海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「エジプトの新内閣は、テクノクラットが支配的」と題する『ワシントン・ポスト』の記事。

2012年08月02日 | イスラム問題
カイロ発:エジプトの国営メディアは、水曜日、この国の新しい内閣の概略をも暴露した。それを見ると、モルシ大統領が多くの選挙民が希望していたダイナミックで政治的に多様な統治チームを作るのが嫌なのか、できないということを示唆している。
水曜日に公表された18名の候補者の名簿は、低姿勢を取るテクノクラットと追放されたムバラク元大統領の下で勤務していた官僚を含んでいる。政府は木曜日に30名の閣僚の名簿を完成すると声明した。
モルシ大統領は、労働者の抗議と経済問題がここ数週間の間に緊急事態になったのに、組閣するのにこれほど長い時間をかけたという理由で、批判の的となった。
これまでに公表された氏名の中で、「モスレム同胞団」の「自由と正義の党」と緊密な結びつきを持つ人物は二人しかいない。「同胞団」が新内閣の閣僚に比較的僅かな痕跡しか持たないということは、内閣が積み上げた反発が、政治のイスラム化を恐れるエジプト社会の部分から生じるだろうと言うことに大統領が恐れたことを示唆している。ノーベル平和賞の受賞者エルバラダイや、去年革命後に登場した大政党の高位のメンバーのような優れた人物がこの名簿には載っていない。首相を打診されたのは、前の水資源省大臣のヘシャム・カンディルであった。エジプト人選挙民は、この国の新しい指導者が象徴的な重要性を持つことを期待していたのだが。(後略)
[訳者の感想]「同胞団」に近い閣僚がふたりしかいないというのは意外でした。
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「薄熙来スキャンダルは、中国の政治システムについて何を語っているか?」と題する論説。

2012年07月26日 | 中国の政治・経済・社会
 薄熙来事件は公式の解釈では、「薄熙来は法を破った、それ以上でもそれ以下でもない」というものだ。
しかし、公式説を除くと、すべての他解釈は、第18回党大会の助走となる権力闘争だという点では一致している。
 中国観察者たちは、中国の指導者の移行が、形式化され、制度化されているかどうかという点では意見が分かれていた。われわれが制度化をある過程をコントロールする公式的、または非公式的規則を打ち立てることだと理解するなら、新しい指導者を選抜する過程は、制度化されておらず、指導層自身がそれを変更するということが分かる。江沢民から胡錦濤への移動や現在の胡錦濤から習近平への移動は、派閥闘争で汚されている。江沢民は、胡錦濤に対して支配権を譲り、胡錦濤は10年も経って、習近平にそれを譲ろうとしている。この過程はもっと無秩序になる可能性があった。こう見ると、薄熙来の除去によって、集団指導はその存在への脅威を取り除いたと言えるかもしれない。
 しかし、薄熙来事件は、私の意見では、中国の政治システムにおける基本的な問題に光を当てるように思われる。それは現在の指導層の機構の中で取り組むにはあまりに困難な改革を必要としている。
 中国では去りつつある指導者たちが、登場する指導者を決定する。この方向は、常に妥協の結果である。私の意見では、薄熙来の性格や政策は、中国が現在直面している根本的問題に対してだけでなく、中国をどのように統治するかという問題に対して、決定的なアプローチを見たいと思っている人たちに訴えるものであった。だから、薄熙来の台頭は、中国の問題に対する現在の指導層の漸次的アプローチに挑戦するものであった。それだけでなく、それは集団指導という制度に対する挑戦であった。それゆえ、このエピソードは、単に指導をめぐる闘争以上のものを意味している。(中略)
胡錦濤は、9人の中央委員会によってなされた決定に従属していた。これは習近平になっても変わらないだろう。
 薄熙来のカリスマと彼が重慶で行った政策は、政治に対して次第にシニカルになった中国の公衆にアッピールした。彼のやり方は、9人の政治局常務委員のドライなテクノクラート的統治からの変更を約束していた。(中略)
 薄熙来事件は、あまりに個人的なイニシャティブは危険であり得るということを示した。改革がなければ、権力は常に抑圧によって維持される。もう一つの選択肢である体制内の改革と抑圧は、現指導部においては、推進力である。新しい指導部がどちらの道を取るかは全く不確実である。(終わり)
[訳者の感想]これは、コペンハーゲンにある「北欧アジア問題研究所」のサイトに書かれていた論説です。著者はクリスチャン・ゲーベルというドイツ人のようです。原文は英文です。薄熙来が中国の公衆の一部にとって大きなカリスマだったというのが果たしてどこまで事実なのか私には分かりませんが、ちょっと面白い論説なので訳してみました。
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「イスラム主義の波、断ち切れた」と題する『ニューヨーク・タイムズ』の記事。

