長尾景虎 上杉奇兵隊記「草莽崛起」<彼を知り己を知れば百戦して殆うからず>

政治経済教育から文化マスメディアまでインテリジェンティズム日記

D・カーネギー「記憶術・話し方教室・ひとを動かす・道は開ける・マネジメント」発想の転換でビジネスチャンスを掴め!oから1を生む構想力・独創性があればAIも敵じゃない。真の人間力の時代へ。

2023年03月26日 17時32分48秒 | 日記













記憶術!一発逆転!
 
 今回からは故・渡辺剛彰氏著作「一発逆転!記憶術」フローラル出版から更新します。
盗作ではありません。引用です。
1 お前って馬鹿だなぁ

僕(渡辺剛彰氏)は今でこそ身体が丈夫で声が大きいが、子どもの頃は虚弱体質で頭が悪く、成績はビリだった。それを知ると僕(渡辺剛彰氏)をオヤジは「お前って馬鹿だなぁ」 という。本当のことなので何も出来ない。するとオヤジ(渡辺剛彰氏の父親)は「よし!俺が記憶術を教えてやる!」と言って笑っています。

1 コルク
2 木材
3 アルコール
4 氷
5 鉄
6 銅
7 水銀

オヤジ(渡辺剛彰氏の父親)はこれを覚えてみろ!っていう。渡辺剛彰氏は「無理です」という。と父親は笑って、
「ならこう覚えてみろ!」っていう。

「頭のてっぺんにコルクが刺さったってイメージしてみろ。次に額を木材でぶん殴られるとイメージしてみろ。次に目にアルコールを注いだとイメージしてみろ。次に鼻に氷の塊を突っ込んだとイメージしてみろ。次に口に鉄棒を刺さったってイメージしてみろ。次に顎に銅線をぐるぐる巻きにしたとイメージしてみろ。首に水銀をぶちまけたとイメージしてみろ」
と渡辺剛彰氏の父親は言って笑っていました。「どうだ?まずは頭のてっぺんから順番に手を当てて言ってみろ。次に…」
覚えている!
渡辺剛彰氏は記憶術の凄さを知った。記憶術バンザイ!渡辺剛彰氏は記憶術を会得して250人ゴボウ抜きで成績トップになった。また1ヶ月の勉強だけで司法書士に合格して弁護士になった。記憶術バンザイである。

2 記憶遡及練習

1 まず「昨日の夜は何をした?」
2 次に「昨日の夕方は何をした?」
3 次に「昨日の午後は何をした?」
4 次に「昨日の午前は何をした?」


要はイメージ力です。では。問題です。
1 桃太郎
2 雨がっぱ
3 みつ豆
4 オートバイ
5 大仏さま
6 孔雀
7 橋
8 消しゴム
9 朝顔
10 ナメクジ

以上の10を覚えてください。では覚え方です。記憶術ではこう覚えてください。
桃太郎が雨がっぱを着ている。雨がっぱにみつ豆をぶちまけた。みつ豆はオートバイにつぶされた。オートバイは大仏にぶつかった。大仏さまは孔雀に食べられた。孔雀に橋が衝突した。橋に消しゴムがぶら下がっている。消しゴムは朝顔をごしごし消している。朝顔はナメクジに食べられた。どうですか?覚えているでしょうか???

なるだけ頭に残り易いイメージで覚えてください。
3 変換記憶法


例えば、憲法や法律や英語というイメージしにくい単語もあります。
そういうときはこうイメージします。憲法…六法全集の本。健康…日焼けした女性。栄養…ビタミン剤。金融…銀行振込み。などです。
またすでに紹介された身体への連結にプラスして家の玄関から部屋までの連結箇所を探してください。


4 数字変換方法
昔からある数字の変換記憶方法はこうです。

平方根の読み記憶方法

2=1・414213(いよいよ兄さん)
3=1・732050(ひとなみにおごれ)
5=2・2360679(富士山ろくオーム鳴く)
などです。が、この記憶方法はごろなどで限界があります。
例えば円周率はどうですか?どう記憶しますか?またごろ文字ですか?
記憶術ではこう覚えてください。
円周率=3・141592653589…

財布(ひらがなで数えて3・1)に鯛(ひらがなで数えて41)がかぶりついた。鯛のしっぽに奈良漬物(ひらがなで数えて59)…

この場合、財布にしょうかサイコロにしょうかなあ?なんて悩むと駄目です。だから最初の二文字の数字を変換する「イメージするもの」を決めておくといいよ。ではひらがなで(1の1は数字変換記憶ものを)きめる。例えば1の1はアイスクリーム1の2はイカ…2の1は貝ということです。自分で考えて決めておこう。


5 実践応用編

記憶術は勉強するときに役に立たなければ意味がない。では実践応用編をスタートします。

(例)1里=約3・9キロメートル
(覚え方)一里ごとに猿(3・9)が立っている。

一尺=約三○センチメートル(サンタクロース尺)
一坪=約三・三平方メートル(サザエ平方)
一貫=三・七キログラム(サメキログラム)
一ポンド=約○・四五キログラム(ゼロ、タヌキキログラム)
一オンス=約二・八グラム(画用紙グラム)
一マイル=約一・六キロメートル(アヒルキロメートル)
一海里=約一・八キロメートル(鮎キロメートル)
一フィート=約三○センチメートル(サンタクロースセンチメートル)
一インチ=約二・五センチメートル(カニセンチメートル)
一ヤード=約九一センチメートル(ライオンセンチメートル)
一ガロン=約三・七リットル(サメリットル)
一カラット=約○・二グラム(ワカメグラム)

6 英語の覚え方

古典的な覚え方
Kennel(ケヌル)犬小屋 犬が寝るから犬寝(けんねる)るだ
Kill(キル)殺す
ひとを斬る(きる)のは殺すこと
stone(ストウン)石
石をストーンと落とした
ache(エイク)永苦
痛み永苦して苦しい

7 歴史の記憶術


まずは芸能人で「下駄箱」を作って記憶術をきちんとします。

ア (1世紀)明石家さんま
イ (2世紀)イチロー
ウ (3世紀)内田有紀
エ (4世紀)江口洋介
オ (5世紀)織田裕二
カ (6世紀)加藤茶
キ (7世紀)木村拓哉
ク (8世紀)工藤静香
ケ (9世紀)研ナオコ
コ (10世紀)小堺一機
サ (11世紀)サザンオールスターズ
シ (12世紀)シンデレラ
ス (13世紀)鈴木杏
セ (14世紀)関根勤
ソ (15世紀)そのまんま東
タ (16世紀)田原総一朗
チ (17世紀)チャゲ
ツ (18世紀)鶴田真由
テ (19世紀)デーモン木暮
ト (20世紀)とんねるず


