長尾景虎 上杉奇兵隊記「草莽崛起」<彼を知り己を知れば百戦して殆うからず>

政治経済教育から文化マスメディアまでインテリジェンティズム日記

緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.137「あのひととは一緒に仕事が出来ません」朴槿恵大統領ヒステリー女状態!

2014年11月27日 17時40分01秒 | 日記






 産経元ソウル支局長「暗黒裁判」言論の自由さえ!


 韓国の現職大統領・朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を棄損したとして、元・産経新聞ソウル支局長の加藤達也氏が韓国国内で拘束され、裁判を受けて車にクレイジーな韓国人たちに生卵を投げつけられて一時騒然とした事件は、深刻だ。
韓国には言論の自由さえないのか?加藤記者がインターネット新聞で書いたことが名誉棄損だ、というなら「暗黒裁判」みたいな卑怯なマネをせず「セウォール号沈没時には朴槿恵大統領はうわさになった男性とは密会していない」とスケジュールやアリバイを明らかにすればいいだけの話である。名誉棄損だ、嘘つきだ、と加藤さんを弾劾するならアリバイを示せばいいではないか!あんな卑怯なことばかりするから韓国人が嫌われるのだ。罪はすべて朴槿恵氏の嘘だ。
何故あんな卑怯で姑息なマネをするのか。これでは朴槿恵氏=コラソン・アキノ氏、ということで、韓国は明らかに北朝鮮みたいではないか。あのような卑怯で卑劣なマネをするから韓国人は嫌われるのだ。朴槿恵大統領がアリバイを示せば、それで一件落着なのに、「密会が真実」だから、裁判で「個人攻撃」「加藤氏の人格攻撃」戦略で「暗黒裁判」にかけているのだろう。
これでは韓国と日本が、インドやパキスタンのような最悪な関係になってしまう。朴槿恵氏はIQは高いのだろうが、どうも最近はヒステリー女みたいな嫌な感じだ。逆サッチャーさんではないが「あのひととは一緒に仕事が出来ない」。
朴槿恵大統領、嘘をつくな!噂になった密会、男性と密会していたと真実を話せ!無罪のひとを「暗黒裁判」にかけて平気でいるな。卑怯なマネをするな。言論の自由くらい韓国だってあるだろう?大韓民国は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)か?
まともになれ、朴槿恵大統領!これ以上日韓関係を破壊するな!日本人の代表として「暗黒裁判」の即時撤回謝罪会見を要求する!「暗黒裁判」を続けるなら世界中に、韓国のおかしさ、韓国のいびつさ、韓国大統領の無能さ、が知れ渡るぞ。
目を覚ませ!朴槿恵大統領!

緑川鷲羽(みどりかわ・わしゅう)・44・フリージャーナリスト・

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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.136自己啓発本おすすめ書籍孔子『論語』C・フィールド『わが息子よ、…』

2014年11月26日 17時10分55秒 | 日記





現代では様々な学者による自己啓発本などが溢れ返っている。


勿論、それぞれ一読の価値はあるのだろう。


しかし、僕が推薦したい本は


孔子の『論語』と


チェスターフィールド著書の

『わが息子よ、君はどう生きるか』。


処世術に国境も言語も人種も時代も関係ない。


推薦本を読むも読まぬも個人の自由だ。


臥竜

緑川鷲羽2014

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岸信介 安保の城の妖怪・岸信介伝「巨魁編」アンコールブログ連載小説VOL.8

2014年11月22日 03時21分01秒 | 日記







    6 敗戦と巣鴨プリズン


          ポツダム宣言




  甲板で、榎本中将は激をとばした。
「日本の勝利は君たちがやる! 鬼畜米英なにするものぞ! 神風だ! 神風特攻隊で米英軍の艦隊を駆逐するのだ!」
 若い日本兵一同は沈黙する。
 ……神風! 神風! 神風! ……
 榎本陸軍千余名、沖縄でのことである。地上戦戦没者二十万人……

 七月七日、トルーマン米国大統領はドイツのポツダムに着いた。
 そこで、「ポツダム宣言」を受諾させ、日本などの占領統治を決めるためである。
 会議のメンバーは左のとおりである。

 アメリカ合衆国     ハリー・S・トルーマン大統領
 ソビエト連邦      ヨゼフ・スターリン首相
 イギリス        ウィンストン・チャーチル首相               
 中華民国(中国)    蒋介石国民党総裁(対日戦争のため欠席)


  なおトルーマンは会議議長を兼ねることになったという。
 一同はひとりずつ写真をとった。そして、一同並んで写真をとった。
 有名なあの写真である。しかし、トルーマンは弱気だった。
 彼は国務省にあのジェームズ・バーンズを指名したばかりだった。
 トルーマンは愛妻ベスに手紙を送る。
 ……親愛なるベスへ。私は死刑台の前まで歩いているような気分だ。
 ……失敗したりしないか。ヘマをやらかさないか、頭の中は不安でいっぱいだ。
 議題は、
  一、ソ連対日参戦
  二、天皇制維持
  三、原爆投下(米国しか知らない秘密事項)
 
 七月十六日、トルーマンの元に電報が届く。
 ……手術は成功しました。ただ術後経過はわかりません。
              ヘンリー・スティムソン

 つまり、手術とは原爆の実験のこと。それに成功した。ということはつまり米国最新の兵器開発に成功したことを意味する訳だ。
 トルーマンは「ヤルタの密約」を実行するという。
 つまり、八月十五日に日本攻撃に参戦するというのだ。
 それまでのソ連はドイツ戦で大勢の兵士を失ったとはいえ、軍事力には自信をもち、いずれは米国政府も交渉のテーブルにつくだろうと甘くみていた。よって、ソ連での事業はもっぱら殖産に力をいれていた。
 とくにヨーロッパ式農法は有名であるという。林檎、桜桃、葡萄などの果樹津栽培は成功し、鉱山などの開発も成功した。
 しかし、「ソヴィエト連邦」は兵力を失ったかわりに米国軍は核を手にいれたのである。力関係は逆転していた。


  一九四五年八月昼頃、日本陸軍総裁山本五十六はプロペラ機に乗って飛んでいた。
 東南アジアのある場所である。
「この戦争はもうおわりだ」
 五十六はいった。「われわれは賊軍ではない。しかし、米国を敵にしたのは間違いだ」 だが、部下の深沢右衛門は「総統、米軍が賊軍、われらは正義の戦しとるでしょう」というばかりだ。
 五十六は「今何時かわかりるか?」とにやりといった。
 深沢は懐中時計を取り出して「何時何分である」と得意になった。
 すると、五十六は最新式の懐中時計を取りだして、
「……この時計はスイス製品で最新型だ。妻にもらった」といった。
 そんな中、米軍は山本五十六の乗る大型のプロペラ機をレーダーと暗号解析でキャッチした。米軍はただちに出撃し、やがて五十六たちは撃墜され、玉砕してしまう。
  Bー29爆撃機が東京大空襲を開始したのはこの頃である。黒い編隊がみえると東京中パニックになったという。「急げ! 防空壕に入るんだ!」爆弾のあれ霰…一面火の海になる。その威力はすごく阪神淡路大地震どころの被害ではない。そこら中が廃墟と化して孤児があふれた。火の海は遠くの山からも見えたほどだという。10万人が死んだ。
 しかしリアクションの東京大空襲だった。被害者意識ばかりもってもらっても困るのだ。……恐ろしい戦争の影が忍び寄ってきて……勝手になにもしないで忍び寄ってきた訳じゃない。侵略戦争の果ての結果だった。しかし、これで幼い子供たちが親兄弟を失い、女の子は体を売り、男の子は闇市で働くことになる。がめつい農家は傲慢さを発揮し、高価な着物などと米や野菜を交換した。日本人はその日の食事にもことかく有様だった。


「……お元気でしたか?」
 スティムソンはトルーマンを気遣った。
 するとトルーマンは「私はとくになんともない。それより……」
 と何かいいかけた。
「…なんでしょうか?」
「あれが完成まで到達したそうじゃ。ジャップたちを倒すために『聖なる兵器』などと称しておるそうで……馬鹿らしいだけだ」
「馬鹿らしい?」H・スティムソンは驚いた。
「日本軍は満州を貸してほしい国連に嘆願しておるという」
「日本軍はドイツのように虐殺を繰り返しているそうです。罰が必要でしょう」
 トルーマンは、
「そうだな。どうせ原爆の洗礼を受けるのは黄色いジャップだ」と皮肉をいった。
 スティムソンは「確かに……しかし日本の技術力もあなどれません。戦争がおわって経済だけが問われれば、日本は欧米に迫ることは確実です」
「あの黄色が?」
 トルーマンは唖然ときいた。
  日本軍の満州処理を国連は拒否し、日本軍は正式に”賊軍”となった。
 同年、米国海軍は、甲鉄艦を先頭に八隻の艦隊で硫黄島に接近していた。
 同年、米国軍は軍儀をこらし、日本の主要都市に原爆を落とす計画を練った。アイデアはバーンズが出したともトルーマンがだしたともいわれ、よくわからない。
 ターゲットは、新潟、東京、名古屋、大阪、広島、長崎……
 京都や奈良は外された。

「さぁ、君達はもう自由だ。日本にいる家族までもどしてあげよう」
 連合国総指揮者・マッカーサーたちは捕らえた日本軍人たちを逃がしてやった。
 もう八月だが、マッカーサーは原爆投下のことを知らされてない。
 捕虜の中に田島圭蔵の姿もその中にあった。
 ……なんといいひとじゃ。どげんこつしてもこのお方は無事でいてほしいものでごわす。 田島は涙を流した。
 米軍たちにとって日本軍人らは憎むべき敵のはずである。しかし、寛大に逃がしてくれるという。なんとも太っ腹なマッカーサーであった。
「硫黄島戦争」の命運をわけたのが、甲鉄艦であった。最強の軍艦で、艦隊が鉄でおおわれており、砲弾を弾きかえしてしまう。
 米軍最強の艦船であった。
 それらが日本本土にせまっていた。
 日本軍部たちは焦りを隠せない。
 ……いまさらながら惜しい。原爆があれば……

  野戦病院ではジュノー博士は忙しく治療を続けていた。
 もうすぐ戦は終わる。看護婦は李春蘭という可愛い顔の少女である。
 中国人は龍雲という病人をつれてきた。
「ジュノー先生、頼みます!」
 中国人はジュノー医師に頭をさげた。
「俺は農民だ! ごほごほ…病院など…」
 龍雲はベットで暴れた。
 李春蘭は「病人に将軍も農民もないわ! じっとしてて!」
 とかれをとめた。龍雲は喀血した。
 ジュノー病室を出てから、
「長くて二~三ケ月だ」と中国人にいった。
 中国人は絶句してから、「お願いします」と医者に頭をさげた。
「もちろんだ。病人を看護するのが医者の仕事だ」
「……そうですか…」
 中国人は涙を浮かべた。

  すぐに大本営の日本軍人たちは軍儀を開いた。
 軍部は「なんとしても勝つ! 竹やりででも戦う!」と息巻いた。
 すると、三鳥が「しかし、米軍のほうが軍事的に優位であります」と嘆いた。
 回天丸艦長の甲賀が「米軍の艦隊の中で注意がいるのが甲鉄艦です! 艦体が鉄でできているそうで大砲も貫通できません」
 海軍奉行荒井は「あと一隻あれば……」と嘆いた。
 軍人はきっと怖い顔をして、
「そんなことをいってもはじまらん!」と怒鳴った。
 昭和天皇は閃いたように「ならもうやることはひとつ」といった。
「……どうなさるのですか?」
 一同の目が天皇に集まった。
「あと一年以内に朕は降伏すべきであると思う。沖縄では戦争で民間人が犠牲になった」 天皇は決起した。「あと一年以内に降伏である」