2012年07月10日 | イスラム問題
今回は翻訳ではなくてダイジェストにしました。
 日曜日に行われたリビアの国会議員選挙では、「モスレム同胞団」の候補ではなくて、マームード・ジブリルを支持する連合政党の候補者数が最大多数をしめた。ジブリルを支持する政党の得票数が「モスレム同胞団」が支持する候補者数を上回ったということは、リビヤの政局の次の段階でもっと重要な声となるだろう。
 2週間前に始まった選挙運動では、リビアの選挙民のイデオロギー的路線は曖昧なままであった。多くの選挙民は、部族的・家族的・コミュニティ的結合に彼らの投票を導かせるという筋書きを承認した。イスラム主義者たちは、ジブリル氏の連合を「リベラル」あるいは「世俗的」であると描こうとした。
 他のアラブ諸国のイスラム主義に反対する人たちとは違って、ジブリル氏は、一度も、イスラム法の適用を要求する人々を過激派だとは呼ばなかった。イスラム主義者を含む他の党派と同様、ジブリル氏は、イスラム法を立法の主たる源泉にするが、唯一の源泉にはしないと主張した。ここには、「モスレム同胞団」のような新興の集団が何をしようとしているかを確信できないリビア選挙民の考え方が反映されている。彼らは「同胞団は、われわれよりももっとモスレムなのか?」と考えているのだ。
 ジブリル氏は、ピッツバーグ大学で政治学を学び、そこで教鞭を取った。リビア・テレビのインタービューで、彼は、友人や近所の人たちは、「彼は金曜日の礼拝には出席するし、お祈りをしている」というだろうと述べた。ジブリル支持の政党が多数を占めるだろうと予測される。
「リビア・モスレム同胞団」によって創設された政党の指導者であるヒシャム・クレスクシは、「ジブリル連合の支配は不幸だ、選挙結果には、落胆している」と述べた。緩いイスラム主義者の政党も、議員投票では多数を取れなかった。
 ジブリル氏の出身部族であるワルハラ族は、600万人の人口を持つリビアで、六分の一を占めている。部族のホームランドは、バニ・ワリドの西方であるが、多数の人々は、トリポリやベンガジのような大都市に住んでいる。(以下省略)
[訳者の感想]ジブリルは、カダフィ大佐時代の財務大臣だったようです。リビアの選挙民の意志がどこにあったのか、「モスレム同胞団」が一番組織力はあるようですが、やはり、イスラム主義者に対する反発が強いのでしょうか。とにかく、ジブリルは一応「中道派」と考えて良いようです。
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「イスラム主義者の指導者、エジプト大統領に」と題する『フィナンシャル・タイムズ』誌の記事。

