みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0663「激痛」

2019-09-20 18:40:05 | ブログ短編

 お腹(なか)に痛(いた)みが走ってる。何でこんなことになっちゃったのか…。彼女が悪(わる)いわけじゃない。すべて俺(おれ)の責任(せきにん)だ。俺が、浮気(うわき)をしてしまったから。別に彼女のことが嫌(きら)いになったわけじゃない。ただ、ちょっと他の女に目がいってしまって…。それで、ほんの遊(あそ)びのつもりだったんだ。
 ――俺、このまま死んじゃうんだろうか…。死にたくねえなぁ。そうだ、救急車(きゅうきゅうしゃ)を呼(よ)ぼう。でも、そんなことをして警察沙汰(けいさつざた)になったら、彼女は…。ダメだ! 俺のせいで彼女を犯罪者(はんざいしゃ)にするなんて、できない。でも、痛い! もう、我慢(がまん)できないかも…。
 俺は、そっと目を開ける。目の前に、彼女の足…。彼女は倒(たお)れている俺の前で仁王立(におうだ)ちしている。どうしよう…、ここままじゃ、俺――。
「ねえ、いつまでそうやってるつもり。そんな臭(くさ)い芝居(しばい)で、私が同情(どうじょう)するとでも思ってるの? あの女と別れるまで、私の前に顔ださないで。さっさと出て行きなさいよ!」
 俺は、彼女の足にすがって懇願(こんがん)するように言った。
「なあ、頼(たの)むよ。そんなこと言わないでくれ。俺は、お前のこと…」
 また、お腹が…。もうダメだ。このままだと取り返しのつかないことに。俺は彼女に取りすがり、「その話、ちょっと後にしてくれないか…。すぐ、すぐに――」
 俺はトイレに駆(か)け込んだ。――間一髪(かんいっぱつ)だった。昼間(ひるま)、浮気相手(あいて)と一緒(いっしょ)に食べた生牡蠣(なまがき)がいけなかったんだ。これは、天罰(てんばつ)だ。きっとそうに違(ちが)いない…。
<つぶやき>まったくなにやってるんでしょう。懲(こ)りないのが男の性(さが)なんでしょうかね。
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