630年(遣唐使の派遣)木村拓哉がサンタクロースを派遣した。
1543年(鉄砲伝来)田原総一朗がターザンを伝来した。

以上です。後は君たちの番です。 記憶術でテスト勉強を有意義なものにしよう。 
 
      ひとを動かす 
 
今週はD・カーネギーの「ひとを動かす」「道は開ける」を抜粋してお届けいたします。盗作ではありません。引用です。まずは「ひとを動かす」からです。

1 盗人にも理由を見つける(批判も非難もしない。苦情も言わない)
手厳しい非難や苦情は大抵役に立たない。相手に文句を言わない。相手を理解するべきだ。どうすれば相手が理解するか考えるってことです。どうすれば相手が理解するか考える。

2 重要度を持たせる(素直で誠実な評価を与える)ひとは誰しも誉め称えられてほしいものだ。ひとは何を求めるか?
1健康と長寿2食べ物3睡眠4金と金で買えるもの5生きる6性欲7子孫の繁栄8自己の重要度つまり誉め称えられてほしい気持ちです。この中で重要度つまり誉め称えられてほしい気持ちが強そうだ。
3 ひとの立場に立つ(相手に行動を起こさせる) 野球を頑張っている子供にタバコを止めさせたいなら、「タバコを止めなさい」ではなく、「タバコを吸うと野球選手になれない」ということです。なおここまでが第一部です。第二部はひとに好かれる六原則です。では、

1 誠実な感心をよせる。多人数の写真でひとは自分の顔をまず探すはずです。自分とおなじように他人の立場に立つってことです。

2 笑顔を忘れない。身につける衣装よりひとは笑顔(嘲笑ではない)で癒されるものです。マクドナルドのサービスもモデルやアナウンサーのスマイルもサービスであり戦略です。

3 名前を覚える。なになに様という。お客様でなく「鈴木一郎様」だ。名前は本人のプライドである。ビジネスキーワードです。

4 聞き手に回る。他人より頭がいいとおもわれたいあまり自分のことばかり話してはいけない。まず相手の話しを聞いて、そして「イエス、バット」です。相手に話しをさせよう。

5 相手の感心はどこにあるか考える。自分の話しを止めなさい。相手の欲しているものを考える。

6 心から誉め称える。ゴマすりではなく心から誉め称える。他人より頭がいいとおもわれたいあまり自分の話しをしてないか?誉め称える言葉に誠意はあるか考える。ゴマすりではなく心から誉め称える。
あとは「ひとを説得する11原則」です。
1 理論闘争をしないことです。相手を議論で打ち砕きて残るのは相手の怒りだけでしょう。
2 憎しみは憎しみしか生まない。相手の立場に立って同情をよせるのである。
3 意見の不一致を歓迎することです。ふたりいて同じ意見ならひとりはいらないひとです。
4 最初にもたげてくる自己防衛を隠す。最悪な面を社会的に出さない。
5 腹を立てない。短気は損気だ。
6 まず相手の言葉に耳を傾ける。
7 相手の意見の一致する点を探せ。
8 素直であれ。
9 相手の意見をよく考えて約束を実行せよ。
10 相手が反対してくるのは感心があるからだ。歓迎せよ。
11 早く判断せず「後ほど弊社に持ち帰り検討します」という。よく検討する。

第二章

1 相手の意見に注意を払い誤りを指摘しない。
2 自分の誤りをただちに心よく認める。
3 穏やかに話す。
4 相手が「イエス」と答えられる意見をいう。
5 相手に話させる。
6 相手に思いつかせる。
7 相手の身になる。相手の立場を考える。
8 相手に同情をよせる。
9 美しい心情に呼び掛ける。「あなた方の中にも子供のいるかたもおられると思いますがあまり騒ぎ立てると子供の心が傷つく可能性もありますので」
10 演出をする。TPOにあった演出をする。
11 対抗意識を刺激する。「大変な仕事だから君にしかできない」

第三章 ひとをかえる九原則
1 まずは誉め称える。
2 遠回しに注意をする。「馬鹿野郎違うだろう!」ではなく「今のはいいね。でももう一度やってみよう。もっといいようになるから」という。
3 自分の失敗した話しをする 4命令しない。
5 相手の顔をつぶさない。
6 わずかなことでも誉め称える。ひとは誉められて伸びる。
7 期待をかける。
8 激励する。相手の向上心を刺激する。(うつ病のひとにはしないこと)
9 喜んで協力させよう。誠実で相手に期待して利益や尊厳を刺激する。

幸せな家族を作る七原則
1 口やかましくいわない。
2 長所を誉める。
3 あら探しをしないこと。
4 誉める。
5 ささやかな心づくりを怠らない。
6 礼儀を守る
7 正しい性の知識を持つ

以上がD・カーネギー「ひとを動かす」の要約でした。「道は開ける」の要約を更新します。では。シーユーレター。  
  
  
          道は開ける 
  
 今回はD・カーネギー「道は開ける」の要約を更新します。盗作ではありません。引用です。

1 今日を生きる。忙しくすると悩んでいる暇がない。今日を生きる。最悪を甘受する。最悪を想定してプランを立てる。最悪を覚悟する。 2 悩みを分析する。原因解決手段は?解決策は?
忙しくすること。悩んでいる暇がない。記録を調べる。記録データベースで悩みはどのくらいの平均値か?
3 不可避に対応する。不可避です。仕方ないって覚悟を決める。
4 今悩んでいることはどのくらい重要なことか? 何ポイント払えばストップオーダーできるか?
5 おがくずをひこうとするな。
過去へは一秒たりとも戻れない。
第二章
生涯を転換させる方式
1 口に満面の笑顔を作って口笛を吹くといい。楽しい気分になるだろう。
2 物事に自分を適合させる。
3 運動しよう。身体に気をつけて頑張ってください。
4 心を強くしよう。努力、思考、集中。
5 1日一善
6 朝に1日のプランを立てよう。静かに話し、恐れずに行動しよう。
第三章
仕返しは高くつく。敵に反撃してもまた喧嘩になるだろう。嫌いな人物など考えるだけ無駄でしょう。
第四章
忘恩(ぼうおん)を身につける。キリストは1日に十人救ったが感謝したのはそのうちのひとりだけだった。愛とは見返りを求めず与え続けることだ。
第五章
幸せを数えて苦悩を数えない。
第六章
他人をマネるな。自分は自分だ
第七章
運命がレモンを与えたらレモン水を作る。
第八章
他人のために幸せを生み出す努力をして自分の不幸を忘れること
第九章
死んだ犬を蹴る人間はいないはずです。嫉妬ややっかみは偽装した称賛です。
第十章
批判には只笑えばいい。他人は北朝鮮やアフリカの飢餓より自分の虫歯のほうが大事なのだ。
第十一章
過去の失敗を反面教師にせよ。
疲れる前に休め。睡眠を充分とれ。くつろげ。
感銘を受けた本を読み、ノートにメモします。他人の欠点は放っておく。近所のひとと仲良くする。寝る前に明日のスケジュール管理を立てること。
第十二章
自分だけでできることは限りがある。他人を利用しよう。仕事に興味を持とう。楽しんで仕事をしよう。
第十三章
不眠症には精神科に通い睡眠薬を飲んで。または運動しよう。くつろげ。そして横になって目をつぶっていよう。
第十四章
仕事と結婚は重要決断です。怪しい危ないと思ったら「君子危うしに近よらず」である
占い師や金を取る相談者を信用するな。仕事はそれしかないと思うな。
第十五章