2012年06月25日 | イスラム問題
(前略)
「イスラエルは、エジプトにおける民主化の過程を評価し、その結果を尊重する」とイスラエルのネタニヤフ首相府は述べた。
声明に先立って、エジプトの株価は上昇し、過去4ヶ月間の最大値を記録した。
彼の組織の中のもっとカリスマ的な人物たちの代役を務める人であると考えられていたが、モルシ氏は、権威を放棄するのを嫌う軍によって見過ごされた人口8,500万人のひどく分裂し、経済的にもがいている国の手綱を引き継いだ。
支配的な軍事と裁判所は、イスラム主義者が多数を占める議会を解散することによって、モルシ氏の権力を制限しようとしたが、彼の選出は、エジプトの近い過去からの象徴的な断絶をシンボライズしている。
エジプトは、ガマル・アブデル・ナセルが1952年に王制を打倒して以来軍の指揮官の支配下にあったし、今月末まで、軍事力の支配下にあるだろう。
「これは古い体制とその腐敗の終わりになるだろう」と政府機関に勤めるイブラヒム・モハメッドは言う。
初めは、選挙結果を認めることを拒んでいたシャフィク氏は、昨夜、敗北を認め、モルシ氏にお祝いの言葉を述べた。シャフィク氏の怒れる支持者たちは、カイロ市のドッキ地区にある彼の総司令部の周りに集まり、取引材料として「イスラム同胞団」の勝利を認めたことに対して「軍事最高評議会」を非難した。(後略)
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「危機に瀕するエジプト」と題する"Economist"紙の記事。

2012年06月22日 | イスラム問題
(前略)
イスラム同胞団の支持するムハンマド・モルシと軍が支持しているアーメド・シャフィクのいずれが政権を握るか情勢は混沌としている。
最悪の場合、軍はシャフィックが大統領選挙で勝ったと宣言することはできるだろう。軍最高評議会(SCAF)は、エジプトを完全に一人前の民主主義になることを許すほど熱心だったことは一度もない。しかし、SCAFは現在その兵営に退くという以前の約束に立ち戻ったように見える。1週間前、将軍たちは、憲法法廷に座っている従順なムバラク時代の裁判官たちに新しい議会を解散するように語った。(中略)
西欧の政治家たちが「アラブの春」を無視する口実として用いている二つの作り話がある。
一つは、将軍たちとイスラム主義者との間に選択の余地は殆どないというものである。これはまさにムバラク主義の再版である。本紙は、イスラム主義者たちが世俗的改革派を負かすことを望んではいなかったが、事実は、彼らは改革派を負かしたのだ。トルコでの経験が示すように、イスラム主義者を馴らす最善の道は、彼らに対して道徳的な根拠を認めず、日々の統治の責任や妥協を迫ることである。
第二の論拠は、エジプトが複雑すぎて、西欧は影響を与えることができないということだ。状況は確かに、複雑である。しかし、外からのメッセージは、明確で、強力だ。軍はその民主化の約束にこだわっているという主張は、少し違う。アメリカの援助に頼っている将軍たちは、束縛されない権力を手にれることには神経質である。新しい国会に備えるために、憲法についてモルシと交渉するように彼らに圧力を掛けることによって、米国とヨーロッパは、民主主義に有利になるための決定的な役割を果たすことができるだろう。
エジプトの混乱の中で一つだけはっきりしているのは、エジプト人とアラブ人たちが、自分たちの関心事を追いかけているということだ。王様や将軍たちは進歩を遅くすることはできるかもしれない。しかし、それを止めることはできない。
[訳者の感想]「アラブの春」が一体どうなるのか分かりませんがエジプトに関してはイスラム同胞団と軍との間の話し合いで民主化が進むと良いと思いますが。同胞団も他のイスラム過激派に比べると、それほど教条主義的ではないように見えます。
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「パキスタンのどこが間違っているのか?」と題する"Foreign Policy"の記事。

