ミモロは、ある日、お友達に誘われて、錦織の工房「龍村光峯錦織工房」の見学に出かけました。
錦織とは、金糸などを使い極めて細かい表現をする伝統的な絹織物で、世界に誇る日本の稀少な技術のひとつです。
正倉院などに伝わる織物や古代裂など、文化的に高く評価されている芸術作品の復元などを数多く手がけると共に、さまざまな素晴らしい錦織物の作品も多数制作しているのが、ここ「龍村光峯錦織工房」です。
現在の当主の龍村光峯さんと
そして、後継者である息子の龍村周(あまね)さんが、ミモロたちを迎えてくださいました。
「わー高い天井ー」と、玄関を入るなり、ミモロは声を。吹き抜けの天井から明るい光が入る空間には、いろいろな作品が展示されています。
いずれも見事な作品。「これが織物だって信じられない…すごく細かいねー遠くから見ると刺繍みたい…」と、近づいて、目を凝らして見つめます。
工房見学の解説をしてくださるのは、日本伝統織物研究所の山田実さん。
いよいよ錦織の講義が始まりました。参加者一同、真剣に耳を傾けます。
はじめに伺ったのは、絹糸のお話。
「蚕がはく糸の断面は、丸ではなくて、三角なんです。だから光は、プリズムのように微妙に屈折します。これが絹糸の素晴らしさ。錦織は、この絹糸の特製を巧みに利用して、表現を行っているんですよ」
「へー知らなかったー」とミモロ。
「例えば、この織物をみてください。こっちから見ると鹿が見えますね」
「では、ちょっと移動して、こちらに来てくださいーほら、鹿が消えたでしょ」
「ホントだー。見えなくなった。どこ行っちゃたんだろ?」と不思議そうなミモロ。
「どこにも行ってませんよ。これは光の具合によるもの。これが絹糸の特異な性質で、それを昔の人は、知っていて、それを活かした織り方をしているんです。スゴイでしょ」
「うん、スゴーイ!」とただただ感心するミモロです。
この光を巧みに使った技術は、現代の帯にも活用されていました。
ミモロが見ている帯を、色の違う布の上に置くと、周囲の色により、目立つ色が異なってきます。
「この帯は、便利で、いろいろな着物に使えますよ」と。
さらにまるで本物をコピーしたように精巧に織られた作品も。
木目が、そのまま金色に染まったように見えますが、これも錦織です。
いろいろなお話を伺った後に、ゆっくりと作品を、改めて見つめ直すミモロです。
「ホント、すごい技術だねー」
皇室や政府関係からの注文を受け、作品を手がけることも多いそう。
作品は、常に2つ作られ、ひとつを注文主に納め、もうひとつは、その技術を残すために、ここに置かれるそうです。
展示スペースでは、昔の文様の見本帳など、貴重な資料も見ることができます。
参加者といっしょに熱心に見て行くミモロです。
気づくと、展示資料を見ていたはずのミモロの姿がありません。あれ?どこに…
ミモロは、ひとり奥に展示されていた打掛の前に…
「わーすごく豪華…キラキラ光ってる…こんな打掛着てみたいなぁー」と、憧れの眼差しで美しい打掛に見惚れています。
「じゃ、ちょっと合わせてごらん」と、龍村周さんが、ミモロを打掛の上の部分に。
「似合う?なんかお姫様になったみたい…」
あまりの豪華さに、ミモロは幾分緊張気味。
さぁ、次は、錦織の機を見に行きましょう。
*「龍村光峯錦織工房」京都市北区紫竹ノ岸町25 電話075-491-9145 詳しい情報はホームページで。また工房見学のお問い合わせ、および申込みは、「一般財団法人 日本伝統織物研究所事務局」へ。
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