みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0045「コピーロボット」

2017-06-26 19:27:07 | ブログ短編

 美子(よしこ)は<どうしても>と、おばさんに頼(たの)まれて、お見合(みあ)いをすることになった。写真(しゃしん)で見た限(かぎ)りでは、ごく平凡(へいぼん)な中小企業(ちゅうしょうきぎょう)のサラリーマンだ。美子は気が進まなかった。そこで、最近(さいきん)手に入れたコピーロボットを身代(みが)わりにすることにした。見合いの席(せき)で失敗(しっぱい)させて、嫌(きら)われるようにしむけるのだ。
「ねえ、どうだった?」見合いから帰って来たロボットに美子は訊(き)いた。
「それが、おかしいの。何だか気に入られちゃったみたいで」
「どうしてよ。ちゃんと私の言った通りにしたんでしょ」
「もちろんよ。お茶をこぼしてみたり、口を開(あ)けて食事(しょくじ)をしたり。それと、言葉(ことば)づかいもたどたどしくしたのよ。絶対(ぜったい)に普通(ふつう)の人だったら好きにはならないわ」
「ああ、どうしよう。このまま話が進んじゃったら…。そんなの困(こま)るわ」
「大丈夫(だいじょうぶ)よ。二人っきりになったとき話したんだけど、とっても真面目(まじめ)そうな良い人だったわよ。何でもできる人よりも、少し抜(ぬ)けてる人の方がいいって言ってたわ」
「なにそれ。それじゃ私が、まるでバカ娘(むすめ)ってことじゃない。冗談(じょうだん)じゃないわよ!」
「そんなに怒(おこ)らないで。あなたが気に入らなかったら、私が付き合ってもいいのよ」
「これは、私の見合いよ。いいわ。私から会いに行って、ガツンと言ってやるわよ」
<つぶやき>出会いは一期一会(いちごいちえ)です。ひょんなことから恋が生まれるのかもしれません。
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