みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1449「入れ替わり」

2024-03-07 18:01:24 | ブログ短編

 とある飲(の)み屋で知り合った若(わか)い男女。何度(なんど)か顔を合わせるうちに親(した)しくなって、どうやら意気投合(いきとうごう)したようだ。何でも話せるくらいの仲(なか)になったとき、女は男に愚痴(ぐち)をこぼした。
「もし、あたしが男だったら、もっとやりがいのある仕事(しごと)ができるのに。不公平(ふこうへい)だわ」
 男は相(あい)づちをしながら、「そうか…。君(きみ)は、男になりたいのかい?」
「えっ? いいえ、そういうことじゃなくて…。女だと、仕事で成果(せいか)を出しても認(みと)めてもらえないのよ。ぜんぶ、男が手柄(てがら)を持っていっちゃうの。もう、仕事辞(や)めちゃおうかなぁ」
 どうやら、女は酔(よ)っ払っているようだ。男は、そんな彼女にある提案(ていあん)をした。
「どうだろう…。君が受(う)け入れてくれるなら、僕(ぼく)と身体(からだ)を入れ替(か)えないかい?」
 女は首(くび)を傾(かし)げて、「あなた、何を言ってるの。そんなこと、できるわけないでしょ」
「それがね。できるんだよ。君は男になれるんだ。僕の提案に合意(ごうい)してくれればね」
 女は一笑(いっしょう)すると、「もう、あたしをからかってるの?」
「からかってなんかいないよ。君、男になって、やりがいのある仕事をやってみないか?」
 女はしばらく考(かんが)え込んでいたが、「分かった。じゃあ、あたし、男になる!」
 翌朝(よくあさ)、目を覚(さ)ました女は飛(と)び起きて言った。「ここは…どこよ? あたし…」
 そこは、どうやら男の部屋(へや)のようだ。昨夜(ゆうべ)、何があったのかまったく思い出せない。女は、身体に違和感(いわかん)を感じた。目線(めせん)を下げると、胸(むね)の膨(ふく)らみがなくなっていた。
<つぶやき>これはキャーだよ。でも、これから新しい人生(じんせい)を始めることになるんだよね。
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