友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

やがて統治なき社会がやってくる

2011年02月03日 22時07分15秒 | Weblog
 エジプトが大変なことになっている。チュニジアで、路上で野菜を売っていた人に役人が賄賂を要求した。その人は役所の前で焼身自殺して、抗議を示した。これがきっかけとなって、反政府デモが高まり、政権は崩壊した。政治の腐敗に対する国民の怒りが爆発したのだ。このニュースは世界に広まった。同じように長期政権が続く、エジプトをはじめとする中近東の諸国で反政府デモが起こっている。政府の絶対的な権力が国民を支配続けている諸国で、国民のデモが広がっているのだ。

 このことは、今日の世界では情報が瞬時に伝わることを立証している。たとえ、政府がケイタイやパソコンを一時的に使えなくしたとしても、人々はすぐに対抗手段を考えるだろう。第2次世界大戦でナチスと戦っていたレジスタンスは、ラジオ放送で連合軍がやってくることを知っていた。今日の世界は、ラジオのような一方からの発信ではなく、双方向でやり取りできる。情報がすぐに手に入るから動きも早い。誰かが呼びかけたのだろうけれど、それに呼応してみんながデモに参加し、自分たちのことは自分たちで決めようとしている。

 エジプトでは現政権支持派のデモ隊が突如として現れているけれど、彼らは組織化された部隊であるようなので、それは逆にもっと多くの国民の反発を食らうことになるだろう。チュニジアでもエジプトでも、あるいはその他の中近東の諸国で、このような反政府デモが自然発生的に起きたのは、積もり積もった不満があったからだと思う。それはまた、世界がアメリカを頂点とする資本主義社会となり、資本主義社会の下で教育が広く行なわれた、あるいはインターネットのような道具が行き渡った、そのおかげだと思う。

 教育は労働する者のレベルを上げるためであったけれど、国民の知的レベルを引き上げる結果となった。みんなが貧しければ別に不満は起こらない。けれども、富が一部の人々に集中すれば当然にも怒りとなる。長期政権が続くと、それで甘い汁を吸う者はさらにその地位を確保しようとする。ますます不条理が横行する。役人は賄賂を要求し、利益を得ようとする者はソデの下を使う。不正がまかり通れば息をするのも苦しくなる。誰かが「こんなことは許されない」と叫べば、大勢の人々が呼応する。それしか生きる道はないのだから。

 「イラク戦争はキリスト教とイスラム教の戦いだ」と言った人がいたけれど、私はそう思わない。イスラム教も資本主義社会の中にある。イランもいずれはアメリカやその他の自由主義経済の国と同じようになっていくだろう。生活習慣や伝統、宗教は異なっても、それが大きな妨げとなる時代ではなくなるだろう。資本はより利潤を求め、イラクやイランにもアメリカ的な社会を求めるし、すでにそうなりつつある。日本の中に、伝統的な家屋で生活する人々がいるのと同じだ。けれども、テレビや洗濯機や冷蔵庫や車や、そうしたモノは同じように持っている。

 長期政権の国々の崩壊が進み、また民主主義政治の形態も変わっていく。そして世界はいずれ1つになるだろうと私は思っている。国境など必要のない、つまり国家の存在しない世界になるだろう。やがて統治なき社会がやってくる。

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