2012年06月19日 | アフガン問題
(前略)
イスラム教徒と南アジアとの接触は、インドを言い表すアラビア語「アル・ヒンド」から始まる。アル・ヒンドはインド亜大陸の北部と北西部という広大な地帯を指している。それは、中世には、トルコ系イスラムによって支配され、馬に乗ったモンゴル人から護られた。イスラム化は、アラビア海に接したイランとアフガニスタンの東部であるシンド地方から始まったが、この地域は、陸路からも海路からも容易に入り込むことができた。
ウマイヤ王朝のアラブ人たちは、8世紀にシンド地方をイスラム化した。次に来たのは、トルコ系のガズニ王朝だった。彼らは11世紀にインド北部を征服した。ガズニ王朝を引き継いだのは、デリーを中心とするサルタン王朝で、それは13世紀初めに打ち立てられた軍事的王朝だった。16世紀初め以、ペルシャ化したムガール帝国になった。これらのイスラム戦士たちは、はっきりしない国境をまたいで北は中央アジアと西はアラビアやペルシャと東は中国と交易を行った。
(後略)著者は、ロバート・カプランという人で、パキスタンの曖昧な政治的立場がその地理的な位置から来ているという主張のようです。
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「無知は力である」と題するクルーグマンの論説

2012年03月10日 | アフリカの政治・経済・社会
冒頭に、クルーグマンは、アメリカの教育に対して、共和党の二人の大統領候補者が否定的な態度をとっていると指摘しています。サントラム候補は、オバマ大統領が、技術とコンピュータ科学の大学の入学者数を増やそうとしている理由は、大学が宗教的信仰を破壊する「教え込み臼」であるからだと主張して新聞のネタになった。ロムニー候補の大学の学費を心配している高校に対する返答は、もっと重大である。なぜなら、彼が言っていることは、アメリカの教育をさらに掘り崩すような政策の選択を示唆しているからである。
ロムニー候補は、高校生に次のように言っている。「学費が最高の大学には行ってはいけない。よい教育を受けられる少し学費の低い大学へ行きなさい。君はそういう大学を見つけられると希望したい。君が学費を払うためにする負債を政府が免除するなどと期待してはいけない。」
過去の世代にとっては、より学費の低い大学を選ぶことは、私立大学ではなくて、公立大学へ行くことを意味した。しかし、今日では、公立の高等教育が絶えず批判されている。高等教育のセクターは、公共領域の他のセクターに比べて、より厳しい予算削減を求められている。インフレに適応して、高等教育に対する州政府の支援は過去5年間に12%も下げられた。カリフォルニア州では、20%も削減されている。
その結果、学費はうなぎのぼりである。公立の四年制大学の学費は、過去10年間に70%も値上がりした。だから、「少し学費の低い大学を見つける」のは容易ではない。
もう一つの結果は、金に困った大学が教育するのに費用の掛かる領域で削減を続けていることである。フロリダ州とテキサス州を含む多数の州の公立大学は、技術やコンピューター科学の領域を全部なくした。
これらの変化が与えるであろう損害は明らかである。それなら、なぜ共和党は、高等教育を破壊するのか?
サントラム派が何に動かされているのかを理解するのは難しくない。大学へに行くと信仰がなくなるという彼の主張は間違っている。しかし、われわれのの高等教育制度が現在の保守派のイデオロギーに対して友好的な地盤でないということを彼が感じているのは正しい。共和党の保守主義に対して反対なのは、リベラル・アーツ担当の教授たちだけではない。自然科学者の中でも、民主党に同調する教授たちの数は、共和党に同調する教授たちの数に対して9対1である。
ロムニーに賛成するのはどんな人たちだろうか?彼らは、教育に対する十字軍によって危機に瀕している将来の経済的成功に対して関心がないのだろうか?
結局、過去30年間、トップ層の莫大な収入と普通の労働者の闘争との間には驚くべき断絶が存在した。アメリカのエリート層の利害は、この断絶が続くことを確実にすることによって、もっともよく維持されるということにあなた方が賛成しても構わない。だが、それは高所得に対する税金を何が何でも低くして、貧弱なインフラと訓練不足の労働力との帰結に対して心配しなくてもいいということを意味しているのだ。
[訳者の感想]最近新聞を丁寧に読まないので、ロムニーやサントラムが何を言っているのか知りませんでしたが、このクルーグマン先生の論説を読むと、どちらの候補者が大統領になっても、今後のアメリカの社会政策や経済政策にとってかなり厄介な問題になりそうですね。
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「ケインズは、正しかった」と題するポール・クルーグマンの記事。

