のようなことが我が国で起こっても不思議ではないであろう。ところで、エボラ出血熱(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html)の対応で、昨年11月の厚労省通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20141128_01.pdf)で「消防機関との事前の協定等の締結が必要」とあったが、半年以上経った現在、どうなっているであろうか。
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医療費総額制には情報公開徹底が不可欠

2015年06月10日 | Weblog
NHK「厚生労働省有識者懇談会 医療抑制へ総額制検討を」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150609/k10010107641000.html)。<以下引用>
<厚生労働省の有識者懇談会は、医療費の抑制に向けて、人口構成などをもとに医療費の総額を地域ごとに算定し、総額を上回った場合は、地域全体の医療機関に支払う診療報酬を引き下げる仕組みの導入を検討するなどとした対策を取りまとめました。国民が医療機関で病気やケガの治療を受けるのにかかった費用の総額を示す「国民医療費」は、毎年6000億円以上のペースで増え続けており、平成24年度には39兆2000億円余りでした。こうしたなか、厚生労働省の有識者懇談会は医療費の抑制に向けて、いわゆる団塊ジュニアが65歳に達し始める2035年までに実現すべき対策を取りまとめました。それによりますと、都道府県単位で見ると、1人当たりの医療費におよそ1.6倍のばらつきがあることなどから、人口構成などをもとに、医療費の総額を地域ごとに算定し、総額を上回った場合は、地域全体の医療機関に支払う診療報酬を引き下げる仕組みの導入を検討するとしています。また、かぜなどの軽い症状では患者の自己負担の割合を高くするほか、たばこやアルコールに加え、マーガリンなどに比較的多く含まれ、取りすぎると心筋梗塞などのリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」を含む食品などへの課税強化を検討すべきだとしています。これを受けて厚生労働省は今後、関係団体から幅広く意見を聞くなどして、政策の具体化を進めたいとしています。>

読売新聞「たばこ・酒・砂糖の課税強化…有識者懇が提言案」(http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150608-OYT1T50085.html)。<以下引用>
<厚生労働省の有識者懇談会が、健康対策の一環として、2020年までにたばこ、酒、砂糖などへの課税強化を求める提言案をまとめた。医療費抑制を目的に、患者の医療費負担について、風邪などの軽い病気は重くし、重病や難病は軽くすることも盛り込んだ。提言案は、「保健医療2035」策定懇談会(座長・渋谷健司東大大学院医学系研究科教授)がまとめた。35年までの中長期的な健康対策や医療制度の将来像を示したもので、近く正式決定し、塩崎厚生労働相に提出する。厚労省は、提言を実行するため、省内に推進本部を設置し、財務省などとの調整を進める方針だ。現在の課税は、たばこ1本約12円、酒は種類で異なるがビールなら1缶(350ミリ・リットル)で77円、砂糖は消費税のみだ。提言案は、具体的な課税方法などには言及していないが、「あらゆる財源確保策を検討していくべきだ」と指摘した。課税強化で、酒の飲み過ぎや砂糖の取りすぎの防止などにつなげたい考えだ。>

日本経済新聞「後発薬の促進へ新薬に追加負担 厚労省」(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H67_Y5A600C1EE8000/)。<以下引用>
<厚生労働省は、特許が切れた新薬を使う患者に一定の追加負担を求めることを検討する。新薬と同じ成分でつくった割安な後発薬をなるべく使ってもらい、医療費を抑える。後発薬の使用を2020年度に80%に上げる目標につなげる。健康を害する危険性のある酒やタバコ、砂糖、トランス脂肪酸への課税強化を求める案もまとめた。税制改正は財務省との調整が必要になる。中長期の医療政策を検討する厚労省の「『保健医療2035』策定懇談会」が提言をまとめた。このほか入院患者の自己負担を引き上げる一方、在宅で治療を受ける患者の自己負担は引き下げ、入院の長期化を抑えることも検討する。>