  ツィツィンエルホーン宮殿で『ポツダム会議』が開かれていた。
 ソ連対米英……
 スターリンは強気だった。
 どこまでもソ連の利益にこだわる。
 トルーマンはスターリンに失望した。
「…神様は七日間で世界をつくったのに……われわれは何週間もここで議論している」
 会議は回る。
 余興で、ヴァイオリンとピアノの演奏があった。

 ………スターリンはすべて自分勝手になんでも決めようとする。私はソ連に、いやスターリンに幻滅した。………
            トルーマン回顧録より

  そんな中、米国アリゾナ州ロスアラモスで原爆実験成功という報が入ってきた。
 ……壮大で戦慄。まさに空前に結果。爆発から30秒後に辺りが火の海になった。全能の神の手に触れたかのように震えを感じた。………
               オッペンハウアー博士回顧録より

 トルーマンは自信を取り戻した。
 この最新兵器があれば、ジャップたちを終戦に導かせられる。
 原爆の人体実験までできるではないか……
 ……ソ連抜きで日本に勝てる!
 ”手術は八月十五日以降なら、八月十日なら確実でしょう”
 トルーマンはスターリンに、
「われわれはとてつもない兵器を手にいれました」といった。
 その当時、情報をつかんでなかったスターリンはきょとんとする。
 しかし、チャーチルは情報を握っていた。
 チャーチルは「なにが卑怯なもんか! 兵器使用は国際法で認められた立派な戦法だ。卑怯といえばジャップじゃないか。天皇を担いで、正義の戦争などと抜かして…」
「それはそうですが……」
 チャーチルは無用な議論はしない主義である。
「原爆使用はいかがでしょう」
 チャーチルは提案した。「原爆を脅しとして使って、実際には使わずジャップの降伏を待つのです」
 トルーマンは躊躇して、
「確かに……犠牲は少ないほうがいい」
 といった。声がうわずった。
「どちらにしても戦には犠牲はつきものです」
「原爆を落とすのはジャップだよ。黄色いのだ」
「そういう人種偏見はいけませんな」
「しかし……原爆を使わなければ米兵の血が無用に流れる」
 チャーチルは沈黙した。
「とにかく……実際には使わずジャップの降伏を待つのです」
 やっと、チャーチルは声を出した。
「……首相………」
 トルーマンは感激している様子だった。

  さっそくゼロ戦に戦闘員たちが乗り込んでいった。
 みな、かなり若い。
 鈴木歳三も乗り込んだ。
 しかし、鈴木とてまだ三十五歳でしかない。
 海軍士官・大塚浪次郎も乗り込む。「神風だ! 鬼畜を倒せ!」
「おう! 浪次郎、しっかりいこうや!」
 大塚雀之丞は白い歯を見せた。
 英語方訳の山内六三郎も乗り込む。
「神風だ!」
 若さゆえか、決起だけは盛んだ。
 しかし、同じ英語方訳の林董三郎だけは乗せてもらえなかった。
「私も戦に参加させてください!」
 董三郎は、隊長の甲賀源吾に嘆願する。
 が、甲賀は「総裁がおぬしは乗せるなというていた」と断った。
「なぜですか?! これは義の戦でしょう? 私も義を果たしとうごりまする!」
 林董三郎はやりきれない思いだった。
 高松がそんなかれをとめた。
「総裁は君を大事に思っているのだ。英語方訳が日本からいなくなっては困るのだ」
「…しかし……」
「君も男ならききわけなさい!」
 董三郎を高松は説得した。
 こうして、神風特攻隊は出陣した。

「日本軍がせめて……きたのでしょう?!」
 病院のベットで、龍雲は暴れだした。看護婦の李春蘭は、
「……龍雲さん、おとなしくしてて!」ととめた。
 龍雲は日本軍と戦う、といってきかない。そして、また喀血した。
「龍雲のことを頼みます、ジュノーさん」
 病院に蒋介石総裁がきた。
「あなたがジュノー博士か?」
 蒋は不躾な言葉で、ジュノーに声をかけた。
「ジュノーさん」
「はい」
「……元気で。お体を大切になさってください。戦は必ずこちらが勝ちます」
「しかし……」
「心配はいりません。わが軍の姿勢はあくまで共順……中華民国は共和国です。連合軍とも仲良くやっていけます」
 蒋介石自身にも、自分の言葉は薄っぺらにきこえた。
「誰か! 誰かきて!」
 李春蘭が声をあげた。「龍雲さんが……!」
「……す、すいません!」
 ジュノーは病室にむけ駆け出した。
         

 生還





  スイス人医師、マルセル・ジュノー博士は海路中国に入った。
 国際赤十字委員会(ICRC)の要請によるものだった。
 当時の中国は日本の侵略地であり、七〇万人もの日本軍人が大陸にいたという。中国国民党と共産党が合体して対日本軍戦争を繰り広げていた。
 当時の日本の状況を見れば、原爆など落とさなくても日本は敗れていたことがわかる。日本の都市部はBー29爆撃機による空襲で焼け野原となり、国民も戦争に嫌気がさしていた。しかも、エネルギー不足、鉄不足で、食料難でもあり、みんな空腹だった。
 米国軍の圧倒的物量におされて、軍艦も飛行機も撃沈され、やぶれかぶれで「神風特攻隊」などと称して、日本軍部は若者たちに米国艦隊へ自爆突撃させる有様であった。
 大陸の七〇万人もの日本軍人も補給さえ受けられず、そのため食料などを現地で強奪し、虐殺、強姦、暴力、侵略……16歳くらいの少年まで神風特攻隊などと称して自爆テロさす。 ひどい状態だった。
 武器、弾薬も底をついてきた。
 もちろん一部の狂信的軍人は”竹やり”ででも戦ったろうが、それは象に戦いを挑む蟻に等しい。日本はもう負けていたのだ。
 なのになぜ、米国が原爆を日本に二発も落としたのか?
 ……米国軍人の命を戦争から守るために。
 ……戦争を早くおわらせるために。
 といった米国人の本心ではない。つまるところ原爆の「人体実験」がしたかったのだ。ならなぜドイツには原爆をおとさなかったのか? それはドイツ人が白人だからである。 なんだかんだといっても有色人種など、どうなろうともかまわない。アメリカさえよければそれでいいのだ。それがワシントンのポリシー・メーカーが本音の部分で考えていることなのだ。
 だが、日本も日本だ。
 敗戦濃厚なのに「白旗」も上げず、本土決戦、一億日本民族総玉砕、などと泥沼にひきずりこもうとする。当時の天皇も天皇だ。
 もう負けは見えていたのだから、                      
 ……朕は日本国の敗戦を認め、白旗をあげ、連合国に降伏する。
 とでもいえば、せめて原爆の洗礼は避けられた。
 しかし、現人神に奉りあげられていた当時の天皇(昭和天皇)は人間的なことをいうことは禁じられていた。結局のところ天皇など「帽子飾り」に過ぎないのだが、また天皇はあらゆる時代に利用されるだけ利用された。
 信長は天皇を安土城に連れてきて、天下を意のままに操ろうとした。戊辰戦争、つまり明治維新のときは薩摩長州藩が天皇を担ぎ、錦の御旗をかかげて官軍として幕府をやぶった。そして、太平洋戦争でも軍部は天皇をトップとして担ぎ(何の決定権もなかったが)、大東亜戦争などと称して中国や朝鮮、東南アジアを侵略し、暴挙を繰り広げた。
 日本人にとっては驚きのことであろうが、かの昭和天皇(裕仁)は外国ではムッソリーニ(イタリア独裁者)、ヒトラー(ナチス・ドイツ独裁者)と並ぶ悪人なのだ。
 只、天皇も不幸で、軍部によるパペット(操り人形)にしか過ぎなかった。
 それなのに「極悪人」とされるのは、本人にとっては遺憾であろう。
 その頃、日本人は馬鹿げた「大本営放送」をきいて、提灯行列をくりひろげていただけだ。まぁ、妻や女性子供たちは「はやく戦争が終わればいい」と思ったらしいが口に出せば暴行されるので黙っていたらしい。また、日本人の子供は学童疎開で、田舎に暮らしていたが、そこにも軍部のマインド・コントロールが続けられていた。食料難で食べるものもほとんどなかったため、当時の子供たちはみなガリガリに痩せていたという。
 そこに軍部のマインド・コントロールである。
 小学校(当時、国民学校といった)でも、退役軍人らが教弁をとり、長々と朝礼で訓辞したが、内容は、                   
 ……わが大和民族は世界一の尚武の民であり、わが軍人は忠勇無双である。
 ……よって、帝国陸海軍は無敵不敗であり、わが一個師団はよく米英の三個師団に対抗し得る。
 といった調子のものであったという。
 日本軍の一個師団はよく米英の三個師団に対抗できるという話は何を根拠にしているのかわからないが、当時の日本人は勝利を信じていた。
 第一次大戦も、日清戦争も日露戦争も勝った。     
 日本は負け知らずの国、日本人は尚武の民である。
 そういう幼稚な精神で戦争をしていた。
 しかし、現実は違った。
 日本人は尚武の民ではなかった。アメリカの物量に完敗し、米英より戦力が優っていた戦局でも、日本軍は何度もやぶれた。
 そして、ヒステリーが重なって、虐殺、強姦行為である。
 あげくの果てに、六十年後には「侵略なんてなかった」「731部隊なんてなかった」「南京虐殺なんてなかった」
 などと妄言を吐く。
 信じられない幼稚なメンタリティーだ。
 このような幼稚な精神性を抱いているから、日本人はいつまでたっても世界に通用しないのだ。それが今の日本の現実なのである。

  一九四五年六月………
 マルセル・ジュノーは野戦病院で大勢の怪我人の治療にあたっていた。
 怪我人は中国人が多かったが、中には日本人もいた。
 あたりは戦争で銃弾が飛び交っており、危険な場所だった。
 やぶれかぶれの日本軍人は、野蛮な行為を繰り返す。
 ある日、日本軍が民間の中国人を銃殺しようとした。
「やめるんだ!」
 ジュノーは、彼らの銃口の前に立ち塞がり、止めたという。
 日本軍人たちは呆気にとられ、「なんだこの外人は?」といった。
 ……とにかく、罪のないひとが何の意味もなく殺されるのだけは願い下げだ!
 マルセル・ジュノー博士の戦いは続いた。


 戦がひとやすみしたところで、激しい雨が降ってきた。
 日本軍の不幸はつづく。
 暴風雨で、艦隊が坐礁し、米英軍に奪われたのだ。
「どういうことだ?!」
 山本五十六は焦りを感じながら叱った。
 回天丸艦長・森本は、
「……もうし訳ござりません!」と頭をさげた。
「おぬしのしたことは大罪だ!」
 山本は激しい怒りを感じていた。大和を失っただけでなく、回天丸、武蔵まで失うとは………なんたることだ!
「どういうことなんだ?! 森本!」とせめた。
 森本は下を向き、
「坐礁してもう駄目だと思って……全員避難を……」と呟くようにいった。
「馬鹿野郎!」五十六の部下は森本を殴った。
「坐礁したって、波がたってくれば浮かんだかも知れないじゃないか! 現に米軍が艦隊を奪取しているではないか! 馬鹿たれ!」
 森本は起き上がり、ヤケになった。
「……負けたんですよ」
「何っ?!」
 森本は狂ったように「負けです。……神風です! 神風! 神風! 神風!」と踊った。 岸信介も山本五十六も呆気にとられた。
 五十六は茫然ともなり、眉間に皺をよせて考えこんだ。
 いろいろ考えたが、あまり明るい未来は見えてはこなかった。
  大本営で、夜を迎えた。
 米軍の攻撃は中断している。
 日本軍人たちは辞世の句を書いていた。
 ……もう負けたのだ。日本軍部のあいだには敗北の雰囲気が満ちていた。
「鈴木くん出来たかね?」
「できました」
「どれ?」