2011年12月31日 | 国際経済
「不況ではなくて好況こそ財政緊縮の好機だ」と1937年にジョン・メイナード・ケインズは断言した。ルーズベルト大統領でさえ、財政の均衡をあまりにすぐ取ることによって自分が正しいと証明しようとしていたときだ。だがそれによって、合衆国経済はひどい不況に陥った。経済が不景気のときに、政府支出をカットすれば、経済をいっそう不景気にする。緊縮財政は、強い回復が始まるまで待つべきだ。
不幸なことに、2010年末から2011年初めにかけて、西欧世界の多くの国の政治家たちや立法家たちは、自分たちの法がよく知っている、われわれは赤字に焦点を当てるべきで、就職口に焦点を当てるべきではないと思った。もっとも、われわれの経済は殆ど金融危機に続く不況から回復するかしないかだったのだが。反ケインズ的な信念に基づいて行動することによって、彼らは結局、ケインズがまたもや正しいといういうことを証明した。
ケインズ的経済政策が正しいと宣言することによって、私は、普通の智慧と食い違っている。特にワシントンでは、雇用の増大を生み出すためのオバマ大統領の刺激策は、政府支出が景気を改善しないということ証明したと見なされた。2009年度の回復・再投資法は、不況の深刻さに対しては、あまりに少なかった。そこで、われわれも政治的な反発が結果するだろうと予言した。
そういうわけで、ケインズ経済学の実際のテストは、経済を押し上げようとする連邦政府の気乗りのしない努力からは、出て来なかった。その努力は、州政府や地方のレベルでの削減によって、相殺された。そして、ギリシャやアイルランドのようなヨーロッパ諸国は、緊急貸し出しを受け取る代わりに緊縮財政を課された。それらの国々は、実質的GDPを二桁下げることによって、大恐慌レベルの経済不況を蒙った。[後略}
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「日本、TPPに参加」と題するThe Economistの記事

2011年11月18日 | 日本の政治と経済
(前略)
「日本はTPPに参加することに関心がある」という野田首相の11月11日の声明は、非常に大胆な動きであった。署名することは、日本における劇的な変化を意味するだろう。この国は、米に800%の関税をかけ、日本に送られるアメリカ車1台に対して、日本車65台を輸出しているのだから。野田首相の動きは、また、TPPの展望を変えることもできるだろう。世界の指導的な三つの経済の内、二つが結びつくことによってだけでなく、他の国々に衝撃を与えるからだ。彼が関心を表明するまで、カナダとメキシコは傍観していた。故意か故意でないか分からないが、野田首相は、重商主義的日本を、労働以外のすべての自由な動きがテーブルに載っている貿易協定の中心に突っ込んだ。
 巨大な障害が野田首相の前に立ちはだかっている。彼は去る9月に民主党内で争いあっている会派の調停者としての役割を自分でかって首相になった。これらの会派の多くは、TPPに反対している。
多数の国会議員を後援している農業団体は、それが日本から米の伝統を奪うだろうと主張している。医師たちは、日本の評価されている医療制度のリスクを警告している。社会主義者たちは、TPPをワシントンが主導する中国に対する非難だと見ている。中国自身は、東アジア貿易協定を成立させようと思っている。
ホノルル会議以来、野田首相は、自分のメッセージを薄めることで、抗議を申し立てている人々に迎合した。サミットの写真でオバマ大統領の隣で満面に笑みを浮かべた後で、彼は、ホワイトハウスがあらゆる商品とサービスを交渉のテーマにするというように自分の意図を過大に表現したと抗議した。しかし、世論調査は、日本がこの問題でリーダーシップを必要としていることを示唆している。(後略)
(感想)野田さんなかなかやるではないか、というのが私の感想です。
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「ドイツ連邦軍は、金がかかって、効率が悪い」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2011年07月03日 | 国際政治
ブラームス:4つのバラード、2つのラプソディ、間奏曲集
グールド(グレン)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

