私が座繰りで挽いた生糸です!
23日の天皇誕生日、
高崎の「日本絹の里」で、先月座繰り器を購入した初心者向けに
座繰りの講習をしてくれました。
早起きして、新幹線に乗って行って来ました。
染色体験室でおこなわれ、参加者は5人です。
講師は伝道師でもあるプロのNさん。
久しぶりに会えてうれしかったです。
また、参加者は、同じく伝道師のKさんも。
そして、須坂のシルクサミットで知り合ったKさんもいらっしゃいました。
知り合いが何人もいて、とても楽しかったです。
さて、使うのは前橋式の上州座繰り器。
みごぼうき(繭の表面をなぞって糸口をだす)、すくいざる、たわし、はさみ、
繭をいれる鍋やバケツなどが用意されていました。
繭は「ぐんま200」を使います。
それをひとり50粒。
乾燥してある繭をお湯で煮るところからはじまります。
といっても、これは職員の方がやっておいてくれました。
まず、先生の手本を見ます。
さっ、さっ、さっと繭から糸口をだしてとっても細~い糸を何本もくるくるっとまとめて、
鼓車や小枠に巻きつけていきます。
そして、左手でハンドルをまわしながら右手で「みごぼうき」を使ってお湯をかきまわし、
中の繭をなでて、糸口をだし、挽いている糸に付けていく。
さあ、自分でやってみましょう。
見たことはあっても、やるのは全くはじめてです。
繭の糸は一本が本当に細いんですよね。
極々細です。
それを20本ぐらい合わせて一本の生糸にするのです。
しっかりメガネ(老眼鏡!)をかけて見ても、そんなに完璧には見えない。(悲)
左手でハンドルを回しながら、顔は右手の方をむいたまま。
繭をなでる「みごぼうき」の動きをずっと見つめています。
先生が来て、「糸が細すぎるからハンドルを少しゆっくりまわして」、
「なるべく糸をたくさんつけて」と。
そしてお湯をグチャグチャにまぜていた私に、
「そうすると撚りがちゃんとかからないから、一定の方向にまわすように」と言われた。
そうか、それで糸に撚りがかかるんだ。
そうやって1時間くらい糸をひいていたでしょうか。
ちょっと休憩しましょう、と先生が声をかけてくれました。
同じ姿勢でずっとやっていると体が固まってしまいます。
繭は糸がどんどん取られてくると、透明になってきて中から蛹がでてきます。
それを時々なべから取り出します。
鍋のお湯がさめてしまうので、時々熱い湯を足したり、繭が少なくなると入れてくれたり、
いろいろ先生や職員のかたが手伝ってくれます。
ひとりで全部やるんじゃ大変ですね、ととなりで糸を挽いていた伝道師のKさんと話す。
途中で繭を煮る、「煮繭(しゃけん)」のやり方を教えてくれました。
結局、午前中1時間半ぐらい糸を挽きました。
左手のハンドルや小枠のほうは全然見ることがなかったのに、
小枠には糸がきっちりと均一に巻かれていて、とてもきれいです。
上州座繰り器って優秀だとおもいました。
お昼を食べて、午後は挽いた糸の「揚げ返し」をします。
大きな枠にもう一度まき直すことです。
これも座繰り器と似たような歯車や装置が使われています。
まず器械に目を奪われました。
座繰り器にもある絡交もついています。
よく出来ています。
3つの糸をかけて、交代でハンドルをまわして糸を巻いていきます。
早すぎても糸が切れてしまうので、ちょうどいい速さでしなければいけません。
交代するときもハンドルを止めないで、まわしながらです。
巻き方が均一になるように、こういう注意が必要なんですね。
私の糸の揚げ返しがおわりました。
先生が糸の最後を枠のところに挟み込んでくれます。
器械にはハンドルの回転数を示すカウンターがついています。
これで糸の長さがわかります。
ちなみに私のは3974回でした。
1回転が1.27mなので
1.27×3974=5046.98mとなりました。
生糸が完全に乾けば、重さを量り計算式にあてはめて、太さ(デニール)がもとめられます。
今日の私のは、重さが50gだったら89デニールになります。
揚げ返しが終わった糸は、糸の最初と最後を一緒にして綿糸でとめ、
その他数ヶ所を綿糸でバラバラにならないように留めます。
それを「あみそ掛け」とか「力糸掛け」といいます。
最後に大枠からはずして、輪の中に手をいれて形を整えて、綛(かせ)にして出来上がりです。
挽いたばかりの生糸はまわりにセリシンという糊状のたんぱく質がついているので、
麻のような硬いまっすぐな糸です。
このあと家で3日間陰干しをして、完全に乾かします。
生糸はほんとうに、白くてきれいです。
魅きつけられる美しさがありますね。
我ながら、一日でこんなにたくさんの糸が挽けるとはおもっていませんでした。
とってもうれしい。
これでスカーフ一枚ぐらいはできるそうです。
このあと精錬したり、染めたり、織ったりする講習もあればいいな、と思いました。
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