  中国の野戦病院の分院を日本軍が襲撃した。
「やめて~っ!」
 看護婦や医者がとめたが、日本軍たちは怪我人らを虐殺した。この”分院での虐殺”は日本軍の汚点となる。
 ジュノーの野戦病院にも日本軍は襲撃してきた。
 マルセル・ジュノーは汚れた白衣のまま、日本軍に嘆願した。
「武士の情けです! みんな病人です! 助けてください!」
 日本の山下は「まさか……おんしはあの有名なジュノー先生でこごわすか?」と問うた。「そうだ! 医者に敵も味方もない。ここには日本人の病人もいる」
 関東軍隊長・山下喜次郎は、
「……その通りです」と感心した。
 そして、紙と筆をもて!、と部下に命じた。
 ………日本人病院
 紙に黒々と書く。
「これを玄関に張れば……日本軍も襲撃してこん」
 山下喜次郎は笑顔をみせた。
「………かたじけない」
 マルセル・ジュノーは頭をさげた。

  昭和二十年(一九四五)六月十九日、関東軍陣に着弾……
 山下喜次郎らが爆撃の被害を受けた。
 ジュノーは白衣のまま、駆けつけてきた。
「………俺はもうだめだ」
 山下は血だらけ床に横たわっている。
「それは医者が決めるんだ!」
「……医療の夢捨…てんな…よ」
 山下は死んだ。
  野戦病院で、マルセル・ジュノー博士と日本軍の黒田は会談していた。
「もはや勝負はつき申した。蒋介石総統は共順とばいうとるがでごわそ?」
「……そうです」
「ならば」
 黒田は続けた。「是非、蒋介石総統におとりつぎを…」
「わかりました」
「あれだけの人物を殺したらいかんど!」
 ジュノーは頷いた。
 六月十五日、北京で蒋介石総統と日本軍の黒田は会談をもった。
「共順など……いまさら」
 蒋介石は愚痴った。
「涙をのんで共順を」黒田はせまる。「……大陸を枕に討ち死にしたいと俺はおもっている。総統、脅威は日本軍ではなく共産党の毛沢東でしょう?」
 蒋介石はにえきらない。危機感をもった黒田は土下座して嘆願した。
「どうぞ! 涙をのんで共順を!」
 蒋介石は動揺した。
 それから蒋介石は黒田に「少年兵たちを逃がしてほしい」と頼んだ。
「わかりもうした」
 黒田は起き上がり、頭を下げた。
 そして彼は、分厚い本を渡した。
「……これはなんです?」
「海陸全書の写しです。俺のところに置いていたら灰になる」
 黒田は笑顔を無理につくった。
 蒋介石は黒田参謀から手渡された本を読み、
「みごとじゃ! 殺すには惜しい!」と感嘆の声をあげた。
  少年兵や怪我人を逃がし見送る黒田……
 黒田はそれまで攻撃を中止してくれた総統に頭を下げ、礼した。
 そして、戦争がまた開始される。
 旅順も陥落。
 残るはハルビンと上海だけになった。
  上海に籠城する日本軍たちに中国軍からさしいれがあった。
 明日の早朝まで攻撃を中止するという。
 もう夜だった。
「さしいれ?」星はきいた。            
「鮪と酒だそうです」人足はいった。
 荷車で上海の拠点内に運ばれる。
「……酒に毒でもはいってるんじゃねぇか?」星はいう。
「なら俺が毒味してやろう」
 沢は酒樽の蓋を割って、ひしゃくで酒を呑んだ。
 一同は見守る。
 沢は「これは毒じゃ。誰も呑むな。毒じゃ毒!」と笑顔でまた酒を呑んだ。
 一同から笑いがこぼれた。
 大陸関東日本陸軍たちの最後の宴がはじまった。
 黒田参謀は少年兵を脱出させるとき、こういった。
「皆はまだ若い。本当の戦いはこれからはじまるのだ。大陸の戦いが何であったのか……それを後世に伝えてくれ」
 少年兵たちは涙で目を真っ赤にして崩れ落ちたという。

  日本軍たちは中国で、朝鮮で、東南アジアで暴挙を繰り返した。
 蘇州陥落のときも、日本軍兵士たちは妊婦と若い娘を輪姦した。そのときその女性たちは死ななかったという。それがまた不幸をよぶ。その女性たちはトラウマをせおって精神疾患におちいった。このようなケースは数えきれないという。
 しかし、全部が公表されている訳ではない。なぜかというと言いたくないからだという。中国人の道徳からいって、輪姦されるというのは恥ずかしいことである。だから、輪姦             
れて辱しめを受けても絶対に言わない。
 かりに声をあげても、日本政府は賠償もしない。現在でも「侵略などなかったのだ」などという馬鹿が、マンガで無知な日本の若者を洗脳している。
  ジュノー博士は衝撃的な場面にもでくわした。
 光景は悲惨のひとことに尽きた。
 死体だらけだったからだ。
 しかも、それらは中国軍人ではなく民間人であった。
 血だらけで脳みそがでてたり、腸がはみ出したりというのが大部分だった。
「……なんとひどいことを…」
 ジュノーは衝撃で、全身の血管の中を感情が、怒りの感情が走りぬけた。敵であれば民間人でも殺すのか……? 日本軍もナチスもとんでもない連中だ!
 日本軍人は中国人らを射殺していく。
 虐殺、殺戮、強姦、暴力…………
 日本軍人は狂ったように殺戮をやめない。
 そして、それらの行為を反省もしない。
 只、老人となった彼等は、自分たちの暴行も認めず秘密にしている。そして、ある馬鹿のマンガ家が、
 …日本軍人は侵略も虐殺も強姦もしなかった……
 などと勘だけで主張すると「生きててよかった」などと言い張る。
 確かに、悪いことをしたとしても「おじいさんらは間違ってなかった」といわれればそれは喜ぶだろう。たとえそれが『マンガ』だったとしても……
 だが、そんなメンタリティーでは駄目なのだ。
 鎖国してもいいならそれでもいいだろうが、日本のような貿易立国は常に世界とフルコミットメントしなければならない。
 日中国交樹立の際、確かに中国の周恩来首相(当時)は「過去のことは水に流しましょう」といった。しかし、それは国家間でのことであり、個人のことではない。
 間違った閉鎖的な思考では、世界とフルコミットメントできない。
 それを現在の日本人は知るべきなのだ。

  民間の中国人たちの死体が山のように積まれ、ガソリンがかけられ燃やされた。紅蓮の炎と異臭が辺りをつつむ。ジュノー博士はそれを見て涙を流した。
 日本兵のひとりがハンカチで鼻を覆いながら、拳銃を死体に何発か発砲した。
「支那人め! 死ね!」
 ジュノーは日本語があまりわからず、何をいっているのかわからなかった。
 しかし、相手は老若男女の惨殺死体である。
「……なんということを…」
 ジュノーは号泣し、崩れるのだった。

  自然のなりゆきだろうか、ジョンとジェニファーは恋におちた。ハワイでのことである。マイケルを失ったジェニファー、オードリーを失ったジョン……
 愛の行為は、ジョンにもジェニファーにもいまだかってないほどすばらしかった。ジョンの疲れがひどく丁寧に優しく、おだやかにするしかなかったからか、それはわからない。 裸のままシーツにぐったりと横たわり、唇をまた重ねた。
「ふたりとも恋人をなくした」
 ジョンがいうと、ジェニファーは「そうね。でも、もうひとりじゃないわ」といった。 しかし、奇跡がおこる。マイケルが生還したのだ。死んではいなかったのだ!
「ぼくの恋人をとりやがった!」マイケルとジョンは喧嘩になった。ジョンは謝った。
 しかし、ジェニファーはマイケルとよりをもどすことはなかった。
「なぜ? ……もう一度やりなおそう!」
「駄目。わたし妊娠してるの……ジョンの子よ」彼女の言葉に、マイケルは衝撃を受けた。 

          原爆投下





  東京湾にも米国艦隊が迫っていた。
 沖縄の米軍も本土上陸の機会を狙っている。
 ハワイ沖の空軍らは軍儀を開いていた。
「あの男はどこにいった?!」
 マイケルはいった。あの男とは、同じく米国太平洋艦隊空軍のクロード・エザリーである。
 ……あの男が! 会議にも出ないで昼寝でもしてるのか?!
 ハワイ沖はほとんど米軍の支配化である。
「原爆か……」
 広島に原爆を落とすことになる爆撃機・エノラゲイの機長、ポール・ティベッツは興奮した。これからこの原爆を……ジャップめ!
 ジョンは「まだわかりません」という。
「大統領が原爆投下の動きをみせているのは本当なんですか?」
「まずは…」爆撃機・エノラゲイの機長、ポール・ティベッツは続けた。「まずは出撃の準備をしろということだ」
 昼寝から起きたのか、クロード・エザリー軍曹がやってきて、
「ジャップに原爆をとられたらどうする?」といった。   
 ポール・ティベッツは激昴して、
「このガキが! なにぬかしとる!」と喝破した。
 しかしエザリーも負けてはいない。
「この原爆(ドラム管ほどけっこう大きい)はリトルボーイといい、ウラニウム弾である」「それぐらい俺も知っとる!」
 エノラゲイの機長、ポール・ティベッツは声を荒げた。
 ……”トゥ・ヒロヒト(裕仁に贈る)……
 エザリーやマイケルたちは原爆ミサイルにチョークで落書きした。
「これでジャップたちは降伏する。原爆落とされ、あたりはまっ黄色だ!」
 そういったのはエザリーだった。

  七月二十四日、広島などへの原爆投下にむけて、リトル・ホワイトハウスでバーンズは『宣言』をつくる。
 トルーマンは思う。
 ……米英だけで決めてよいものか。中国にも打電しよう。
 トルーマンは重慶の蒋介石に「二十四時間以内に返事するように」と打電した。
 その間も、スティムソンは「天皇制の維持を…」とバーンズ国務長官にうったえていた。 七月二十四日、記念写真。チャーチル、トルーマン、スターリン……
 トルーマンは原爆投下の命令書を出す。
 ターゲットは、広島、小倉、新潟、長崎に変更された。
 ……原爆は日本に対してつかわれるだろう。爆弾は子や女子ではなく軍事拠点に。ジャップは降伏しないだろうが、シグナルにはなる……
                 トルーマン回顧録より

 蒋介石は日本への原爆投下を受諾した。
 こうして、『ポツダム宣言』は発表された。しかし、サインはすべてトルーマンの代筆であったという。降伏せねば全滅する。
 しかし、日本はそれを黙殺していまう。

「よし! 黄色いジャップに原爆の洗礼だ!」
 マイケルは無邪気だった。
 それは当然で、誰も原爆の破壊力など知らないからだった。
「これで戦争も終わる!」ジョンもいった。
 雲がたちこめている。
  結局、エノラゲイは日本上陸を飛んだが新潟は見えず…しかし、広島だけは雲の隙間があった。
 マイケルたちはまだ若く、軍略も謀略もできない青二才だった。
 ジョンは双眼鏡で広島をみながらにやにやと、
「広島上空異常なし!」と仲間にいった。
「……原爆ってどれくらい死ぬんだ?」とマイケル。
「知らない。しかし、相手は黄色だぜ。知ったことか」
「国際法でも認められている立派な策さ」
 そして、一九四五年八月六日午前八時十五分、広島に原爆が投下された。
「目がつぶれるから直視するな!」ティベッツ機長は叫んだ。
 双眼鏡で覗いて見ると、きのこ雲があがっている。
「………やった!…」
「うひょ~っ!」
 エノラゲイ機内に歓声があがった。
 仲間は「これてジャップも降伏だ……」という。
 しかし、予想は外れる。
 日本は、黙ったままだ。
 ……”原爆の洗礼”だ!
「原爆! 原爆! 投下せよ!」
 トルーマンたちは動揺を隠せない。
  一九四五年八月九日長崎上空に、爆撃機ボックス・カーが接近した。そこにはマイケルたちは乗ってなかった。同時に爆撃機はプルトニウム爆弾を投下する。午前十一時二分。「くたばれ!」
 トルーマンの号令で、爆撃機にのっていた米軍兵士たちが原爆を二発もおとした。
 この原爆で二十万人もの民間人が犠牲になったという。


