旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

水深40m・海底の花園・・オオカワリイソギンチャクの群棲

2008-07-15 | ダイビング
梅干しで有名な和歌山県みなべ(南部)町。六十代で亡くなった父の故郷である。
子供のころ、父と泳いだ黒潮洗う「みなべ」の海。また、自分の子供が小さかった時、夏休みに出かけて、家族皆で泳いだ「みなべ」の海。

懐かしくて、無性に潜りたくなり、7月初旬、「みなべ」を訪れた。早朝、ダイビングボートで沖合に出、ショウガセと呼ばれるポイントに到着。他にボートの姿は見えない。一番乗りだ。

タンクを背負い、海中に入る。海底を移動、深く切れ込んだ断崖に沿って、さらに下降して行く。青黒い海底にほの白い星状の物体が多数、目に入った。近づいてみると、黄緑色に美しく輝くイソギンチャクの群れである。

普通は水深150mぐらいの場所に生息しているのに、水深40mで見られるのは、世界でここ「みなべ」の海だけだそうだ。水温20.7度、5ミリ厚のウエットスーツを着用しているのに、肌に触れる海水はヒヤリと冷たい。触手を大きく広げて潮流に揺れるさまは神秘的で、秘密の花園に迷い込んだような錯覚におちいった。

オオカワリイソギンチャクとの出会いは、まるで月光を浴びて、一斉に花開くレモンイエローのお花畑を散策しているような幻想を僕に抱かせた。みなべの海にやって来て本当に良かった幸福感に満たされ、心が癒されたダイビングであった。



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