えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

はがきの名文

2016-06-30 09:33:53 | 歌う

                 はがきの名文

 ♦「孤独とは砂漠のことだと思います」サハラより日本へはがき一枚  松井多絵子

 旅先からの便りは絵はがきが多い。その土地の風景の写真が旅を相手に伝える。だから文は「ひとこと」だけ書けばよいのだ。短歌を1首書けば十分だ。異郷から自分宛てに送ってみたら帰国後に届いたりする。私のこの1首はチュニジアの旅の「こころの風景」である。

 「人間関係ははがきの関係がいい」と言った人がいた。はがきは宛先以外の人に読まれてもかまわない。余計なことを書くスペースがない。手紙は便箋1枚では素っ気ないように思えて書きすぎてしまう。人との付き合いが深くなるのは愉しいがトラブルが起きやすい。末永く付き合いたいひととは♦「はがきの関係」がよいのかもしれない。

 第2回 はがきの名文コンクール 作品募集 ✿ 明日への願い

 奈良県御所市にある一言主(ひとことぬし)神社の伝説にちなみ、はがきに明日への願いを書いて送りましょう。 選考委員=齋藤考 吉本ばなな 堺屋太一
後援=文部科学省 総務省 朝日新聞社 大賞1名 100万円 佳作10名 (10万円)

 応募方法 はがきに20字以上200字以内の文章で願い事を書き、次の宛先へ。

 〒639・2321 奈良県御所市名柄326・1 
            郵便名柄館 「はがきの名文コンクール」宛

  ◆ お問い合わせ 03・6272・3326 詳細はweb「はがき名文」で検索

 ※ 入選なさった方はお知らせくださいましたら 私のブログに書かせていただきます。

                         6月30日  松井多絵子      


酒も人も嫌いな夫

2016-06-28 09:31:50 | 歌う

              酒も人も嫌いな夫

    昨日・6月27日の朝日歌壇入選歌のなかに✩✩こんな歌がある。

♥ 酒呑めずついでに大の人嫌いそんな男の妻である君  (塩釜市) 佐藤龍二

 選者の高野公彦と永田和彦がそれぞれ第6席に選んでいる。この2人の選者はお酒が好きなのに、なぜか「酒呑まず」の男を選んでいる。選者の「評」がないので私が勝手に作者の気持ちを思ってみる。酒を飲めない男は私の周りには少ない。飲む夫にうんざりしている妻たちのボヤキの多いこと。私もその一人だ、夜ごとの晩酌は手間もお金もかかる。まして家に飲み友を連れ込まれたら災難だ。佐藤さんは「大の人嫌い」なら申し分のない夫だ。

 「そんな男の妻である君」とは妻に「ボクは面白くない男ですまないね」と言っているのか。もし佐藤さんが私やボヤキ仲間の夫だったらさぞ感謝され大切にされるだろうに。或いはこの歌は「オレの妻で君は幸せだよ」と言いたいのではないか。「夫が家につれてくるのは魅力のない男ばかり」とは妻たちの不満だ。楽しい、魅力のある友達なら大いに歓迎し、オイシイ料理も作る、でも、夫が連れてくる男はヤレヤレの男たちばかり。

 ♥ このままでいいはずはなくこのはずく頭の中でホーホーと鳴く  佐藤龍二

 この歌は2011年 ✿読売歌壇年間賞 俵万智選である。「震災以降、以前にもまして積極的に歌作りに取り組み、多くの秀歌を寄せてくれた佐藤龍二さん、直接震災を詠んだ力作もあったが、少し距離を置いてウイットを効かせ、精神性を感じさせるこの歌が一番心にもホーホーと響く」と俵万智は書いている。(2012年、1月9日 読売新聞)

 日本有数の漁港を中心とする港町の塩釜市は3・11の被害から立ち直るのはきびしいことを実感しながら、龍二さんは詠むことに専念している。妻も彼を応援しているのだろう、あの大地震が佐藤さん夫妻の絆をさらに、、、かもしれない。

             6月28日  松井多絵子   、


オヤジと息子の語らう恋の歌 ①

2016-06-27 09:16:44 | 歌う

           オヤジと息子の語らう恋の歌 ①

 一昨日の土曜日、私はオヤジと息子が「恋の歌」について語りあうのを新宿で聞いた。居酒屋ではない。朝日カルチャーセンターで。講師は佐佐木幸綱と頼綱、78歳のオヤジと37歳の息子の対談である。サムライブルーのポロシャツの青年・頼綱が「今日、受講して下さる皆様はレベルの高い方たちなので私は釈迦に説法になりそうで」と。幸綱氏は笑いながら「コイツは昨晩眠れなかったらしい」などとおっしゃる。そして「息子と恋の歌を話すのはテレクサイ」と。 ※ 頼綱氏は短歌専門のながらみ書房編集部勤務。

 プリントの「相聞歌」は 佐佐木頼綱の選んだ40首。私の好きな歌もかなりあるが好かない歌も。バイキングの料理を眺めるようにプリントを見る。資料のプリントには相聞とは
1、互いに相手のようすを尋ねること。消息を通わせること。
2、万葉集で、雑歌、挽歌と並ぶ三大部立ての一。男女・親子・兄弟姉妹・友人など親しい間柄で贈答された歌が含まれるが、特に恋の歌が多い。(大辞林)