紙に事実を記載する。
必要に適合する予算を作成する。
金は生かして遣う。
収入とともに頭痛を増やすな
信用を獲得すること。借金のときの為に。
保険を考える
現金の大金や財産を妻や子供に渡すべきではない
子女に金に対する責任感を与える
僅かでも収入を犯罪でなく得ようと努力する。
決してギャンブルをしないこと
経済状態が改善できない場合でもあきらめたり、自分を責めたり悩んだりしないこと。
以上、D・カーネギー「道は開ける」でした。シーユーレター。バイ!!! 
 
 
        話し方教室
 
 今回はD・カーネギー著作「話し方教室」を紹介します。盗作ではありません。引用です。

話しの前に心がけること。まず自信をもつ。チャンスを見つけてスピーチの場面を得ること。聴衆はひとではなく野菜畑などと思うこと。あなたなら楽々とスピーチを出来ます。自信を持ってください。

1 他人の経験談に耳を傾ける
2 目標をもつ
3 スピーチの用意はちゃんとやること。メモ帳を用意すること。丸暗記や原稿の棒読みでは駄目です。感情を込めて「自分の言葉」で話してください。
4 生きて血の通った話しをすること。人生経験や自分の体験談です。どうやって困難からはい上がって「成功」を掴んだか?皆があなたの「成功談(鼻につく自慢話ではありません)」を聞きたいのである。心がけてスピーチしてください。

テーマを選べ

1 テーマを制限する(あまりに広大な話しでは駄目(例えば徳川家康の講義をするならエピソードの2つか3つ。生まれてから関ケ原大坂の陣から死ぬまで延々に話したら皆飽きて寝てしまいます)
2 データを頭にインプットしてスピーチしてください。質問に答える準備(どんな質問を聴衆がするかシュミレーションして)
3 スピーチに実話や例え話しを盛り込むこと。
4 聴き手の立場でスピーチすること。
5 正直に心がけて褒めること。
6 聴衆に自分の立場を明らかにすること。
7 「私は」「俺は」ではなく「われわれは」「皆さんは」と聴き手をパートナーにすること。 8 謙虚な立場でスピーチすること。誰しも自惚れ屋のどうでもいい自慢話などいりません。誰しも聞きたいって思いません。そんなもの糞っくらえです。

聴き手を動かす魔法の公式

1 テンポよくずばりと話す。
例えばまず(実例をあげて)「真夜中に車エンスト」 次に(目的)「携帯電話があったので山道でもJAFが呼べた」
最後に(利益)「携帯電話があって死ぬほど助かった」

この三段階の法則は大事です。実例を長く具体的にいい、目的と利益(自分のではなく、相手の利益)をいいます。
何をしてほしいか?つまり「目的」は完結にすること。例えば募金にしてもいきなり募金箱を相手に突きつけて「金くれ」ではなく、アフリカの飢餓孤児を救いたいなら(アフリカの飢餓孤児の現実を画面や写真やスピーチで見せて)それから「目的」(つまり寄付してください)である。ユニセフやUNHCRのプロモーションビデオ編集を参照してください。ちゃんと魔法の法則で作られているはずです。

情報を正確に伝える

1 もち時間に合わせてテーマを限定する(1時間に1テーマ)世界情勢なら世界300国の話しではなくせいぜい1国から2国(テレビの討論番組参照)
2 テーマを箇条書きしてスピーチする(第一に…第二に…要点は…)
3 分かりやすくスピーチする(この城は東京ドーム10個分の広さ)
4 専門用語や英語をつかわない。(もし使うなら意味を説明すること。)
5 視覚にうったえること。映像や音楽や模型や地図や設計図(最初から出さず隠して、でないと聴衆はそればかり目を向けますよ)
6 誠意を持って話す。聴衆の「利益」(プロパガンダで言うプライスタッグ(値札)にアピールすること。あるひとにとっては金かもしれない。あるひとにとっては名誉かもしれない。地位かもしれない。女の子かもしれない。豪邸かもしれない)
7 場面にあった話しをする(キャバクラで国際経済学や国会議事堂前で下ネタとかは馬鹿です)
8 まずは相手の話しを聞きます。それからYes,but…と続けること。頭がいいと思われたいあまりに自分勝手にひとりで相手の話しも聞かずに話しては駄目です。まずは相手の意見を聞け。

後はまた後で更新いたします。シーユートゥモローです。 
 
 

P・F・ドラッガー著「マネジメント」上田惇生訳(ダイヤモンド社)の要約です。盗作ではありません。引用です


         まえがき

社会には、組織が供給する財とサービスをなしにやっていく意思も能力もない。組織をして高度の成果をあげさせることが自由と尊厳を守る唯一の方策である。
その組織に成果をあげさせるのがマネジメントであり、マネジャーの力である。成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に代わる物であり、唯一の手段である。経営書のほとんどがマネジメントの仕事を扱っている。それらはマネジメントの内から見ている。本書はマネジメントの使命、目的、役割から入る。マネジメントを外からみて、その課題についていかなる次元があり、それぞれの次元で何が要求されてるか見る。



