独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか(徹底解説:ウクライナ戦争の深層)
池上彰氏著作参照・要約引用
ロシアによるウクライナ侵攻では、まるで第二次世界大戦のような映像が飛び込んできます。驚きとともに、私たちに出来ることはないのか、国連は何をしているのかと切歯扼腕した人も多かったことでしょう。
二〇世紀、私たちは二度の世界大戦を経験し、二度と悲劇を繰り返してはならない、と決意し、国際連合(国連)まで組織しました。
冷戦下では、アメリカとソ連による代理戦争が朝鮮半島や東南アジア、中東などで繰り広げられました。が、冷戦終結後、世界は平和になるとみられていました。
少なくとも、汎ヨーロッパ思想でのEUやヨーロッパでは、もう悲惨な戦争は起こらないとみられていました。ですが、独裁者プーチンの暴挙により、ウクライナ戦争ははじまってしまいました。
暴挙に出る前に、プーチンはロシア国産の新型コロナのワクチンを打っていましたが、このワクチンが全く効かない……新型コロナで外出もままならず、この孤独な独裁者は執務室でロシア・ソ連関係の本ばかり読んでいたという。その本の中で、『ウクライナはソ連のレーニンが勝手に作り上げた国であり、もともとロシアの一部なのだ』という内容を読みました。
元・KGB(国家保安委員会)のエージェントだったプーチンは、ソ連崩壊後、その後継組織のFSB(連邦保安庁)のトップとなり、その後、当時のエリツイン大統領に気に入られてロシア共和国の大統領の座に着きました。周りをFSBのエージェントやイエスマンの側近たちで固め、独裁を極めました。自分や体制に反対するものは暗殺し、殺害し、独裁を強めました。
新聞記者や報道者や政敵を次々と殺し、こうなるとプーチンに逆らう者はいなくなりました。ウクライナ侵攻も、そうした一連の独裁体制のプロセスの一部でした。
最初は「軍事演習だ」と言っていましたが、その後、ウクライナ戦争を起こしました。
「ウクライナなどすぐに降伏するだろう」プーチンはそう考えていたようだ。
だが、ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)には加盟してはいないが、NATOの軍事演習を受けていた。けっこう手強かった。そこで、活躍したのが、ウクライナ政府の最年少閣僚のミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル転換大臣(三十代)だ。
インターネットを衛星接続でつなげるように、イーロン・マスク氏にツイッターで呼びかけて、ウクライナ側が、氏の所有する衛星ネットの接続を提供してもらった。
まるで、台湾のオードリー・タン氏のようだ。だが、日本にこのような優秀な三十代閣僚がいるのか? と不安になりますよね。
ウクライナは八〇年代には、チェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故などがあり、第二次大戦ではロシア(旧ソ連)は二六○○万人もの最大の戦死者も出した。
ソ連崩壊によって、ウクライナが独立した時、東側のひと(親ロシア派住人)はロシアから切り離された……という感慨を持った。だからこそ、ロシアは、〝親ロシア派住民を助ける〟という大義名分で侵略行為を正当化したのだ。
紛争解決のカギは『ミンスク合意』だったが、うまくいかなかった。
ウクライナの飢餓経験のトラウマ『ホロドモール』もみなさんのご存じの通りである。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナを『ネオナチ』と呼ぶが、ナチスはどちらか?
ウクライナのゼレンスキー大統領の、当時のイギリスのチャーチル首相の言葉を引用した演説は見事であった。ロシア側には、経済制裁とSWIFT制裁など(いろいろの詳細は後述しています。それを参照してください)。
プーチン大統領はロシア正教会を利用し、侵略戦争を続けて、政治では院政を敷こうとしている。日本人の中には、「ロシアのプーチン大統領は暗殺される」とか嘯くひとがいる。
だが、甘いというか。そんなことはプーチン大統領自身が一番用心していること。そんなに簡単に暗殺されるくらいなら、もうとっくに暗殺されている。
それは北朝鮮の金正恩と同じことである。
すべてはクリミア半島併合から戦火ははじまっている。
我々は、すぐにウクライナ戦争がおわる……と見ているが、それは甘い、ということ。
そう簡単に、戦争はおわらない。西側がジャベリン(対戦車ロケット砲)だけでなく、ハイマース(対空ロケット砲)まで武器提供をした。ロシア軍人は大殺戮や集団レイプの戦争犯罪をやらかしている。プーチン大統領がヒトラーなら、ロシア軍はナチスである。
だがしかし、NATO軍は、戦争参加はしない。
それは第三次世界大戦に繋がってしまうからだ。
ウクライナ戦争は許せないが、第三次世界大戦だけは防がねばならない。
それこそ、大事なことである。ましてや、ロシアが核兵器を使う……などもってのほかである。それだけはあってはならないのだ。
また、プーチンのロシアは核兵器は流石に使えないとは思う。何故なら、核兵器をウクライナに使ったら北朝鮮以外の世界を敵に回し、インドや中国も敵に回りロシアは完全におわるからだ。だが、プーチンのような悪魔には常識が通じない。
よく、先進国では「どっちもどっち論」というか、「プーチンのロシアは当然、悪いが、ウクライナも悪かった」のような「善悪二元論は幼稚だ」というような論が流行る。
