海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「中年は今、現金がほしい」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2008年04月12日 | 社会問題
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 経済・社会の研究者であるマインハルト・ミーゲルは、将来、世代間に取り分の戦いが起こると予想している。連邦政府が決定した行過ぎた年金増額は、老齢化している社会の展開にとっての先駆けである。「これらは最初のツバメです」と「経済と社会研究所」(IWG)所長のミーゲルは『ヴェルト・オンライン』との会見で述べた。「われわれは老人共和国に至る途中なのです。」
 ドイツではますます少子化が進むと同時に、老齢化が増大している。将来、老人が選挙権者の多数を占めるだろう。「共和国が既にいま次の選挙をにらんで改革しなければ、このことは、私を悲観的な気分にしますね」とミーゲルは言った。というわけは、彼は年金生活者が自発的に比較的若い世代の負担可能性に配慮し、自分たちの要求を引き下げるとは予想していないからである。「中年の人口集団には時間の余裕はなく、現在、現金をほしがっている」と社会研究者は言う。
 子供を持たない人たちの割合が増えていることも、社会に巨大な影響を与えている。1965年生まれの女性の3分の1には、子供がいない。子供を産むという行動が変化しないと仮定すると、この年齢のグループには、将来も孫はいないだろう。「若年世代が老年世代の年金を支えるというこの世代間構造は、その場合にはもはや存在しません」とミーゲルは言う。「そえゆえ、社会のシステムにおいて、祖母とその孫の間の配分は、問題になりません。」
 ミーゲルの予言によると、現在成長している世代には、どんどん増大する税負担と支払い負担をする覚悟はできてないだろう。「若い世代は、負担を免れる手段や方法を見つけるでしょう。」この過程は、既に始まっている。普通の市民は、今日既に、過大な要求をされていると感じている。17年前から、すでに、市民は、彼らの実質所得が改善されていないと感じている。実質所得は、それ以来平均して約1,500ユーロ(24万円)にとどまっている。
 それゆえ、政治によって想定された年金保険や健康保険や介護保険の増額を国民が文句も言わずに引き受けると信じることは無理である。年金保険だけでも、2030年までに、現在の所得の19.9%から23%に増えると予想されている。その際、長期的予測は、経済的発展が持続的に増大することを前提している。だが、それは、グローバル化と厳しい競争から見て、決して確実ではないのだとミーゲルは言う。「だから、ドイツの社会システムは、非常にあやふやな磯の上に成り立っているのです。」(以下省略)
[訳者の感想]日本でも、年金が果たして貰えるのか、健康保険や介護保険の負担がますます増えるのではないかという漠然たる不安がありますが、ドイツでは元大統領や社会学者までがはっきりものを言っているなという気がします。今の日本政府にとてもこんな予測をする勇気はないでしょう。
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