「斬り込め! 斬り込め!」
 日本軍は中国で次々と中国兵士を斬り殺していく。
 が、もはや時代は剣ではなく銃である。
 すぐに中国軍は回転式機関銃を撃ってくると、日本兵たちはやられていった。
 いわゆる初期のガドリング砲は、大砲ほどの大きさがあった。
 ガドリング砲の銃口が火を吹くたびに、日本軍兵士たちは撃たれて倒れていく。
「くそったれめ!」
 谷中はガドリング砲を撃つ中国軍たちの背後から斬り込んだ。そして、ガドリング砲を使って中国軍たちを撃っていく。が、戦にはならない。次々と米国艦隊がやってきて砲撃してくる。谷中小将はひととおりガドリング砲を撃ったところで、日本軍車に飛び乗った。 ……中国への進出(侵略)は失敗したのだ。
 日本軍は全速力で遁走した。
 日本は原爆を二発もうけて、大ダメージを受けた。アジア侵略が失敗したのはいたかった。が、それよりも貴重な兵士たちを失ったのもまたいたかった。
 東条は、
「こんなことなら戦争などしなければよかった」
 と悔がった。
 鈴木貫太郎は「なにをいまさらいってやがるんだこの男は!」と怒りを覚えた。
 とにかく原爆で損失を受け、大打撃であった。

  雀之丞の弟・大塚浪次郎が戦死した。
「浪次郎!」
 兄の大塚雀之丞は号泣し、遺体にすがった。
 榎本中将がきた。
「君の弟は優秀な人材であった。惜しいことだ」   
 とってつけたように、榎本はいって労った。
 涙で顔を濡らしながら、雀之丞は、
「弟の死は犬死にですか?! 中将!」と声を荒げた。
 榎本は戸惑ってから、
「戦は殺しあいだ。連合軍があくまでもわれら日本帝国を認めないなら、戦うしかない。これは”義”の戦ぞ!」
「……しかし…日本が血に染まりまする!」
「”義”の戦では勝つのはわれらだ。米英には”義”がない。勝つのはわれらだ!」
 榎本はどこまでも強気だった。
「……そうですか……」
 雀之丞は涙を両手でふいて、いった。
「義の戦ですね? 弟の死は犬死にではなかったのですね」
「そうだ! 大塚雀之丞……励め!」
「はっ!」
 大塚雀之丞は平伏した。

           
  若く可愛い看護婦と、日本脱走軍の兵士の若者・英次郎は李春蘭とデートした。
「君、今好きなひととかいるの?」
 英次郎は勇気をふりしぼってきいた。
 是非とも答えがききたかった。
 李春蘭は頬を赤らめ、
「えぇ」
 といった。
 純朴な少年の感傷と笑うかも知れないが、英次郎は李春蘭が自分のことを好きになっていると思った。
「それは誰?」
「…ある人です」李春蘭は顔を真っ赤にした。
 そして「あのひとはもう治らないとやけになってるんです」と吐露した。
「………治らない? なんだ……俺のことじゃないのか」
「すいません」
「いや!」英次郎は逆に恐縮した。「いいんだよ! そのひと病気治るといいね」
「……はい」
 李春蘭は可憐に去った。
「ふられたか? 英次郎」
 兄・恒次郎はからかった。弟は「そんなんじゃねぇや!」といった。
 ふたりは相撲を取り始めた。
 兄が勝った。
「元気だせ。もっと可愛い娘がいっぱいいるって」
「だから! ……そんなんじゃねぇって」
 ふたりは笑った。
 まだ恋に恋する年頃である。

  ガダルカナルの戦地では、若者たちが英雄をかこんでいた。
 英雄とは、米国兵士を何百人と殺した男・今井信助である。
「今井さんは鬼畜米英を斬ったそうですね?!」
「…まぁな」
「斬ったときどんな気持ちでしたか?!」
 若者たちは興奮して笑みを浮かべながらきいた。
「うれしかったよ。なんせ鬼畜だからな」
「鬼畜はどういってましたか? 死ぬとき…」
 若者は興奮で顔をむけてくる。
「なんもいわなかったよ。でも連中は頭を斬られて死んだんだな」
「へぇ~っ」
 若者たちが笑顔で頷いた。
 かれらにとっては米兵は明らかな”敵”である。


  木之内と伊庭八郎は、敗退を続ける隊員を尻目に、銃弾が飛び交う中を進軍した。森の中で、ふたりは「これは義の戦だ!」といいあった。
 伊庭八郎は、「木之内! 日本にすごい武器がおとされたって知ってるか?」ときいた。 しかし、木之内は「知ってる。しかし、おれは最後まで戦う! お国のためだ」
「そうか」伊庭八郎はにやりとして、「まだサムライがいるんだな」
 といった。
「その拳銃の弾はあと何発残ってる?」
「いっぱつ…」
「そうか」
 そんな中砲撃があり、爆発が近くで起こった。木之内は額から出血した。
 しかし、伊庭八郎は直撃を受けて血だらけで倒れていた。
「伊庭さん?! だいじょうぶですか?」
「………木之内…」
 伊庭八郎は脇差しをもって切腹した。「かいしゃくを!」
 木之内は動揺したが、「分かりました」といい銃口を伊庭八郎のこめかみに当てて引き金をひいた。
 砲弾が飛び交う。
「やあああ~っ!」
 木之内は進軍する米国軍に剣を抜いて叫んだ。
 しかし、米軍はかれを射殺して進軍していった。
 米軍絶対的優位で、ある。
  長崎にも原爆投下され、日本大本栄は動揺した。すぐに閣僚会議が開かれた。軍部はポツダム宣言など受け入れれば国体が壊れる…と反発した。大和魂が死ぬ…とまでいう。 鈴木貫太郎首相は穏健派で知られた。御前会議にもっていく。そこで裕仁の聖断を受ける。昭和天皇は「本土決戦では日本国そのものが滅亡する。忍び堅きを忍び…世界のひとたちを不幸にするのは避け、この地の日本人たちがひとりでも多く生き残って繁栄の道を進んでほしい。武装解除で、朕は別によいが指導者たちが戦犯として裁かれるのは辛いが日本国が滅ぶよりいい」という。8月10日、日本は条件付き降伏をする。しかし陸軍がいきりたっていた。しきりにクーデターで軍による政権をつくり世界と戦うなどと馬鹿げたことをくりかえす。そんなだから空襲はますます激しくなる。日本中火の海だ。
 8月12日、外務省は降伏状を訳していた。…”サブジェクト トウ”…『従属する』…陸軍や海軍ら軍部は「これでは天皇制が維持されず奴隷と同じである! 陛下のためにならない!」という。そこで鈴木首相は最後の懸けにでる。もう一度の天皇の聖断である。 御前会議が開かれる。天皇の前ではクーデターも文句もない。昭和天皇はいう。
「戦争はこれ以上は無理だと思う。ポツダム宣言を朕は受諾する。もう終戦である」という。こうしてすべて決まった。愚鈍だった天皇が、最後は役にたった訳である。

  そして、一九四五年八月十五日敗戦……
”耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び…”
 昭和天皇(裕仁)の声がラジオから流れてくる。日本軍敗戦、ポツダム宣言を受諾したのだ。やっと、泥沼のような戦争は終わった。
 日本国中、焼け野原だった。
 しかも、戦後は食料難がおそい餓死者まででた。
 日本を占領するためにきたのがマッカーサー元帥だった。パイプをくわえながらプロペラ機のタラップをおりてくる。「アイル・ビー・バック」……の宣言通り彼は日本に戻ってきた。連合国総指令部(GHQ)は、さっそく日本を統治しはじめた。
 憲法(いわゆる平和憲法)をわずか二週間でつくりあげる。
 マルセル・ジュノー博士は荒廃した中国の町で、「広島と長崎に原爆が落とされ、一瞬にして何万人ものひとが犠牲になった」というニュースをラジオできいた。
 ジュノーは思う。「広島へいかなければ…」
『戦争は悪で人殺しだ』……多くのひとたちはそう思っている。確かに、戦争は悪でありひと殺しである。ただし、その悪によってもっと強大な悪を叩き潰すこともできるのだ。 例えば、太平洋戦争で連合軍が帝国日本やナチス・ドイツを叩き潰さなければ今頃、ヨーロッパやアジア諸国はどうなっていただろう? 確かに広島長崎の原爆、東京大空襲、沖縄戦、シベリア抑留、学徒出陣、神風…それらは悲惨なことだ。しかし、被害者意識ばかりもってもらっては困るのだ。じゃあナチスや帝国日本はあの戦争で何をやったのか? 虐殺侵略したじゃないか! ヒトラーや帝国日本はなにをしたのか?
 なぜ日本人は被害者意識だけしかもてないのだろう。なぜ靖国に参拝し続けるのだろう。反日デモがおきたとき著者はそう問いつづけた。だが、日本人からの反応はなかった。只、さあや(前のペンネームが咲絢(さあや))だの11歳美少女Fカップ…だのと馬鹿げたことをいわれただけだ。著者は「日本軍による侵略がなかった」と主張する右翼の小林よしのりを攻撃した。しかし、それは中国のためでも韓国や東南アジアのためでもない。
 日本人の精神の改革のためだった。でも、何にもかわらない。しかし、信じるしかない。太平洋戦争が間違った、侵略戦争であったということを…日本人たちが誰もがわかるまで……。                           
        
         

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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.134解散衆院選挙山形2区から出馬?「アベノミクス解散総選挙」

2014年11月21日 19時08分53秒 | 日記





「アベノミクス解散総選挙」の間抜けさ


  2014年11月21日安倍政権は任期を二年残しての解散総選挙の暴挙に出た。「アベノミクスの失敗を隠しての解散総選挙ではありません」と安倍首相は言うがいかにも苦しい。実態はそういうことだろうが。
2014年4月から消費税を5%から8%に税率を引き上げて、なんと消費が5兆円も落ち込んだという。そこで安倍政権は5.5兆円の補正予算を組んで対策を講じたが「アベノミクスは失敗」した。その失敗を隠すために、それと傷のついた内閣のリセットの為だけに700億円もの費用をかけて「アベノミクス解散総選挙」を行うのだ。その際、安倍首相は「アベノミクスで雇用が増えて、内定率もあがった。行き過ぎた円高デフレも解消された」という。ちょっと待ってよ、といいたい。雇用が増えたのは正社員ではない契約派遣社員だ。また、大企業の工場はもう海外の人件費の安いところにとっくの昔に移っており、日本人の人件費が少しばかり安くなったとしても「(単純作業のルーチンワーク的)製造業工場」等日本国内に戻って等こない。安倍さんがいう日本に大企業の工場が戻ってきた、などという話は枝葉末節的なほんの数パーセントのごく稀なケースであり、「安かろう悪かろう外国製品」を嫌う、「高額でも品質の良いメイドインジャパン製品を購買する購買者向け」でしかない。それを大企業全体ととらえるというところが安倍さんの頭の悪さ、だ。
今回の「アベノミクス解散総選挙」では私の選挙区の山形二区には「これは!」というような候補者はいない。凡庸な学歴エリートだけだ。意味がない。こんな連中にしか投票できないなんて不幸だ。安倍政権は「アベノミクスの失敗が表面化する前」に手を打った。消費税の再増税を2017年4月に延長したのは英断ではあるが、それ以外は何ら汲むべき酌量の余地はない。
アベノミクスは失敗した!景気はよくならないし、このままでは財政も内政も外交もレイムダック状態になる。安倍自民党公明党圧勝の独裁が始まるだけだ。そして日本国の運命は悲惨な地獄になる。「アベノミクス解散総選挙」の間抜けさ、だけでも国民はわかっておくべきだろう。野党も情けなく分裂しているから自民公明圧勝は間違いない。独裁が始まるぞ!日本国のおわりの始まり、である。