   第一章   企業の成果


 (1)現代社会の命運
ひとりひとりの命とまではいかなくても、現代社会そのものの機能が、それら組織の仕事ぶりにかかっている。二十世紀は「お仕事は何ですか?」ときいたが、今日は「お勤めはどちらですか?」ときく。ホーダン、ロック、ヒューム、ハリトン(16世紀から17世紀の思想家)は役立つが古い。
*マネジメントなしに組織はない*マネジメントは企業だけのものではない
 (2)新しいニーズの出現
 ①まずマネジメントとはすでに確立されたものから、革新(イノベーション)を生む事
 ②マネジメント・ブームとは「企業マネジメント」だった。企業・人・組織すべてに
 ③知識の生産性を高めること(肉体労働や流れ作業ではない)
 ④企業のグローバル化・コングロマリット化(需要、要求、価値、市場)
 (3)マネジメントの役割(三つの役割)
 ①自らの企業に特有の使命を課す②仕事を通じて働く人を生かす③自ら社会貢献し影響 
  を与える立場になる 
 (4)時間という事業
   はっきりしているのは未来は現在とは違うことだけ。未来は現在からしか到達でき
ない。マネジメントは管理する。すでに存在し、知られているものを管理し、マネジ 
メントのマネジャーは同時に起業家にもなるべき。成果の小さな市場から成果の大き 
な増加する市場・分野へと資源を向けなければならない。その為、昨日を捨て、知れ 
たものを陳腐化し、明日を創造しなければならない。
 (5)企業は「営利組織」ではない
   生産、マーケティング、財務、技術、購買、人事、広報などの職能文献が少ない。
「安く買って高く売る」のは当たり前だが、企業やひとのイノベーション、プリン 
   シプル、ノブレス・オブリージュなどがなければ駄目。利益ばかり追求すれば「銭 
   ゲバ」になる。企業は市場をつくり、顧客の欲求を満足させる手段を提供する。
  *マーケティング(顧客の欲求からスタート)
   *イノベーション(新しい満足を生み出す)発明ではない。技術のみのコンセプト 
   でもない。経済的イノベーション、社会イノベーション
(6)生産性に影響を与える要因
   ①知識……知識とは正しく適用されたときもっとも生産力を生む
   ②時間……時間はもっとも消えやすい資源である
   ③製品の組み合わせ(プロダクト・ミックス)…アイデア、特許、発明
   ④プロセスの組み合わせ(プロット・ミックス)…部品購入か自ら製作するか
   ⑤自らの強み…いかなるマネジメントも万能ではない。セクションごと得手不得手
⑥組織構造の適切さ、および活動間のバランス…(組織構造人材と合致?)
 (7)利益とは?
①利益は成果の判断基準である②利益とは不確定性というリスクの保険
③利益はよりよい労働環境を生むための原資である
④利益は、病院、国防、教育、オペラなどの社会的サービスを満たす原資
 (8)事業は何か?
企業そのものや企業の能力に直接影響する意思決定が、「何を行い何を行わぬか」
「何を続け何を止めるか」「いかなる市場、製品、技術を追求するか、無視するか」
リスクを伴う意思決定がマネジメント。「われわれの事業は何か。何であるべきか」
との答えをもつのがマネジメント。顧客のニーズからスタートするのがトップ・マネ 
ジメントである。
 (9)顧客はどこにいるか、何を買うか?
   次の問いは「顧客は何を買うか?」である。
 (10)いつ問うべきか?
   ほとんどのマネジメントは苦境に陥ったときのみ行われるが成功のときこそ「われ 
   われの事業とは何か?イノベーションは?」を問う。成功はむしろプロセスを陳腐 
   化し、新しい現実や問題を引き起こす。「そして幸せに暮らしました」で終わるのは
 「おとぎ話」だけである。
(11)われわれの事業は何になるのか?何であるべきか?(事業の撤退、延長、売買)
 ①市場動向のうち、もっとも重要なのは人口構造の変化
 ②経済構造、流行と意識、競争によっておこる市場の変化
 ③今日の財やサービスで満たされていない欲求は何か?
(12)われわれの事業のうち何を捨てるか?
     分析に必要なものは不可のステップ(既存の製品、サービス、肯定、市場、最 
     終用途、流通チャンネル)
     *今日有効?明日も有効?*顧客に価値を与えてる?明日も与えられる?
     *今日の市場、人口、技術、経済の実態にあっているか?いないか?
(13)事業の目標・マーケティングの目標
  ①既存の製品についての目標②既存の製品の廃棄についての目標
  ③既存の市場における製品についての目標④新市場についての目標
  ⑤流通チャンネルについての目標⑥アフターサービスについての目標
  ⑦信用供与についての目標
   古代の偉大な哲学者・アルキメデスは「立つ場所をくれ、なら地球を動かして
  やる」という。「立つ場所」こそ「集中すべき分野」である。「市場においてリー
  ダー的地位を占めたい」とするか「売り上げさえよければ市場シュアは気にしな
  い」とするか。
  あらゆる企業がリーダーにはなれないし、いかに売り上げが伸びても市場シュア
  (パイ)が小さくなり、市場拡大が急も☓。
     いかなる企業も三種類のイノベーションがある。
    ①製品とサービスにおけるイノベーション
    ②市場におけるイノベーションと消費者の行動や価値観におけるイノベーション
    ③製品を市場に持っていくまでの間のイノベーション
    200年も前から経済学者が言ってきたように経済活動のは3つ。土地つまり物質資
   源、労働つまり人材、資本つまり明日のための資金が必要。3つを確保せよ。
(14)生産性の目標
    経営資源を手に入れ、それを利用することは第一歩に過ぎない。
(15)社会的責任の目標
社会性に関わる目標は単なるよき意図の表明ではなく、企業の戦略に組み込まなけ
ればならない。社会的責任とは企業がマネジメントにおいて社会貢献する証である。
目標として利益がある。
(16)目標設定に必要なバランス
   ①利益とのバランス②近い将来と遠い将来とのバランス③他の目標とのバランスす
   なわち目標間のトレードオフ関係
(17)実行に移す
   そして最後の手段が、目標実現のための行動である。「我々の事業は何か?」「何に
   なるか?」「何でなるべきか?」を考え目標を検討するのは、知識を得るためではな
   く行動するためである。
戦略計画
(1)戦略計画ではないものを知る。
①戦略計画は魔法の箱や手法の束ではない。思考であり、資源を行動に結ぶものであ
る。戦略計画の作成にはパソコンも使うかもしれない。「我々の事業は何か?」「何に
なるか?」「何でなるべきか?」に対する答えはデータやプログラムではない。
それらは道具に過ぎない。戦略計画とは科学的根拠で答えを導きだす手法でもない。
それは思考、分析、想像、創造、判断を適用することである。手法でなく責任。
②戦略計画とは予想ではない。未来人になることではない。
③戦略計画とは未来の意思決定に関わるものではない。
④戦略計画とはリスクをなくすことでも、少なくすることでもない。そのような試み
は必ず瓦解する。確実な破滅を招くだけ。戦略計画とは現在の資源を未来に不確定性
に賭けることである。
(2)戦略計画とは何か
①リスクを伴う起業家的な意思決定を行い、
②その実行を体系的に組織し、
③それらの活動の成果を期待したものと比較測定するという連続プロセス。
リスクを伴う意思決定はしたいかしたくないかではない。マネジャーは必ずリスクを
伴う意思決定を行う。只、責任をもって行ったか無責任にか、だけである。

