長尾景虎 上杉奇兵隊記「草莽崛起」<彼を知り己を知れば百戦して殆うからず>

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村上春樹最新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」あらすじ読書感想文

2013年05月06日 22時21分25秒 | 日記
 発売された村上春樹の新作、
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んでみました。感想はまた改めて書くとして、まずはあらすじをまとめておきます。主人公は、東京の鉄道会社で駅を作る仕事をしている多崎(たざき)つくる、36歳。つくるは16年前の二十歳の頃、死ぬことしか考えない半年間を送った。つくるは名古屋の公立高校に通っていた高校時代、一年生の夏休みに社会化の課題として取り組んだ。ボランティア活動で仲良くなった同級生5人でとても仲の良いグループとなる。5人はみな団塊の世代を親に持つ、大都市郊外の「中の上」クラスの家庭の子供だった。5人の名前は赤松慶(あかまつけい・アカ)、青海悦夫(おうみよしお・アオ)、白根柚木(しらねゆずき・シロ)、黒埜恵理(くろのえり・クロ)、そして多崎作(たざきつくる)。つくるだけが、名前に色が入っていない。「色彩を持たない」というタイトルの由縁である。アカは名古屋大学経済学部の教授を父に持ち、全教科でトップクラスの成績を収めていた。性格は短気で負けず嫌い、身長は160cmに満たなかった。アオはラグビー部のキャプテンでポジションはフォワード、明るい性格で申し分のない体格を持ち、大食漢だった。シロは古い日本人形を思わせる端正な顔立ちで、長身でほっそりして髪が長く、人目を引く美人。生真面目な性格でピアノの才能を持っていたが、動物が好きで獣医になることを夢見ていた。父親は名古屋市内で産婦人科を経営していた。クロは愛嬌があり、大柄でふっくらして、自立心が強く、早口で、頭の回転も早かった。父親は名古屋市内に税理士事務所を構えていた。熱心な読書家でもあった。高校を卒業すると、つくる以外の4人は名古屋に残り、つくるだけが東京の工科大学に進学する。つくるは、駅に対して並々ならぬ興味を持っていて、東京の工科大学で、その分野で有名な教授のゼミに入って学びたかったからだ。アカは東大に楽に入れる成績だったが名古屋大学経済学部に進学、
アオはラグビーが強いことで有名な次第に推薦で入学、シロは周囲の説得で獣医の道を諦めて音楽大学のピアノ科へ、そしてクロは英文科が有名な私立の女子大へとそれぞれ進んだ。いずれも、自宅から通える学校だった。
大学に入ってからも、長期の休みなどは名古屋に戻り高校時代と変わらずメンバーと過ごしていたつくるだが、大学二年生の夏休み、いつものように帰省して電話したものの誰も電話に出ず、電話に出た家族は出かけていると繰り返すだけだった。居留守を使われていることに気づいたが、なぜそのような仕打ちを受けるのか理解できないつくるは、電話をかけ続ける。すると、アオから電話がかかってきて、「悪いけど、もうこれ以上誰のところにも電話をかけてもらいたくないんだ」と告げられる。
理由を尋ねても、アオの口から答えを告げられることはなかった。突如、親密な関係を失ったつくるは、深い喪失感に包まれ、死ぬことだけを考えて生き、半年間で7キロ体重を落とす。だが、ある晩、つくるは生まれて初めて世界で最も絶望的な牢獄である「嫉妬」という感情を知ることになる夢を見る。目覚め、汗でびしょ濡れになった服を脱いで裸になった自分の変わり果てた姿を鏡で見て、つくるは死のことだけを考えるのをやめる。
その後、朝の日課となった大学のプールで出会ったのがやはり名前に色彩を持つ灰田文紹(はいだふみあき)だ。灰田は秋田出身で、同じ大学の物理学科に属する2年後輩。端正な顔立ちをした一人っ子の好青年だった。父親は秋田の公立大学で哲学科の教師をしていた。
次第につくると灰田は親しくなり、週に2、3回食事を共にするようになる。灰田は料理が得意で、つくるのマンションで趣味のクラシックのレコードをかけさせてもらうお礼にと
(灰田が住む学生寮は、音楽を聴ける環境ではなかった)、よく食材を買ってきて料理を作った。やがて灰田は毎週末つくるのマンションに泊まりにくるようになるほどまでに二人は親しくなっていった。しかしそれでも、名古屋の5人組の話は灰田にも伏せていた。
灰田が持ってきたレコードのうちの1枚が、この物語のタイトルにもなっているフランツ・リストのピアノ曲、「巡礼の年」。シロがよく弾いていた曲だった。ある土曜の晩、灰田とつくるが「死」について語っていると、灰田は父親から聞いた、灰田の父親が学生時代、
