保健福祉の現場から

感じるままに

児童虐待と保健所

2014年09月25日 | Weblog
毎日新聞「児童虐待通告:上半期、最悪1万3037件 警察庁発表」(http://mainichi.jp/select/news/20140925k0000e040187000c.html)。<以下引用>
<警察庁は25日、今年上半期(1〜6月)に保護者らによる虐待が疑われるとして警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数が前年同期比30%増の1万3037人で、半期の統計を取り始めた2011年以降で最多だったと発表した。年間統計がある04年以降で最悪だった昨年(2万1603人)を上回るペース。事件化した被害者数と摘発件数もそれぞれ同43%増の320人、同43%増の317件でいずれも過去最多となった。同庁は社会的関心の高まりで通報が増加したことが背景にあるとみている。通告の類型別では、心理的虐待が同37%増の7768人で最も多く、全体の約6割を占めた。このうち子どもがDV(ドメスティックバイオレンス)を目撃する「面前DV」が5116人と前年同期の約1.4倍となり、全体の被害を押し上げた。身体的虐待は同20%増の3471人、育児怠慢・拒否が同19%増の1715人、性的虐待は同48%増の83人だった。摘発された罪名は、傷害・傷害致死が最多で146件。ほかは暴行61件、強制わいせつ23件−−などで、328人が摘発された。警察庁はまた、今年上半期の児童ポルノ事件が同3%増の788件、被害者は同2%増の325人で、いずれも上半期の統計を取り始めた00年以降で最多だったと明らかにした。容疑者と知り合った手段でみると、スマートフォン(スマホ)などのアクセス機器を使用していた被害者は同5%減の176人で全体に占める割合は同4ポイント減の54.2%だった。このうち最多はスマホで同48%増の126人。特に無料通信アプリ「LINE(ライン)」などのスマホ用アプリが使われたケースが67人と前年同期より25人増えていた。摘発された内訳は、ポルノ画像を製作した製造容疑が404件、第三者に提供するなどした流通容疑が384件。製造事件のうち半数を超す225件でファイル共有ソフトが使われていた。児童ポルノ事件を巡っては今年6月に改正児童ポルノ禁止法が成立し、来年7月からは単純所持でも1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となる。>

19日の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第10次報告の概要)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000057946.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000058504.pdf)では「精神疾患のある養育者における事例」が特集され、「地域における保健・医療・福祉のネットワークを活用した支援(養育者の主治医と市町村職員や児童相談所等との連携による支援)」が示されているが、保健所の参画をもう少し出しても良いのではないか。日本産婦人科医会「妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル改訂版」(http://www.jaog.or.jp/all/pdf/jaogmanual.pdf)、「妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル_チェックリスト」(http://www.jaog.or.jp/all/jaogmanual_Check%20list.pdf)が出ているように、早い段階からの支援が必要である。医療機関も含めて関係機関ネットワークによる対応が不可欠であり、「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042513.html)も活用したい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000038682.pdf)p312の「妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭に係る保健・医療・福祉の連携体制の整備」はそれぞれの地域で図る必要があるが、産科医療機関がない市町村が少なくないため、広域的な対応が必要である。平成25年度から未熟児訪問指導等が市町村移譲されているが、市町村と保健所の連携・協働が期待される。「児童虐待防止対策における福祉事務所の役割」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046445.pdf)p253「要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)の構成機関」への保健所の参加割合は72.8%である。児童福祉法(http://www.ron.gr.jp/law/law/jido_fuk.htm)の保健所に関する規定;「第十二条の六 保健所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。一 児童の保健について、正しい衛生知識の普及を図ること。二 児童の健康相談に応じ、又は健康診査を行い、必要に応じ、保健指導を行うこと。三 身体に障害のある児童及び疾病により長期にわたり療養を必要とする児童の療育について、指導を行うこと。四 児童福祉施設に対し、栄養の改善その他衛生に関し、必要な助言を与えること。2 児童相談所長は、相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、保健所に対し、保健指導その他の必要な協力を求めることができる。」や母子保健法第8条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO141.html)の保健所による市町村支援の規定を知らない行政職員が少なくないように感じる。
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病床機能報告制度と地域医療ビジョン

2014年09月25日 | Weblog
M3「「放っておけば、共倒れ」、武田厚労省審議官 全日病学会シンポ、病床機能報告制度をめぐり議論」(http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/253598/?category=report)は一読しておきたい。今年10月からは「病床機能報告制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)がスタートする。「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000058301.pdf)が出て、新たな財政支援制度は「9月中に都道府県が都道府県計画を策定、10月に都道府県への内示、11月に交付決定」である。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)は、来年1月に出る(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000058289.pdf)。しかし、平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)で実質的に医療機関の機能分担・連携、在宅医療の推進はスタートしている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000052610_1.pdf)p28~30に出ているように、国立保健医療科学院(http://www.niph.go.jp/)で医療計画PDCA研修が行われているが、「病床機能報告制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)を踏まえたものでなければいけないように感じる。「日医総研 日医総研ワーキングペーパー 地域の医療提供体制の現状と将来- 都道府県別・二次医療圏別データ集」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/no_553.html)、病院情報局「入院患者数の将来予測値と既存病床数とのギャップ試算」(http://hospia.jp/wp/archives/244)もみておきたい。それぞれの圏域において、「どのような医療機能が過不足か、想像がつかない」、というものではないであろう。日本病院会「地域医療構想(ビジョン)ガイドライン策定に関しての要望」(http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20140917_01.pdf)が出ている。
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