えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

「コワイわ、ママの歌」~東直子さまへ

2012-12-26 21:50:12 | 歌う

      ★★★「コワイわ、ママの歌」★  松井多絵子

 先日、「あなたは東直子の娘さんってよく聞かれますの。ほほほほ」 とツィートしたら、「わたくしは東直子のお孫さんってよく聞かれますの。ふふふふ」 というメールが届く。暴走老女からである。それにしても、ママはコワイ歌を詠むのね。「短歌追求1月号」を詠んだひとは、コワイ初夢をみるわ、きっと。

死体になるまでが夫婦と思います畳の上の二つの蒲団

柵の上に降り積もる雪 生前の記憶のように一夜ながめた

つまさきを折り膝を折り肘を折り夜に格納されて眠った

ごうごうと風連れてくる者たちを東京駅は腹の真中へ

遡上する鰻のように戻り来て東京駅の穴に飲まれる

  ※ 以上は「短歌研究」1月号の東直子の東京十景より抄出            


或るホームレス歌人を探る~その十七

2012-12-26 13:56:11 | 歌う

          ★「 或るホームレス歌人を探る~その十七」  松井多絵子

                ▲なぜ、投稿しなくなったか

①二月九日の朝日朝刊に掲載された「ホームレス歌人さん連絡求む」の記事に対し、三月九日の朝刊で、「連絡をとる勇気は、今の私には、ありません」と投稿のハガキに添え書きがあったことを、私たちは知らされている。何か不都合な事情があるのかもしれない。

②三月九日の作品に「胸を病み医療保護受け」とあった。体調が悪いか、夏負けか、事故か。

③ホームレスの生活は変化にとぼしく、歌の素材が見つからなくなったのではないか。冬が終わり過ごしやすくなった頃から、私は公田の作品に切実さを感じなくなった。塚本邦雄や山崎方代、林芙美子などの詠まれた歌が目につくが、どれほど傾倒しているのか。

④公田は思い出を詠まない。家族、師、友人や同僚そして恋人も詠まない。きわめて限られた範囲で詠みながら九か月間も投稿した。「これ以上つづけたら歌は自己模倣になるだろう。残暑はきびしい。休詠しょう」なのか。    まだまだ続きます。つぎは<忍耐力テスト18>です。


年の瀬のうた

2012-12-25 15:22:01 | 歌う

          ❤❤❤ 「年の瀬のうた十首」 ❤❤❤    松井多絵子

ガラス戸を拭きいて今年の辛かったことがつぎつぎ鮮やかになる

われよりも疲れているらし傍らに屈まりて眠る歳晩の猫

西日ふかく入りきて蓮の花ひらく無名の画家の描きし素描

わが知らぬ牛を偲びて履くブーツはじめて土を落ち葉を踏みぬ

歳晩はさらに急なる下り坂さらに冷えゆくこの下り坂

しなかった、できなかった事あれこれと思いださせる炬燵のぬくみ

チューハイが我をとりもつ「来年はきっといい年、たぶんいい年」

歳晩の西日が窓に溢れいてもう終わってもいい2012年

みすずかる信濃の手うちそばを食むしこしこするりしこしこするり

昨夜より真水のなかの黒豆が朝の厨にあたらしき黒

    ※ まあまあの一年でした。 松井多絵子


「朝日俳壇あれこれ①~俳句はコワイ」

2012-12-24 21:24:00 | 歌う

          ★★★「朝日俳壇あれこれ①~俳句はコワイ」  松井多絵子

 大きな声では言えないが、私は短歌より俳句の方が好きである。月曜日の今日、まず朝日俳壇を、そしてコーヒーを飲んでから歌壇を見る。歌歴二十年を吹聴しながら、何度となく俳句と浮気をした。俳句は短歌のようにねちねちしていなくて男っぽい。しかし、どうもコワイ。作っても、作ってもみな既に誰かが作った句のように思えてしまう。朝日俳壇に投稿し、入選しても数週間後に「酷似した作品があり入選を取り消します」ということになるだろう。「そんな簡単に入選しませんよ」と俳人たちに笑われるかもしれないが。12月24日の入選句から私の好きな四句☆のない句ばかり。たまたまですがみな男性の句。

❤ 寒がつてばかりもをれず歩きけり (姫路市)陰山一舟    稲畑汀子選

    まさに今の私である。一日一万歩の目標が千歩。一舟さん、一歩が一句ですよ。

❤ 着ぶくれて本一冊分の独り言   (清瀬市)峠谷清広     金子兜太選

   暖房費節約のため着ぶくれても寒い寒いと私が話しかけてる相手は私

❤ 星ひとつ拾って飾り聖樹とす   (さいたま市)川辺了     長谷川櫂選

    星を拾うという発想がすごい。聖樹とはタイミングのよいこと。

❤ 言の葉の枯葉のごとく宙に舞ふ  (東京都)吉竹純       大串章選

    この句を読み私の句は枯葉のような気がしました。今日の俳壇は☆は2個、歌壇

     4個です。やはり私は短歌にします。   松井多絵子  


★★「星夜の電飾」

2012-12-23 15:13:02 | 歌う

          ★★★ 「星夜の電飾」 ★★★   松井多絵子

                  ★★

地下鉄とメトロは異なる乗り物のような気がする、地下鉄に乗る

地下鉄を降りて高層ビル街へ、三年前は鉄骨の森

むかしむかしすれ違うたびときめきし光の君を今夜も避ける

敵なのか味方なのかもわからない才色兼備の小百合と乾杯

言いだすまでどこに隠せばいいのやら真っ赤な嘘はそわそわしている

会場と外の気温の差をおもう差があるということは苦しい

幾百か、地球に穴をあけながらスカイツリーよ何をしている

すこしだけ月へ近づくための塔、、月の砂漠へ近づくための

年末の夜道をひとり歩くとき火星の孤独がわれに近づく

電飾のなかりし頃はわが町を冬の星座が飾りていたり

  ※ 電飾に浮かれる町を見下ろす冬星たちはさぞ不愉快なことでしょう。毒々しい色の点滅「にんげんは何て下品なんだろう」ですね。ごめんなさいね。もうじき電飾は消えます。