緑川鷲羽(みどりかわ・わしゅう)・44・フリージャーナリスト

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スパイラル <巨魁妄動編>1989年宮城県仙台市幸町中学生事件アンコールブログ小説5

2014年11月20日 15時58分33秒 | 日記







  第三章 攻撃計画








        1 新目、緑川罵倒計画




   新目真紀の鬱屈は晴れることはなかった。
 とにかく、優等生の道理木里子が憎かった。あのアマッ! と思っていた。
 真紀は木里子の10分の1の実力も学力も美貌もないのにも関わらず、それを理解していなかった。むしろ、自分の才覚が何故みんな理解できないのか? などと不遜に思ってもいた。茶坊主娘たち(羽柴秀子など)も心の底では、新目真紀より道理木里子のほうが優れていると思っていた。だからよけい真紀は腹が立つのであった。
「頭くるわね!」
 新目は学校の校舎の壁に蹴りをいれた。鬱屈した思いをこぶしにこめて、壁をどんどん叩いた。木里子に対する怒りの波が全身の血管を駆けめぐり、彼女は部下にとめられるまで我を忘れて壁を叩き続けた。それでも怒りはおさまらなかった。
 ターゲットが必要だわ! ストレス発散のためのターゲットが…。
 新目はふと、学校の校舎の近くに引っ越してきたという男のことを思った。そいつがターゲットになるかも知れない。ターゲット……というよりスケープ・ゴート(生け贄の羊)である。自分の鬱屈した思いを忘れるために他人を、罪もない他人を攻撃しようというのだ。なんとも身勝手なオポーチュニズム(ご都合主義)である。
 というより新目たちや、のちの”鬼畜”のやることは犯罪である。
 そして、緑川鷲羽の知らぬ間に、彼は新目の決める”ターゲット”に選択されることになる。哀れ……というより慙愧に耐えない。
 それにしても、犯罪とはこのように短絡的な、思いやりや道徳心、良心を無視した形で勃発してしまうものであろうか。短絡的に、ストレスがたまっているから、とか、むしゃくしゃする、嫌なことを忘れたい……そのような自分勝手な精神で犯罪被害にあうなんて堪らない。他人を傷つける前に自分自身を傷つければいいのだ。自分の胸に手をあてて、自分自身の心について考えればいいのだ。
 たとえば毎晩、解定前に接心し、釈尊に手を合わせる。そして自分の心に耳を傾ける。それこそ公案ではないか。意味がわからなければ辞書を引くなりして勉強しろ。
 仏教徒でなければ、キリストに懺悔するなりしたらいい。
 とにかく他人に、人様に迷惑だけはかけるな。

  道理木里子はこの頃、ひとつの趣味を見つけていた。
 それは執筆だった。エッセイや小説などを書くのだ。もちろん作家になる…などと思ってはいないが、とにかく自分の考えを文章にしていく作業は楽しかった。何か創作したことのあるひとならわかると思うが、完成したときの達成感は素晴らしいものだ。何かを完成させ、達成させ、創作する、こんな素晴らしいことはない。
 また、この頃、緑川鷲羽も小説を書き始める。音楽もつくりはじめる。絵も描きはじめる。のちのプランナー・ストラテジストへの”大躍進”へのステップだった。
 だが、この頃、自分が中学生たちのテロリズムにあうなど緑川は考えてもいなかった。米沢で”臥竜”と畏れられた鷲羽であったが、まさか鼻たれの中学生ごときにテロルで苦しめられるなど思ってもいなかった。彼はまだ二十歳間近の若者である。そんな彼が、まさか中学生たちのテロルで被害にあうとは……なんとむごい!
  団塊の世代、団塊Jrの世代が子供を甘やかし、子供が悪いことをしても「だめだよ~」などとお茶濁しみたいなことをいうだけでしつけない、甘やかし、子供に媚び、子供の姿勢を正そうともしない。その結果、ホームレスをリンチで殺すような、売春を悪ともおもわず体を売るような……そんなガキばっかりが目につく。
 学校のせいではない。親のしつけの欠如の結果だ。
 確かに、「今の若者は…」などというのは古代エジプト時代からいわれた永遠のテーマである。しかし、日本人の子供はいったいどうしちゃったのか? 不思議でたまらない。いったいどうしちゃったの? なぜ、やっていいことと悪いこと、言っていいことと悪いことを判断できないの? その質問の答えは「甘やかし」「躾欠如」である。
 抜本的な日本の子供の改心案がある。私の提唱する「ボランティア研修」である。中高一貫でもいいのだが、そのうちの3ケ月か一か月の期間、アフリカか東南アジアに点在する難民キャンプでボランティアをさせるのだ。それか老人ホームで。自分とは違った世界で生活し、そのひとの苦労を知り、そのひとのために献身的に働く。これほど国際性や思いやり、道徳心、優しさを身につけられる研修もないだろう。
 とにかく日本の子供にはそうした研修が必要だと思う。もちろん滞在研修費は親がだすのだ。研修後、自宅に帰ってきたわが子をみたときの親の顔が目に浮かぶ。研修で、道徳心や国際性や思いやりを身につけて帰ってきたわが子…。自分の子供がひとまわりもふたまわりも成長した姿………。これこそ教育の成果となろう。そういう研修をつめば、よもや、強盗や強姦やホームレス殺しなどする子供もいなくなるだろう。
 教育とは、こうして頭をつかうことである。
「ボランティア研修」は少し突拍子もないことにきこえるかも知れないが、これぐらい抜本的な教育をしないと、日本の国自体がダメになるのではないだろうか? なぜなら、将来の日本を支えていくのは今の子供達だからである。そして、大人もかわろう。子供に媚びを売らず、ちゃんとしつけよう。”大人がかわれば子供もかわる”至言ではないか。



 



         2 ターゲット





「新目さん、わかりました!」
 羽柴秀子が走ってきていった。新目真紀は化学室でタバコをふかしているところであった。新目と部下しかひとはいない。今はけだるい午後だ。
「なにが?」新目はおっとり刀で尋ねた。
 羽柴秀子ははあはあ息をつきながら「あの男です。前にいってた変な男……」
「変な男……? 校舎の近くのアパートに越してきたっていう?」
「そうです!」羽柴秀子は続けた。「その男の名前がわかったんです!」
 彼女は”ターゲット”の名前を告げた。それは、緑川……緑川鷲羽だった。秀子が彼のアパートの前の玄関の表札で確認したのだ。
「緑川? …ワシハ?」
 新目はいった。羽柴秀子は「そうです! ワシハです!」といった。
 ふたりは肝心なところで違っていた。ワシハ…ではなく、鷲羽(わしゅう)である。とにかく、そういうことで緑川鷲羽は”ターゲット”にノミネートされた。
 テロルのターゲットに。
「で? そのワシハはどういうやつなの?」新目は訝し気にきいた。
「変なやつです。変です」
「どういう風に?」
「とにかく変なんです」秀子はいった。答えになってない。
「だったら…」高橋広子がいった。「その男のアパートの前でまちぶせして、顔写真撮るっていうのは?」
「そうそう!」斎藤淳子がこの日初めて発言した。「それがいいですよ。なんといってもターゲットですし、顔写真バッチリ撮って、学校中で罵倒すればいいんですよ」
「スカッとするかもね」新目はにやりとした。
「馬鹿、馬鹿! とか 死ね! とかいって罵声をあびせかけ、投石したり、嘲笑する……スカッとしますよ、きっと。こっちには無害ですしね。その男は学校にチクッたりしないだろうし」
「なんでわかるの? チクッたら?」新目が高橋にきいた。
 高橋広子はいった。「チクッたって怖いもんですか! どうせあの男には私たちの顔や名前も住所もわからないんだから……それにあたしたち女だから殴られたりすることもないし……とにかくあのワシハを罵倒しましょうよ! スカッとしますって」
「よし!」
 新目が、重い腰をあげた。「じゃあ、その男の前でタムロって、やつの顔を撮って、学校中に罵倒するように号令を発することにするわ!」
 こうして、テロルは始動しだした。

  新目真紀、羽柴秀子、高橋広子、斎藤淳子を中心とする十二人の新目一団は、緑川のアパートの前の階段に座り、タムロった。皆、学生服姿だが、もう授業が始まる時刻になっても、新目らはタムロっていた。羽柴秀子はインスタントカメラを周到に準備し、緑川鷲羽の顔をバッチリ撮るのだと決心していた。
 とにかく、ターゲットの顔をバッチリ撮り、学校中のストレス発散のための罵倒人物にするのだ。彼女らには良心のかけらもなかった。
 ただ、自分たちのストレス発散のためのスケープ・ゴートがほしかったのだ。
 例え緑川がどんな人物であろうと、彼女たちには関係がなかった。罵倒投石嘲笑の理由などまったくない。只、ストレス発散できればそれでいいのだ。
 そして、緑川は専門学校の授業出席のために玄関を出た。すると、階段に女子中学生がタムロっているので驚いた。見るからに陰険そうな中女たちで、その顔はアイドルをおっかける”追っかけ娘”のそれではなかった。その顔は誘惑のそれでもなかった。
”連中”は、テロルの相手を確認しに待ち伏せしていただけである。そして、その朝、顔確認がおわった女達は、にやりとした。これで……ストレス発散…だわ。

  学校にもどると、テロリスト娘たちは「顔、撮れた?」とにやにやした。
 羽柴秀子は猿のような顔に満天の笑みを浮かべ、「バッチリです!」といった。
「変なやつだったわね。あいつならターゲットでいいわよ」
 新目は、悪ぶれることもなくいった。「あとは道理木里子を始末すればいいのよ。緑川ワシハと一緒に叩き潰してやるわ!」


  新目真紀は、自宅で、家庭教師に教わっていた。
 教師はなんとあの新田和也である。新米医師で、アルバイトで真紀をみていた。新田は東大卒で、頭だけはいい青年である。実は、真紀と和也は深い仲になっていた。
 この数年、つきっきりで勉強をみているうちに男と女の関係となってしまっていた。
 当然のように、真紀の父親がいなくて家にだれもいなくなったときは、愛を確かめあった。セックスに興じた。真紀は隣人を気にせず、大きな声であえいだ。
 ふたりきりになって愛を確かめあっているときは、新目真紀はしばしばそうだ、と断言することができた。和也は激しく、しかも優しかった。お互い裸でもつれあった。彼女を抱きしめ、和也は熱っぽく思いをこめて唇と腰をからめてくる。真紀は彼が自分のことを大事におもっているのを知っていた。彼女にとって彼は初めての相手だったし、彼にとっては”セックス相手の若い娘”である。処女も奪ったし、真紀は顔はいまいちかも知れないが、こんな若い娘を抱けるなら上等なものだろう。
 真紀は彼が自分を大切におもっていると感じていた。自分をむさぼるように見つめるときのまなざしと、熱のこもった微笑にすべてが現れている……そう思っていた。
 セックスに興じているときには、早朝の”テロル計画”のことなど忘れていた。
 それほど気持ち良かったので、ある。



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スパイラル <巨魁妄動編>1989年宮城県仙台市幸町中学生事件アンコールブログ小説4