だが、今回はプーチンのロシア(一般ロシア人ではない)が悪魔だし、ウクライナ(のゼレンスキー大統領)が正義だ。実際に、ロシア軍はウクライナ各地で集団虐殺や集団レイプを犯している。それで「ウクライナも悪い」論は、いじめられるほうも悪い、レイプされる方も悪い……のような暴論である。
プーチンのロシアが悪いからこそ、欧州や東欧でNATO加盟ドミノが巻き起こっているのである。しかも、プーチンがウクライナ侵略を成功させてしまったら、中国は迷わず台湾に侵攻するだろう。それでもいいのか?という単純な話である。
もう、プーチンの失脚か暗殺か、それしか戦争のおわりはみえない。
ウラジミール・プーチンは21世紀のヒトラーである。
「ウクライナはネオ・ナチの国で、ロシア系の住民を侵略し虐殺している。彼ら同胞を救い出し、ロシアは正義の戦争をしよう!」そんなプーチンのプロパガンダを信じたらそれこそ馬鹿である。『善悪二元論』は幼稚などではなく、まさにプーチンは悪魔であり、ウクライナこそ正義だ。
それもわからず、デマや文句だけをこね回すだけなら死んでしまえ。いらないから。
まずは、ウクライナ侵略の意味をよく考えることだ。
その歴史的な意味をよく考え、自分の頭で考えて、正しい主張や行動をしてほしい。
それだけがわたしの願いだ。
また、せっかくなのでここでもう少しロシアのウクライナ侵攻について、語りたい。
日本では保守・リベラルを問わず、ロシアを擁護する意見が一部であるが驚くしかない。「どっちもどっち論」で、国際法という視点がない。日本はNATO(北大西洋条約機構)陣営にいて対ロシアの制裁に足並みを揃えて参加しているのだから戦争の当事者であるのに、こういう責任は投げ出して、無責任にロシアを擁護しウクライナを批判するのには呆れるしかない。ロシア軍は山賊よろしくウクライナ国内で集団虐殺・集団レイプを犯している。
また、忘れている人がいるようだが、日本とロシアは未だに、平和条約も結んでいないような敵国関係であるのだ。北方領土も不正に占領されている。
太平洋戦争後、日本がポツダム宣言を受け入れて降伏した一九四五年(昭和二十年)八月十五日、その後に、当時のソ連軍は樺太や満州に攻め込んできた。
日ソ不可侵条約がまだ有効で、条約を締結していたのに、宣戦布告もなく千島列島や樺太、北方領土に攻め込んできたのである。
しかも、ロシア軍がウクライナ国内でやっているのと同じく、日本の領土でも大量虐殺や大量レイプをやらかしている。そういう国なのだ。常識が通じない。条約を締結しても平気で破る、そういう国なのだ。外交交渉で領土が返還される筈もない。
プーチンを頂点とする「盗賊国家体制」(クレプトクラシ―)の国。政治家や官僚、オルガルヒ(新興財閥)、シロヴィギ(軍や警察、情報機関出身の政治エリート)などの権力者が国家資産を着服・横領・私物化し、それが軍部まで浸透している。
実はプーチンは2011年にはロシア軍を近代化した筈であった。
だが、実はその資金(19兆ルーブル(当時の為替ルートで53兆2000億円))も軍部や官僚などが着服・私物化し、近代化にならなかった。
中国やインドがロシア産の天然資源や石油・ガスなどを買っていて『経済制裁』がまったく効いていないといわれる。だが、そんなことはなく、確かに、石油や天然ガスで金を得ているが、制裁で輸入が減ったので貿易赤字になっていないだけ。制裁は効いている。
ロシア軍は兵器も半導体も物資も足りていないし、兵隊も足りない。
なんと軍服も軍靴も足りていない。
ロシアの刑務所に服役していた殺人鬼どもを兵隊にして、ウクライナ侵攻戦に投入、六か月生き延びれば「無罪放免」とかいうまるで漫才みたいなことまで実施している。
よく、「NATOが東方拡大路線を敷かなければ、プーチン大統領はウクライナ侵攻をしなかった」という意見があるがトンでもない。
あの国は、戦争がしたければどんな屁理屈でもこねて戦争をする国だ。
プーチンの思想「ユーラシアニズム」。その正体は攻撃的拡張主義なのだ。
緩衝国家化しても、ロシアはウクライナ侵攻をしていたのだ。クリミア半島の侵攻後のミンスク合意もロシアは一方的に破棄した。そういう国であり、条約など無意味なのだ。
対ロ宥和論者は、ロシア軍(当時・ソ連軍)が北方領土や南樺太・千島列島の日本領土を略奪した歴史を忘れているのではないか?
今後は、ロシアは欧州などにエネルギー資源を人質にしての揺さぶりをかけてくるだろう。
ロシアは「困ったときは東側へ」の戦略があるものだ。すぐに、ロシアが日本の北海道とかに攻めてくるということではないと私は見ている。
だが、自衛戦争も出来ない国を守ってくれる国家などはない。
在日米軍が「日本の代わりに戦ってくれる」と思っている日本人も多いが、そんなことはない。まずは日本の自衛隊が「自衛戦争」をやり、その後で、後方支援を在日米軍がやるだけだ。
専門家は、ロシアでは「テレビVS.冷蔵庫」の戦いになるという。
つまり、テレビではプロパガンダ(大衆操作・噓情報)でプーチンの都合のいいロシア国民洗脳の情報が流れ続けるが、冷蔵庫の食料がなくなっていけばマインドコントロ―ルも効かなくなるということだ。だが、モスクワにミサイルが飛んでこなければ一般ロシア人が戦争の当事者意識を持つことはない。
まあ、それは第三次世界大戦になってしまうので駄目なんだが。
「ウクライナがかわいそう。もっと武器や資金を!」
みたいな思考が一番危ない。
それこそ第三次世界大戦である。
もちろん、ロシアのプーチンが悪いのは百も承知だが。
とにかく、日本国はもう「戦争当事者」なのだ。ということだけは頭に入れておいてほしい。無責任にデマを飛ばしたり、対岸の火事をきめこむ愚だけは犯してはならない。