海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

ファルージャ包囲戦の結末

2005年01月11日 | イラク問題
イギリスの新聞『ガーディアン』のインターネット版に昨年11月にスンニー派の抵抗派に対してアメリカ軍とイラク軍とが激しい戦闘を展開して平定したと言われるファルージャの近況についてバグダッド在住のイラク人医師のレポートが載っている。それによると、いまだに市内のいたるところに死体が放置され、建物は徹底的に破壊されていて、普通の神経では住める状態ではないようである。ファルージャをテロリストの支配から解放するというのがアメリカ軍の戦闘の理由であったが、墓地に埋められている外国人の数はきわめて少なく、戦死者の大部分はスンニー派のファルージャ市民であると言う。アメリカ軍と共同してファルージャを攻撃した「イラク治安部隊」と呼ばれるイラク軍は、大部分イラク南部から集められたシーア派の兵士からなっていて、彼らに対するファルージャ市民の反感は非常に大きく、このイラク人医師は、この戦闘はシーア派とスンニー派の対立を煽るだけの効果しかなかった、と述べている。このレポートを読むと、一月末に行われる選挙をスンニー派がボイコットした場合、シーア派とスンニー派との間に内戦が起こる可能性は非常に高いように思われる。イラクがアメリカ政府が期待するように平和で民主的な国になる可能性は殆どない。
コメント (2)
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