第二章 公的機関の成果
 (1)現代社会の成長分野
  現代社会において企業マネジメントだけがマネジメントではない。政府、国防、教
育、公的機関や音楽やオペラや芸術も経済的活動の生み出す余剰にもマネジメント。
 (2)公的機関不振の原因
   ①企業のようにマネジメントしてない(企業マネジメントとは別)
   ②人材がいない(1億人にひとりの「天才」をあてにするのではなく「全員野球」)
   ③目標や成果が具体的でない(コスト管理や事なかれ主義、お役所仕事)
 (3)公的機関成功の条件
   ①「事業とは何か、何であるべきか?」の定義
   ②その疑問の定義を明確な目標を導きだす
   ③活動のプライオリティを決める
   ④成果の尺度を定め、
   ⑤それらの尺度で、自らの成果のフィードバック
   ⑥目標に照らして成果を監査する
(4)公的機関の種類
   ①自然的独占事業がある(組織を単純化必要)
   ②次に、予算から支払いを受けての公的機関(学校、病院、企業内サービス等)
   ③行政組織(役所や政治、国防、司法)
 (5)新しい現実
肉体労働から知的労働へ(肉体労働の危機とシフト)
   三つの挑戦  ①被用者社会の到来②肉体労働の心理的、社会的地位の変化
          ③脱工業化社会の経済(グローバル化、IT化)
 (6)仕事と労働
   テイラーの科学的管理方法(サイエンティフィック・マネジメント)はニュートン 
   やアルキメデス的な成果を上げたが、「学者」の「論文」を待ってる訳にはいかない。
   働くのと労働と動くのは違うからだ。
   ①分析②プロセスへの結合③管理のための手段拡大
 (7)労働における5次元
   ①生理的な次元(人はロボットではない。同一単純作業は飽きる。ミス多し)
   ②心理的な次元(働くことは重荷とともに本性。人間性を見るための手段)
   ③社会的な次元(社会との関わり)
   ④経済的な次元(労働は生計の為、飯を食うため)
   ⑤政治的な次元(ノブレス・オブリージュ、プリンシプル、パブリックサーヴァン 
    ト)
 (8)仕事の生産性向上の条件
①分析を(仕事に必要な手段と手順と条件)
   ②結合(仕事を集めプロセスとして編成)
   ③管理(仕事のプロセスの中に、方向付け、質と量、基準と例外の管理手段)
   ④道具(パソコン、携帯電話、外国語、インターネット、ブログ、ツィッター等) 
   成果を中心に考える。飴と鞭。人の不満、恐れ、抑圧の存在を考え、シッカリした
   マネジメントとイノベーションを。
 (9)日本企業での成功
①日本でもインダストリアル・エンジニアは欧米同様、仕事の分析、勉強、管理し、
    すぐれた道具やスタッフがいる
   ②あらゆるトップ・マネジメントが退職まである
   ③終身雇用(昔のこと)
   ④強力なリーダーシップより凡庸人のスキルアップ(天才は1億人にひとり)
   ⑤福利厚生が立派
   ⑥組織が責任を果たすべくイノベーション、マネジメントを常にしている
 (10)責任と保障
仕事に焦点をあわせる。働きがい(①生産的な労働②フィードバック効果③継続)
   ①第一に、仕事を分析、プロセス結合、管理手段と基準整理、道具管理、情報管理
   ②情報通に(専門外のことも広く浅く)
   ③職場・コミュニティに責任を
   ④身分の保障

第三章 「人は最大の資産である」
   なぜひとは失敗例(成功例も)に学ばないのか?
*誤解と恐れ(働く人にとって肉体労働知的労働であれ責任を持つが、権限と責任は別。
        あらゆる者が責任をもつがマネジメントは責任ではない)
 *「人は最大の資産である」人材と道具(パソコンやインターネット、モバイル)だが
ひとが(労働者)いてはじめて仕事が出来る
 *実行  ①仕事と職場に対して成果と責任を組み込む
      ②適材適所
      ③強みが成果につながる事(得意分野で勝負する)
  (1)マネジメントと社会
   いかに社会貢献活動が出来るか?(ノブレス・オブリージュ)
   *マネジメントへの過信(今、われわれが生活の質を考えられるのは成長の証)
   *政府に対する幻滅(カリスマ的リーダーよりマネジメントの台頭を)
   *マネジメントは召使いである(主人は彼らの組織(企業や役場、病院等))
   *自らの能力と価値観による限界(能力以上の仕事は出来ない)
 (2)企業と政府  社会的目的とニーズは企業と役所は違うが、問題の考え方や基準を
          手にしてなければならない
    ①混合経済の発展②グローバル企業の発展③社会の多様化④マネジメントの台頭
(3)解決策の基準
    ①企業と他のマネジメントを自立責任で②変化を可能にする自由経済社会
    ③グローバル経済と社会・政府の調和④政府の機能強化・維持

第四章 プロフェッショナルの論理
   *リーダーは地位と責任だがマネジメントのひとつの「基準」なだけ。
   *「天才」をあてにするな。凡人でもできる集団マネジメントを。知りながら害を
    なすな。
 (1)マネジャーとは何か?
   *マネジャーとは文字通りマネジメントを管理する者であるが、社会や組織の「歯
   車」のひとつである。「天才」である必要はないがコミュニケーションにおいてのア
   ウトプットは出来れば自らの能力で(「他人の知恵」でもかまわないが)知識アップ。
   専門家育成。
   ①「目標」を設定する。②組織する。③動機付けとコミュニケーション図る
   ④評価測定(任務・ミッション)⑤人材と開発
   *「真摯さ」をIQや学歴より人事の採用に*学歴ではない*補佐役世襲は有害
   *マネジメントはトップダウンやボトムアップで。
(2)マネジメント開発イノベーションとは?
   ①マネジメントの開発はセミナー参加。セミナーは道具のひとつなだけ。
    組織ごとのニーズにあうマネジメントを。
   ②マネジメント開発とは人事開発やエリート探しではない。
   ③ひとを改造するな。そのひとの得意で勝負させよ。
 (3)自己管理のマネジメントとイノベーション
   ①技能の分化
   ②組織の階級化
   ③階層の分離
   ④報酬の意味付け
   ⑤組織の焦点は成果に
   ⑥組織の焦点は問題ではなく機会に合わせる
   ⑦配置、昇給、昇進、降格、解雇の人事こそ真の管理
   ⑧人事は「真摯さ」を大切に
 (4)マネジャーの条件
①強みより弱みに目を向けるマネジャーは☓
   ②何が正しいか?ではなく誰が正しいか?を考えるマネジャーは☓
   ③真摯さより学歴やIQで人事を決めるマネジャーは☓
   ④部下に恐怖や脅威を与えるマネジャーは☓
   ⑤自らに高い仕事目標を課さないマネジャーは☓
 (5)意思決定
   ①何について意思決定をするか?答えではなく問題解決を明確に
   ②反対意見が出やすくコンセンサス。答えも求めない
   ③ひとつの解決策より複数の策を
   ④いかなる地位の誰が意思決定するか決める
   ⑤決定後の関係者の売り込みを不要に
   ⑥行動がリスクやコストよりいいことを分析
   ⑦行動するかしないかだけである
    「この決定を知るべきは誰か?」「とるべき行動は?」「それは何故か?」
    「行動者は行動する行動か?」
   ⑧過去を知りフィードバック(温故知新)
⑨コミュニケーション知覚で(要求である)(上から下へ)(下から上へ)(研究)
   ⑩行動者・マネジャーは客観的立場で(中立ではない)
   ⑪行動者の器を考える
   ⑫意味のある行動でなければ行動ではない
   ⑬適材適所で
   ⑭管理手段は単純で
 (6)経営科学
①巨大な産業企業であっても社会より消されることもある
   ②巨大な産業企業であっても考えを生み出すだけでなく人の価値認可
   ③巨大な産業企業であってもシンボルとして金を遣う(具体的で抽象的☓)
   ④巨大な産業企業であっても未来に投資する
   ⑤巨大な産業企業であっても将来の技術革新し、国の経済を創る
(7)新しいニーズ
   ①早く忘れるべきは組織構造は課題中心設計か人事設計か?
   ②課題中心か?人間中心か?
   ③厳格な組織か?自由な組織か?
(8)組織
   ①何を組織の単位とするか?(階級別)
   ②何を組織し、何を分離するか(能力別)
   ③いかなる大きさ形にすべきか?(仕事は動かさずチームで動く)
   ④いかなる意味付け関係にするか?
 
