彼女はポイントを貯(た)めることに喜(よろこ)びを感(かん)じていた。友だちからは、折角(せっかく)のポイントを使わないなんてもったいないわ、とよく言われたものだ。
最近(さいきん)友だちになった娘(こ)が彼女に言った。
「あなたってそういうタイプなのね」
それは、何だかバカにしたような言い方だった。さらに娘(むすめ)は意味深(いみしん)な言葉(ことば)を吐(は)いた。
「でも、そんなことしてると、手に入るものも入らなくなるわよ」
――それから数日後。彼女は付き合っていた彼から別れを切り出された。どうやら、他に好きな人ができたようだ。その相手(あいて)は…、あのときの娘(むすめ)だった。
それを知った彼女は、悲(かな)しくて部屋に引きこもるようになってしまった。誰(だれ)にも会いたくなかったのだ。でも、彼女の友だちは見放(みはな)したりはしなかった。何度も彼女に会いに行き、彼女が立ち直(なお)れるように手を差(さ)しのべた。
彼女が元通(もとどお)りの生活(せいかつ)に戻(もど)るのに、そんなに時間はかからなかった。
――彼女が、友だちとショッピングを楽しんでいたとき、自分のポイントが目標(もくひょう)まで貯まっているのに気がついた。彼女は、早速(さっそく)そのポイントで素敵(すてき)な買い物をした。それは、誰もが羨(うらや)むもので、彼女はみんなの注目(ちゅうもく)を浴(あ)びるようになった。
それを知った別れた彼は…、残念(ざんねん)そうに彼女を見つめるしかなかった。
<つぶやき>目先(めさき)のことに囚(とら)われていませんか? 疑問(ぎもん)は、彼女が何を手に入れたのか…。
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