ある新聞報道によると、連邦軍は、他の西ヨーロッパ軍と比べて、非常に非効率的である。ドイツ兵士の動員能力数は、7,000名であるが、イギリスは、2万2千名、フランスは、3万名である、と『週間経済』紙は報道している。
ドイツでは、それぞれの連邦軍兵士の後ろに、35名の兵士と15名の民間人が支援のために控えていると、同紙は述べている。フランス人の場合は、支援のために必要な人数は、兵士8名と民間人2名である。イギリス兵の場合は、兵士9名と民間人4名が必要である。
兵士1名が動員された場合、経費として、5.16百万ユーロ(5億7,500万円)が必要であり、EU平均より3倍高額である。
防衛省の報道官は、数字には言及しようとしなかった。「連邦軍は、現在、もっと効率的にしようと、戦力の新整備計画を立案中だ」と報道官は述べた。トーマス・ドメジール防衛相は、計画された改革において、重点を国家の防衛よりも国際的参加へと切り換えるつもりである。兵士の数を削減すると述べたのに、実際には、7千名ではなくて、1万名の兵士が外国に派遣されることになる。
FPDの防衛政策担当者であるクリストフ・シュヌルは、『週間経済』紙に対して、インプットとアウトプットとは、連邦軍の場合、ひどい割合になっている。「連邦軍は、中心的能力を、停止している戦車軍団から高度に動的な派遣軍にまだ置き換えていないのだ」と述べた。
防衛改革においては、軍事力は、22万名の兵士から18万5千名に下がる予定だが、必要な民間人の数も1万名削減されなければならない。
金曜日には、徴兵義務は、50年ぶりに、公式に廃止された。将来、職業軍人とパートタイマーの兵士の数は、17万名になる予定だ。それを超える志願兵の数は、ドメジール防衛相はさしあたり5千名になると計算している。努力目標は、志願兵1万5千名である。7月1には、しかし、志願兵は、3,400名しかいなかった。(後省略)
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「心よ、おまえはどこにいるのか?」と題する「フランクフルター・アルゲマイネ」の記事