(9)成果
   ①直接収入②収入ではないが企業や個人の社会貢献活動
   ③情報活動(ブログ、インターネット、ツィッター、イノベーション、ノブレス・
    オブリージュ)
(10)決定分析
①成果を手にするにはいかなる(公案にいれるべき産業の数)種類決定か?
   ②成果はいかなるレベルか?(課題は複数か稀か?)
   ③いかなる分野か?
   ④完璧な組織構造などありえない
(11)組織の条件
   ①明確さ(複雑なのは☓)②経済性(金や地位、名誉のないのは☓)
   ③方向付け(社会貢献活動のないのは☓)④理解の容易さ(複雑なのは☓)
   ⑤意思決定の容易さ⑥安定性と適用性(自分にあった仕事を)
   ⑦永続性と新陳代謝(今と明日の成果と社会貢献)
(12)トップマネジメントとは?
   「考える人」「行動する人」「人間的な人」「表にたつ人」
 ①トップマネジメントのメンバーは担当分野の意思決定権をもつ
   ②トップマネジメントのメンバーは自ら以外の意思決定権をもつ
   ③トップマネジメントのメンバーは仲良くしたりリスペクトの必要なし
   ④トップマネジメントのメンバーはチームでありキャプテン、リーダーはボス
   ⑤彼を知り己を知らば百戦危うからず
⑥情報はフィルターにかけトリプルチェック(デマや嘘を見抜く)
   ⑦売却、撤退、切り捨て、縮小、廃止を恐れない。「背水の陣」は馬鹿策
   ⑧同じことの繰り返しでは飽きる。新陳代謝や真摯さ必要
   ⑨新分野への進出は考え抜け
   ⑩コストセンターの収益化を考えよ
(13)イノベーション成長の準備
①技術は現実的なものに
   ②技術は卓越したものに
   ③技術は中心に
   ④戦略をもつ
   ⑤マーケティングを考える
   ⑥コンプライアンスを考える(儲かれば何でもいい訳ではない)
   ⑦トップマネジメントチームを編成する
   ⑧成長そのものを成果にしない
   ⑨社会の変化を考えフィットさせる(風見鶏でよい)
   ⑩心底変化を望んでるか考える
   ⑪真似る学ぶ
(14)イノベーション(変革)
①イノベーションの意味を知ってる
   ②力学を知ってる
   ③戦略を知ってる
   ④目標と任務(ミッション)
   ⑤マネジメント活動
   ⑥イノベーションは組織と別で
(15)社会の役に立つ企業、組織、人物であれ
   おわり   

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大前研一「経済参謀」発想の転換でビジネスチャンスを掴め!oから1を生む構想力・独創性があればAIも敵じゃない。学歴でも家柄でもない真の人間力の時代へ。

2023年03月26日 17時04分55秒 | 日記












大前研一「経済参謀」著作まとめ(要約)2023年3月26日

■ 少子化問題
1) 未婚・晩婚化、2) 出生率の低下、3) 出産・育児支援制度の不備、4) コロナ禍による産み控え
が、少子化を加速させているという状況分析を踏まえて、次の3つの対策を提言しています。
 ・若者の将来の不安を取り除くこと:「稼ぐ力の向上」と「ライフプラン設計」の支援
  … 2番目の教育問題とリンクしますが、知識詰込み型から自己投資型への教育システムの移行
 ・戸籍制度の撤廃:婚外子や一人親世帯に対する差別をなくす
 ・移民の受け入れ:移民は「資源」と再定義する
大前さんが本書で強調しているのは、3番目の移民受け入れです。ドイツの事例として紹介されてい
るとおり、長期的には外国人の比率(特に生産年齢人口)を高める以外に、国力の維持は見込めない
ことを理解しなければなりません。その外国人の活躍を促がすためには、日本人としての「義務教
育」をおこなうべきだという大前さんの意見には諸手を挙げて賛成です。
技能研修という玉虫色の制度を突き抜けて、移民(外国人労働者およびその家族)を、日本は本気で
受け入れて、彼らにこの国で活躍してもらうとともに、幸せを感じてもらう施策を講じるタイミング
に来ています。
■ 教育問題
ここ数年で大前さんがもっとも強調している課題は、この「教育改革」です。
曰く、「なぜ日本人は貧しくなる一方なのか?最大の原因は、時代遅れの教育だ」。まさに。
同氏がこれからの教育の役割として考えるのは、答えがない時代にあった教育である、「考える
力」を身につけさせることであり、「0から1を生む構想力」を育むことです。
そこに欠かせない教育内容が、英語とIT、そしてSTEM(科学、技術、エンジニアリング、数学)
+ A(Art:芸術というか、教養や人間性)だと説きます。
英語については、自動翻訳が進めば不要という声も聞きますが、ビジネスというシビアな現場では
ニュアンスが重要なので、自動翻訳では役に立たないという大前さんの主張には、英語で仕事をして
いた身としては、まったく同感です。もちろん、サポートツールとしては有用ですが。
それ以上に興味深いし、核心をついているのが、教師の性質が「Teacher(教える人)」から
「Facilitator(学びを促進させる人)」へと変わらねばならない。新たな役割を果たすためには、
「ファシリテーション」、「ロールモデル提示」、「個別インストラクション」の3つに集約される
という指摘です。最後のものは、いままさにビジネス界で広がりつつある「コーチング・スキル」に
他なりません。

■ 国民国家問題
大前さんと言えば、彼が30年以上前から言い続けている「道州制」です。
ただ残念ながら、政府も国民もそのアイデアに追いついていません。そこで、道州制に至るまでの
ステップを提示しているのが本書です。より現実的な路線を提示したと言えるでしょう。
その根底にあるのは、「まず国家という前提を捨て、メガリージョンを繁栄の起爆剤にする」です。
この本の中で詳しく紹介されていますが、米国のシリコンバレー、中国のグレーター上海、あと
私たち日本人はあまり気づいていませんがインドのメガリージョンの繁栄です。

