海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「憲法裁判所は、トルコ大統領選挙に対する反対を認める。」と題する『新チューリヒ新聞』の記事。

2007年05月02日 | イスラム問題
トルコ首相の選択は、新たに開かれねばならない。憲法裁判所は、火曜日議会における第一次投票に対する反対派の異議申し立てを承認し、先週金曜日の投票を無効だと宣言した。
レセップ・タイイップ・エルドガン首相は、裁判所の判決後、六月に前倒しされた国会議員選挙が行われるかもしれないと言明した。更にエルドガンは、憲法改正を呼びかけたが、それによると、大統領は将来は、国民によって選挙され、議会によっては選挙されないはずである。
1.政府と軍部の間の権力闘争
反対党の共和制人民党は、その告訴状で、金曜日の投票の際、十分な代議士が出席していなかったと主張した。第一次投票では、決定はまだ下されていなかった。なぜならば、政府の大統領候補者であるアブドラ・ギュルは、選挙に必要な賛成票を得られなかったからである。投票は、トルコの政治のイスラム化を恐れる沢山の反対党議員のボイコットに見舞われたからである。大統領の選挙は、政府と自分を国家の世俗的方向付けの保証人だと考える軍部との間の権力闘争に発展した。エルドガン首相の与党AKPは、イスラム主義運動から生じた。議会の多数関係のせいで、AKPは、誰がセゼール大統領の後任になるかを有利にすることができる。
エルドガン自身は、何十万人ものトルコ人達が、彼の立候補に反対して街頭デモを行った後で、立候補を断念した。ギュル外相を未来の国家元首にすることに対しても、懸念がある。トルコ軍指導部は、先週金曜日に、選挙についての憂慮を述べ、世俗的な国家体制からの逸脱に対して警告した。セミック・シセック法務大臣は、参謀本部の声明を受け入れられないと退けた。
2.欧州会議の憂慮
 ヨーロッパ会議は、「軍隊は兵営に留まるべきである」と大統領選挙への軍部の介入に懸念を表明した。ヨーロッパ会議の事務局長であるテリー・デイヴィスは、「民主制では、軍は民主的に選ばれた政府に服従するものだ」と強調した。
約70万人の人間が、日曜日、新たに宗教と国家との分離を維持することを求めてデモを行い、この国がイスラム主義に逸脱することについての心配を表現した。影響力のある企業家の団体TUSIADは、政府に直ちに前倒しの国会議員選挙を行うように要求した。それというのも、大統領選挙を巡る紛争は、トルコ経済を危機に導こうと脅かしているからである。株式市場の指導的な指標は、月曜日に、6.3%下落したのに、火曜日には更に、2.5%下落した。「トルコは、金曜日に比べるとより貧しい国になった」と経済相のアリ・ババカンはトルコ・テレビに述べた。「今後、われわれの民主主義が健全に機能することが、経済的発展にとって決定的なファクターである。」
[訳者の感想]軍が叛乱を起こすぞと脅したのが効き目があったのか、エルドガン首相はとうとう、国会議員選挙の前倒しに賛成したようです。 
コメント
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