海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「G8で警察、大量逮捕に備える」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年05月12日 | 国際政治
 警察は、バルト海沿岸の温泉場ハイリゲンダムで開かれるG8で大量逮捕に備えている。そのために、現在、逮捕者を収容するための場所が体育館や兵営に作られる予定だ。このような大規模の施設のために、収容場所に対する法的義務があると、「G8治安対策本部」の報道官アクセル・ファルケンベルクは、断言した。重大な事件に対しては、警察は、ビュッツォウとヴァルデックの刑務所の中に収容所を作る予定である。両刑務所は、G8会議の近くにある。
 G8サミットを護るために、メクレンブルク・フォアポンメルン州と連邦内務相ショイブレは、デモ隊を予防拘束するつもりだ。「諸州の警察法は、阻止拘禁を考慮に入れている」とショイブレは、「ビルト新聞」に言った。犯行が計画的である場合には、逮捕者は、14日間拘留される。ショイブレは、危険な状況が高まっていることを指摘した。メクレンブルク州内務相ローレンツ・カフィアーは、サミットの安全のためには2006年のサッカー世界競技の先例に倣って、あらゆる可能性が考慮されると述べた。メクレンブルク州では、最大10日間の拘禁が合法的に許されている。
 首相官邸のトーマス・ドメジールは、必要な場合、自由な国境交通のための「シェンゲン協定」を一時停止にして、入国条件を厳しくするというショブレ内務相の企てを支持した。これまで、グローバル化反対者は、支持者を動員するのに特に成功した。しかし、このことがかなり多くのデモ参加者に暴力的になることを許した。カフィアー内務相は、彼の警察が、数万人のサミット反対者と暴力的なデモ参加者とを覚悟していると述べた。これに対して、警察は、他の州から1万6千人の警官を借りる予定である。威嚇の効果を狙って、犯罪行為は、加速された手続きで直ちに追跡される。
 更に国防省の報道官は、1万1千人の兵士を投入すると予告した。国防軍は、バルト海の海岸を二隻の掃海艇で護り、宿泊所を提供し、医療看護を行う。カフィアーは、ショイブレが要求したような内部への投入は問題になっていないと断言した。ショイブレとドメジールとは、最近の左翼支持者の手入れを擁護した。「私は連邦検察庁が命令した捜査措置の適切さと重大さとにいささかの疑問も持っていない」とショイブレは述べた。
ドメジールも、手入れは合法的だったと強調した。「何らかの形の威嚇が問題ではなかった。」サミット反対者の動員は、彼の観点からは、がっかりさせる成り行きだった。「この情報を聞いても悲しくはない」と彼は言った。けれども、かなりの人が動員が足りないことに対する欲求不満からより暴力的になる危険が存在する。グローバル化に批判的な  「アタック同盟」の目から見ると、G8期間中の抗議のための動員は、大捜索以後、反って改善された。「この警察活動の一つの効果は、動員がそれによってやりやすくなったことだ」と「アタック」の設立者の一人であるペーター・ヴァールは述べた。総額9,200万ユーロ(147.2億円)かかるサミット開催の費用のうち、2,800万ユーロ(44.8億円)は連邦政府が負担する。2,250万ユーロ(36億円)は、メクレンブルク・フォアポンメルン州が負担する。国防軍の投入だけで5.5百万ユーロ(8億8千万円)が計上されている。
 その間、ノルトライン・ウエストファーレン州の警察は、二つの事件で捜査している。金曜日、早朝のリュベッケでのアメリカのファスト・フード店での火災は、G8反対派の仕業かと思われたが、損害は僅かであった。境界線上の駐車場の路面に容疑者はG8に反対するスローガンが書かれた。警察によると、犯人は、ハンバーガー・チェーン店の鉄格子つき窓に二つの爆発物を置いたが、そのうち一つしか発火しなかった。もう一つの事件は、エッセン市からである。ケトヴィッヒ地区で未知の犯人が金曜日の夜に警察署の入り口扉に「お休み、G8」と「ケーピは残る」とスプレーで書いた。
[訳者の感想]最後に出てくる「ケーピ」というのは、Wikipediaで調べたら、ベルリンのケペニック通り137番地にある建物のことだと分かりました。六階建ての建物で総面積1,904平米あるそうです。1990年に不法に占拠され、1991年には占拠合法化された建物です。現在は60名乃至90名ぐらいが住んでいるそうです。元々ユダヤ人が所有者でナチ時代に亡命したか、殺されたかして、東ドイツ時代は、人民所有になっていたそうです。
G8の開催というのは、警備に馬鹿馬鹿しい費用がかかるようです。


コメント
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