ピアノの先生の生活

ピアノ講師、ブライダル奏者としての日常と
その都度のはまりものへの情熱を綴るくだらな雑記

心の汚れた大人

2008-03-31 00:55:52 | 日常
今日は仕事した後にピアノの先生の演奏会に行って来た。
実はダンスの発表会もあったのだがこちらの方が先約なので不義理を許して欲しい。
さて演奏会だがテノールの方と二人のコンサートで、一部はそれぞれの演奏、
二部は「子象のババール」という絵本(の朗読)にプーランクがピアノで曲をつけたものを
先生のピアノとテノール歌手の方の語りで演奏するというものでなかなか興味深い構成であった。
んが!
心のきれいな子供達なら純粋に楽しめるであろうこの企画、妄想充分突っ込み体質の大人には
絵本ならではの急激な展開とフランス近代音楽特有の不協和音も相まって、
聞いていてうろたえる話になってしまった。

まず“子象のババールはお母さんと楽しいお散歩に出かけました”。
それなのに音楽は低音部で不気味に弾かれる短調。どう考えても楽しいお散歩じゃない。
「行き先は象の墓場か?」とマジに思う。これだからフランス人の感覚って…。
しかしそれが暗示だったのか、“突然現れたハンターにお母さんは撃たれてしまいました”。
おお、なんと悲しい展開。しかし逃げまくったババールは町に着き、まず“みんな素敵な服を
着ている!僕も欲しい”と思うのだ。おい、母を失った悲しみとかじゃないのか?
そして“象の心なら何でもわかる大金持ちのおばあさんと知り合いました”
“おばあさんは象が喜ぶことをするのが嬉しいので早速ババールにお財布をくれました”。
!もちろんそのお金でババールは服を買うのだが、なんだよそれ。象なのにツバメか?
その内イトコが尋ねて来て里心がついたババールは森に帰る決心をする。
そしておばあさんに“森に帰りますが必ずもう一度戻って来ます”と告げ、
おばあさんは寂しさにガックリしながら“また会えるのかしら…?”と不安を口にする。
これって口調を変えればしゃぶり尽くしたヒモの手口だ。
そしてババールは車で森に帰るのだ。車も買ってやったんだな、おばあさん…。
おりしも森では象の王様が毒キノコで死んでしまい、次の王を長老たちが集まって
選定しているところ。
そこに車で乗りつけたババールを見て、“ババールは人間社会でいろんなことを
学んだであろうから次の王はババールで”と決めてしまうのだ。
ちょっと!人間社会はともかく、森にそんなにいなかった象を王様にするなんてなんて人の良い~。
それなのにババールは“僕は今イトコと婚約をしたのでいとこが王女になりますが
それでもいいですか?”と脅迫めいたことすら口にするのだ。
第一婚約って、アンタ「子象」じゃなかったのか?
そして“森中の獣をたくさん呼んで結婚・戴冠パーティーをする”と宣言するのだ。
しかしそのたくさんの中にはお世話になったおばあさんは入っていない。なんて恩知らずな!
そして戴冠式の曲がまた華やかさもそれらしさもない曲なんだわ。プーランクよ…。
そんな感じで“おしまい。”
話はともかく、曲さぁ。
日本人なら陽性な事なら長調、陰性の事なら短調みたいな心の中のお約束がある。
リズムとかも全くこんな日本人の感覚にマッチしないってフランス人とは遠い存在だなと思った。
アンコールの「朧月夜」を聴いて、「ああやっぱり日本の曲は良いなあ」と
しみじみ感じた自分は生粋の昭和日本人だ。

もちろん演奏も語りも素晴らしいものだったことは言うまでもない。
帰り道に山野楽器に寄ったのでこの楽譜を見たら、読み方すらわからないほど難解であった。
それなのにこんな感想…。絶対に先生には秘密だ。
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