海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「危機に瀕するエジプト」と題する"Economist"紙の記事。

2012年06月22日 | イスラム問題
(前略)
イスラム同胞団の支持するムハンマド・モルシと軍が支持しているアーメド・シャフィクのいずれが政権を握るか情勢は混沌としている。
最悪の場合、軍はシャフィックが大統領選挙で勝ったと宣言することはできるだろう。軍最高評議会(SCAF)は、エジプトを完全に一人前の民主主義になることを許すほど熱心だったことは一度もない。しかし、SCAFは現在その兵営に退くという以前の約束に立ち戻ったように見える。1週間前、将軍たちは、憲法法廷に座っている従順なムバラク時代の裁判官たちに新しい議会を解散するように語った。(中略)
西欧の政治家たちが「アラブの春」を無視する口実として用いている二つの作り話がある。
一つは、将軍たちとイスラム主義者との間に選択の余地は殆どないというものである。これはまさにムバラク主義の再版である。本紙は、イスラム主義者たちが世俗的改革派を負かすことを望んではいなかったが、事実は、彼らは改革派を負かしたのだ。トルコでの経験が示すように、イスラム主義者を馴らす最善の道は、彼らに対して道徳的な根拠を認めず、日々の統治の責任や妥協を迫ることである。
第二の論拠は、エジプトが複雑すぎて、西欧は影響を与えることができないということだ。状況は確かに、複雑である。しかし、外からのメッセージは、明確で、強力だ。軍はその民主化の約束にこだわっているという主張は、少し違う。アメリカの援助に頼っている将軍たちは、束縛されない権力を手にれることには神経質である。新しい国会に備えるために、憲法についてモルシと交渉するように彼らに圧力を掛けることによって、米国とヨーロッパは、民主主義に有利になるための決定的な役割を果たすことができるだろう。
エジプトの混乱の中で一つだけはっきりしているのは、エジプト人とアラブ人たちが、自分たちの関心事を追いかけているということだ。王様や将軍たちは進歩を遅くすることはできるかもしれない。しかし、それを止めることはできない。
[訳者の感想]「アラブの春」が一体どうなるのか分かりませんがエジプトに関してはイスラム同胞団と軍との間の話し合いで民主化が進むと良いと思いますが。同胞団も他のイスラム過激派に比べると、それほど教条主義的ではないように見えます。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「パキスタンのどこが間違っ... | トップ | 「イスラム主義者の指導者、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

イスラム問題」カテゴリの最新記事