旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

ミンダナオ島のチョウタロウ ネグロフタオシジミ

2009-05-01 | 
ネグロフタオシジミ属はインド、スリランカから東南アジア島嶼にかけて5種が知られていて、うち3種がフィリピンに分布している。本稿で紹介する チョウタロウ ネグロフタオシジミ Pratapa tyotaroi  H.Hayashi はフィリピン特産種で原名亜種 tyotaroi H. Hayashi がルソン島とマリンドゥケ島、他の亜種 ismaeli H. Hayashi, Schroeder & Treadawayがミンダナオ島、mindorensis Treadaway & Nuyda がミンドロ島、cadohaana Sekiがレイテ島に産する。

種名及び和名は日本(世界?)で唯一、蝶の情報週刊誌を長年にわたり発行し続け、もちろん国内外の蝶に対する造詣も深く、日本人の蝶研究の水準の向上に寄与されてきた西山保典氏に敬意を表して、氏のニックネームの「むしやま ちょうたろう」に捧げたものである。

デンマークのDanielsenとドイツのTreadawayの論文(2004年)によると、このうちミンダナオ島に分布する上掲画像の亜種は低リスクではあるものの、保全対策を必要とするカテゴリーに含まれている。しかし、僕はここ数年、何回かミンダナオのアポ山(3144m)を訪れているが、結構、本亜種を目撃し、写真撮影に成功しており、決して個体数が少ないとは思われないので、特に何らかの保全対策が行われないと将来絶滅する恐れがあるとは信じ難い。彼らがどういう根拠に基いて、このような結論に達したのかよく分からない。

因みにルソン島に産する原名亜種は多産(ただし♀は少ない)する(2000年の報告)とのことである。

アポ山でも♀の目撃数は少ないので、子孫を残す中心となる♀だけに注目すると、たしかに気を付けねばならない亜種かも知れない。

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