日本が道州制に至るステップは、次の3段階です。
 ステップ1:21世紀型メガリージョン … 首都圏ベイエリア構想と、九州を最適モデルとする案
 ステップ2:憲法第8条(地方自治)の改正
 ステップ3:道州制導入

メガリージョンの最適モデルとして九州を挙げているのは正論ですが、大前さんがやや否定的に
述べている大阪メガリージョン(抵抗があるなら関西メガリージョンでもいいです)や、中部メガ
リージョンなど、多発的に試行することで、より速く成功パターンが見えてくると考えます。

■ 経済参謀
そして、最後が「経済参謀」です。ここには思ったほど紙面が割かれていません。
イギリスのサッチャー元首相、日本の中曽根元首相のリーダーシップを取り上げ、有能なブレーン
を集めて使うことが、大改革には必須であることを強調しています。
現在進行形の成功事例では、台湾の蔡英文総統が、デジタル担当閣僚としてかの国の参謀として
オードリー・タン氏を重用していることです。
『エピローグ』が効いています。
 世界レベルで経済政策やデジタル戦略を考えて、トップに忖度なしで適切な助言ができる存在、
 それが「参謀」の条件だ
私の中でこの条件を満たす人は、1人あるいは広く取っても片手しかいません。
大前さんの著書の中でも、切れ味の鋭い一冊です。
●大切な資産の運用は、金銭感覚を身につけて、国任せにするな。
●「考える力」は偏差値では測れないと心得よ。偏差値は「人生のある一時期に、あるコンディションのなかで、試験にうまく回答できた」という意味でしかない。しかも、試験問題の9割以上は記憶力を試すもので、正解がある。
●もはや、医者は「安定かつ高収入」ではないと知れ。
●正解がないこれからの時代の日本のリーダーは、ゼロからイチを生み出すための「構想力」を身につけよ。
『大前研一 DX革命」(大前研一編著、プレジデント社)は、企業は、直ちに、全社を挙げてDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていくべきだと主張しています。
「これからの時代、『夢よ、もう一度』とばかりに20世紀の成功体験を追い求めるしかできない企業は、ものすごい勢いで淘汰されていくだろう。具体的にいうと、先端テクノロジーを使いこなすディスラプター(破壊的イノベーター)に食い物にされ、下手をすれば業界もろとも消滅させられてしまうのだ。それが嫌なら、方法はただひとつだ。今すぐDXを、全社を挙げて進めていくしかない」。
「読者の中には、DXと、従来の『IT革命』や『デジタル革命』の違いがわからない人もいるだろう。DXとは、単にITやデジタルテクノロジーを取り入れるといった単純なことではない。『デジタルテクノロジーを用いて、21世紀型企業に変革を図る』。これこそがDXの本質なのである」。
アマゾンについて、興味深いことが記されています。「アマゾンが日本でここまで大きくなったのは、皮肉なことであるが、東販・日販という出版取次会社のおかげなのである。アマゾンは、アメリカでは『本を大量に仕入れて、20%引きで売る』という安売り商法で急成長したが、日本ではそれができなかった。日本には『再販売価格維持制度』というシステムがあり、本や雑誌は定価でしか得ることができないからだ。そのため、アマゾンも日本では定価販売をせざるを得なくなった。しかし、その結果、アメリカであれば値引きをした定価の20%分が、日本ではそのまま収益になってしまったのである。そのため、小田原(神奈川県)に巨大な物流センターをつくることができたのだ。アマゾンの物流は、東販・日販よりもはるかに上だ。そのため、地方の小さな書店には、東販・日販よりもアマゾンに頼んだほうが早く確実に本が届く。今では地方に行くと、東販・日販が自ら書店に対し、『それはアマゾンに注文してください』といっているという話を耳にするくらいだ」。
「このように、アマゾンに日本の出版業界はすっかり席巻されてしまったが、今後は他の業界でも同様のことが起こるのは間違いない。私は、次に危ないのは医薬品業界ではないかと思っている。アメリカのサンフランシスコにあるプラクティスフュージョンは、電子カルテを管理するクラウドサービスを無料で提供しているベンチャー企業だ。開業医が高額な電子カルテのシステムを導入するのは簡単ではない。そこで、プラクティスフュージョンは、全米の開業医に自社のクラウドサービスを無料で使わないかと声をかけて、開業後わずか2年で約15万人の開業医と提携したのである。プラクティスフュージョンは、その電子カルテシステムを使って、患者のスマートフォンに診療データや処方箋を送り、さらに必要な薬が近所のどのドラッグストアで売られているかという情報も表示する。つまり、薬を売る側から利益を得ているのである。そして、これに目をつけたアマゾンは、ピルパックというオンライン薬局を買収した。その結果、患者はプラクティスフュージョンから自分のスマートフォンに送られてきた処方箋をアマゾンに転送するだけで、自宅にいながら薬を手に入れられるようになったのである。しかも、月10ドル払ってアマゾンのプライム会員になれば、配送料金は無料となり、当日お急ぎ便や日時指定便のサービスまで同様に無料で利用できるのだ。日本では、カルテの電子化が遅れているのと、日本薬剤師会がいろいろな規制をかけているため、アマゾンがこの分野に入り込むのは容易ではない。しかし、これが世界の潮流なのだから、遅かれ早かれ日本も、この波にさらされることになる。そうなったとき、多くの調剤薬局は消滅するよりほかないだろう」。この指摘には、正直言って、腰が抜けるほど驚かされました。私が長年に亘り働いてきた医薬品業界に、これほどの大津波が襲ってくるとは!

