テレビの『特ダネ』が、タレントのベッキーさんを取り上げていた。ベッキーさんは音楽グループ『ゲスの極み』のファンで、ボーカルの人と「不倫」をしているというのだ。人が誰を好きになろうと構わないのに、タレントだとこんなに騒がれてしまう。恋した人がたまたま既婚者だっただけではないかと思うけれど、世間はそれを許さない。既婚者が恋するのは犯罪だと思っているのか、それとも自分だって我慢しているのにと嫉妬しているのか、どちらだろう。
そういえば、こういう人もいる。入籍はするけれど式は挙げないというケースはよく聞くが、式は挙げるけど入籍はしないという人たちだ。バツイチの彼女は入籍することで背負う諸々をまだすんなりと受け入れられない。気持ちの整理がつくまで、事実婚でいたいということのようだ。また、別のケースは結婚式をしてすぐ入籍すると、その後に入社式があるので名前が変わることで面倒になるという。聞いてみると、彼女の会社には結婚休暇という制度があるので、長期休暇を取るタイミングで入籍しようということらしい。
入籍していなければ、「不倫」にはならないのだろうか。キリスト教では、「姦淫するなかれ」という掟がある。だから既婚者がパートナー以外の異性に恋心を抱くことは掟に背く行為になる。みんなが掟を守って暮らしたのかといえばそうでもない。恋多き人はいつでもどこでもいる。ならばこの掟は人間の実態に合っていないようにみえるが、太古の昔からそうした掟が存在しているのは、それだけ人間は欲望的だということだ。
ならば、結婚という制度を廃止すればいい。そんなことをしたら秩序は乱れ収拾がつかなくなると言うが、言う人は己を知っているのだ。ルールがないと乱れると警告するのは、自信がないからのではないだろうか。ルールがないと本当に乱れるだろうか。人は意外に暗黙の裡に節度を定めているように思う。きっといつか、現在では考えられない新しい人間社会が出来ているのではないだろうか。