2014年11月20日 15時57分18秒 | 日記




         第二章 新目の傲慢






        1 新目家の騒動



  大学病院ではそんなにたいしたこともなかった。相変わらず”学歴医者”の新田和也と川田隆は失敗しそうに(つまり医療事故)なったが、長田婦長やベテラン医師の山形や道理が未然に防いでいた。しかし、新田和也にしても川田隆にしてもどうにも、使えそうもなかった。とにかく、記憶力とペーパーテストだけの知識で、クランケの心理や感情に対応できないのである。
 それにしても道理啓二はくたくたに疲れてしまった。まるで”子守”だ。新田も川田も、彼から見れば”赤ん坊”のように目の放せない存在である。なにしろ、いつ医療事故でクランケを殺しかねないのである。本当ならこういう医者はパージ(粛清)できればいいのだが、それは私立病院ならできるだろうが、ここは国と宮城県の直轄運営の国営大学病院である。あからさまに医者をパージなどできないのが現実であった。
  木里子は絶好調であった。
 彼女は勉強もでき、美貌で、しかも優しく、控え目な女の子であったために男子学生や同性の女の子にも人気があった。それにひきかえ新目真紀の評価は最悪だった。元来、イジ悪で鼻持ちならない「天狗」の真紀は嫌われていた。
 少なくとも彼女のことを好きな人物は見当たらなかった。
 茶坊主娘こと、新目の部下たち(羽柴秀子、斎藤淳子、高橋広子)にしても、確かに新目に支えていたが、本当に新目真紀を崇拝しているかといわれれば自信はあまりなかった。 新目が金持ちの娘で、よくゴチ(御馳走)になる。……それだけなのかも知れない。
 とにかく新目真紀はどんどん落ちていった。
 もちろん新目がその没落を心の底でどう思っていたのか知るよしもない。しかし、彼女にしてみれば唇を噛み締めて、じだんだを踏む思いであったであろう。
 新参者の木里子が大人気……しかし、考えてもみれば当然ではないか。
 道理木里子には新目真紀にはないものを持っている。金は新目ほどないかも知れないが、人間的な魅力や優しさ、女性らしい控え目さ、繊細さ、そして何よりも美貌。新目にはないものばかりを木里子はもっている。新目真紀がかなわないのも無理はない。才能……というより天才の違いだ。
 もし新目真紀が道理木里子のような人気や才能を神様からもらえるとしたら、新目真紀は鼻でピーナッツを転がしながらはるばるニュージーランドにいくこともいとわないだろう。バレリーナのチュチュを着けて。


  新目真紀の父は資産家である。
 しかも、そうとうの色もの好きで、新目一郎はよく女遊びを繰り返した。彼は大変、女好きである。しかも、若い肉づきのいい女が好みで、よく札束をひけらかしては玄人の女達をホテルに連れ込み、抱くのであった。
 彼は、セックスが大好きであった。
 とくに大きな乳房とお尻の女性が好みで、愛の行為のときは赤ん坊のようにオッパイにしゃぶりつき……あぁ、なんともおぞましい! とにかく俗人である。
 新目真紀は父親のそんな行為のことも知っていた。
 彼女だってセックスが好きだし、父親がそうだとしても理解できた。
 相手が玄人の女なれば”間違い”も起こるまい……と思うだけであった。素人の小娘ならまだしも、相手はプロだ。客との情事で妊娠する、などとなるはずがない。そうならないための玄人女ではないか。
 しかし、玄人女を相手にしている間はよかった。
 しかし、彼はとうとう素人娘に手をだしてしまう。新目一郎は、社長室で美人の秘書とふたりっきりになったとき、彼女の尻を撫で、胸にしゃぶりついた。
 まだ20歳の秘書は動揺し、「いけません。社長……いけません」とやっとのことで囁くような声を出した。一郎の欲情はおさまらない。とうとう彼は手をスカートの中にいれ、可憐なクレヴァスをパンティの上からまさぐった。彼女の陰部はなぜか濡れていた。
「いけません。社長……いけません。やめて」
 彼女はあえぎあえぎ囁いた。しかし、一郎はやめなかった。
「はあはあ、はあはあ……純子くん。純子くん」
 やがて、ふたりは部屋のソファーに崩れ落ちた。一郎は愛撫をやめなかった。そして、彼女の服をぬがし、自分のズボンをさげた。
”社長は大金持ち…しかも独身……玉の輿…”美人秘書の心の中で、そんな葛藤が起きているのを一郎は考えなかった。ただ愛撫と女の香水の匂い、それにオッパイの感触に酔った。ゆたかな尻、ゆたかなオッパイ、くびれた腰、長い黒髪、赤い唇、締まりのいい陰部……新目一郎はセックスに酔った。彼女ももう抵抗はしなかった。
  愛の行為は一郎にも純子にもすばらしいものだった。一郎が荒々しく振るまい、秘書の純子が控え目に腰をうごかし、腰と唇を激しく重ねあったためか、それはわからない。 もちろん愛の行為……とはいえ、ふたりに愛などない。ただの情事だ。
 裸のままくしゃくしゃのソファに重なって横になり、ぐったりした。部屋にはふたりしかいなかったが、誰かくるかも知れない。一郎は事がおわって余韻を楽しんだあと、すぐにズボンを履いた。純子もティシュで愛液をふくと、パンティーやブラジャーをつけ、服をいそいで着た。”社長は大金持ちで、しかも独身……玉の輿に”美人秘書の心の中で、そんな葛藤が起きているのを一郎は考えなかった。
 新目一郎はセックスが好き。セックス大好き。ただ、その欲望の捌け口として純子の体を求めたにすぎない。愛などないのだ。
 しかし、秘書の純子は妊娠した。
 一郎は狼狽し、それは愛娘の真紀の知るところとなったが、もちろん一郎が秘書純子と結婚するはずはなかった。新目一郎は純子の御腹の中の子をおろさせ、たんまりと慰謝料を支払い、”お払い箱”にした。
 どこまでも新目一郎は自分勝手な男である。
 そして、その遺伝で、新目真紀も冷酷な事件の首謀者となることになる。しかし、それはまだ先のことだ。


         2 恋



  長田婦長は六分間も患者の顔をみていたが、やがて何事もなかったように病室をあとにした。患者は眠っていた。ここのところ容体は良かった。血圧も下がり、食欲も回復し、尿の出が悪いことを除けば、正常そのものだった。
「先生、今日は当直なんですの?」
 長田は医務室の道理啓二に声をかけた。
「いや」啓二は答えた。そして、続けた。「今日は木里子の誕生日なんだよ」
「あらっ。それはおめでたいことですわね」
 婦長は微笑んだ。
「めでたくなんかないさ」啓二は白衣を脱ぎながら皮肉にいった。
「あら、なぜですか? 愛娘さんのお誕生日じゃありませんの」
「う~ん」啓二はわざと唸った。「そりゃあそうなんだが……どうもね」
「どうも? なんですの? 先生にしては珍しく”意味不明”ですわね」
「”意味不明”は傑作だね」
 ふたりは笑った。
「なんていうのかなぁ」道理啓二はいった。「木里子がだんだんと大人になっていくにしたがって……ぼくの手からなくなってしまうようなね、そんな不安があるんだよ」
「あら」婦長は笑った。「男親はどこも同じですのね」
「そうかい?」
「どうせ娘なんていい男をみつけてさっさと嫁にいくんじゃありませんの。一生親と一緒の娘なんて……そのほうがおかしいですわ」
「そうだね」啓二は頷いた。そして「婦長さんのときはどうでした?」と尋ねた。是非とも答えがききたかった。
「わたくしの親ですか? やっぱりわたくしが若い頃は今の先生と同じようなことをいってましたわね。遠い昔ですけど」
「婦長は結婚してましたっけ?」
「いいえ。今だに独身です」
「ほう。それは不思議だ。長田婦長のような美人の女性なら引く手あまただったでしょうに」
「いえ」婦長は微笑みながら「大事なひとと巡りあわなかっただけですわ。今までは…」 啓二が息を呑みこんだあと、喉仏が上下した。婦長は優しい目で、彼をみていた。白衣も、婦長のナース・キャップも、淡い唇の色も、なにもかもきらきらと輝いてみえた。
「……じゃあ、お先に」
 啓二が去ろうとすると、婦長は呼び止めた。
「プレゼントは? 娘さんへの誕生日プレゼントはもう購入なさりましたの?」




         3 患者の死




  道理啓二は夕食をレストランのディナーですました。デートの相手はというと残念ながら長田婦長ではない。愛娘の木里子とふたりっきりである。
「ほら、プレゼントだよ」啓二は微笑んで箱にはいったプレゼントを渡した。
「ありがとう、お父さん」それはネックレスだった。
 木里子はネックレスを大事そうに眺めた。今日は木里子の十五歳目の誕生日であった。「ところで…」
 父・啓二は言葉を濁した。
「なに?」
「木里子……好きな男とかいるのか?」是非答えがききたかった。
「やだぁ」木里子は頬を少しだけ赤らめた。「…いるかもよ」じらした。
「だ、誰だ?! なんて名の男だ?」
 啓二は年甲斐もなく慌てた。冷静に、と焦れは焦るだけ動揺して手がプルプル震えた。「やだぁ、お父さんったら!」
「……だって」
「私が好きなひとは…」木里子は続けた。「お父さんよ! 他に誰かいる?」
 予想もしなかった愛情の波が啓二の全身の血管を走りぬけ、彼は一瞬われを忘れた。心臓が三回打つあいだだったが、自分が誰なのか、目の前にいるのは娘なのか忘れていた。 彼は不意に、愛娘・木里子を亡くなった妻のように思った。顔も体格も、声も、なにもかもが妻そっくりだ。スウェーデン人の。
「そうか」啓二は満足そうに頷いた。
 しかし脳裏には、長田婦長のいった言葉……「どうせ娘なんていい男をみつけてさっさと嫁にいくんじゃありませんの。一生親と一緒の娘なんて……そのほうがおかしいですわ」が歓迎せぬ蜜蜂の群れのように頭のなかでわーんと響いていた。
 どうせ、娘なんて、さっさといい男をみつけて、嫁にいく。
 木里子もいずれ……。啓二は頭を軽くふった。


  翌日、道理啓二のクランケが死んだ。
 末期癌だったが、年寄りの男性にしてはよく頑張った方だった。彼には子もなかったが、年老いた妻だけがいた。老婆は夫の死に動揺し、号泣し、今にも狂わんばかりに泣いた。死骸にしがみつき、号泣した。その泣きっぷりは見事なもので、関係者の涙をさそった。 長田婦長は片手を差しのべ、自分がそばについていることを思いださせようと老女の肩に触れた。老婆が彼女のほうを向いた。
「……婦長さん。夫は生き返りますか?」
「生き返る?」老女の言葉があまりにも場違いだったため、婦長は自分の耳がほとんど信じられなかった。お婆さんは、ボケ……たか。
「お、お婆さん」指先でそっと老婆の顔を抱きよせて、その場で老婆の目を求めた。
 しかし、老婆は婦長の視線を避けた。
「じつは…」婦長から目をそむけたまま、老婆はつぶやいた。「あたしたち新婚なんですのよ。もうすぐこの御腹の中には赤ちゃんがいて……産まれるんですの」
 婦長は人生のなかでこれほど驚いた事がない、というくらいびっくりした。長田婦長が老婆の声からきいたのは喜びではなかった。苦痛だった。もう何十年も前の新婚時代……老婆はそれを今、ボケた頭で実感しているのだ。
 長田婦長は老婆のために胸を痛め、老婆とともに胸を痛め、老婆の髪をなで、母親が子供をなだめるように、愛にみちた手で老婆をなだめた。心配ないわ、そうなだめた。  

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スパイラル <巨魁妄動編>1989年宮城県仙台市幸町中学生事件アンコールブログ小説3

