仲(なか)の良い女友達(ともだち)と女子会(じょしかい)を楽(たの)しんでいると、男性がその中に入ってきた。すると、友だちの一人が立ち上がって、「あたし、この人と婚約(こんやく)しました!」
みんなは、突然(とつぜん)の発表(はっぴょう)に目を丸(まる)くした。どうしてこんな人と? そこにいた誰(だれ)もがそう思った。だって、この娘(こ)、今までイケメンしか目に入らないって感じで…。そんな娘(こ)が、こんな不細工(ぶさいく)な男とどうして婚約なんてしちゃうのよ?
それから数日後。わたしはとんでもないものを目撃(もくげき)した。女子会に参加(さんか)していた別(べつ)の友だちが、例(れい)の不細工な男と一緒(いっしょ)に歩いていた。しかも、腕(うで)を組(く)んで!
わたしはその友だちに言った。「あなた、何であの人と…。友だちの婚約者(こんやくしゃ)じゃない」
すると、その友だちは、「だって、好(す)きになっちゃたんだもん。まだいいでしょ。結婚(けっこん)したわけじゃないんだし…。それに、彼ったら、あたしに一目惚(ひとめぼ)れしたんだって…」
わたしは何が何だか分からなくなった。もう、みんなおかしくなっちゃってるよ。わたしが悶々(もんもん)としていると、知らない番号(ばんごう)から電話(でんわ)がかかって来た。出てみると、それは例の不細工な男からだ。どうして、わたしの番号を知ってるのよ? 男は言った。
「実(じつ)は、彼女から教(おし)えてもらって…。君(きみ)に、披露宴(ひろうえん)のことで頼(たの)みたいことがあって。明日、会ってくれないかな? 突然で申(もう)しわけないんだけど…」
わたしは断(ことわ)るつもりだった。だって、他(ほか)の娘(こ)とも付き合ってるのに…。でも、わたしの口から出た言葉(ことば)は、「ええ、いいですよ。会えるの楽しみにしてます」
電話を切ったあと、何であんなことを言ってしまったのか、自分が分からなくなった。
<つぶやき>これは操(あやつ)られちゃってるのかも…。この不細工男、やばい人かもしれません。
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