【告発と提言】
『「国家の衰退」からいかに脱するか』(大前研一著、小学館)は、現在の日本ならびに世界の「国家の衰退」に対する告発と、子の状態からいかに脱するかの建設的な提言とで構成されている。
【国家の衰退】
「もし、いま田中角栄が政治を動かしていたら、岸田首相の無策を嘆き、平成・令和時代の『空の色を変える』ような政策を構想し、断行したに違いない。すなわち、発想を完全に逆転し、地方への交付金や補助金のバラ撒きをストップして、成熟期にふさわしい真の地方自治=道州制を目指したのではないだろうか。言い換えれば、中央集権から真の地方自治への組織運営体制の大転換である」。
「今、この国では政治の劣化が急速に進んでいる。小選挙区制の導入に伴ってますます小粒化する政治家と、その政治家に媚びへつらう官僚が引き起こす不祥事が後を絶たない。その一方で、人口減少社会に転じた日本は、経済成長率も低位安定を続けている。安倍首相(当時)が当初掲げた2%成長にはいっこうに届かず、多くの国民が『国家の衰退』をじわじわ感じているのではないかと思う。ただ、政治の劣化が進んでいるのは日本だけではない。世界でもまた『国家の衰退』が進んでいる。たとえば、アメリカでは『ミー・ファースト(自国第一主義)』のドナルド・トランプ大統領(当時)が政権に就いて以来、想像もつかないぐらい言論空間が破壊されている。トランプ政権を激しく追及していたCNNですら、その批判の矛先は鈍ってきており、次の大統領選挙がある2024年以降、誰が大統領になったとしても、もともと自由・人権・民主主義を世界中に振り撒いてきたかつてのアメリカには戻れないだろう。それは『ブレグジット(EU離脱)』のイギリスや、同じアジアの中国・韓国とも共通する『劣化』『衰退』なのではないかと思う」。
【生き残る道】
著者の多岐に亘る具体的な提言は説得力があるが、注目すべきは、日本はイタリアとメガリージョン、メガシティに学べというアドヴァイスである。「公的債務が対GDP比で約130%に達してEUから予算の見直しを求められ、国内経済も惨憺たる状態にあるイタリアが、なぜヒントになるのか? 実は多くのイタリア国民は、国や政府の問題を考えるのは時間の無駄だと割り切って、そこに期待することを諦めている。国や中央政府がとうなろうが関係なく、自分の家族やコミュニティ、会社が世界とつながり、そこで自分たちの商品やサービスをどう売り込んでいくかを熱心に考えているのだ」。
「もう一つ、今の世界で繁栄しているモデルがある。それが、メガリージョン。メガシティだ。アメリカのシリコンバレーやサンフランシスコ・ベイエリア、中国の深せんなどがその典型だが、これらの地域もまた、国家という単位に縛られることなく、自分たちの繁栄を築き上げてきた。・・・日本で言えば、その条件に近いのは北海道や九州だろう」。
「いま問われているのは、劣化・衰退していく国家と一緒に沈んでいくのか、それとも自分がいる地方や企業ごとに世界の繁栄とつながって生き残っていくのか、という選択である。生き残る道は2つ――小さくとも独自の技術とブランドで世界とつながるイタリアモデルか、1000万人を超える人口とハイテクや観光資源などの付加価値を有するメガリージョンか。いずれにしても、劣化が止まらない政府や役所に期待することなく、ボーダレス経済の中で生きる道を模索することが、これからの新しい『繁栄の方程式』なのである」。今や、国家に頼らず、自分たちで生き残る道を切り拓けという逆転の発想は、さすが大前研一である。


『2025年日本経済再生戦略 国にも組織にも頼らない力が日本を救う』は、個人が同調圧力に屈せずに自分勝手でいることに価値を見出すビジネス書です。
「管制内需が日本経済の低迷を長引かせている」「日本では個人の生活保障、セーフティネットが個々の企業頼みになっている」「サッカーの天才も野球チームにいる限り、才能を開花させられない」など、日本のダメダメな現状を如実に示しています。
特に「この国は個人を直接救う公助能力があまりにも低い」は、国が直接個人を救う手段がないために、給付金のムダな運営を行っている日本の現状を知らしめます。
「制度も弱い/デジタル化も進んでいない→有事に迅速に手を差し伸べられない」ために、「二重の保護構造:国→企業→個人」のシステムが問題を引き起こします。
なぜなら、「国→企業」と「企業→個人」の「二重の保護構造」のために、国は企業がいくらダメでも、支え続けなければならないからです。
つまり「稼げない企業は淘汰されるのがビジネスの理→倒産企業が少ない→長期的な経済発展の観点から歓迎すべきでない」のです。
国が企業を甘やかしている原因を知りたいサラリーマンにオススメです。

「サラリーマンの生き残り戦略:会社にしがみつく/学び直し」「イノベーションとはオープンな借り物競争である」「東大生の9割:本当に頭がいいわけではなく、せいぜいクイズ王になれるくらいの才能」などを通して、国や企業の価値観から脱出し、個人の力で自分の幸せを掴んでいく姿勢を説いています。
特に「昭和なオジサン、オジイサンたちが口を出さないことが一番である」は、「昭和な連中:判断力がない→意思決定権をもっていること自体が害悪」のように昭和な価値観に縛られている人たちを追報するべしと論じています。
「東京:価値観が昭和のままで止まっている」ことから、地方の人たちは「危険思想:最先端の東京へ進出する」を捨てることです。
もう「憧れの東京」は古いのです。
これからの日本に必要なのは、「いかに昭和の価値観を持った人たちを排除する」かにかかっています。

『AI時代を勝ち抜く学び――これからの社会に必要な視点とはなにか?』(大前研一、ビジネス・ブレークスルー出版事務局編著、ビジネス・ブレークスルー出版)で、とりわけ興味深いのは、自動翻訳時代に英語学習は必要ないかと問いかけた部分である。
「皆さん、自動翻訳は使われていますか? Google翻訳は、意外と多くのビジネスパーソンは使っているのではないでしょうか。また、DeepLという翻訳ソフトは、本章執筆中の現在、Googleをしのぐ性能です。日本語で文章を論理的に書くことさえできれば、ほぼ正しい英語が出力されます。Gmailにも翻訳機能が実装されています。英語が苦手でも、英文メールもクリック一つで日本語で読めます。海外旅行に行っても、英語で書かれた看板・標識・メニューなど、Googleレンズ機能でスマホのカメラ越しに見れば、即座に日本語で読むことができます。もう英文ライティング力・リーディング力は、自動翻訳で、仕事の現場においても、かなり代替できる時代になってきたわけです」。
「スピーキング・リスニングに関連する技術はどうでしょうか。音声翻訳も、近年の進化には目を見張るものがあります。こちらもGoogle翻訳をはじめ、様々なアプリや機器が日々進化中です。この原稿を執筆している2022年2月、AI通訳機『ポケトーク』ブランドが、発売元のソースネクスト社から分社化するというニュースが飛び込んできました。ポケトークは発売から4年でシリーズ累計台数100万台が目前のようです。本当に、技術進化により、英語が苦手な人でも心配が減る、良い世の中になったものです。周りを見回しても、自動翻訳をもう手放せない!という人が増加しているように思います。今後、自動翻訳の世界にAIがますます導入されると、進化のスピードも指数関数的に早まるでしょう」。
「AI翻訳の進化速度は不確実ですが、現時点でこれからやるべき英語学習について言えそうな結論を先に言いますと、以下の3点です。
①中途半端な英語力は、もういらない。英語は高度のレベルまでやるかやらないかの選択。
②AI代替されやすい『読む・書く』学習以上に、『話す・聞く』学習が重要。
③AIで代替されない英語での思考力、自国・異文化理解、人間的魅力を身につける」。
「自動翻訳による言語学習不要論は今後も出るでしょう。自動翻訳により、『自動翻訳で代替できる中途半端な英語力は不要』という点ではagreeです。しかし実社会では、AIや自動翻訳では代替できない場面は数多くあります。そんな現在と未来を生きる日本の子どもたちと日本にとって、数%でも良いので、複数の文化と言語をバックグラウンドとするバイリンガル・マルチリンガルが生まれてほしい、と思っています」。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする