友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

映画『愛を積むひと』

2015年07月22日 18時27分50秒 | Weblog

 映画『愛を積むひと』を観て来た。少し前に「話題の映画」というので、朝のテレビ番組で取り上げられていた。映画の公開に先立って催された挨拶で、主演の佐藤浩市さんが涙ぐむ姿を偶然に見て、どんな映画なのかと興味を持った。佐藤さんが涙ぐんだのは、妻役の樋口可南子さんが浩市さんの妻の手紙を読み上げたためだった。この映画は手紙が大きな役割をしているという。亡くなった妻の手紙を題材にした高倉健さんの映画を思い出したが全く違っていた。

 東京から北海道の美瑛に越してきた夫婦を中心に、親子や若い男女の愛憎が美しい美瑛を舞台に描かれていく。「泣かせてくれます」の評判どおり、私はずーとハンカチが離せなかった。映画の主題は夫婦の愛なのだろうけれど、樋口さんが演じる女性は余りにもよい妻過ぎるように思った。妻任せの夫と夫を思いやる妻というどこにでも居そうな夫婦だが、亡くなってもなお夫のことを妻は心配するけれど、もういい加減に肩の荷を降ろしてもいいのではないのかと思う。

 妻の願いで石塀を造る。造園業者から男の子が派遣されるが、黙々とよく働く彼は不良仲間に誘われ夫婦の家に盗みに入る。男の子は中学の同級生の女の子と恋仲で女の子は妊娠してしまう。女の子は牧場主の妻の連れ子で、母親は「不良との結婚は許さない」と娘に言う。牧場主は娘が望むようにしてやろうと男の子を牧場の跡取りにするため、1年間他の牧場で働くように言う。女の子に男子が誕生し、牧場主は大喜びだが「血が繋がっていたならどんな気持ちだろう」と言う。

 血が繋がっている主人公の娘は妻子のある男性と恋に落ち、相手の女性は自殺未遂まで起し、主人公は娘とは交流を絶っている。上京した折に娘を訪ねるが、娘から子どものある男に「結婚しよう」と言われていると聞き、妻の形見の品を渡すことが出来ない。血は繋がっていなくても娘を愛する男と、繋がっていても愛せない男だが、ふたりは何かを感じ合う。北海道の美しい風景にふさわしく、美しい物語だ。それでよいとも思うし、そんな風にピッタリ納まることが幸せなのかとも思う。

コメント
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