大学紛争に愛想をつかして日本中を放浪中に大分の山奥の温泉でアルバイトをしている時に出会った、緑川という名のジャズピアニストの不思議な話を聞かされる。灰田の父親は、一度だけ近くの中学校のピアノを借りて演奏した緑川のピアノを聴く機会を持った。
その時、緑川は何かが入った袋をピアノの上に置き、「ラウンド・ミッドナイト」の素晴らしい演奏を聴かせる。その後灰田の父親を酒の席に誘った緑川が言うには、緑川はあと1ヶ月で死ぬことが決まっていて、その死の「トークン」は特定の人に譲り渡すことができる。人にはみな色のついたオーラが出ているが、実質的に「トークン」を譲り渡すことができる人は、独特の光り方をしている。そして灰田の父親は、その独特の光り方をしていた。緑川は、その後姿を消し、実際に1ヶ月後に死んだのかどうかは分かっていない。
その晩、つくるは部屋の隅に灰田の魂の気配を感じて起きる。つくるは金縛りにあったように動けず、灰田はそのまま部屋を去り、つくるは再び眠りについた。
その後、夢のなかでシロと交わったつくるは、シロの体内に激しく射精したはずだったが、射精を受け止めたのは灰田の口だった。その後、しばらく灰田は姿を消すが、10日ほどして再びいつもと変わらぬ様子でつくるの前に姿を現す。そして出会って8ヶ月がたった、つくるが大学4年になろうとする春、灰田はしばらく秋田に帰ると言って姿を消す。後に、住んでいた学生寮を退寮し、大学にも休学届を出していたことが分かる。灰田が去った1ヶ月後、つくるはアルバイト先の設計事務所で知り合った4歳年上の女性と性的関係を持つ。その女性は、つくるが大学を卒業するのと時を同じくして、故郷である新潟の幼馴染と結婚するため、つくるの元を去った。再びひとりぼっちになったつくるは、希望通り西関東地域をカバーする鉄道会社に就職して駅舎を設計管理する部署での仕事に就いた。
時は流れてつくる36歳。上司の新築祝いのホームパーティーで紹介されたことが縁で、
木元沙羅という大手の旅行会社で海外パッケージ旅行のプランニングをする2歳歳上の女性と付き合い始める。仲良し5人組の話はそれまで誰にもしていなかったが、沙羅に何かを感じたつくるは4度目のデートで打ち明ける。沙羅は、「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない」と言う。そして5回目のデートで沙羅は言う。「あなたは何かしらの問題を心に抱えている。それは自分で考えているより、もっと根の深いものかもしれない。でもあなたがその気になりさえすれば、きっと解決できる問題だと思うの。」そして、つくるは4人に会うべきだ、と言ってつくるから4人の名前を聞く。しばらくして銀座での会食の前につくるを呼び出した沙羅は、FacebookやGoogle、Twitterなどを駆使して4人の消息を調べた結果アカとアオが名古屋にいること、クロがフィンランドにいること、そしてシロは死んでしまっていることをつくるに告げる。しばらくしてつくるは父親の法事にあわせて休みを取って名古屋に向かい、レクサスのショールームでセールスマンとして働くアオの元を訪ねる。アオは、6年前に結婚し、3歳の息子がいて、4ヶ月後に女の子が生まれる予定。
16年前の電話のことを聞くと、当時、シロが「東京でつくるに薬を飲まされてレイプされた」と主張し、つくるを追放することになった、と説明する。一方、つくるがそんなことをする訳がない、とも思っていたが、シロが「つくるには表の顔と裏の顔がある」と主張し、何も言えなかったこと、それからだんだんと仲良しグループがバラバラになっていったこと、そして6年前のシロの死について告げる。シロは、音楽大学を卒業した後、しばらく自宅でピアノの先生をしていたが、やがて家を出て浜松市内に移り、2年ほどして一人暮らしをしていたアパートで絞殺されたというのだ。第一発見者の母親は未だ精神的なショックから立ち直っておらず、犯人もも未だに誰なのか分からないままである。アオと別れたつくるは、6年前の新聞記事で当時の事件を調べた。シロは浜松市内のマンションの自室で、衣服の紐らしきもので首を締められて殺されていた。現金の入った財布は目につくところに残されており、暴行を受けた形跡もなかった。抵抗した様子もなかった。近所の住人は不審な物音を聞いていなかった。灰皿に残されたメンソールの煙草は、シロが吸ったものだった。部屋はオートロックで、ドアにはチェーンがかかっていた。次につくるは「クリエイティブ・ビジネスセミナー」と呼ぶ自己啓発セミナーと企業研修センターを合体させたようなビジネスで成功したアカを訪ねる。会社名は「BEYOND」。アカはメガバンクを3年で辞め、サラ金で2年働いた後、この会社を立ち上げていた。27歳で一度結婚し、1年半で離婚していた。