「保健医療2035」策定懇談会(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/)の資料が出ればみておきたい。「人口構成などをもとに医療費の総額を地域ごとに算定し、総額を上回った場合は、地域全体の医療機関に支払う診療報酬を引き下げる仕組みの導入を検討する」とあるが、高齢者医療確保法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S57/S57HO080.html)第13条、14条に基づく「医療費適正化の評価による都道府県診療報酬特例」が規定されており、突飛なものではない。しかし、医療費・レセプトに関する情報が制御されている現状では厳しい感じがしないでもない。例えば、医政局「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=141464&name=2r98520000036flz.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036854.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036855.pdf)について、4月の厚生労働省から日本医師会あて通知(http://www.toyama.med.or.jp/wp/wp-content/uploads/2015/04/27chi1_34.pdf)では、「(2)のデータブック、(3)の推計ツールについては、現在は、厚生労働省保険局のレセプト情報等の第三者提供の依頼手続き上、都道府県以外に直接開示することができません」とあるが、レセプト分析データすら広く活用できないようではいけない。「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000076639.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000074688.pdf)では都道府県医療費適正化計画の見直しも目玉の一つで、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000078417.pdf)にあるように、今後、医療費適正化計画は「医療費の見通しや行動目標の見直し」「要因分析・対策実施の強化」「策定プロセスの見直し」がなされる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000077887.pdf)p22「各保険者の比較」をみれば、市町村国保の65~74歳の加入割合32,5%と被用者保険に比べてダントツに高いことがわかる。市町村国保だけの分析データで医療費適正化計画、医療計画、健康増進計画を論じてはおかしなことになってしまう。保健医療科学院「地方自治体における生活習慣病関連の健康課題把握のための参考データ・ツール集」(http://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/datakatsuyou/)を積極的に活用したいものである。後期高齢者医療資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000077876.pdf)p5では、後期高齢者支援金(若年者の保険料) 6.2兆円(協会けんぽ2.0兆円、健保組合1.9兆円、共済組合0.6兆円、市町村国保等1.7兆円)とあり、p19「後期高齢者支援金の加算・減算制度について、予防・健康づくり等に取り組む保険者に対するインセンティブをより重視するため、多くの保険者に広く薄く加算し、指標の達成状況に応じて段階的に減算(最大10%の範囲内)する仕組みへと見直し、平成30年度から開始する(政省令事項)。特定健診・保健指導実施率のみによる評価を見直し、後発医薬品の使用割合等の指標を追加し、複数の指標により総合的に評価する仕組みとする。保険者の種別・規模等の違いに配慮して対象保険者を選定する仕組みとするとともに、国保、協会けんぽ、後期高齢者医療について、別のインセンティブ制度を設ける。」とあった。「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議資料」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000077878.html)の医療費適正化対策推進室資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000078417.pdf)p8「「医療に要する費用の見込み」を定めるに当たって必要となる医療費の推計式等を具体化」「新たな医療費適正化基本方針をH27年度中に作成・公表」とあり、注目である。しかし、医療費適正化基本方針は、診療報酬引き下げだけではなく、健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)を前面に出し、医療計画、医療費適正化計画、介護保険事業計画と歩調を合わさなければならないように感じる。保健事業指針改正(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000044053.pdf)によるデータヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061273.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000044053.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000060316.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061280.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061278.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061279.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000060316.pdf)の普遍化は、健康日本21と健康増進計画の位置づけにかかっているであろう。ところで、「保健医療2035」策定懇談会(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/)では、終末期医療がキーワードの一つになっている(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/report/20150529/)。今年3月の厚労省通知「終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインの改訂について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150325_01.pdf)、事務連絡「終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインの改訂について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150325_02.pdf)は、周知されているであろうか。例えば、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の「在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)では「在宅死亡者数(市区町村別)【人口動態統計(個票解析)】」はアウトカム指標とされているのであるが、肝心の各市町村の在宅死亡割合が一般には非公表とされているのは変であろう。
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組織としての対応

2015年06月10日 | Weblog
先週、「地域保健福祉領域において従事者が住民から受ける暴力防止のためのマニュアル 暴力防止マニュアル第2版」(http://www.go-go-hokenshi.com/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=7)(http://www.go-go-hokenshi.com/pdf/2014manuals.pdf)が出た。「組織として日常活動の質を保証する体制の整備」は重要であり、個人の責任にしてはならないであろう。
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薬剤耐性結核

2015年06月10日 | Weblog
CNN「米国で薬剤耐性結核の発症例 接触者を調査」(http://www.cnn.co.jp/usa/35065637.html?tag=top;topStories)が目にとまった。「結核の接触者健康診断の手引き(改訂第5版)」(http://www.jata.or.jp/rit/rj/2014.3sessyokusya2.pdf)では「結核菌分子疫学調査と実地疫学調査を組み合わせた手法」「社会ネットワーク分析(social network analysis:SNA)の活用」が追加記載されたが、ヒトの行動範囲を考慮すれば、自治体の枠を超えた広域的な結核菌分子疫学調査と実地疫学調査の体制が必要と感じる。多剤耐性結核菌対策の観点からも期待されるが、結核菌株の結核研究所への送付も位置づけるべきであろう。
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