 ♦ 茶碗の底に梅干しの種二つ並びおるああこれが愛というものだ  山崎方代

 放浪の歌人として知られ生涯独身だった山崎方代の歌が頼綱氏の琴線に触れるとは、「あらまあ」である。幸綱先生は「あゝこれが愛というものだ」なんてねえ。と笑いながら昨年結婚した頼綱に話しかける。私もこの下句は気障な感じがして好きになれない。

 ♦ 血と雨にワイシャツ濡れている無援ひとりへの愛うつくしくする  岸上大作

 ♦ 冬海に横向きにあるオートバイ母よりちかき人ふいに欲し  寺山修司

 この2首はドラマチックだ。青年が感動しそうな歌だ。近頃は冷めた青年の歌が多い。

 ♦ やはらかに積もれる雪に/熱てる頬埋むるごとき/恋してみたし  石川啄木

 雪と熱てる頬との温度差の違い、コントラストのはっきりした歌だね、と幸綱先生。もしこの講座が「現代の世相を詠んだ歌」だったら、さほど楽しくなかったのではないか。オヤジと息子が「恋の歌」を語りあう、おたがいに照れながら、本音をふと話してしまう面白さ、1昨日は佐佐木幸綱教授ではなく、頼綱のパパだった。そして男としての先輩の幸綱と後輩の頼綱、あの講座のあと、おふたりは 飲みながらどんな話をされたのだろうか、♪ ♪ ♪、

                   6月27日  松井多絵子

 

 

 


京都賞とは

2016-06-24 09:32:38 | 歌う

                京都賞とは

 ♦ 庭園の池にも平等院はあり我を見上げる池の半月   松井多絵子

 昨年、朝日出版社でもっとも売れた本が 『京都ぎらい』らしいと聞いたが私はまだ読んでいない。京都の洛中に住んでいる人は、洛外を京都と認めない。著者は嵯峨の人間で故郷の名所に誇りをもっているが、洛中のひとからすれば著者の出身地域は洛外であり、京都ではないということらしい。東京でも山の手で育ったとか、下町に住んでいるとかにこだわる人かなりいる。

 4日前の新聞広告 ✿ 京都賞 人のため世のため  第32回京都賞 受賞者

 先端技術部門 ☀ 金出武雄 博士 ロボット工学者(1945年生まれ) カーネギーメロン大学、ワイタカ―記念全学教授)
  (コンピュータビジョンとロボディスク分野での先躯的かつ実践的研究)

 基礎化学部門 ☀ 本庶佑 博士 医学者 (1942年生まれ) 京都大学名誉教授 (抗体の機能性獲得機構の解明ならびに免疫細胞制御分子の発見と医療への展開)

 思想・芸術部門 ☀ マーサ・C・ヌスバウム 博士 哲学者 (1947年生まれ)
シカゴ大学法学・倫理学教授(ケイバビリティ・アプロ-チによる正義論の深化とその実践)

 ※ 京都賞は人のため、世のために役立った人に贈られる国際賞 3部門各々5000万円とメダル、ディプロマが 「稲盛財団」から贈られる。受賞式・晩餐会は11月10日(木)

      ♦ 貴船にてこれが最後の晩餐のように川床料理を味わう

                   6月24日 松井多絵子  

                            

 


老眼は治る?

2016-06-23 09:20:19 | 歌う

               老眼は治る?

 ♦ 地球のみの色かもしれぬさ緑を引き寄せ離さぬわれの老眼  松井多絵子

 「問われる阿倍政治」 今朝の☀新聞の見出しは老眼鏡をかけなくてもはっきり見える。同じ一面の下に並ぶ本の広告も一応見える、そのなかで「老眼は治ります」に私の老眼は釘づけになる。私は二十何年も老眼に悩まされている。若いころはつねに視力は1.2 、薄暗いところでも本は読めた。寝ながら小説を読みふけっても視力は衰えない。つぶらな瞳ではないが、わたしの眼は性能がよいことを秘かに誇りにしていた。しかし50歳前後から活字がときどき見えにくくなった。検査の結果老眼を知ったとき、私の宝を失うような気がした。

 「老眼は治ります」 著者・荒井宏幸(医学博士 眼科専門医)

 老眼鏡よ,サヨウナラ! ※ ホントですか?荒井先生

 治療時間15分、無痛でできる驚きの最新情報、治療前の留意点、治療の内容、費用、病院選びまで。老眼鏡をかけなくても「見える目」にするためのあれこれを、名医がわかりやすく教えます。   ※ もし治療に失敗したらどうなる、、。、?

 老眼になってから私は目が見えるうちに名所旧跡を見ておきたいという思いが強くなった。しかし旅行の行程表の活字は小さすぎる。集合時刻、場所は厚紙にマジックの太いペンで大きく書いたものをポケットなどに入れる。慣れない処へ行くときも同様にする。地下鉄などの路線図は拡大コピーしたものを絶えずバッグに入れておく。私がコンビニへ行くのはほとんど拡大のコピーのためだ。老眼になってから私は皺ができなくなったが、見えなくなったのか。老眼の治療に成功したら細かい活字はよく見える、でも私の顔は皺皺皺かもしれない。

                   6月23日  松井多絵子