海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「自動車王国の危機」と題する『ツァイト・オンライン』の記事。

2008年12月27日 | 社会問題
自動車産業は、ドイツの輸出の原動力だ。現在、工場は操業停止状態。どこでも時間短縮。将来を考える時間。自動車で食べているか、自動車を利用している人々の出会い。労働者、経営委員会、市長、ディーラー、車を運転する人、危機後の時代のために製品に手を加えている開発者。
ジンデルフィンゲン市のメルツェデスの工場。メルツェデス社の屋上の大きな星印が道しるべになった。そこでは、3万6千人の労働者が働いている。流れ作業で仕事をしている4人の人に聞いた。
「われわれはEクラスの組み立てをやっている」とルイジ・ロッコは言う。彼はドイツにやってきた最初期の外国人労働者だ。Eクラスは、メルツェデスそのものである。ロッコの仕事は、車の最後の仕上げである。「私は37年間、ダイムラー社で働いて来た。こんなことは初めてだよ」とグレイの職工服を着た60才の労働者は言う。次の日、つまり、12月12日に、製造工程で働く2万8千人の従業員にとって、4週間の強制休暇が始まる。工場の管理部は、在庫を作る気はない。それは労働者にもわかっている。しかし、彼らはなんとなく、落ち着かない。なぜならば、「その後で、彼らの多くは、復活祭までは、操業短縮に入るからよ」とレークリンデ・シュルツ看護師は言う。55才の看護師は、16年前にダイムラー社で仕事をはじめた。彼女は自分のことはあまり心配していない。だが、息子が心配だ。彼も工場で働いている。家を買ったばかりだ。自己資産はあまりない。
「俺の親父は、おまえはダイムラーに入れたんだと言ったよ」とトーマス・ハルトマンは言う。当時、彼は18才だった。現在、彼は40才だ。「グローバル化は、専門労働者にとっては、大したことはなかった。」「俺たちがクライスラー社と一緒じゃなくて、良かったよ」とラマザン・ゼンチルチは割り込む。「さもなければ、オペルよりも悪かっただろうよ。」塗装工であるこの32才のの父親は、夜学で経営学を勉強している。今分かったことは、単に学習した職業でうまくやることに頼るわけには行かないということだ。
 最初に出会ったロッコは、下請け業者のところで、もう少しで仕事を失うところだった。以前は、彼はいつもクリスマス前後に2週間半の休暇を楽しんだ。今度はそうはいかない。「この先どうなるか、誰にも分からないわ」とレークリンデ・シュルツは言う。彼女は、仕事については不安はない。企業と労働組合の間の契約によれば、2011年までは解雇されない。「私たちが全金属産業労働組合(IG Metall)をもっているのは良いことよ。」
 春には新しいEクラスができる。通常、このようなモデル・チェンジの際には、生産は急速に向上する。予告された短時間労働は、執行部の慎重な計算によるものだ。「金融危機に対しては、彼らは何もできないだろう。だが、彼らがもっと節約できるエンジンの開発をずっと以前からはじめていたらよかったのに」とロッコは言った。(以下省略)
[訳者の感想]ドイツには「全金属産業労働組合」(イーゲー・メタル)という強力な組織があるので、労働者は、不況のときでも簡単には首を切られないようです。
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