保健福祉の現場から

感じるままに

知事権限強化と都道府県格差

2013年11月11日 | Weblog
キャリアブレイン「知事権限強化で「壮絶ないす取りゲームに」- 日慢協・武久氏が懸念表明」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/41332.html)。<以下引用>
<国際医療福祉大大学院と国際医療福祉総合研究所が9日に開いた医療シンポジウムの講演で、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、地域での医療再編を促すため、都道府県知事の権限を強化するという厚生労働省の提案に懸念を表明。「これから壮絶ないす取りゲームが始まる」などと述べた。【兼松昭夫】 厚労省が提案している都道府県知事の権限強化は、▽既存の病床数が「基準病床数」を超える「病床過剰地域」で、正当な理由なしに一定期間、稼働していない病床があれば、医療機関側に受け入れ再開か病床の削減を要請できる▽医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとの必要量を地域に確保するため、過剰な医療機能から不足している機能への転換を医療機関に要請・指示できる-などの内容。地域の医療ニーズに見合うように病床を有効利用する狙いだが、このうちの過剰な医療機能からの転換について武久氏は、「指示ということは命令」と指摘。その上で、「知事の選挙を応援しないと病院自体がなくなるという、土建政治の二の舞いになる可能性がある」との見方を示した。武久氏はまた、国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に切り替える政府の方針を受け、「国保の保険者が都道府県になると、知事は保険料制限に動くことは必至」と語り、医療機能ごとの必要量を抑制する動きが各都道府県で起きる可能性も指摘した。>

厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000026440.pdf)p12~に示される「都道府県の役割の強化等及び新たな財政支援制度」は知っておきたい。まさに自治体の取り組み如何にかかっているであろう。地域医療支援センター(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/chiiki_iryou/)の活動も理解しておきたい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000023379.pdf)p13では、地域医療ビジョンの内容について、「1.2025年の医療需要;入院・外来別・疾患別患者数等、2.2025年に目指すべき医療提供体制;二次医療圏等(在宅医療・地域包括ケアについては市町村)ごとの医療機能別の必要量、3.目指すべき医療提供体制を実現するための施策;医療機能の分化・連携を進めるための施設設備、医療従事者の確保・養成等」が示されている。医療需要と医療機能別の必要量を勘案し、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000026440.pdf)p26で示すような、将来的に都道府県知事が「法的根拠を持って、医療機関に対して、過剰な医療機能からの転換等の要請又は指示を行うことができるようになる。」ためには、都道府県による客観的データ分析・評価が不可欠であろう。一つは、NDB(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/reseputo/dl/guide02_02.pdf)である。厚労省資料;「National Databaseを用いた医療計画策定のための基盤資料の作成に関する研究」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001g288-att/2r9852000001g2d4.pdf)、「NDBを活用した医療計画策定の考え方」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-4.pdf)、「NDB配布データの理解と可視化ツールの操作方法」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-3.pdf)に出ているように、NDBのレセプトデータを用いて、2次医療圏ごとの傷病構造及び医療提供体制を把握することは容易であり、医療計画・地域医療ビジョンにも活用できる。もう一つは、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)である。医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)は国の実施要領(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/dl/youryou.pdf)はあるが、都道府県によって項目がバラバラであり、最近の診療報酬改定にも対応できていない。国策として、地域包括ケアシステム、医療介護連携を強力に推進するのであれば、この際、介護サービス情報(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/kouhyou/)(http://www.espa-shiencenter.org/)、薬局機能情報(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/)、サービス付き高齢者向け住宅情報(http://www.satsuki-jutaku.jp/index.php)等も含めて、国レベルでデータベースを構築し、地域毎に比較分析・評価できる体制の構築が必要ではないか。以前、厚労省「医療機能情報集約システム経費」(http://www.mhlw.go.jp/seisaku/jigyo_siwake/dl_rv3/039a.pdf)では、「病院等から各都道府県に提出された医療機能情報について、各都道府県から厚生労働省に電子媒体で提出させ、当該情報を集約し、データベース化する」とあったが、どうなっているであろうか。ところで、「国保の保険者が都道府県になると、知事は保険料制限に動くことは必至」と出ているが、高齢者医療確保法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S57/S57HO080.html)第13条、14条で医療費適正化の評価によって、都道府県では、診療報酬特例ができることはどれほど知られているであろうか。医療計画・地域医療ビジョンは医療費適正化計画と一体的に推進されなければならないものである。国保財政運営の都道府県単位化されれば、都道府県別の資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-12-06p.pdf)を前面に出して、医療費適正化(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02c.html)を推進する必要があるように感じる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/11/dl/byoin.pdf)p34病院の都道府県別にみた人口10万対1日平均外来患者数、p36病院の都道府県別にみた人口10万対1日平均在院患者数、p39病院の都道府県別にみた平均在院日数、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2.pdf)p12~都道府県別の推計平均在院日数、推計1入院当たり医療費、p15で都道府県別後発医薬品割合等の推移が示され、資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-2.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-3.pdf)では、都道府県別の市町村国保と後期高齢者医療の実態に関する詳細なデータが順位付で公表されているように、医療提供実態の都道府県格差は大きいのである。
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線量計による被ばく線量評価