2011年06月30日 | 教育と科学技術
別れの曲、幻想即興曲~ショパン:ピアノ名曲集
オムニバス(クラシック)
ユニバーサル ミュージック クラシック

2011年6月29日発:それは、たいていは読書中に起こる。目は、テキストを一行一行追っている。だが、思いは夕方の約束や、今度の休暇や目前に控えた試験のことを考えている。この現象は、[Situt](stimulus-independent and task-unrelated thought)「刺激から独立の課題とは無関係な思考」と呼ばれている。ドイツ語で言うと「夢想」(Traumerei)である。これは、読書中だけに起こるのではない。研究者たちは、被験者のまなざしを追うのにカメラを使い、アイフォーンを応用し、その結果、「われわれの心は覚醒時の3分の1か、半分は、事柄に集中していない」といういことを突き止めた。(Jonathan Schooler & Jonathan Smallwood et al.:"Meta-awareness, perceptual decoupling and the wandering mind."in:"Trends in Cognitive Science, Band 15,2011)
一見すると、白昼夢には短所がある。心も空な読者は、行をゆっくり目で追っているが、彼の目の動きは、テキストの内容上、形式上の要求によって規定されていない。彼は言葉を理解していない。
他の課題でも、事情は同様である。最初、心はさまよい、人間は誤りを犯す。その上、白昼夢は、気分を悪くする。自分が事柄をしかと注意していないなら、人間は明らかに、不幸になる。このことは、人間が何か楽しいことを夢想しているときでも、当てはまる。多くの宗教は、幸福がここと今とをしかと見据えた落ち着いた心を見いだすことにのみあると教えている。彷徨う心は、不幸な心である。("A wondering mind is an unhappy meind.",in "Science, Vol.330,2010)
だが、夢想には長所もある。自分の心を犯行現場で捕まえる能力は、一つの窓であって、それを通じて、研究者は知覚と思考との間のつながりを見ることができ、意識の本性や自分の意識の内容を制御する能力を手に入れる。ライヒルは、読書障害をもっと良く理解しようと望んでいる。他の人たちは、生命フィードバックや注意訓練によって白昼夢をもっとうまく利用しようと努力している。なぜなら、彷徨う心の天才的な思いつきについての逸話は山とあるからだ。
さまざまの注意領域の間を渡り歩く能力は、進化史において有利であったかもしれない。退屈した状況で精神的気分転換や情緒と覚醒との間を制御する瞬間として、白昼夢は話題になる。その最も重要な課題は、しかし、計画したり、決定したり、未来を予想したりする点にある。なぜならば、彷徨う心は、たいていの場合に、未来や自己反省と係わっているからである。(以下省略)
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「中国人エリート、米国ヴィザ発給制限に直面」と題する「フィナンシャル・タイムズ」の記事。

2011年04月27日 | 国際政治
去る2月に匿名のインターネット・ユーザーが中国の「ジャスミン革命」を指示するためにデモを呼びかけた際、ハンツマン駐中大使が現場に居合わせて写真に撮られた後、北京政府は、米国をホストとするいくつかの両国間の大学間、および文化的プログラムをキャンセルした。
アラブの春の路線に沿った蜂起の呼びかけは注目されないままだったが、中国政府は、人権擁護家たちが反政府運動家に対する10年来で最も厳しい取り締まりと呼んだものを打ち出した。
事情通によれば、中国共産党は、過去二ヶ月間、地方のボスに対しても、ハンツマン大使との会見を取り消すように命じた。
これらの侮辱によって、米国は対抗措置を取ることになった。そのなかには、中国人高官とその家族に対してヴィザを早く発給するシステムを見直すことが含まれている。
「中国において米国に資金を提供されたプログラムや会合が取り消される現在の風潮が続くなら、われわれは中国政府高官とその家族に対してヴィザを承認するわれわれの手続きを見直さなければならない」とある米国政府高官は言った。
中国政府の取り締まりは、ワシントンで5月に開催予定の二国間の年二回開かれる戦略的対話の議事を決める話し合いに影響した。
現在まで、ワシントンは、中国外務省が「優遇チャンネル」を通じてヴィザを発給することを非公式に許可していた。これらの候補者には、外交官、高官、国家企業の経営幹部、国営メディアのジャーナリスト、共産党指導層の子女が含まれている。
中国の高位指導層の多くは、習近平の娘を含めて、彼らの子女を米国のアイビー・リーグ大学に送っている。米国政府高官によると、習近平の娘は、匿名でハーヴァード大学に在籍している。簿キライの息子もハーヴァード大学に在籍しており、中国開発銀行の総裁チェン・ユアンの息子のチェン・シャオダンも同様である。(以下省略)
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「カダフィ大佐、リビアを戦場に変える」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2011年02月26日 | アフリカの政治・経済・社会
ムアンマール・カダフィは、トリポリをコントロールし、かれの七人の息子たちは傭兵を指揮して、町をパトロールし、毎日、デモ参加者を殺していると、チュニジア人のサラー・ケッシルは報告している。 「住民たちは自分の家からは出ない。そこらじゅう血が飛び散っている。リビア人たちは、カダフィが市民に対するこの戦争をとことんまで指揮するだろうと恐れている。」 カダフィは、彼の殺人行動をまだ当分は続けることができる。彼はなるほど5万名の軍隊を意識的に弱く維持し、拙劣な武装しかさせなかったのは、彼が軍を一度も信頼したことがないからである。しかし、同時に彼は自分の家来を財政的に優遇し、重要な地位を与え、私兵を養い、「革命委員会」を武装させた。
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「権力側はデモ隊を虐殺させる」と題する『シュピーゲル』の記事