2014年11月20日 15時55分37秒 | 日記





        3 新目真紀と道理木里子




  道理木里子が仙台幸町中学に転校してくるとあれよあれよという間に、木里子は学年トップの成績を冠した。美貌のうえに学力優秀。しかも、さして勉強しなくても木里子は勉強が出来た。新目真紀が何時間もかかって、それこそ家庭教師に教わりながら解く難問も、木里子は数分で解いてみせた。
 面白くないのは新目真紀である。
 真紀はいつも成績がよくないとマズかった。
 確かに、新目真紀は自分がさして頭がいいほうだとは思っていなかった。しかし、父にはそういう姿は見せられない。東大を目指している秀才……そういう姿でなければ見せられないのだ。しかし、現実は厳しい。東大どころか、最近の成績じゃあ”駅伝大学”でさえ危ないようだった。
 真紀はあせった。そして、憤りを覚えた。いや、嫉妬だ。
「面白くないわね」
 新目は教室で下唇を噛んだ。
”茶坊主娘”こと新目の”部下”の高橋広子は、「なんかムシャクシャしますね?」といった。新目真紀は「ほんと」と頷いた。
「何か、ターゲットがないかしら?」真紀はいった。
「ターゲットですか?」
「そう。ここんところ道理木里子のせいでわたしの立場がないわ」
「…道理木里子って最近転校してきた?」
「そう」真紀は続けた。「この新目真紀も木里子にかかっちゃ肩なしよ」
「イジメでもしますか? それとも万引きとか…」広子は笑った。
「そうそう」新目の部下のひとり、斎藤淳子はいった。「校舎の近くに変な男がいましたよ」
「…変?」新目が怪訝な顔できいた。
「そう。どっか変なんです」
 新目の部下のひとり、羽柴秀子はいった。「とにかく、その男がターゲットになるかも知れないわ」
「どんな風に変なの?」新目は是非答えがききたかった。
「とにかく……どっか変なんです」
 羽柴秀子はわらった。
「名前は…?」真紀はしつこくきいた。
「知りません」斎藤淳子は続けた。「でも……今度、調べておきます。アパートの表札でもみて…。あと写真でもとりましょうか? アパートの前で待ち伏せして…」
「そうね。ターゲットだもんね」
 新目真紀はいった。その言葉のどこにも良心も罪悪感もなかった。部下も同じである。とにかく、ストレス発散にはターゲットがいる。罵倒嘲笑投石するターゲットが……。
「とにかく……むしゃくしゃする。面白くないわ」
 新目真紀は、もう一度そういった。


「すごいわね、木里子ちゃん」
 道理木里子が教室に戻ると、友達の由美がほめた。「成績……学年トップだもん。やるう~っ!」
 木里子は照れて「たいしたことないわよ」といった。
 もうひとりの友達の智子は「たいしたことあるわよ。トップなんてやるわね」
「…ちょっと”ヤマ”が当たっただけよ」
 木里子は微笑んだ。
 由美は「またまた。…ガリ勉してるんじゃないの?」といい、智子も「そうよ。あなたなら東大にも入れるわよ、きっと」といった。
「東大? まさか」
「いえ、きっと入れるわ」由美は微笑んだ。
 と、智子は「いえ、木里子ならNASAでもいけるわね」
「NASA(米国航空宇宙局)?」
 三人はわらった。
 面白くないのは新目である。新目真紀は「くそう」と心の中で思った。
(道理木里子め……必ずその鼻をへし折ってやる!)
 とにかく、道理木里子は”面白くない””気に食わない”相手だ。
 早めに、ストレス発散のために……ターゲットを見つけよう。
 罵倒嘲笑投石をする、ターゲットを……。








         4 木里子と英語




  木里子が学年トップになると、周りからは「彼女を学級委員長に」という声が当然のようにあがった。それまで委員長は新目真紀だった。真紀は頑固に辞任を拒否したが、たいして頭のよくない新目より、”天才”の道理木里子のほうがいい…というイメージは払拭できなかった。
 道理木里子は有頂天になるほど馬鹿ではない。
 よく馬鹿なやつは、チヤホヤされるとつけあがって「生意気な態度」を他人にとる。しかし、木里子はそういう馬鹿とは違っていた。
 新目とは違うのである。
 しかし、木里子は新目のことを本当に嫌いになっていた。
 確かに、木里子は前任者・新目真紀を負かして、学級委員長に就任した。だが、はたからみたらそれもしごく当然のことである。しかし、新目はそうは考えなかった。
  保険室には人の気配がなかった。
 木里子は中に入り机に座ると、手にしていたノートを叩き付けるように置いた。理知的で色白な横顔には怒りの表情が残っていた。
 先程まで争った新目真紀の言葉が、脳裏をよぎった。
 新目真紀は、とにかく癇癪のすべてを道理木里子にぶつけたのである。新目は学校では猫をかぶり、けしてその心の奥の”傲慢さ”をみせない娘だが、道理とふたりきりになると癇癪をぶつけてきた。
 ひとの気配のない科学室に呼びだされて、すぐに木里子は飛んでいった。
 科学室でタバコをふかしていた新目は、木里子が入ってくるのを見ると、身構えるかのように慌てて火を消した。
「新目さん。わたしに何かご用?」
 木里子は最初下手に出ようとした。
「う~ん」
 語尾を延ばして、新目は答えた。
「新目さん……タバコ…を?」
「どうだっていいでしょ!」
「そうはいかないわ」
「そりゃどうも」新目はにやりとした。「今度はあんたが委員長だもんね?」
 まだ昼休み中で、学生たちは教室で弁当を食べているか、図書館で昼寝だ。新目と道理のふたりは誰もいない科学室で対峙していた。木里子の瞳はきらきらと輝いていて、新目真紀はまぶしいものをみるように目を伏せた。
「なにがいいたいの?」
「……なにが?!」新目は歯牙をむいた。そして続けた。「あんたが気に食わないのよ!」「気に食わない……?」
 道理木里子は摩訶不思議な顔をした。それが新目の怒りを更に高めた。
「勉強が少しぐらいできるからっていい気にならないでよ!」
 新目は抑圧のある声でいった。
「別に……いい気になんてなってないわ」
(このぉ!)
 新目は頭に血がのぼった。長いこと圧力釜の中にいたため、怒りでどうにかなりそうだった。とにかく、道理木里子は「気に食わない」。……自分よりいい成績をとるなんて!「あんたは勉強ができるからいいけど……他の連中だったら、わたしに反抗できないわよ」「…え?」
「説教くさいことをいうのは簡単だけど、なんならあんたがやってみたらいいのよ。ちょっとまぐれでトップになったからっていい気になって…。わたしは小さい頃から勉強して頑張ってきたのよ。特別な才能をもってるの。他の連中なんて努力不足か才能不足ね。あんたも!」
 新目は鼻を鳴らした。
「新目さん。あなたの話はどこか変よ。勉強してペーパーテストの点がよければ優れていて、悪ければ人間的に劣っているとでもいうの?」
「そうよ!」真紀は歯をぎりぎりいわせてわめいた。木里子はその場で凍りついた。
「わかったわ。……で、わたしにどんな用だったの?」
「なにも。ただ…あんたに注意したかったの。生意気だって」
「よくわかったわ」
 道理木里子は背中に怒りを抱えながらも、科学室をあとにした。
 やがて、部下の羽柴秀子がやってきた。
「新目さん。木里子はとことんまで反抗してくるわよ。調度いいところで折れておかないと大変なことになるわ」
「木里子は生意気よ。ちょっとテストでいい点とったからっていって。結局はまぐれで委員長でしょ?」
「どうかしら。もともと頭がよかったんじゃ…」
「なんですって?!」
「……あ! すいません」
「いやに木里子を弁護するじゃないの」
「新目さんは頭のいい相手なら降参するんですか?」
「自分より頭のいいってことは偏差値もペーパーテストの点もいいってことよ。かなわないってことにならない?」
「新目さんの考えだと偏差値がすべて?」
「頭の良し悪しはペーパーテストでしかわからないわ」
「どうですかね。ペーパーテストだけの判断じゃ、ツメが甘いんじゃ……あ! すいません」
「偏差値テストは神聖なものよ! ほかにどんな優劣判断方法があるっていうの?」
「でも……そうなると新目さん。一生、木里子に頭があがらなくなるんでは?」
 羽柴秀子は皮肉にいった。
「どうして? まぐれでトップになっただけでしょ? 今度からはわたしがトップよ」
 新目真紀はいきまいた。
「木里子は話さないからな。木里子には特技があって…」
「どういう特技なの?」
「ま、そんなこと気にしなければいいと思います」
「そうはいかないわ。話して」
「う~ん」
 羽柴秀子はじらした。そして、続けた。「木里子は英語とドイツ語とフランス語がペラペラらしいですよ。独学でマスターしたって…。今は、中国語を勉強しているそうです。新目さんは外国語からっきし……あ! すいません」
 羽柴秀子は科学室をでた。
 新目真紀は茫然と立ち尽くすのみだった。
















         5 木里子の父




  道理木里子の父・道理啓二は仙台の大学病院に赴任した。
 啓二は控え目な性格で、色男で知的であったため、すぐに看護婦たちの中で”憧れの的”になった。なにせコブつきとはいえ独身のインテリ男である。
 独身の若い看護婦たちは、道理啓二を熱いまなざしでみつめた。
 今年四十歳になる独身の看護婦長・長田順子はそんな看護婦たちを諫めた。が、長田婦長にしても啓二によい印象と好意をもっていた。
 長田順子は、どこか浅野ゆう子のような美貌の女性であったから、ハンサムな道理啓二とはピッタリくる。”お似合い”のふたりであるはずである。
 長田婦長にしたって、道理啓二のことを”まんざらでもない”と思っていた。
 しかし、若い娘のように「好きです!」という訳はない。
「…長田さん。私のクランケは?」
 啓二は白衣姿で、にこりとした。
「はい。このファイルにあります」婦長はにこりとした。
「ありがとう」
 啓二はファイルを受け取った。
 そして、「長田婦長のようなひとがいると頼もしい限りですな」と微笑んだ。
「あら。とんでもございません」
 ふたりは笑った。
「これから、いろいろ至らない点もあるでしょうが……どうかよろしく」
「やですわ、道理先生ったら。わたしなんかに頼られても困りますわ」
「ご謙遜を」
 啓二は言った。

  しばらくすると、道理啓二は医大の問題を次々と発見した。
 みんな、学歴ばかりよくて、暗記だけはできるが……つまり”出来が悪い”のである。「長田婦長、このクランケには薬を出さないように指示してあったはずですが、誰がこんな薬を出したんですか?」
 道理の問いに、長田婦長は神妙なおももちで答えた。
「申し訳ありません。患者さんが急に腹痛を訴えまして…。それで、道理先生が留守でしたので新田先生と川田先生がかわりに…。あの方たちに何をいっても無駄でして…」
 道理啓二は”仕方ない”という感じで頷いた。
 今度の一週間の出張で、信頼のおけるベテランの山形治に頼んでいたのだか、運悪く山形は腹痛で、かわりに一人立ちには懸念のある若い新田和也と川田隆にまかされた。ふたりとも学歴医師で、勉強は出来るが患者の心を知りもしないような”出来そこない”である。道理啓二は不快に思った。
「院長はいらっしゃらなかったのですか?」
「いえ。……四詰の回診とかで」
「回診?」啓二は眉間に皺をよせた。「それを新田君にやらせればよかったのに……院長は何を考えているのかな」
 婦長は神妙な顔のまま押し黙った。
「あの若い”医師もどき”にも困ったものだ」啓二は溜め息を深くついた。
 そう思うと、なぜか怒りの熱が全身の血管を走った気がした。あせるんじゃない…そういう考えも脳裏をかすめた。なんということだ! 学歴さえあればそれでいいというのか! 啓二はガンガンと頭痛のする思いであった。たとえ学歴が必要であったとしても、医者にはもっとも大切なものが必要ではないか!
「長田婦長」
 やっと声がでた。しかし、それは怒りの声ではなく、諦めのまじった声だった。
「…このままで……いいのでしょうか?」
 啓二は途方に暮れた顔でいった。長田婦長は何と答えていいかわからず、ただ茫然と立ち尽くすのみであった。普通の看護婦なら慰めやお茶濁しをいうところだが、長田婦長は真剣な顔をするだけだった。長田婦長はバカじゃない。でも、このままで…いいのか……? このままで?