2013年11月11日 | Weblog
東京新聞「政府、「全員帰還」原則を転換へ 福島事故対策、除染に国費」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111101002526.html)。<以下引用>
<政府は11日、東京電力福島第1原発事故からの復興に向けた自民、公明両党の提言を受け、避難住民の「全員帰還」や、除染と廃炉関連の費用の東電負担という民主党政権時代からの原則を転換する方向で検討に入った。帰還困難な住民の移住促進のほか、除染や汚染水対策の国費負担などを柱に、年内にも復興策の全体像を提示する考え。事故後2年8カ月を経ても約14万人が避難を続けており、汚染水問題も解決できない現状を踏まえ、国の関与を強化して復興を加速させる狙い。ただ移住支援は住民の分断や除染の不徹底を招く懸念がある。>

NHK「被ばく線量 住民の線量計で」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131111/t10015971511000.html)。<以下引用>
<東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難している住民が、地元に戻る際の支援を検討している原子力規制委員会の専門家チームは、住民の被ばく線量の評価を、これまでの環境中の放射線量から推定する方法ではなく、住民が身につける線量計で実際に測る方法に変更するとした提言の案をまとめました。実態に即した被ばく線量の評価や効率的な除染につなげる狙いです。原子力規制委員会の専門家チームは、原発事故で避難している住民が、地元に戻る際の不安を解消する国の支援を検討していて、11日、提言の案をまとめました。それによりますと、地元に戻る際の地域の放射線量は、国が避難の解除を判断する目安の年間20ミリシーベルトを下回ることを条件としたうえで、住民の被ばく線量は、年間で1ミリシーベルト以下に下げることを長期的な目標としました。また被ばく線量の評価を、これまでの環境中の放射線量から推定する方法ではなく、住民が身につける線量計で実際に測る方法に変更するとしています。被ばく線量は、線量計で測った値が、推定した値に比べ3分の1から7分の1ほどに低くなる傾向があり、自治体や専門家からは、推定に基づく一律の対策ではなく実態に即した被ばく線量の評価が必要だと指摘されていました。さらに放射線量が高い地域を示す地図を作ったり、線量計の値をもとにした効率的な除染を行ったりして被ばく線量を減らすほか、地域ごとに相談員を配置しアドバイスをする体制も示され、提言の案は大筋で了承されました。提言は、規制委員会が、今後まとめた上で国の原子力災害対策本部に提出することにしています。不安の解消になるか 国が住民の被ばく線量の評価方法を変更するのは、線量計で実際に測った値が環境中の放射線量から推定される値に比べて低くなる傾向があるためですが、個人の線量を対策に生かすには、きめ細かい対応も求められることになり、住民の不安解消につなげられるのかが問われることになります。国は、原発事故が原因の住民の被ばく線量について、長期的に、年間で1ミリシーベルト以下にすることを目指しています。住民の被ばく線量は、これまで、航空機を使って上空から測定した市町村ごとの環境中の放射線量を基に、1日のうち8時間は屋外に、16時間は線量が比較的下がりにくい木造住宅の中にいると一律に仮定し推定していました。しかし、実際に個人個人が線量計を身につけて測った値は、推定される値に比べて3分の1から7分の1ほどに低くなる傾向があることが分かっています。一方で、被ばく線量には個人差も大きく、生活している場所や食べ物などによっては、平均的な値に比べ大幅に高くなる人もいます。このため、福島県内の自治体や専門家から、住民の健康を守り不安を解消するためには、推定に基づく一律の対策ではなく住民全員に線量計を身につけてもらったうえで、生活環境やスタイルに合わせた対策をとることが合理的だという指摘が出ていました。しかし、個人の被ばく線量を把握したうえで除染や健康管理に生かしていくためには、データを分析してアドバイスをする相談員を養成するなど、きめ細かい対応も求められることになり、実際に住民の不安解消につなげられるのかが問われることになります。浪江町住民理解と不安 原子力規制委員会の専門家チームがまとめた提言の案について、福島県浪江町から福島市に避難している住民からは、理解を示す意見がある一方で不安の声が多く聞かれました。80歳の男性は「国が計測したデータを示されるよりも個人の線量計で管理するほうが自己責任で納得ができて良いと思う」と一定の理解を示していました。一方で、75歳の女性は「個人の線量計で計測すると自分の家では放射線量が低くてもすぐ近くでは高いところがあったりするのではないかと思うと不安だ。やはり国でしっかりと除染をして管理し、安全なのかどうか示してほしい」と話していました。また、63歳の男性は「線量計の数字も日によって違うこともあるし、どの程度であれば本当に安全なのかわれわれには知識がない。個人の線量計で判断しろというのは国の責任放棄ではないか」と話していました。>

