みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1451「抑えきれない」

2024-03-23 17:48:34 | ブログ短編

 彼女はちょっとやっかいな人だ。平気(へいき)で嘘(うそ)をつく。でも、僕(ぼく)は知っている。そんな時の彼女は、人恋(ひとこい)しく思っているときなのだ。誰(だれ)かにそばにいて欲(ほ)しいから、人を困(こま)らせるようなことを言ってしまう。彼女と知りあったときから、僕はそのことに気づいていた。
 他の人たちはそんな彼女を悪(わる)く言うけど、僕はそんなこと思わないし彼女の味方(みかた)でいたいと決(き)めている。彼女は人付(ひとづ)き合いが苦手(にがて)なだけなんだ。思っていることの半分(はんぶん)も口(くち)に出せない。だから他の人から誤解(ごかい)されてしまうのだ。
 ある日のこと…。それは、僕が女友だちと一緒(いっしょ)にいたときだ。突然(とつぜん)、彼女がやって来て、僕に向かって怒(おこ)りだした。僕は彼女をなだめようとした。すると今度は隣(となり)にいた友だちに鉾先(ほこさき)を向けた。僕は止(や)めさせようとして、彼女を突(つ)き飛(と)ばしてしまった。尻餅(しりもち)をついた彼女は目に涙(なみだ)をためて、くしゃくしゃな顔で駆(か)け出して行った。
 それから、彼女と顔を合わすことがなくなった。どうやら僕のことを避(さ)けているようだ。僕は彼女に謝(あやま)りたいと思っているのに…。そこで僕は彼女のことを待ち伏(ぶ)せすることにした。彼女の行きそうなところは分かっている。そして、それはすぐに実現(じつげん)した。
 僕が謝ると、彼女は口をへの字に曲(ま)げて何か言いたそうにしていた。僕は彼女が言い出すのを待っていた。すると今度はぼろぼろと泣き出してしまった。僕は困った。こんなことは初めてなのだ。僕は、彼女に近づき…。そっと彼女を抱(だ)きしめた。
<つぶやき>彼女は、彼のことが好きになってしまったのか。彼に伝(つた)わるといいですね。
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