友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

ミステリー・バスツアーその2

2015年11月26日 18時32分25秒 | Weblog

 「ヨーロッパは行ったし、アメリカも行った。マチュピチュも昨年、行ってきた。もうあと、行ってないところはモロッコ。モロッコに行ってみたい」と声がする。聞き耳を立てていたわけではないが、大きな声なので聞こえてくる。「ダンナさんとは行きゃへんの?」と相方が聞くと、「行きゃへん。嫌だもん。旅行はたいていひとり。マチュピチュもひとりで行った」。「ひとりでよー行きなさるな」。「ひとりの方が気が楽だでー。それになー、ひとりで参加の募集もあるでよ」。

 「あんたが旅行している間、ダンナさんはどうしているの?」。「うちの人は何にもせん。洗濯物干してと言ってもやらせんし、掃除機も使い方知らんと言ってやらん。私が死んだらどうするのと言ったら、その時はその時だと言う。旅行中は息子が来て、お父さんの面倒をみてくれる。あの子は本当に優しいでー。孫が大学に入ったで、海外旅行へ一緒に行こうと誘っとるの」。「旅行の何がいいのと言えば、そりゃー家のことを何もせんでもいいからだぎゃー。あんただって、そうでしょう」。

 2日目の昼食で同席した夫婦はダンナが酒飲みだがカミさんは受け付けないと言っていた。「若い頃は1升は飲んだな」と言う。「取引先の人とか、部下の人とか、こっちがすっぴんでいる時に連れて来て、自分はグウグウ高いびきなんだから」とちょっと細身で色白な艶っぽいカミさんが言う。取引先の人も部下もカミさんに会いに来たかったのかも知れない。3日目の昼食は、かなり派手目で太っちょなカップルと同席だった。名古屋駅で解散し、私が旅行の帰りはここと決めているイタリア料理の店に向かっていると、ちょうどそのカップルに出会った。ところが男と女は別々の方へと歩いて行く。

 添乗員さんは40代半ばと思われる愉快な女性だった。バスの中で誰かが「飲み物の蓋がどこかへ行ってしまった」と騒いでいると、その添乗員さんは巨体を構わず這いつくばって、キャップを探した。見事なまでに大きなお尻をみんなに晒したその仕事ぶりに感心した。添乗員と運転手はいつも別室で食事をする。ふたりが食事をしているところをたまたま見かけたが、仲良く談笑していた。夕食の席で、「添乗員さんも一緒に飲みませんか」と誘うと、「いえ、ご遠慮します」と言うので、「わかった。運転手さんとじっくり頂くんですね」と冷やかし、「ふたりは怪しい関係だったと小説のネタにさせてもらおうかな」と冗談を言って笑ったが、どうだったのだろう。


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