アカも、つくるを追放した後、シロは精神を病んでいたのではないかと感じていたこと、それでも選択肢としてはつくるを切らざるを得なかったことを話す。別れ際、アカは自分は同性愛者だと明かす。その晩東京に戻ったつくるは、沙羅に電話するが留守番電話。翌日、火曜日の昼休みに沙羅から電話がかかってきて、名古屋での出来事の報告を兼ねて、木曜の夜に約束を入れる。電話を切ったつくるは、胸に微かな異物感を感じ、食欲をなくす。火曜の午後と水曜、つくるはいくつかの駅の視察に行く。ある特急停車駅の駅長との話の中で、駅への忘れ物の話になる。駅長は不思議なケースとして、ホルマリン漬けの指2本が届けられたこと、それは6本目の指が手術で切り取られたものだったことを話す。つくるは、灰田から聞かされた、緑川が演奏するときにピアノの上に置いた袋のことを思い出す。あれは6本目の指だったのではないか、と。翌日、つくるは約束通り沙羅に会う。つくるは名古屋での出来事を報告し、沙羅と自宅のベッドで抱き合うが、つくるのペニスは挿入前に硬さを失う。沙羅は、つくるの気持ちを確認し、
「まだ時間はあるし、私は待てる」「とりあえず片付けなくてはならないことも、私にはいくつかある」と言う。そして、できるだけ早くフィンランドに行ってクロに会うよう勧める。つくるは、沙羅の助けを借りて、初めての海外旅行となるフィンランドのヘルシンキに向けて旅立つ。アオやアカの時と同様、アポなしでの訪問だった。フィンランドへ行く直前、南青山にクロへのおみやげを買いに行った時にたまたま50代と思しき男性と手をつないで自分といる時には見せないような笑顔で楽しそうに歩いている沙羅を見かけ、ショックを受ける。沙羅と話をすることもなくヘルシンキに着いてクロの家に電話するも留守。
沙羅が紹介してくれた現地のエージェント、オルガのサポートで、ハメーンリンナのサマーハウスにいることを知ったつくるは、レンタカーとして借りた紺色のフォルクスワーゲン・ゴルフに乗ってハメーンリンナに向かう。クロのサマーハウスは思ったよりも分かりづらい場所にあったが、耳から白い毛を出して赤く目を充血させ、黒い自転車に乗った老人の道案内でなんとかクロのサマーハウスにたどり着く。サマーハウスにはクロの夫で陶芸家のエドヴァルトがいて、つくるはエドヴァルトとコーヒーを飲みながら散歩に出ていたクロの帰りを待つ。クロは英文科を卒業した後、陶芸に魅せられ、夫と出会い、フィンランドに移り、今は夫婦で陶芸家として生活していた。ほどなくしてクロは2人の娘たちと散歩から帰って来て、つくるを見て驚く。エドヴァルトが娘たちを連れて車で町へ向かい、つくるとクロは2人きりで話す。クロもまた、つくるがシロをレイプしたわけではないと分かっていた。アオやアカとは違い、最初から分かっていた。シロを守ることを優先せざるを得なかったのだ。そして、アオやアカはもちろん、シロの両親も知らないことだが、シロは実際に誰かにレイプされていて、かつ妊娠しており、さらに産もうとしたが流産したことを告げる。また、クロは昔、つくるのことが好きだったことを告白する。かもしれない、という程度の推測でしかないが、それが、シロがつくるにレイプされた、と主張した一因なのかもしれない、とも言う。シロは夏の終わりに流産した後、大学を休学し、クロの献身的なサポートもあって一年後に復学した。しかし、この間にクロに対する興味すら無くしてしまったシロに対し、クロは疲れを感じてしまった。アオやアカと違い、クロはシロが弾いていた「巡礼の年」を覚えている。クロがかけたCDで流れる「巡礼の年」を聞いて、つくるは理解した。人の心と人の心は、傷と傷によって深く結びついているということを。クロも声を出さずに泣き、二人は抱き合う。帰国したつくるは、沙羅に電話をかけるが留守番電話だった。夜、沙羅から電話がかかってくる。つくるは、フィンランドは無事に片付いたことを話し、他に好きな人がいるのではないか?と沙羅に聞く。そして、「君のことが本当に好きだし、心から君をほしいと思っている」と告げる。沙羅は、3日後の水曜日まで待って欲しい、その時に話をしよう、と言う。つくるはそれを承諾する。しかしつくるはそれまで待てない。その晩、朝の4時前に沙羅に電話をかける。沙羅は改めて、水曜の夕方に会おう、と言う。つくるは火曜日、仕事を終えた後、いつものようにJR新宿駅の9番、10番ホームで中央本線の特急列車を眺める。帰宅後、つくるは半ば無意識に沙羅に電話をかけるが、我に返って受話器を置く。その後、二度にわたってつくるの電話が鳴るが、つくるは出ない。つくるは、翌日沙羅が自分を受け入れてくれたら、結婚を申し込もうと決意する。
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