  道理木里子が”生徒会長”に推挙されると、父親の啓二は喜んだ。
「やったじゃないか、木里子」啓二は愛娘をほめた。その顔は笑顔で、満足感のあるものであった。「生徒会長……それに学年トップの成績。お父さんは鼻が高くなるよ」
「偶然だよ。天狗にならないでね。どうせすぐ成績なんておっこっちゃうんだから」
 木里子は魅惑的な微笑でいった。
「そりゃあ困ったな」
「何が?」
「木里子にはねぇ」啓二は続けた。「木里子には大学くらいはいってほしいって思ってるんだよ。何も一流でなくてもいいんだ。まぁ、いずれ結婚するにしてもね」
「結婚?」木里子は笑った。
「あぁ。木里子だっていい彼とかいるんだろ?」
「やだぁ」木里子は真っ赤になって「いないわよ。もう…お父さんったら!」
「本当かねぇ」啓二は愛娘をからかった。「木里子はなんといっても美人なんだし、いい男なんてすぐ見つかるさ。男がほっとくわけないだろ? 木里子みたいな美人を」
「やだな。何いってるのよ、お父さん。だったらお父さんは?」
「え?」啓二はとぼけた。「なんのことだ?」
「とぼけちゃって!  再婚のことよ」
「う~ん」啓二はそう唸って、肩をすくめ、お茶を喉に流し込んだ。
「ね。どうなの? 好きな女性とかいるの?」
「バカいうんじゃない」興味津々な顔で近付いてきた木里子に、啓二はおどおどと動揺しながらいった。「そんな女性いるもんか」ささやくようにいった。
 しかし、彼の脳裏には長田婦長の顔などが走った。しかし、同時に、死んだ妻の顔も浮かぶのだった。木里子の母、啓二の妻、スウェーデン人の。
「ところで、新しい学校はどうなんだい?」
 啓二は話題をかえた。木里子は笑って、「いい学校生活よ。何も問題はないわよ」
「そうか。そりゃあよかった」
 父は満足して頷いた。しかし、木里子の脳裏には新目真紀の顔や陰鬱な言葉が響くのだった。闇の中で陰鬱な真紀の笑い声が響き、それを恐れた。が、顔には苦悩は出さず、彼女は微笑みを浮かべるだけであった。

  木里子は熟睡できずに狭いベットで寝返りばかりを打ち、夢が波をなして次々に彼女に襲いかかっていた。あざやかであると同時に不吉な夢。何かを追いかける夢。何かに追いかけられる夢。あるいは追いかけて走っている夢。それが自分を幸福にするのか、不幸のどん底に追い込むのか、木里子にはわからなかった。
 朝六時半ごろようやく目を開けた。額は汗でびっしょりだった。



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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.124安倍内閣「リセット解散総選挙」自公自信満々野党戦々恐々

2014年11月18日 18時17分00秒 | 日記





無責任な「解散総選挙」政権リセット?

 安倍晋三首相及び内閣官邸は『(2014年度中の)解散総選挙』に舵をきったようである。
その心のうちにあるのは「傷のついた内閣政権のリセット」と「新たな支持層の開拓」「アベノミクスの再評価」という効果を狙って、だという。しかも、連立を組む公明党も「今なら選挙していいよ」ということらしい。悲鳴をあげているのは野党だ。
民主党も維新の党も次世代の党も寝耳に水で、選挙準備もままならない。維新の橋下氏は「公明党に裏切られた」と、大阪都構想に反対する候補を公明党に擁立されたからと、急いで大阪地区に維新の党の候補を擁立した。しかし、橋下氏にしても例の「慰安婦発言」ですっかり神通力が色褪せて「(本人も言っていたが)こちらも死ぬか生きるかですから」という状態である。
このままでは安倍氏の狙い通りに自民党公明党圧勝の長期独裁政権が確定してしまう。安倍政権は外国からは「ネオナチとかわらない極右政権」で「安倍晋三は頭も体も心も弱い」と見られている。まあ、幾分か偏見もあるのだろう。
安倍政権が、習近平の中国共産党がいうような、もしくは韓国の朴槿恵(パククネ)大統領のいうような酷い内閣ではないだろう。だが、小渕優子前経済産業大臣、松島みどり前法務大臣など”脛に傷”を抱えるのもまた確かである。
本当に解散総選挙で『傷ついた内閣政権のリセット』を安倍首相はするのだ。
それはつまるところ首相へ椅子への執念深さ、でもある。安倍晋三氏の執念深さは関係者なら誰でも知るところだ。
安倍首相は”自分の為に””味噌の付いた傷のついた内閣”を”「リセット」するだけのため”に何百億円もの費用がかかる解散総選挙をやる、のである。悪辣政治家、とはこういうひとをいう。あの執念深さが、政策立案や、政策実行、に生かされればもう少しこの国もまともになるのだが…。悪辣安倍晋三は『腐っても鯛』なのか『弱り目に祟り目』になるのか?いちいち話題性だけは満載の政権である。解散総選挙は日本国の為ではなく、あくまで自分たちの保身の為だから「勘弁してよ」が、本音だ。

緑川鷲羽(みどりかわ・わしゅう)・44・フリージャーナリスト

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映画俳優高倉健さん死去(享年83歳)悪性リンパ腫で。2014年11月10日東京都内病院で「不器用ですから」

2014年11月18日 16時26分32秒 | 日記






高倉健さん死去 83歳、10日に悪性リンパ腫で
2014年11月18日(火)

高倉健さん死去 83歳、10日に悪性リンパ腫で

 映画俳優の高倉健(たかくら・けん、本名・小田剛一)さんが、死去していたことが18日分かった。10日午前3時49分、悪性リンパ腫のため東京都内の病院で死去した。83歳。福岡県出身。

裕次郎、たけしとの2ショットも 写真で振り返る健さん

 31年に福岡県に生まれ、大学進学のために上京。55年、東映ニューフェイス2期生として入社した。演技経験などは全くなかったが、翌56年に映画「電光空手打ち」で主演デビューした。

 映画スターとしての地位を確立したのは、60年代に入って出演するようになった仁侠映画だった。「網走番外地」「日本侠客伝」「昭和残侠伝」などがシリーズ化され、大ヒット。映画ファンは「健さん」と親しみを込めて呼ぶようになった。

 テレビドラマなどにはほとんど出演せず、自らを「映画俳優」と呼ぶほど。生涯の映画出演作は205本に及ぶ。最後の作品は、12年秋に公開された「あなたへ」(降旗康男監督)。田中裕子(59)が演じた亡き妻の面影をたどり、富山から九州まで自らハンドルを握り、旅をする刑務官を演じ、同年の報知映画賞主演男優賞を受賞した。

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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.132『ギャンブル依存症者536万人』胴元が必ず儲け搾取する博打システム

2014年11月17日 19時15分56秒 | 日記






ギャンブル依存症の依存者が536万人(あくまで氷山の一角)

であるという。


大事なのはギャンブルで儲かる事は絶対ないということ。


一時的に儲けても

最終的に胴元が必ず儲かるように出来ているのだ。



それはパチンコ競馬競輪競艇ロト宝籤…何でも同じだ。


くだらん博打等馬鹿馬鹿しい。


胴元の金儲けだ!

騙されずギャンブルなどやめろ!損するだけ、胴元の金儲けに協力しているだけ。


緑川鷲羽2014

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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.131『振り込め詐欺』撲滅運動!やくざ・ヤンキーの詐欺犯罪集団死ね!

2014年11月17日 18時36分02秒 | 日記






『振り込め詐欺』が後を絶たない。

「会社の金を使い込んだ」

「ATMで還付金還す」

「郵便局のレターパックで現金”現金・カネと書かないで”郵送して」

「役所のモノだが詐欺師逮捕に協力して」

「警察機関だが詐欺師集団逮捕に協力して」

等はすべて詐欺!騙されないで。



ATMで携帯老人には声掛けを!

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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.130韓国女性大統領「朴槿恵」氏、「槿」の漢字変換は「むくげ、きん」

2014年11月16日 16時01分26秒 | 日記







韓国の女性初の大統領は朴槿恵(パク・クネ)氏


ですが、「朴(パク)」はすぐ漢字変換できます。


ですが、お名前の槿恵の


特に「槿」をどういう漢字変換すれば出てくるのか?


とよく一般の人に聞かれます。


最近のワープロなら


「ぱくくね」で「朴槿恵」と出るかも知れません。


「槿」は「むくげ、きん」です

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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.129劇場版『SPEC結~漸の篇~爻の篇』終わり方がヱヴァンゲリヲン

2014年11月16日 13時29分04秒 | 日記






DVD映画『劇場版SPEC 結~漸の篇』『~爻の篇』を観た。


不思議な世界観であった。

まるでヱヴァンゲリヲンの庵野秀明氏の世界観のような。


特に最終作となる爻の篇の

ラストの『アルマゲドン』とラストの結末は、


「ヱヴァンゲリヲンの劇場版最終作もこういう感じでおわるのでは?」

と思った。


傑作!

緑川鷲羽2014

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ニュースの裏に隠された真相とタブーを暴く!須田慎一郎の「千里眼」<地方創生のペテン>

2014年11月15日 14時08分34秒 | 日記







<ニュースの裏に隠された真相とタブーを暴く! ジャーナリスト須田慎一郎の「千里眼」><某県知事が「地方創生は期待できない」と断言したワケ>
「各省庁の次年度予算に関する概算要求の中身を精査してみると、安倍政権が掲げる『地方創生』というコンセプトが、いかに中身が無いものかが良くわかる。ハッキリ言って、今のままではまったく期待出来ないでしょう」
東日本エリアの某県知事が、こうはっきり断言する。
意外に知られていないが、そもそも「地方創生」というコンセプトが登場したのは、つい最近のことなのだ。正確には、去る6月末に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる『骨太の方針』)」に盛り込まれた「ローカルアベノミクス」が、その嚆矢(こうし)となる。それがのちに「地方創生」という言葉になった。つまり、次年度予算編成作業を進めていく上で一つの目玉政策になったということがわかる。何故か?
消費税増税で5%から8%に増税したことで、2014年度4~6月期だけの消費の落ち込みだけで5兆円弱にも達してしまったという。甘利経済再生相は「(落ち込みは)想定の範囲内」などと言っていたが、とんでもない。政府は景気の腰折れを防ぐなどとして5.5兆円の大型補正予算を編成し、4~9月期に集中して消化したが、効果なし。しかも、5.5兆円のうち3兆円が公共事業投資なのです。この3兆円がほとんど未消化の状態にあるのです。
そのような流れで来年(2015年度)春の統一地方選になったら与党自民党公明党が大きく苦戦を強いられることになるのは必至だ。
こうした状況の中で出てきたのが、「地方創生」というコンセプトなのだ。つまり公共事業に代って地方にカネをバラまくための大義名分作りに他ならない。石破茂担当相も、とんだ道化を引き受けさせられたものだ。


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緑川鷲羽「一日千秋日記」VOL.126一日数件ある”詐欺メール”詐欺師への対策はひたすら無視!連絡×

2014年11月14日 15時51分57秒 | 日記






皆さんのスマホや携帯やPCのメールアドレスにも

”詐欺メール”

が一日に何回もくるだろう。


手を変え品を変え

騙して儲けてやろう、というオレオレ詐欺集団と同じような悪辣な集団が


コンピュータで闇名簿業者から仕入れたアドレスに


自動で何千万通に送信している。


対策はとにかく無視。


電話や連絡は×だ

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