海外のニュースより

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「裁判官、コーランに書かれた懲罰権を引用」

2007年03月22日 | イスラム問題
『コーラン』の第四章は、「女」という表題を持っている。その第34節では、「男は女の上に立っている。お前達が女が逆らうことを恐れる場合、彼女に訓戒を与え、寝床では彼女を避け、殴るがいい。」この節を引き合いに出して、フランクフルトの区裁判所内の家庭裁判所裁判官は、一月にモロッコ出身のドイツ女性の早期の離婚の要求を却下した。『コーラン』が懲罰権を予想しているから、女性が夫によって脅かされているということは、予測できない厳しさではなく、したがって、早期の離婚は、必要ではないと言うのが理由だった。今週水曜日に、区裁判所は、裁判官が偏見を持っているという申し立てを行い、この女性裁判官を裁判過程から引っ込めた。「裁判官が『コーラン』を法の根拠としたのは、ドイツの法制史上初めてのことである」と、この女性の弁護人であるバルバラ・ベッカー=ロイチックは述べた。
 彼女は「裁判官の判決文にショックを受けた」と『ヴェルト・オンライン』に述べた。
問題になったのは、ドイツで生まれたモロッコ系のフランクフルト市民である。この若い女性は6年前に夫と結婚した。二人には子供が二人でき、現在幼稚園に通っている。28才の夫は妻を虐待した。2006年6月には、彼はフランクフルト区裁判所から、彼の妻の50メートル以内に近づくことを禁じられた。けれども、夫は妻を脅し続けた。「少なくとも一度は、彼女を殺すと脅した」と弁護士のベッカー=ロイチックは述べた。裁判官の理由付けは、「夫婦は、モロッコ文化圏の出身であり、そこでは、虐待は普通である。なぜなら、懲罰権が存在するからである」ということだった。
 女性組織の「女性の大地」とそのグループは、愕然とした。「ドイツのような民主的な国では、虐待を正当化するのに宗教上の掟が引き合いに出されることはありえない」と事務局長のクリスタ・シュトルは述べた。「『コーラン』を引用したのは、とんでもないことだ。ドイツに暮らしている夫婦は、ドイツの法に従って裁かれねばならない。個人の権利が、宗教上の掟によって制限されてはならない。」
 「ドイツの家庭裁判所の判事は、民法に基づかねばならず、イスラム法に基づいてはならない」と与党CDUの内務問題専門家のクリスチナ・ケーラーは述べた。ドイツでは懲罰権は存在しない。モスレムの男性にとっても。「この手続きは、モスレム女性にとって、とんでもない信号だ」とケーラーは述べた。
 ヘッセン州の「緑の党」の法制委員であるアンドレアス・ユルゲンスは、「コーランや聖書やその他の宗教上の教えが規定していることは、裁判所の判決にとって基準とはなり得ない」法務省は、裁判関係者がある移住の背景を持っている場合でも、ドイツの法を適用するということに疑問の余地はない。「他のすべては文化の統合にとって有害である」とユルゲンスは述べた。
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