みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0555「しずく26~帰宅」

2019-05-28 18:29:47 | ブログ連載~しずく

 夜中(よなか)の十二時をまわっていた。月島(つきしま)しずくはどこをどう歩いたのか、やっと家の前までたどり着(つ)いた。家の中は電気(でんき)が消えていて真っ暗(くら)である。玄関(げんかん)の外の電灯(でんとう)が小さく灯(とも)っているだけ。
 しずくは小さなため息(いき)をつくと、玄関の鍵(かぎ)を開けて家の中へ入った。こんなに遅(おそ)くなったのだ。両親(りょうしん)に怒(おこ)られることは覚悟(かくご)していたが、誰(だれ)も私のことを待ってないなんて…。
 靴(くつ)を脱(ぬ)いで上がろうとしたとき、玄関の電気がついた。まぶしさに、しずくは目を細(ほそ)める。目の前に立っていたのは、不機嫌(ふきげん)そうな顔をした神崎(かんざき)つくね。しずくは驚(おどろ)いて、
「えっ、どうして…。何で、私が帰ってきたの…。あっ、待っててくれてたの?」
「そんなわけないじゃない。ずいぶん遅かったのね。今まで何してたの?」
「それは…。ちょっとね、いろいろあって…」
「そう。別に、あたしにはどうでもいいことだけど。明日も学校があるんだから、早く寝ないと起きられないわよ。遅刻(ちこく)しても知らないから」
 つくねはそのまま自分の部屋へ行ってしまった。しずくは、ひとり呟(つぶや)いた。
「なに怒ってるのよ。いやな感じ。――もう、今日は何て日なの…」
 その夜、しずくはなかなか眠れなかった。ベッドの中で何度も寝返(ねがえ)りをうちながら、いろんなことが頭の中を駆(か)けめぐっていた。それでも、明け方ごろにはウトウトとしたようだ。でも、弟(おとうと)に手荒(てあら)く起こされて、いつも通りの朝を迎(むか)えた。
<つぶやき>遅くなる時は、ちゃんと家の人に連絡(れんらく)をいれましょう。心配(しんぱい)してるんだから。
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