2011年02月19日 | 国際政治
(前略)
金曜日には、治安部隊は新たに自分たちがデモ隊に対してどれほど残酷であるかを証明した。彼らは抗議のために集まっていた反政府派めがけて発砲した。目撃者によれば、何十人かが負傷した。警察が撃ったのか軍隊が撃ったかについては今のところ明かではない。
他のアラブ諸国でも金曜日は流血の日だった。イェーメンでは、デモ隊が攻撃された際、少なくとも4人が殺された。正体不明の一団は、群衆の中に手榴弾を投げ込んだ。ヨルダンでは、反政府派と政府支持者との間の暴力沙汰で、少なくとも8人が負傷した。両方の陣営が、首都アンマンでデモを行った。
オバマ大統領は、金曜日には不安を隠しきれなかった。彼は暴力行為を断罪し、バーレーンやリビアやイェーメンの政府に攻撃を差し控えるように呼びかけた。国連の人権委員であるナヴィ・ピレイは、暴力を非難して、「基本的人権と自由のためにデモを行った、たいていは平和的な人たちに対してかなり多くの国々行われた人権侵害の種類と程度とは、われわれを不安にさせる」と述べた。
バーレーンの王室が遠慮なく暴力を振るった警察や陸軍を頼りにできると言うことは、実際、決定的である。カイロやチュニスでの革命が可能であった理由は、エジプトやチュニジアの軍隊が自国民に発砲することを拒んだことである。
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「イスラム主義者たちは、キリスト教徒の勇気が増大しているのを罰しているのだ」という記事。

2011年01月08日 | イスラム問題
(前略)
ヴェルト紙:これらの脅しや攻撃をあなたはどのように説明しますか?
シルマッハー:アラム人、アルメニア人、コプト教徒のような東方のキリスト教徒たちは、2010年にイスラム教徒が多数を占める社会での差別に対して声高に抗議しました。この抗議はヨーロッパや彼らの出身国で行われました。ヨーロッパやオリエントにおけるテロ攻撃や脅迫はこの増大する勇気に対するイスラム主義者たちの反作用です。
ヴェルト紙:キリスト教徒が自己主張をした、それで罰せられるという訳ですか?
シルマッハー:そうです。多数派ムスリムと少数派キリスト教徒の間の歴史的取引は、取り消されました。それは、次の点にあったのです。東方のキリスト教徒たちは大声を出さない、外国に対して、自分たちの法的差別を訴えない。その代わりに、彼らは2級市民として放置されるということです。
ヴェルト紙:あなたはどこでこの取引が終ったと考えますか?
シルマッハー:明らかにイラクでです。イラクの司教たちが世界の世論に対して自分たちの苦しみを通報し始めた後で、イラクのキリスト教徒の情勢はさらに悪化しました。
ヴェルト紙:イラクのキリスト教の司教たちは、この公然たる救助の叫びという戦略の背後にまとまっているのですか?
シルマッハー:決してそうではありません。多くの司教は大声で論難して殺されるよりは、むしろ小声で抗議して、差別されることに賛成していました。トルコのキリスト教徒も同様に危険です。マラチヤの三人の新教徒に対する殺害は同様に報復であると理解されます。マラチアでには、キリスト教に改宗したトルコ人が古くから住んでいます。数人のキリスト教徒は、身分証明書の「ムスリム」を「キリスト教徒」と書き換えることを要求したのです。(後略)
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