個人被ばく線量測定サービス(http://www.sangyo-kagaku.co.jp/hibakusokutei.htm)もあるが、身につける線量計で実際に測る方法は、医療機関でのフィルムバッジ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B8)で、一般的に行われている方法であることは理解したい。但し、内部被ばくまでは評価できないであろう。一応、食品の平均計測データ(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000028846.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000028844.html)が地域ごとに出ているのでみておきたい(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11131500-Shokuhinanzenbu-Kikakujouhouka/0000028954.pdf)。「避難の解除を判断する目安が年間20mSvを下回ること」が条件となっているが、一律ではなく、低年齢者や妊婦なども考慮したいところかもしれない。ところで、「土壌発酵による放射能除染検証」(http://fujiwaranaoya.main.jp/pressre.pdf)はどの程度のものか、気になる。ネットでは県庁での記者会見(http://saigaijyouhou.com/blog-entry-1180.html)の模様が出ている。政府のオメガ計画(http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki/entry-10885702609.html)(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%A1%E3%82%AC%E8%A8%88%E7%94%BB)もどうなったのであろうか。
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医療計画、医療費適正化計画が6年ごとに

2013年11月11日 | Weblog
キャリアブレイン「医療計画見直し6年ごとに- 介護保険事業支援計画と足並み合わせる」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/41322.html)。<以下引用>
<厚生労働省は8日、規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループ(WG)の会合で、医療計画の見直し時期を6年ごとに見直す方向性を示した。1期3年の介護保険事業支援計画に足並みを合わせることで、医療と介護の提供体制を一元的に計画する年を設けるのが狙い。【佐藤貴彦】 WGは同日の会合で、「最適な地域医療の実現に向けた医療提供体制の構築」に関する論点をまとめた。その論点の一つに、両計画や医療費適正化計画、地域医療再生計画などの都道府県が策定する計画を、一元化すべきとの案を盛り込んだ。これに対し、出席した厚労省の担当者は、現在は原則5年ごとの医療計画の見直し時期を、6年ごとに変えていく方針を説明した。WGがまとめた論点ではこのほか、医療計画に、▽医療のICT化 ▽地域ごとの患者数に応じた医師や看護師、医療機器などの必要な数の指標-を盛り込むことを提起。さらに、非稼働病床を削減する方策の検討や、一般病棟などの7対1入院基本料の要件の厳格化、地域医療の中でのゲートキーパー機能の確立などの必要性にも言及した。>

規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループ資料(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/meeting.html)が出ればみておきたい。以前の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000026440.pdf)p19では「医療計画の策定サイクルを見直す(両者の計画期間が揃うよう、平成30年度以降、計画期間を6年に見直し、在宅医療など介護保険と関係する部分等は、中間年(3年)で必要な見直しを行う」とあった。医療計画と介護保険事業計画との整合を考慮すれば、医療計画の計画期間の6年化は悪くないかもしれない。医療費適正化計画のほか、健康増進計画、がん対策推進計画など、医療計画と整合を図るべき各種計画も6年ごとになるのであろうか。平成30年が大きな節目になるのかもしれない。さて、計画期間を6年間に揃えても、都道府県レベルの介護保険事業支援計画と医療計画との連携だけでは弱い感じがする。都道府県内でも、地域によって医療資源・介護資源が大きく異なるだけではなく、地域包括ケアには風土・文化的要素が考慮されるべきだからである。厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36では「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、二次医療圏域内の介護保険事業計画と医療計画の連携を推進すべきであろう。厚生労働省資料(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=148716&name=0000014431.pdf)p3では、圏域連携会議「実績なし(秋田県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、三重県、京都府、奈良県、岡山県、徳島県、香川県、愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県)」とあるが、2次医療圏をベースに「地域医療・包括ケア計画」を推進するのであれば、圏域連携会議を重視すべきであり、医療法上の規定は有効かもしれない。
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