みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0895「しずく94~始動」

2020-05-20 18:15:16 | ブログ連載~しずく

 月島(つきしま)しずくは電話(でんわ)を切ると千鶴(ちづる)に言った。「じゃあ、あなたの能力(ちから)を使わせて。私たちでつくねを見つけましょ」
 千鶴はうなずくと、意識(いしき)を集中(しゅうちゅう)させるために深呼吸(しんこきゅう)して目を閉じた。これは千鶴がいつもやることで、これで能力(ちから)を発動(はつどう)させるのだ。しずくは彼女の肩(かた)に手を置いた。
 双子(ふたご)の姉妹(しまい)が見守(みまも)るなか、それは突然(とつぜん)起こった。しずくの身体(からだ)から赤い光が現れて、千鶴の身体もその光に包(つつ)まれていく。しばらくすると、千鶴の顔に驚(おどろ)きの表情(ひょうじょう)が浮(う)かび、彼女は思わず声をあげた。それと同時(どうじ)に、光も消えてしまった。
 千鶴は目を開けると、「今のは…、なに? こ、こんなことって…」
「ありがとう」つくねは嬉(うれ)しそうに言うと、「さぁ、今度はあなたたちの出番(でばん)よ」
 わけが分からないハルとアキは、顔を見合わせるしかなかった。
 ――神崎(かんざき)つくねが目を覚(さ)ますと、装置(そうち)で囲(かこ)まれた大きな椅子(いす)に座(すわ)らされていた。手足は固定(こてい)されていて身動(みうご)きができない。それでも必死(ひっし)でもがくつくね。あの男の声がした。
「お目覚(めざ)めかね。食事に入れた睡眠薬(すいみんやく)には気づかなかったようだな。よかったよ、手荒(てあら)なまねをしなくてすんだ」
 男は窓越(まどご)しの部屋で手を振(ふ)った。つくねは、父親を睨(にら)みつけて叫(さけ)んだ。
「絶対(ぜったい)、許(ゆる)さないから。あたしは、あなたの言いなりになんかならない!」
<つぶやき>これはピンチですよ。つくねは実験台(じっけんだい)にされてしまうのか? それとも…。
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