保健福祉の現場から

感じるままに

保護者義務規定の廃止と保健所

2012年01月17日 | Weblog
保護者制度・入院制度に関する作業チーム資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vnrh-att/2r9852000001vnzv.pdf)p55では結核DOTSが示されている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vnrh-att/2r9852000001vnxc.pdf)p28~に出ているように、保護者の、①治療を受けさせる義務、②医師の診断に協力する義務、③医師の指示に従う義務の廃止が検討されているが、保健所による継続支援がイメージされているらしい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001zwut-att/2r9852000001zx2u.pdf)p12では「保護者以外による代替の可能性」について、「現在の医療保護入院者数から考えると、行政、司法とも実務的には対応することは極めて困難である。(1か月当たりの医療保護入院による入院者数は約1万人であり、1保健所当たり1月に20件程度となり、平日は毎日医療保護入院に対応する計算になる。)」とされている。昨年10月の通知(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/check/doc/tsuchi/T111013H0010.pdf)でDOTSの対象が拡大されたが、結核と違って、精神障害者に対する支援は期限がなく、支援対象者は増える一方となる。保健所の継続支援が欠かせないとしても、現状のマンパワーでは大変であろう。さて、全国495ヵ所の保健所(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-top.html)をみると、管内人口に大きな違いがある。例えば、大阪市(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-kinki.html#osakashi)や札幌市(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-hokkaido.html#saporoshi)は1保健所であるが、名古屋市(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-toukaihokuriku.html#nagoyashi)は16保健所、福岡市(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-kyushu.html#fukuokashi)は7保健所である。地域保健対策検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ahdf.html#shingi60)では、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第4条による「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/10/tp1030-2.html)の見直しが検討されているが、最近の様々な動向を踏まえて、標準的な業務や体制が示されてもよいかもしれない。なお、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第五条では「保健所を設置する場合においては、保健医療に係る施策と社会福祉に係る施策との有機的な連携を図るため、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第二項第九号に規定する区域及び介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十八条第二項第一号に規定する区域を参酌して、保健所の所管区域を設定しなければならない。」とされている。次期医療計画では、「人口20万人未満で流入率20%未満・流出率20%以上」の2次医療圏の設定見直し(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhrr.pdf)が検討されており、該当の二次医療圏は87ヵ所ある(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhyi.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhyr.pdf)。二次医療圏は、地域の実情に応じて設定されており、見直しは容易ではないであろうが、二次医療圏が見直しされれば、保健所の所管区域についても影響が出てくるかもしれない。しかし、保護者義務規定廃止に伴う支援、結核DOTSの拡充(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/check/doc/tsuchi/T111013H0010.pdf)、労働安全衛生法の改正(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001slpa-att/2r9852000001slro.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001slpa-att/2r9852000001slqr.pdf)による職場のメンタルヘルス対策強化に伴う支援、医療計画見直し(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhrr.pdf)による精神疾患の追加や在宅医療の推進など、最近の動きをみると、対人保健分野でも保健所の役割は今後とも拡充していくであろう。無論、食品衛生や環境衛生等の対物保健分野はいうまでもない。人員増が厳しい中で、それに応えるためには、職員の質的強化「能力(知識×技術×態度)×意欲」が不可欠であろう。
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